JSRの4-9月期 エラストマー減益も想定以上で推移

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2018年10月30日

 JSRは29日、2019年3月期第2四半期の連結決算を発表した。売上高は前年同期比21%増の2457億円、営業利益同4%減の224億円、四半期利益は同7%減の167億円だった。

 同日開催された決算会見で、宮崎秀樹取締役常務執行役員は「上期はエラストマー事業が原料高により減益となったものの、通期見込みに対して順調な進捗となった。顧客業界は総じて堅調に推移する中、為替は円安に振れ、スプレッドは想定より拡大した。ライフサイエンス事業は、KBIの受託事業が拡大したことに加え、クラウンの連結子会社化が利益に貢献した。またバイオプロセス材料の販売も好調で3本目の柱として着実に成長している」と総括した。

 エラストマー事業は、原料高によるスプレッド縮小により減益となったが、S-SBRは上期13%成長と販売が伸長している。一方、その他の各事業については増収増益となった。

 合成樹脂事業では、4月に統合したテクノUMGの拡販により、ABS樹脂の販売が伸びた。デジタルソリューション事業では、好調な半導市場を背景に、同社の半導体事業は市場成長を上回る八%成長と好調だった。ライフサイエンス事業は、前年同期の営業損失から黒字化を達成しており、下期以降も、幅非広く顧客需要を取り込み好調な販売を継続する見込みだ。

 通期見通しについて宮崎常務は「足元、原料ブタジエン価格の下落が懸念材料となっており、日中貿易摩擦や中国経済の減速などを注視する必要がある。世界経済が変調しているため先行き不透明なことから、通期見通しを変更しなかった」と語った。

 またハンガリーのS-SBR工場については「着実に建設を進め、ほぼ完成に近づいている状況だ。来年初めから試運転・サンプル出荷を開始し、2019年度から商業生産を開始する予定だ」との見通しを示した。

出光興産 徳山事業所で高効率型ナフサ分解炉導入し省エネを推進

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2018年10月30日

 出光興産は29日、徳山事業所(山口県周南市)で、高効率型ナフサ分解炉を導入し、省エネルギーを推進すると発表した。エチレン製造装置内にある旧型のナフサ分解炉2基を停止し、新設する高効率ナフサ分解炉1基へ置き換える。

 高効率ナフサ分解炉は原料を短時間で熱分解することで、エチレンの得率を高め、熱効率を向上させる。これにより、従来の分解炉によるエチレン生産時に比べ、約30%の省エネ効果が発揮できる。9月に着工しており、工事終了は2020年12月を予定している。

 ナフサは粗製ガソリンとも呼ばれる石油製品の1つ。分解炉を経由し熱分解することで、エチレンやプロピレンなどといった石油化学製品の基礎原料となる。

 同社は第5次中期経営計画で、装置の高効率化によるコスト競争力の強化を掲げており、その一環として今回の工事を行うことにした。

 なお、この取り組みは工場の省エネ化を支援する、経済産業省の今年度の「省エネルギー投資促進に向けた支援補助金」に採択されている。

積水化学の4-9月期 増収も固定費増など響き減益に

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2018年10月30日

 積水化学工業の2019年3月期第2四半期の連結決算は、高機能品や戸建て住宅の販売拡大、新規連結の影響により増収となったが、営業利益は成長に向けた施策に伴う固定費の増加や原材料価格上昇に加え、自然災害の影響もあって減益となった。

 売上高は前年同期比4%増の5549億円、営業利益は同8%減の421億円、経常利益は同6%減の458億円、四半期純利益は同5%減の325億円。

 住宅カンパニーの売上高は同1%増の2468億円、営業利益は同4%減の171億円。戸建て住宅の売上高と受注が前年同期を上回り増収。営業利益は自然災害による工事遅延で売上高が期初の計画を下回り、原材料価格上昇などの影響もあって減益となった。

