旭化成は24日、Shell Eastern Petroleum(シンガポール)と、廃プラスチックおよびバイオマス由来のブタジエン(サステナブルブタジエン)の購入に関する売買契約を締結したと発表した。旭化成は、2022年3月末までにシンガポールにある合成ゴムプラントにサステナブルブタジエンを投入すると同時に、これらを原材料としたサステナブルS‐SBR(溶液重合法スチレンブタジエンゴム)の生産とマーケティングを開始する予定。
S‐SBRは、タイヤの安全性能を確保しつつ省燃費性能を同時に向上させるエコタイヤに最適な材料として認められている。また昨今、カーボンニュートラル(CN)実現に向け、タイヤ業界では省燃費・耐摩耗性能向上など脱炭素社会を目指す取り組みが加速しており、S‐SBRに対してサステナブル対応のニーズが高まっている。
こうした中、旭化成は自動車の航続距離増加やEV化による車両重量増への対応といったニーズに応え、特に省燃費性能や耐摩耗性能の向上を重視した高性能品の開発を推進。また、サプライチェーン(SC)全体でのCO2削減を目指しサステナブルな原材料への転換も検討している。
一方、化学品生産時のCO2排出量削減とCE実現に取り組むShell社は、マスバランス管理されたサステナブルブタジエンを、①廃プラを熱分解油に変換、②バイオ原材料、の2つを同社のナフサクラッカーに投入する製法で生産。廃プラ由来のブタジエンを使用するS‐SBRの生産は世界初、また、バイオマス由来のブタジエンを使用するS‐SBRの生産は日本企業初の試み(旭化成調べ)。このサステナブルS‐SBRを使用した場合、タイヤのライフサイクルで見たCO2排出量は、従来のS‐SBRに比べて大幅に削減されることが期待される。旭化成は、サステナブルブタジエンによるS‐SBR生産を通じて、サプライチェーン全体のCO2削減に貢献していく。
旭化成は今後、バイオマス由来原材料およびリサイクル原材料に関する国際的な認証の取得を目指し準備を進める。また、社会のCNに向け、S‐SBRの製品性能向上と製品ライフサイクル視点の両面からのCO2削減に引き続き貢献を果たし、顧客にとってのグローバルリーディングサステナブルパートナーを目指していく。