太陽石油 岡社長「地域共創の新規事業発掘に取り組む」

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2023年5月22日

 太陽石油は18日、都内ホテルで4年ぶりとなる業界紙誌懇談会を開催した。岡豊社長は冒頭の挨拶で、コロナ禍に見舞われ事業環境が大きく変化した3年間を振り返り、主な取り組みを披露した。

岡社長。4年ぶりに開催した業界紙誌懇談会で挨拶=5月18日

 2050年カーボンニュートラル実現に向けた施策として、同社は「水素菌を用いたバイオジェット燃料製造の検討」「森林資源を活用したグリーンリファイナリー事業の検討推進」「国産SAF(持続可能な航空燃料)の商用化と普及・拡大に取り組む〝ACT FOR SKY〟への加盟」「廃タイヤを原料とするケミカルリサイクル事業の共同検討」などを開始した。石油需要の確実な減少が予測される中、石油・石化事業の枠にとらわれない新規事業の創出が必須とし、岡社長は「ベンチャー企業への出資や、大学・地元企業との協業による昆虫の飼料利用に関する実証のほか、愛媛・沖縄の拠点を中心に地域共創案件の発掘に取り組んでいる」と述べた。

 また、サービスステーションを活用した新たなビジネスモデル創造に向け、EVシェアサービスの実証を開始した。昨年12月に発表した、山口事業所(山口県宇部市)でのスチレンモノマー製造中止の決定に触れ、岡社長は、「大きな決断だったが、同事業所については、カーボンニュートラ関する案件を含め、新しい価値創造に資する活用を検討する」と説明した。周防灘に面し、インフラが整備された広大な敷地を、新たな事業に活用していく方針だ。

 人財育成や組織改革の面では、新規事業開発に必要なスキル強化への取り組みを加速させたほか、社員のコンプライアンス意識を向上させる教育や、ガバナンス体制を強化。「地域との関係強化やBCP対応を念頭に、今年10月をめどに愛媛県松山市に本社分室を構え、組織体制の強化を図っていく」考えだ。

 岡社長をはじめ、在京の全執行役員(14人)が出席する中、業界紙誌記者との懇談は石油業界、カーボンニュートラル、新事業創出、スタートアップとの共創、地域・アカデミアとの連携など、多岐な話題が随所で飛び交った。