 環境・ライフラインカンパニーの売上高は同1%減の1110億円、営業利益は同10%減の43億円。国内外の自然災害の影響や、国内の集合住宅需要の減少、建設現場の人手不足による工事遅延などで減収。戦略投資による固定費の増加や原材料価格上昇などもあり減益となった。

 高機能プラスチックスカンパニーの売上高は同11%増の2054億円、営業利益は同5%減の275億円。車両・輸送分野とライフサイエンス分野の販売拡大、新規連結により増収となったが、戦略投資による固定費の増加や原材料価格上昇などにより減益となった。

JNC 熊本県の自社保有水力発電所を大規模改修へ

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2018年10月30日

 JNCは29日、熊本県球磨郡五木村に保有する頭地発電所の大規模改修工事を実施すると発表した。

 同社グループは、先端化学企業として液晶材料や有機EL材料の研究開発・製造販売を基幹事業とする一方、環境・エネルギー分野も重要な事業ドメインと位置付けている。

 国内に13カ所の水力発電所(最大出力合計9万4600kW)、4カ所の太陽光発電所(同1万6000kW)を保有し、再生可能エネルギーによる発電事業に注力。同社の水力発電所は、長期計画に基づく老朽対策により、その発電能力を維持してきた。

 クリーンエネルギーに対する社会的要請が高まる中、同社は発電能力の増強と電力の安定供給を実現するため、水力発電所の改修を順次進めている。

 今回、すでに工事を決定した10カ所の発電所に続き、頭地発電所についても大規模改修工事の実施を決定。来月に設計着手し、2022年4月に営業運転を開始する予定だ。

 頭地発電所は竣工から90年を迎える。水車・発電機の最適化を図ったところ、最大出力を下げることとなったが、機器の高効率化により年間発電量は増大する見込み。工事に際しては、環境と安全に十分配慮する。

 水力発電はCO2排出量が少なく、環境に優しい貴重な純国産のエネルギー。同社は、これまで培ってきた発電技術を生かし、自然環境、地域社会に配慮した事業活動を行い、将来にわたり安定したエネルギーの供給で社会に貢献していく。

出光興産 徳山事業所でバイオマス発電の事業化を検討

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2018年10月30日

 出光興産は29日、徳山事業所(山口県周南市)でバイオマス発電所の事業化検討を開始したと発表した。製油所跡地と既存の地域インフラを利用する。

 営業運転開始は2022年度内の予定。発電出力は5万kW。年間発電規模は約10万世帯分の電力に相当する3億6000万kWh。燃料使用量は年約23万t。

 発電出力が大きいことから、営業運転開始後は燃料として再生可能エネルギーである、輸入木質ペレットとパーム椰子殻を使用する。中長期的には間伐材や製材端材など、国産材へのシフトを進める予定だ。

 これにより、環境保全に配慮した持続可能な森林づくりと林業再生、地域振興、循環型経済の構築と発展を目指す。CO2削減量は約23∼30万t/年を見込んでいる。

 徳山事業所は1957年に出光初の製油所として操業を開始。57年後の2014年3月に、エネルギー供給構造高度化法に伴い運転を停止し、現在は化学事業の主力拠点として、競争力強化に向けた取り組みを実施している。

 同社ではエネルギーを取り巻く環境変化を踏まえ、エネルギー源の多様化とベストミックスの構築により、日本のエネルギーセキュリティへの貢献と、再生可能エネルギー事業を推進していく。

昭和電工 横浜市の研究開発拠点事業で優先交渉権を取得

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2018年10月30日

 昭和電工は29日、横浜市が公募した「京浜臨海部守屋・恵比須地区研究開発拠点施設整備・運営等事業」の優先交渉権者に選定されたと発表した。

 同社は、1933年に日本アルミナ工業所が操業を開始して以降、セラミックス事業の基幹拠点として、横浜市で長年事業運営を行ってきた。現在はリチウムイオン電池などの先端電池材料や放熱材の開発、エンジニアリング機能など、多岐にわたる事業を同市内で展開している。

