AGCの1-12月期 大幅な減損損失計上で純損失に

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2023年2月9日

 AGCは8日、2022年12月期(1-12月期)の連結業績を発表した。売上高は前年比20%増の2兆359億円、営業利益11%減の1839億円、純損失32億円(同1270億円減)となった。ディスプレイ事業、プリント基板材料事業、ロシア事業、欧州自動車用ガラス事業などで減損損失1284億円を計上している。

 決算会見において宮地伸二副社長執行役員CFOは、「売上高は戦略事業の拡大、製品販売価格の上昇に加え、為替影響から過去最高となった。営業利益はディスプレイの大幅な需要減、原燃材料高の影響などで減益となった。大規模な減損損失を計上したことで純損失となった」と総括した。

 ガラスセグメントは増収減益。建築用ガラスは、需要回復に伴い日本・アジアで出荷が増加したが、景気減速の影響を受けた欧州、南米で出荷が減少した。販売価格は原燃材料高などを背景に欧州を中心にすべての地域で上昇、北米事業売却による減収影響をカバーした。自動車用ガラスは、半導体や部品不足の緩和で出荷が増加した。

 電子セグメントは増収減益。ディスプレイは、液晶用ガラス基板の需要が期後半から減少。ディスプレイ用特殊ガラスも出荷が減少した。電子部材は、オプトエレクトロニクス用部材および半導体関連製品の出荷が堅調に推移した。新規設備立ち上げなどに伴う減価償却費増加や原燃材料高の影響もあり減益となった。

 化学品セグメントは増収増益。クロールアルカリ・ウレタンは、カセイソーダの市況が堅調に推移したことに加え、円安の影響で増収。フッ素関連製品は、半導体関連向けを中心に出荷が大きく増加した。ライフサイエンスは、合成医農薬およびバイオ医薬品の受託が増加した。

 セラミック・その他は増収増益だった。

 2023年度の通期業績予想については、売上高6%増の2兆1500億円、営業利益3%増の1900億円、純利益870億円(同902億円増)を見込む。宮地CFOは「クロールアルカリ事業が前年比で減益となるが、自動車用ガラスなど他のコア事業や戦略事業の伸長に加え、減損による減価償却費減もあり、増収増益となる」との見通しを示した。