UBEの3月期 原燃料価格高騰と販売数量減で大幅減益

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2023年5月15日

 UBEは12日、2023年3月期の連結業績を発表した。売上高は前年比25%増の4947億円、営業利益63%減の163億円、経常損失87億円(前年比502億円減)、純損失70億円(同315億円減)となった。

 決算会見において石川博隆執行役員は「持分法会社であるUBE三菱セメントは、原燃料価格高騰や構造改革費用の計上で収益が大幅に悪化した。それを取り込んだことで経常利益および純利益が赤字となっている」と総括した。

 セグメント別に見ると、機能品は増収減益。分離膜、セラミックスの需要は好調に推移した。ポリイミドフィルムは在庫調整の影響を受け、セパレータは半導体不足による自動車減産などの影響を受けた。樹脂・化成品は増収減益。各製品とも原燃料価格の上昇により販売価格が上昇した。ただ、ナイロンやカプロラクタムなどは価格転嫁が追い付かず、また需要減退により販売数量が減少した。加えてアンモニア工場で隔年の定期修理を実施した影響を大きく受けた。

 機械は減収増益。産機の減収を成形機の販売増加や製鋼の販売価格上昇などで補い、売上高および営業利益ともに前期並みとなった。その他は増収減益。売電価格上昇などの効果はあったが、医薬事業におけるロイヤリティ収入減少の影響が大きく、利益を押し下げる要因となった。

 2024年3月期の通期業績予想は、売上高10%増の5450億円、営業利益84%増の300億円、経常利益385億円(同472億円増)、純利益275億円(同345億円増)を見込む。石川執行役員は「営業利益は、樹脂・化成品の業績が回復することで増益となる。またUBE三菱セメントは、価格転嫁が進むことや構造改革の効果も発現することで業績が改善する。当社の経常利益、純利益とも黒字に転換する」との見通しを示した。