構造改革に注力、2025年の数値目標を達成へ
レゾナック・ホールディングスは14日、2022年12月期の連結業績を発表した。売上高は前年比2%減の1兆3926億円、営業利益32%減の594億円、経常利益32%減の954億円、純利益308億円(同429億円増)だった。オンライン会見において染宮秀樹取締役常務執行役員CFOは『前期中に譲渡した事業の売上減で減収となり、外部環境の変化でケミカルや半導体・電子材料セグメントの落ち込みが響き減益となった』と総括した。
セグメント別で見ると、半導体・電子材料セグメントは増収減益。事業譲渡の影響を受けたほか、年後半からは需要に減速感が見られたが、年前半の旺盛な需要を背景に増収となった。一方、原材料価格高騰などの影響で減益となった。半導体前工程材料は堅調だったが、半導体後工程材料は年後半から生産調整の影響を受けた。デバイスソリューションは、HDはデータセンター向け需要が年後半から減速。SiCエピウエハーは出荷数量が増加した。
モビリティセグメントは増収増益。年後半からの自動車生産の回復で出荷が持ち直したが、のれん及び無形資産の償却費もあり、営業赤字となった。LiB材料は正負極用導電助剤が増収となったが、カーボン負極材、アルミラミネートフィルム(SPALF)が減収だった。
イノベーション材料セグメントは減収減益。原材料価格高騰に伴い製品価格が上昇したが、販売数量減により減収となり、コスト増加分のタイムラグの影響を受け減益となった。ケミカルセグメントは増収減益。石化の大型定修があったが、ナフサ価格の高騰による販売価格の上昇により増収。数量減や受け払い差縮小で減益となった。化学品は販売価格上昇で増収となったが、コスト増で減益。黒鉛電極は販売価格の上昇により増収増益だった。
2023年度の通期業績予想については、合理的な予想の算定が困難なことから未定としている。染宮CFOは『半導体・電子材料業界における需要および在庫調整の動向が不透明さを増しており、回復時期を見通すことが困難だ』と語った。第1四半期のみ開示し、売上高3200億円、営業損失140億円を見込む。特に、半導体・電子材料セグメントでHDメディアが赤字となり105億円の営業損失となることを折り込んだ。
続いて、長期ビジョンで掲げた2025年の利益目標の達成に向けて説明を行った。染宮CFOは『数年後を見据えた先行投資と並行して、抜本的な構造改革を推進する』と強調した。なお売上高については規模より収益性を重視する観点から目標を取り下げ、1兆円超規模としている。
EBITDAマージンは、目標20.0%に対し、2022年は12.1%と約8%の乖離がある。改善の内訳として、高収益事業の成長・価格改定・製品ミックス改善で3%、不採算事業の構造改革で2%、ポートフォリオ再編で3~4%を目指していく構えだ。
構造改革では、ポートフォリオ再編としてコア収益事業へのさらなる資源集中を行う。ライフサイエンス事業については、診断薬と再生医療の両事業とも、外部パートナーとのアライアンスを含めた戦略的オプションの検討を開始すると明らかにした。また赤字製品の撲滅では、全社横断で赤字製品をリストアップし、適正な利幅を確保するための値上げ、それが難しければ、縮小・撤退を検討する。資本効率の追求では、不稼働資産の売却および拠点統廃合を推し進め『資産のスリム化とマネタイズ、固定費削減に取り組む。課題事業については、可能な限りの膿を出していく』考えだ。
キャピタルアロケーションについては、2022~2026年に1兆円の営業キャッシュフローを創出する計画だったが、足元では2000億円減を見込む。ただ、投資計画を大きく変更せず、不足分は資産売却などで捻出していく。
統合による効果については昨年度、資産のスリム化では政策保有株式や遊休資産の売却などで907億円、収益体質改善施策では284億円が顕現した。染宮CFOは『一定の成果を出すことができたが、事業環境の悪化により大幅な利益率低下に見舞われている。今後は先ほど述べた構造改革に注力していく』と強調した。