東レはこのほど、ソラミツ(東京都渋谷区)と協働し、ブロックチェーンを活用したトレーサビリティシステム構築のための実証実験を2022年度中に開始すると発表した。東レの循環型社会に資する技術や製品のサプライチェーン(SC)に、ソラミツのブロックチェーン技術を融合することで、製品の回収・再利用などによる素材の循環を可視化・透明化し、SCを構成する全てのステークホルダーと共に循環型社会のさらなる進展への貢献を目指す。
東レは2019年に、回収ペットボトルを原料として再利用するリサイクルポリエステル繊維事業のブランド「&+(アンドプラス)」を立ち上げ、リサイクル資源のトレーサビリティに取り組んできた。
今回の実証実験は「&+」を題材とし、これらの取り組みをいつでも、誰にでも証明できるよう進化させるために、SC上の企業と連携しながら基本システム構築に向けた課題整理を進める。また、消費者のリサイクル活動への参画を促すため、回収された原材料が再び製品になり消費者に届くまで循環するSC情報の見える化やその見せ方、東レ製品の顧客が同システムを自社のトレーサビリティ管理に必要な情報として使いやすくするための仕組みについても検証を行う。さらに、リサイクル工程に要したエネルギー量や、消費者が東レ製品を使用することでどれだけ環境負荷の低減につながるかといった情報の見える化なども検証する。
東レは、今回の実証結果を基に課題整理を行い、基本システムを構築するとともに、適応範囲の拡大可能性の検証を進め、将来は樹脂やフィルムなど、全ての主要ポリマーを対象に同システムの適用を図る。これにより、ブロックチェーンを活用したSCを確立し、製造から最終製品の流通、回収、再利用までの完全な循環トレーサビリティを提供する。消費者を含むステークホルダーが、資源が持続可能な形で管理されていることを確認し、循環型社会に参加できるようにすることで、資源の持続性・循環が当たり前になる社会の実現を目指す。