 今回公募があった守屋・恵比須地区(横浜市神奈川区)は、JR新子安駅・京急新子安駅から徒歩圏内で、高速インターチェンジからも近く、国内だけでなく海外からのアクセスも良好なエリア。

 昭和電工は今回の事業で、同地区の立地特性を生かし、昭和電工グループのグローバルでの研究開発拠点を開設するとともに、国内外の多様な人材が集う融合の場を構築する計画だ。

 今後については、11月から来年夏ごろに基本協定などを締結し、2022年春ごろに供用を開始する予定で、事業の詳細内容については改めて公表する。

三菱ケミHD 気候関連財務情報開示タスクフォースの最終提言を支持

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2018年10月30日

 三菱ケミカルホールディングスは29日、金融安定理事会(FSB)が設置した気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)の最終提言への支持を決定したと発表した。

 FSBは世界主要国・地域の中央銀行、財務省、金融規制当局などの代表が参加する国際機関。TCFDは気候関連のリスクと機会が財務にもたらす影響に関する、企業による投資家への適切な開示を促すことを目的として、昨年6月に自主的な情報開示のあり方に関する提言を公表した。

 同社グループはKAITEKI実現をビジョンに据え、環境・社会課題の解決への貢献を目指し、環境負荷軽減や省エネルギー活動の推進、再生可能エネルギー利用の推進、GHG(温室効果ガス)排出削減に貢献する製品群の拡充に取り組んできた。

 今後、TCFDの最終提言を踏まえ、これらの取り組みの充実化とともに、関連する情報開示を拡充し、企業価値向上に努めていく。なお、同社はKAITEKIを「人、社会、そして地球の心地よさがずっと続いていくこと」と定義している。

東レ 世界最高レベルの水素精製高分子分離膜の創出に成功

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2018年10月30日

 東レは29日、水素を含む混合ガスから、水素を選択的かつ高透過可能な化学修飾架橋ポリアミド分離膜の創出に成功したと発表した。

 同日開催された記者会見で、地球環境研究所の木村将弘所長は「高分子膜で、ここまで水素の透過性と選択性が高いものはない。例えばアンモニアなど製造プロセスに組み込むことで精製される水素の有効利用などを想定している。また、高純度水素が求められる燃料電池車向けも有力な用途だ」と語った。

 現在、新エネルギーの活用として、水素の利用拡大が注目されている。水素の製造量は2030年には3億tにまで急増し、水素精製システムの潜在市場規模は5兆円規模(推定)に達する見込みだ。

 一般的な膜によるガスの分離は、高温高圧化で行う必要があり、過酷な分離条件下でも優れた分離特性を発揮させるためには、分離膜を構成する多孔性基材の耐熱化と耐圧化が必要だ。

 また、供給ガスから水素を高透過かつ高選択に分離するためには、分離機能層の精密孔径制御が重要で、現状の水素精製高分子分離膜では、分離工程での耐熱性・耐圧性、水素の透過性・選択性の両立に課題があった。

 同社は、耐熱性、耐圧性、高水素選択性を有する新規分離膜の創出に成功。まず耐熱・耐圧多孔質基材設計では、長年培ってきた耐熱高分子材料と分子膜成膜技術の融合に取り組み、非溶媒誘起相分離法により、200℃以上の高いガラス転移温度を有するポリマーの相分離速度を高度に制御することで、均一多孔性基材を実現。同技術によりガス透過性を十分に確保しつつ、耐熱性と耐圧性を大幅に向上させた。

 一方、精密孔径制御技術による水素高選択・透過分離膜設計では、逆浸透(RO)膜で培った界面重縮合技術をベースとし、ガス分離に適した孔構造制御と水素分子に親和性を有する分子骨格導入技術を駆使することで、水素分子(0.29nm)を選択的に透過させるために適した平均孔径を有する新規分離膜設計を行った。

