東レは9日、2020年度第3四半期(4-12月期)の連結業績(IFRS)を発表した。売上収益は前年同期比14%減の1兆3642億円、事業利益36%減の670億円、営業利益64%減の362億円、純利益63%減の279億円となった。新型コロナの感染拡大による生産活動・消費行動の停滞に加え、国際的なサプライチェーン分断による経済混乱で、大幅に落ち込んだ。また米国子会社の減損損失を計上した。
事業分野ごとに見ると、繊維事業は減収減益。国内外の生産活動・消費行動停滞の影響で、衣料用途は各国のロックダウンや過剰な流通在庫で需要が低迷し、産業用は一般資材用途が低調に推移した。医療用白衣地やマスク用の不織布需要の増加と自動車関連の回復の動きが見られたが、総量の減少はカバーできなかった。
機能化成品事業は減収増益。樹脂事業は生産活動停滞の影響を受けたが、第3四半期には自動車と中国経済の回復で好調に推移。ケミカル事業は基礎原料市況が回復傾向だ。フィルム事業はLIB用セパレータフィルムが市況価格低下の影響を受けたが、ポリエステルフィルムは光学用途や電子部品関連で好調に推移。電子情報材料事業は回路材料は低調だったが、第3四半期は有機EL関連の需要が増えた。
炭素繊維複合材料事業は減収減損。一般産業用では風力発電翼用途が堅調だったが、航空宇宙用途は民間旅客機のビルドレートの減少が影響した。
環境・エンジニアリング事業は減収増益。水処理事業は一部地域への出荷に新型コロナの影響があったが、逆浸透膜などの需要はおおむね堅調。国内エンジニアリング子会社でエレクトロニクス関連装置は減少したが、建設子会社の大型工事案件進捗や不動産物件の完工で収益計上した。
ライフサイエンス事業は減収増益。医薬事業は経口そう痒症改善薬が後発医薬品発売と薬価改定の影響を受けた。医療機器事業は医療機関での不急手術先送りの影響がある中、ダイアライザーは国内外で堅調だった。
なお、通期業績予想は、業績動向と事業環境などを踏まえ、売上収益を前回発表比100億円増の1兆8700億円、事業利益を同100億円増の900億円、純利益を同50億円増の390億円に上方修正した。