サンエー化研 シノムラ化学子会社化で産業資材を強化

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2020年12月7日

 サンエー化研は3日に都内で開催した2020年度上期(4-9月期)の決算報告に併せ、先ごろ子会社化したシノムラ化学工業(サンエー化研:51%、東ソー:40%、王子機能材事業推進センター:9%)とのシナジー創出や、新規開発の抗菌・抗ウイルステープ「バイプロテープ」の採用事例などの説明を行った。

産業資材セグメントの製品群
産業資材セグメントの製品群

 同社は、「軽包装材料」「産業資材」「機能性材料」の3つの主要セグメントを中心に事業を展開するが、粘着テープ用基材やラベル用剥離紙を主要製品として製造・販売する産業資材セグメントは、国内需要の鈍化に加え海外品の流入もあり、営業赤字が続くなど収益面での状況は厳しい。

 山本明広社長は今回のシノムラ化学の子会社化について、「シノムラ化学は当社の産業資材と同じようなビジネスを展開している。双方のシナジー創出により、早期黒字化を果たしていきたい」との展望を述べ、「事業規模の拡大により、収益性の向上や競争力の強化を図ることで、持続的な成長が実現できる」との考えを示した。

 シノムラ化学は静岡県袋井市に立地する。サンエー化研の産業資材を担う袋井工場と地理的に近いというメリットも大きい。今後は数年をかけて、既存工場との間で設備の統廃合と使用材料の集約を進め、コスト低減を図っていく。両社の得意分野でグループ各社が生産・販売面を補完し合い、産業資材セグメントの効率性と収益性を改善していく方針だ。

 また研究開発に関して山本社長は、「シノムラ化学の案件を含め、R&Dセンターに一元化し当社主導で進めていく。そのために必要な技術者の人事交流は、親子間の垣根を取り払い積極的に行っていく」考えを明らかにし、「両社が抱えている課題や案件、開発手法などを開示し合うことで互いに刺激を受け、新製品・新技術につながるアイデアが創出されることを期待している」と抱負を述べた。

『バイプロテープ』と使用例。上段は抗菌・抗ウイルス性を印刷表示したタイプ。利用頻度の高い場所に手軽に貼り付けが可能
「バイプロテープ」と使用例。上段は抗菌・抗ウイルス性を印刷表示したタイプ。利用頻度の高い場所に手軽に貼り付けが可能

 一方、機能性材料では、9月に抗菌・抗ウイルス作用をもつ「バイプロテープ」を市場投入した。コロナ禍対策により保育園やデイケア施設、学校、市役所、飲食店を中心に採用が増えている。低価格帯に設計し、使い捨てでの利用を想定しており、ドアノブや手すり、タッチパネル、エレベータの操作ボタンなどへの用途を訴求。同様の効果があるフィルムタイプの開発も行うなど、採用範囲の拡大を狙う。

 今年度の通期業績予想は売上高が前年比2%減の290億円、営業利益38%増の2億5000万円を見込む。不透明な事業環境が続くものの、必要な設備・研究開発投資を抑えることなく、ニッチ製品を主軸に各事業の強化を図っていく。