ダウ プラの高度リサイクル、ミュラテクノロジーと協定

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2021年6月23日

 ダウはこのほど、高度なプラスチックリサイクルソリューションの世界的パイオニアであるミュラテクノロジーと、プラスチック廃棄物の環境への放出を防ぐことを目的とするパートナーシップを締結したと発表した。

 ミュラは、持続可能な循環型プラ経済を実現するための原料を生産するとともに、プラやCO2の自然環境への放出を防ぐことを目的とした、「HydroPRS」(熱水プラリサイクルソリューション)と呼ばれる新しい高度リサイクルプロセスを急速に拡大しており、ダウはそれをサポートしていく。

 今回の協定は、プラのサーキュラーエコノミー(循環型経済)を促進し、プラ廃棄物が環境に放出されるのを防ぐダウの取り組みの重要な段階となる。パートナーシップを通じ、ダウの素材科学に関する知見、世界規模の事業展開、資金とミュラの最先端のテクノロジーを組み合わせることで循環型原料を生産し、それを消費者や世界的ブランドの間で需要が高まっている再生プラに生まれ変わらせることが可能になる。

 ミュラ独自の「HydroPRS」は、超臨界水を活用してプラをその原料である化学品と石油に戻し、バージン品と同等の新しいプラ製品に使用するという画期的かつ高度なリサイクルプロセス。このプロセスにより、現時点では焼却されるか埋め立て地に送られることの多い、食品包装に使用される多層構造の軟質プラを含め、あらゆる形態のプラをリサイクルすることが可能となる。

 重要な点は、このリサイクル原料を由来とするプラが、従来のプロセスとは異なり、食品に接触する包装に対する適性が期待できることだ。ミュラのプロセスでは、同じ材料をリサイクルできる回数に制限はないと見られ、使い捨てプラを大幅に削減し、循環型プラ経済を実現するための原料を生み出せる可能性がある。また、高度リサイクルプロセスでは、非再生プラを焼却する場合と比べて、再生プラ1t当たり約1.5tのCO2を削減できる見込み。

 ダウは、ミュラのソリューションが持続可能性と性能の両面から業界ニーズを満たすこと、および「HydroPRS」によって作られた製品を大規模に採用し新しいプラを製造することが可能であることを証明し、世界的なプラメーカーとして重要な役割を果たす。

 「HydroPRS」を採用した初の工場は英国ティーズサイドに建設中であり、来年には最初の年間2万tのラインが稼働する予定。4つのラインが完成すれば、ミュラは年間最大8万tのプラ廃棄物をリサイクルできるようになり、その過程で作られた材料がダウに供給される。ダウはこの再生材料を利用して、食品包装やその他の包装製品向けのバージングレードの新しいプラを開発し、世界のサプライチェーンに還流することで、真の循環型プラ経済を実現する。