昨年を振り返ると、9月の台風15号と10月の19号・21号に象徴される想像を超えた自然災害の発生があった。15号による強風の被害は大きく、千葉県を中心に停電が長期に続くなど市民生活に甚大な被害をもたらした。
19号は長野や関東から東北までの広域にわたり記録的豪雨による水害を引き起こし、物流網の寸断などのインフラの脆弱性を痛感させられた災害となった。被災地の皆さまには心からお見舞いを申し上げるとともに、被災地の1日も早い復興をお祈り申し上げる。
また、昨年5月には今上陛下が即位され令和がスタートし、日本中に祝意があふれた年でもあった。今年令和2年は、半世紀ぶりに日本で夏季オリンピックとパラリンピックが開催される。大会の競技への支援はもちろん、訪日される各国の観光客に対しても、日本の良さをアピールする絶好の機会だ。2020年東京オリンピック・パラリンピックの成功を祈念している。
さて、世界経済を見ると、昨年は米中の貿易摩擦の影響が顕在化した年で、世界経済の下振れリスクの拡大は、もはや単純な2国間だけの問題ではなく、グローバル化された世界におけるサプライチェーンへも大きな影響を及ぼしており、世界貿易量の減少は、わが国でも内需としている「間接輸出製品」の大きな落ち込みに表れている。
わが国としては、環境の変化に迅速かつ機敏に対応することが求められる年であり、石油化学業界としても正面から内外の課題に引き続き取り組んで行くことが重要と考えている。
国内の石油化学業界の状況を見ると、エチレン設備の稼働率は、2013年12月以降72カ月連続で90%超を維持しており、実質的フル稼働になる95%以上は2015年11月から昨年の11月までの間で5カ月を除く通算44カ月連続だった。なお、昨年8月以降の3カ月は、夏場の暑さや台風の影響により95%を割り込んだが、11月には再び95%超えとなった。
このような高稼働が継続しているときこそ安定供給責任を果たすため、さらなる保安・安全の確保が重要となる。このような状況下、当協会としてはわが国の石油化学産業の持続的発展に向け「保安・安全の確保」「事業環境の基盤整備」「グローバル化対応の強化」に取り組んでいく。
このほか、会員各社共通の課題である機械・電気系エンジニアの採用支援を目的とするキャリアセミナーの全国各大学での開催、サイバーセキュリティーの面で、今年開催の東京オリンピック・パラリンピックに向けた対応力強化のサポートにも注力していく。さらに各種刊行物の発行やマスコミなどのステークホルダーへの情報発信といった、幅広い広報活動も引き続き展開していく。