宇部興産の4-12月期 上期のコロナ影響が大きく残る

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2021年2月3日

 宇部興産は2日、2020年度第3四半期(4-12月期)の連結業績を発表した。売上高は前年同期比12%減の4390億円、営業利益46%減の138億円、経常利益58%減の106億円、純利益41%減の90億円。決算会見の中で藤井正幸常務執行役員は、「化学や機械がコロナ影響を受けた上期の業績悪化が尾を引き減収減益となった」と総括した。

 セグメント別にみると化学セグメントは減収減益。ラクタム事業は、コロナ影響を受け、原料ベンゼンなどの市況下落により販売価格が下落した。ナイロン事業は、ラクタムに連動した販売価格が下落し、コロナ影響により自動車向けなどの需要が減退した。工業薬品事業は、アンモニア工場の隔年の定期修理により、生産量・出荷量ともに減少。

 ファイン事業は、コロナ影響により特に自動車関連製品を中心に販売数量が減少した。合成ゴム事業は、製品市況が下落したことに加え、タイヤ用途を中心に出荷が大幅に減少した。電池材料事業は、中国市場での競争激化や、自動車向けの需要減退もあり販売数量が減少。なお、10-12月期より電解液事業は持分法適用関連会社へ移管した。

 ポリイミド事業は、ディスプレイ向けCOFフィルムの販売数量が堅調に推移し、また有機ELパネル向けワニスの需要が拡大し販売数量が増加した。医薬事業は、自社医薬品・受託医薬品とも前年同期と比較し出荷が伸び悩んだ。

 建設資材セグメントは減収減益。セメント・生コン事業は、コロナ影響による公共工事の停滞や大手ゼネコンを中心とした工事中断の影響などがあったが、連結子会社が非連結子会社を吸収合併したことから増収となった。カルシア・マグネシア事業は、鉄鋼向けの生石灰、鉄鋼・電力向けマグネシアなどの販売数量が減少した。エネルギー事業は、石炭の販売数量が減少し、販売価格が下落した。

 機械セグメントは減収減益。成形機事業は、自動車産業が厳しい事業環境にあり販売が低調に推移。産機事業は、電力会社向け運搬機などの販売堅調、また継承した化学機器事業の効果もあった。製鋼事業は、原料価格下落に応じて販売価格が下落した。その他セグメントは減収減益だった。

 なお通期業績予想については前回発表時から変更していない。藤井常務は「10-12月期だけを見ると利益は改善傾向にある。ただコロナ影響など先行き不透明感が強いことから予想を据え置いた」と語った。