三菱ケミカルは17日、サーキュラーエコノミー(循環型経済)やSDGs実現への貢献のための取り組みとして、リサイクル性に優れた耐熱二軸延伸ポリスチレンシート(耐熱OPSシート)を開発し、量産体制を整えたと発表した。
OPSは軽量ながら強度があり、透明性や成形加工性にも優れるため、弁当容器のフタなど食品包装容器として広く使用されている。
OPSを成形加工する工程では、シートを打ち抜く際に端材が発生するため、従来から原料としてリサイクルする取り組みが行われてきた。しかし、電子レンジで使用可能な耐熱性の高いOPSは、端材を溶かしても混ぜ合わせにくいため再シート化が難しく、リサイクルに適さないという課題を抱えていた。
同社は今回、こうした顧客の課題意識を踏まえ、原料メーカーと共同で取り組み、顧客の製造工程内でリサイクル可能な耐熱OPSを開発した。すでに複数の顧客との間でサンプルワークを進めており、一部で採用も決定している。
同社は、三菱ケミカルホールディングスグループが掲げる中長期経営基本戦略の下、サーキュラーエコノミーの推進を「KAITEKI」実現のキーエレメントと位置づけており、製品などのリサイクルはその重要な取り組みの1つと捉えている。同社は今後も、自社だけでなく顧客サイドの使用時のリサイクルにも配慮した製品設計を進めることで、SDGsの達成や持続可能な社会の実現に貢献していく。