アジア石化市況 エチレンは3週ぶりに小幅下落

2023年1月31日

芳香族3製品は上昇、スポット玉の買いが強まる

 アジア地域の12月第3週の石化市況では、エチレンは前週比5ドル安の880ドル/tで取引された。原油・ナフサ安を背景に先安観が出ていることに加え、年末を前に需要が一巡していることもあり、3週ぶりに下落している。スプレッドは4ドル縮小の247ドル/tとほぼ前週並みを維持。依然として収益の確保が難しいものの、事業環境は小康状態を保っていると言える。

 プロピレンは28ドル高の918ドル/tとなった。中国のPDH(プロパン脱水素装置)設備が定修を予定していることから、需給が締まってきており、約4ヵ月ぶりに900ドル台を記録している。ブタジエンは45ドル高の825ドル/tと2週連続で上昇し、約2ヵ月ぶりに800ドル台を回復した。各社が減産を継続する中、市場に出回るスポット玉が減少しており、下値が押し上げられている。

 一方、芳香族は、スポット玉を買う動きが強まり3製品とも上昇した。ベンゼンは33ドル高の803ドル/tと4週ぶりに上昇し、スプレッドも34ドル拡大の170ドルに改善している。誘導品であるスチレンモノマー(SM)は10ドル安の975ドル/tに下落。ベンゼン価格の上昇分をカバーできず、スプレッドも43ドル縮小の172ドルに悪化した。ただSMは需要が持ち直しつつあり、堅調な値動きを続けている。

 トルエンは76ドル高の789ドル/tと3週ぶりに上昇。キシレンは14ドル高の808ドル/tとなり、スプレッドも16ドル拡大の175ドルに改善した。川下のパラキシレン(PX)は、新設備の稼働により需給悪化が想定されている。ただ、PX需要が堅調さを維持していることもあり、原料であるトルエン・キシレンにも買いが戻ったようだ。

 先週の原油相場は、インフレによる世界経済の減速が重荷となる中、中国の経済回復への期待もありWTIの終値は80~81ドルの小幅レンジで推移した。ただ、週末を前に利益確定の売りが優勢となり27日の終値は79.68ドルと、7営業日ぶりに80ドル台を下回っている。中国では先週末で春節休暇が終了し、今週から経済活動が本格的に再開すると見られる。コロナ感染者の状況次第では原油需要が一気に拡大する可能性もあり、今週の原油相場は上値を追う展開となりそうだ。