 新規分離膜は、従来の高分子膜性能ラインを大幅に上回る水素透過性、選択分離性を有することを確認している。同社は今後、水素社会実現に向け、スケールアップ・社会実装を進め、5年後の事業化を目指していく。

 木村室長は「環境問題への意識が高い海外などからも問い合わせがある。膜の耐久性向上や、モジュール・システムの開発にさらに注力していく」との考えを示した。

三井化学・ちとせグループ 2つのバイオ技術を共同で事業化

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2018年10月30日

 三井化学とバイオベンチャー企業群の〝ちとせグループ〟は、「事業と人」を同時に育成する新たなオープンイノベーションの取り組みとして、両社の技術シーズを元に共同で事業開発を行う「0to1(ゼロ・トゥ・ワン)プロジェクト」を開始した。

(左から)ティエラポニカ・有富グレディ社長、三井化学・福田伸常務、ちとせグループ・藤田朋宏CEO、植物ルネサンス・秀﨑友則社長
(左から)ティエラポニカ・有富グレディ社長、三井化学・福田伸常務、ちとせグループ・藤田朋宏CEO、植物ルネサンス・秀﨑友則社長

 29日に都内で行われた両社の会見で、三井化学の植物細胞培養技術と、ちとせグループの微生物活躍型栽培技術をそれぞれ事業化するため、両社はバイオ系新会社「植物ルネサンス」(今年6月設立:秀﨑友則社長)と「ティエラポニカ」(同7月設立:有富グレディ社長)を設立したことを公表した。

 両新会社は、三井化学社員を各社の代表として受け入れ、ちとせグループの100%子会社として立ち上げた。ちとせグループは今後、同グループの人材を新社に派遣するなどして、これまでの知見を生かし2つの新社の事業を軌道に乗せることを目指す。

 三井化学・研究開発本部長の福田伸常務執行役員によると、同社に欠けていた「事業化」への取り組みを大きく加速させる狙いがある。「21世紀になって産業の構造が劇的に変化していく中で、次世代の新事業を育成していかなければいけない」(福田常務)とし、素材メーカーという立場からモノを先に作って後から用途を探す、という従来の手法からの転換を図っていきたい考えだ。

 一方、ちとせグループにとっては、同グループが得意とするバイオ関連事業の事業化を、保有する技術や知見を最大限に利用して行うことができる。ちとせグループ・最高経営責任者の藤田朋宏氏が重要視するのは、「事業化のスピード感」だ。新しいアイデアが出れば、すぐに企業に対しプレゼンを行うなど、モノづくりに先行してアイデアを売り込む。

 極端な話、社内での「会議や打ち合わせの時間がもったいない」という藤田氏によれば、アイデアに足りないものは先方と議論の中で補足していく、もしくは条件が合わなければ他社への提案に切り替えるという。なお、2つの新会社で行うプロジェクトは、2021年3月までの3年間を区切りとしている。

 ちとせグループの藤田氏は3年後について、「最低限の目標として『ゼロをイチ』にする。つまり黒字化し事業を継続的に行える状態にし、確実に利益を出すことを目標にやっていく」との見通しを示した。

ユニチカ 合成繊維を11月1日出荷分から値上げ

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2018年10月30日

 ユニチカは29日、産業資材用ポリエステル繊維と衣料用ポリエステル繊維を、11月1日出荷分から値上げすることを決定したと発表した。

 産業資材用ポリエステル繊維の高強力糸とモノフィラメントは20円/kg、衣料用ポリエステル繊維の長繊維と紡績糸は20∼30円/kg、テキスタイルは5∼15%。

 昨今の原油価格の上昇により、ポリエステル繊維の原料であるPTA(高純度テレフタル酸)とEG(エチレングリコール)の価格が上昇している。

 さらに、物流費などの高騰によるコスト増が、自助努力により吸収できる範囲を超えていることから、製品の安定供給を確保するため、同社は価格改定を実施することにした。