住友電気工業はこのほど、5G通信などで活用が期待されるミリ波帯で低伝送損失、高柔軟性のフッ素樹脂のフレキシブルプリント基板(FPC)「FLUOROCUIT(フロロキット)」の量産化に成功したと発表した。
5G移動体通信の商業利用が進む中、世界各地でサブ6帯(3.5、4.7GHzなど)といわれる周波数帯域の利用が始まり、今後は26、28GHz帯といったミリ波帯まで高周波化が進み、さらに高周波数のミリ波帯の利用が予想されている。高速伝送化のための6G移動体通信の検討が始まり、レーダーやセンサーのミリ波帯利用の実用化が進められている。
そうした中、同社は「ミリ波帯で低伝送損失」「柔軟」なフッ素樹脂FPCを量産化した。高周波基板に使われ始めた液晶ポリマー(LCP)に比べ、フッ素樹脂は誘電率、誘電正接が低く伝送損失が少ない(40GHz帯で約40%減)上、周波数が高くなるほどその差は大きくなる。そのためフッ素樹脂は、高周波帯に対応する高特性基板材料として注目されている。
住友電工グループは、長年のフッ素樹脂加工と多彩な製品開発で蓄積した知見や加工技術を生かして、加工が難しいとされるフッ素樹脂FPCの量産化を実現。柔軟性に優れたFPCは曲面などの配線部分に適しており、データセンターの配線、5G基地局や端末機器のアンテナや配線材、レーダー、センサーなどの採用に向けた活動を本格化していく考えだ。