【ポリアセタール特集3】三菱エンジニアリングプラスチックス

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2021年4月14日

自動車向け高機能グレード開発、OEMなどに攻勢

 三菱ガス化学(MGC)と三菱ケミカルの合弁会社である三菱エンジニアリングプラスチックス(MEP)は、MGCからポリアセタール(POM)樹脂「ユピタール」の供給を受け、樹脂の販売とコンパウンドの製造・販売を行っている。

 同社のPOM樹脂の供給能力は、主に国内向けに供給する四日市工場の2万t、中国を中心にグローバルの輸出拠点であるタイポリアセタールの10万tに加え、中国PTMエンジニアリングプラスチックス(ポリプラスチックス、セラニーズ、韓国エンジニアリングプラスチックスとの合弁)の取り分を勘案すると、年間能力は13万tで世界第5位を占めている。

 POMは摺動性と機械強度に特長があり、約8割はレジンとして販売される。残りの約2割がコンパウンドした特殊グレードとなるが、POMメーカー各社は、配合組成や製造技術などで差別化・高機能化を図っている。市場としては、POMの浸透率が高く、市場成長率がGDPにリンクしているアジア市場の成長が期待されるが、メーカー各社の競争が年々激化している状況だ。 事業環境を見ると、昨年の需要はコロナ禍の影響を受けた春先に落ち込んだものの、中国経済が立ち直ってきたことで後半から受注が急回復した。自動車向けに加えOA関連も伸びており、この状況が4月以降も続くとの見方が強い。

 MEPは、これまで自動車向けの出荷比率が低かったが、摺動性、耐久性、成形加工性を向上させた高機能グレードを開発し、OEMや部品メーカーに提案するなど攻勢をかけている。今後はこれらの特性を食品や水回り、OA機器、雑貨などにも展開させていく。さらに医療関連用途への進出も視野に入れており、規格対応などにも取り組む考えだ。

 一方、環境対策は各社にとって無視できないテーマとなっている。MEPはサプライチェーン全体で取り組む構えで、親会社と協力しながら、リサイクルや原料の見直しなどできることから進めていく。また安全面では、ホルムアルデヒド発生によるVOC問題がある。同社は、製造技術の最適化によりホルムアルデヒド量を半減させる技術開発に成功。成型時の金型の汚れが減少する効果もあり、金型メンテナンス回数の削減によるコスト削減への貢献も大きい。コスト競争力を維持したまま製品の機能・性能を向上できるため、今後のシェア拡大が期待される。

 MEPは、高付加価値と環境経営に指針を取っている。新たな需要の探索や環境配慮型材料の提案を強化することで、高機能グレードの比率を50%に高めていく考えだ。