昨年はコロナの1年だった。景気の急減速で、上期は経常赤字37億円となった。下期は回復基調だがコールケミカル事業は厳しく、化学品事業も需給環境が依然厳しい。機能材料事業と複合材料事業は好調な半導体需要と増能、拡販、価格改善でおおむね順調で、新規事業MCNDも出荷を開始し、全社で通期黒字化に取り組んでいる。
生活スタイルも変化し、テレワークが拡大した。処遇制度や通信インフラを整備し、就業スタイルを多様化させたい。一方で米中対立、通商規制や混乱、日韓関係などの世界情勢を見ると、欧米やアジア市場など、新たなビジネス展開が必要だ。
こうした中、2021年度から始まる新しい経営計画を策定した。長期視点の5年計画とし、事業ごとの方向性を定め、2025年度の事業構造と収益目標を掲げた。事業の選択と集中でポートフォリオを健全化し、経営を安定させる。コールケミカル事業・化学品事業依存の収益体質から脱却し、機能材料・複合材料・新規事業をもう一方の柱にする。景気変動に強い体質にし、日鉄グループへの収益貢献と、従業員にとって魅力ある会社・職場を目指す。
初年度の今年は次の2つに注力する。第1は「2021年度の収益回復」だ。商機を逃さず確実に収益を上げ、すべての事業を黒字化する。第2は「経営計画初年度の取り組み」で、確実な第一歩を踏み出す。目標に向けた実行計画策定と進捗管理を毎年行う。業務効率化も、PC環境の活用、情報の共有、取引の電子化、システム構築で進めるが、重要なのは社員一人ひとりの効率化マインドだ。無駄な仕事、改善方法など絶えず自問し問題提起すること。定年延長も始まる。新人事制度をベースに柔軟な勤務体系など、働き方改革にも着手する。
そして、最大の課題の1つが安全・環境・防災・品質に関わるコンプライアンスだ。最低限の要請だが、昨年は休業・不休業災害、環境・防災事故を起こし過去最悪だった。全社で事故・災害ゼロ、コンプライアンス違反ゼロに取り組む。
最後に、最も大事なのは働く人々の心身の健康だ。まずコロナ感染予防に万全を期し、職場全体で心のケアに努める。元気に仕事でき、活気溢れる職場を目指す。