クラレの1-3月期 主要製品の販売回復で増収増益に

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2021年5月13日

 クラレは12日、2021年度第1四半期(1-3月期)の連結業績を発表した。売上高は前年同期比6%増の1444億円、営業利益40%増の168億円、経常利益44%増の163億円、純利益21%減の53億円となった。なお米国寒波影響に関する特別損失30億円を計上している。

 セグメント別に見ると、ビニルアセテートセグメントは増収増益。ポバール樹脂は、世界的に需要回復が進み販売量が増加したが、米国寒波影響を受けた。光学用ポバールフィルムは、大型ディスプレイ向けを中心とした液晶パネルの需要増により好調に推移。PVBフィルムは建築向け、自動車向けとも販売量が増加した。水溶性ポバールフィルムは巣ごもり需要を背景に個包装洗剤用途で販売が拡大した。エバールは、食品包材用途の販売量は堅調に推移し、ガソリンタンク用途も需要が回復したが米国寒波影響を受けた。

 イソプレンセグメントは増収減益。イソプレン関連は、ファインケミカル、熱可塑性エラストマーともに、主に中国、アジアで需要が回復基調となり販売量が増加したが、原燃料高の影響を受けた。耐熱性ポリアミド樹脂は、電気・電子デバイス向け、自動車向けとも需要伸び販売が好調だった。

 機能材料セグメントは減収減益。メタクリルは、飛沫飛散防止用仕切板やディスプレイ向けの販売が増えた一方、看板向けなどは低調となった。メディカルは、歯科材料において主に欧米で販売が好調に推移。環境ソリューションは工業用途を中心に出荷が減少した。

 繊維セグメントは減収減益。人工皮革「クラリーノ」は、アジアや欧州で需要回復が見られた。繊維資材は、ビニロンの需要は回復基調となったが前年同期の販売を下回った。

 トレーディングは増収増益。繊維関連事業は、スポーツ衣料用途が伸び悩んだが、樹脂・化成品関連事業は、国内および中国を含むアジアにおいて販売が順調だった。

 なお同日、上期(1-6月期)の業績予想の修正を発表。第1四半期において、主力用途である自動車、ディスプレイ、電子・電気デバイスなどの需要が伸びたことを受け、ビニルアセテートとイソプレンは当初想定より出荷が増加し、第2四半期においても需要が堅調に推移することを見込む。これを踏まえ上期予想について、売上高2900億円(前回予想比100億円増)、営業利益300億円(同50億円増)、経常利益290億円(同65億円増)に上方修正した。なお、通期業績予想は据え置いている。