ベトナムで製造事業、福島で原料の資源米を生産
バイオマスレジンホールディングス、コバオリ、三井物産プラスチックの3社は12日、コメ由来のバイオマスプラスチック「ライスレジン」に関する業務提携や、初となる海外展開などについて共同記者会見を開催した。
バイオマスレジンHDは同日、製造ではコバオリとの間で東南アジア進出業務に関する資本業務提携と技術供与契約、販売では三井物産プラスチックとの間で国内外での展開に関する業務提携契約を締結。バイオマスレジンHDの神谷雄仁代表取締役CEOは、「両社との提携は、販売強化と製造拠点の拡大に加え、お米の文化で親和性のある東南アジアでの最初の進出として、今後の発展に寄与できる体制が構築できた」と語った。
三井物産プラスチックスには、国内各地の工場で生産する「ライスレジン」を一定量供給。「国内外での販売活動に注力していただくとともに、ベトナムでの製造販売など当社が計画する海外展開での協業も期待する」とした。ベトナムでの製造については、コバオリが手掛ける中国との合弁事業の中に参加。今月に設備投資を開始しており、10月には稼働を予定している。年間5000tを生産するが、「将来的には2025年までに3万tの生産体制を確立する」。さらに、ベトナム現地での樹脂製造、販売体制を確立させた後は、海外での事業展開も視野に入れていく方針だ。
一方、4月から福島県双葉郡浪江町で、休耕田などを活用したバイオマスプラスチックの原料となる資源米を生産することも併せて発表。作付面積は、2万5060㎡(二町五反)だが、来年にはさらに規模を拡大していく。資源米は、食味は問わないことから、効率・生産性重視の稲作を行い、将来の耕作放棄地対策農業モデルや土壌再生モデル作りを目指す。
また、この資源米を原料とした「ライスレジン」の製造を、浪江町に建設するバイオマスレジン福島(今春設立予定)の製造工場で行う計画。原料の生産と樹脂の製造を一体化し、輸送に伴う環境負荷の軽減につなげる。同社は「ライスレジン」を通して、脱炭素社会に向けた「環境」、休耕田などを活用した「農業」、そして、雇用の創出による「地域貢献」を目指す考えだ。
「ライスレジン」は、精米時の砕米や米菓、醸造などで排出される米粉といった非食米を原料とするバイマスプラ。最大70%までコメを使用できることから、石化系原料やCO2の削減につながる。現在、南魚沼拠点で3000~4500t生産しているが今年は熊本と福島が稼働開始を予定しており、1万t規模となる見込み。
同社は、政府が掲げる「2030年にバイオマスプラ197万t」のうち、5%(約10万t)の生産を目指しており、2025年までに全国10カ所に拠点を構築していく。海外については「アジアでは市場拡大が期待できる。今回のベトナムに加え、中国やタイ、インドネシアなど5カ国での生産拠点の整備を進めていく」と強調した。また、「ライスレジン」は非生分解性であるためワンウェイ製品用途に向いている。ただ、最終的に生分解性を目指すとし、京都大学と連携して2025年の実用化に向けて開発を進めていく意向だ。