エボニック 3Dプリントで生体吸収性インプラント製造

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2023年3月22日

 エボニック インダストリーズの生体吸収性ポリマー「Resomer」がこのほど、独ベラセノ社の3Dプリントによる骨再生用スキャホールドに採用された。

 ベラセノ社は3Dプリントによる吸収性スキャホールド(細胞増殖のための足場)の開発企業で、両社は2019年から、胸壁・乳房再建用のスキャホールドの共同開発に取り組んできた。

 組織再生において組織の自家移植は基本的な方法だが、安定性に欠けるため、骨欠損の治療などでは制御された移植ができない場合がある。今回の再吸収性骨スキャホールドは、3Dプリンティング技術により軟組織と硬組織の両方に対応したカスタムメイドタイプの吸収性インプラント製品で、組織移植片の位置を正確に確保できるため、骨および軟組織の欠損治療法が可能になった。

 「Resomer」は安定性と柔軟性に優れ、力学的性質と分解率により、患者の骨の形成とともに安全に吸収される。スタンダード品としてポリ‐L‐ラクチド(PLLA)、ポリ(ラクチド‐co‐グリコリド)共重合体(PLGA)、ポリカプロラクトン(PCL)、ポリジオキサノン(PDO)があり、用途に応じて強度や破断点などの力学的性質や、生体吸収速度を6ヵ月以下~3年以上までカスタマイズすることが可能。今回の熱溶解積層方式の3Dプリンティング向け特殊処方にはフィラメントとパウダー状ポリマーがあり、高解像度3Dプリンティングでの再現性を可能にするようデザインされている。