東洋紡はこのほど、岩国事業所(山口県岩国市)に、マスクや医療用防護服の部材として使用される高機能ポリプロピレン不織布の開発・製造拠点を新設すると発表した。ポリプロピレン製メルトブローン不織布とスパンボンド不織布を生産する。生産能力は最大で年間1200t、2022年7月の生産開始を目指す。3月23日、岩国市役所にて建設協定に関する調印式を開催。同拠点は、経済産業省の「サプライチェーン対策のための国内投資促進事業費補助金」を活用して建設する。
新型コロナウイルスの感染拡大当初、マスクや医療用防護服の需給がひっ迫したことにより、部材として使用されるポリプロピレン製メルトブローン不織布やスパンボンド不織布の、国内での安定供給の重要性が指摘されている。同社はこれを受け、経産省からの補助金を活用してポリプロピレン不織布の製造拠点を岩国事業所内に新設し、高機能不織布の安定供給の実現に貢献していく考えだ。
また同拠点では、アフターコロナの時代を見据え、耐久性や集じん効率などを向上させたより高機能な不織布や、地球環境にやさしい原料を使用した不織布の開発にも注力。同事業所がマザー工場としての役割を担い、提携工場の協力を得ながら、高機能不織布市場や環境対応不織布市場の拡大をグローバル規模で推進していく。
なお、調印式では、岩国市の福田良彦市長、山口県の福田浩治商工労働部長をはじめ多数の関係者が出席し、同社から出席の西山重雄専務執行役員は「マスク用不織布部材の国内サプライチェーン強化に貢献したい」と抱負を語った。