三菱ケミカルは17日、MMA(メチルメタクリレート)モノマー、MAA(メタクリル酸)およびメタクリル酸エステル類(BMA・HEMAなど)の国内価格を、12月1日出荷分から値上げすると発表した。改定幅は、MMA・MAAが「25円/kg」、メタクリル酸エステル類が「25円/kg以上」。すでに各需要家と交渉に入っており、早期の値上げ浸透を図る。
同社は広島事業所でC4法およびACH法によりMMAとMAAを製造し、それらを原料としてBMA(ブチルメタクリレート)、HEMA(ヒドロキシエチルメタクリレート)などのメタクリル酸エステル類を製造。主に国内顧客向けに安定供給を続けている。しかし、近年の働き方改革で各設備の定修期間延長による費用増加、安全対策として老朽化設備の維持・更新費用の追加、人手不足による物流費の高騰、などにより製造コストが上昇しており、この傾向は今後も続くと見られる。
こうした中、同社はこれまで自助努力によりコスト削減を実施してきたが、国内顧客へ良品質の製品を安定的に供給するためには価格改定が必要と判断し、今回の価格改定を決定した。
一方、コロナ禍の影響により落ち込んでいたMMAの国内需要は、6月を底に反転しつつある。コロナ対策で使用されるアクリル板(PMMA)向けが堅調に推移していることに加え、自動車生産の回復を受け塗料用途なども戻ってきている。秋に国内各社の定修が重なったこともあり、足元では需給がタイトとなっているようだ。