三井化学 「優れた統合報告書」に5年連続で選出

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2021年3月23日

 三井化学はこのほど、同社の統合レポート「三井化学レポート」が「優れた統合報告書」と「改善度の高い統合報告書」に選出されたと発表した。世界最大規模の年金基金である年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)から、国内株式の運用を委託されている運用機関が依頼を受け選定したもの。同社の「優れた統合報告書」としての選出は5年連続。今回は、4つの運用機関から高評価を得た。

 主な評価理由は、①財務・非財務の情報が事業ごとに統合された形で記載されており、それがどのように競争優位性に結びついているかが明快②ESG要素をどう経営に反映させていくのかについて詳しく記載がある点や、CEOメッセージやCFOメッセージで、経営層の考えがよく分かる内容になっている③長期経営計画の実現に向けて、経済・環境・社会の3軸で具体的なKPIを設定。環境と社会では提供する製品・サービスの認定プロセスやKPIの設定を詳細に記載しており、見える化ができている―点が高く評価された。

 同社の統合レポートは、ステークホルダーとの〝質の高い対話〟のプラットホームになる報告を目指している。今後もより一層、株主・投資家をはじめとするステークホルダーの理解と信頼を得られるよう、有益かつ積極的な情報開示と対話を重視し、統合レポートの改善やIR活動の取り組みを強化していく考えだ。

ENEOS 大分・常圧蒸留装置復旧へ、8月に運転再開

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2021年3月23日

 ENEOSは22日、昨年5月の火災により停止していた大分製油所(大分県大分市)の「第三常圧蒸留装置(原油を加熱して蒸留する装置)」について、現在、関係各所の協力を得て復旧作業を進めており、今年8月に運転を再開する見通しとなったと発表した。

 同火災は定期修理の工事の際、装置内に残った硫化鉄を含む可燃性堆積物が発熱、発火したことが原因。同社は今後、外部有識者を含む事故調査委員会より承認を得た再発防止策を確実に実行し、製油所工事の安全作業と常時の安全操業に努めていくとしている。

新日本理化 健康経営優良法人に初認定、社内風土も変化

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2021年3月22日

 新日本理化はこのほど、経済産業省と日本健康会議が共同で実施する「健康経営優良法人2021(大規模法人部門)」に認定されたと発表した。従業員の健康増進と成長に向けた取り組みを強化したことにより、同社初の認定となった。 

新日本理化が初の認定取得。従業員の健康増進と成長に向けた取り組みを強化している
新日本理化が初の認定取得。従業員の健康増進と成長に向けた取り組みを強化している

 同制度は、地域の健康課題に即した取り組みや日本健康会議が進める健康増進活動をもとに、特に優良な健康経営を実践している法人を顕彰するもの。

 同社は昨年4月に「健康経営宣言」を公表し、「生き生きと活力ある働きがいのある職場づくりに組織全体で取り組むことにより、従業員の成長とともに会社も持続的に成長し、もの創りを通して広く社会の発展に貢献していく」考えを示した。

 具体的には、全従業員を対象とした年2回の定期健康診断の実施に加え、各種受診体制を整備。定期健診後の精密検査などの2次検診も会社が費用を負担し、所定労働時間内に受診できるようにしたほか、人間ドックや婦人病検診の費用補助なども行っている。また、喫煙者の健康増進と受動喫煙防止の観点から、全事業所で喫煙室を廃止し、禁煙外来費用を補助する制度を導入した。「健康経営宣言」は対外評価もさることながら、社内にも意識変化をもたらしているようだ。

 同社の担当者は、「『健康経営』という言葉が従業員の間にも広く浸透し、従業員の健康と会社の成長が一体不可分のものであるとして議論できる風土ができてきた」と大きな成果を強調する。健康経営推進に直接関わる部門だけでなく、例えば労使交渉の場でも、「従業員の健康増進のために、会社はどうあるべきか」といった観点で話し合える機会も増えたという。

 今後は、今回の認定取得を社内外に広くアピールし、企業価値向上や優秀な人材の確保にも繋げていく考えだ。

出光興産 輸送オペレーション効率化、アクセンチュアと協力

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2021年3月22日

 出光興産は19日、アクセンチュアと協力して、燃料輸送の業務変革に向けた輸送管理プラットフォームを新たに構築し、運用を開始したと発表した。石油元売・SS・取引先・運送会社といった関係者が情報共有できる仕組みの構築や、荷卸現場へのタブレット導入は、業界でも新たな試みとなる。

 新プラットフォームは、燃料油の陸上輸送に関するあらゆるデータを、クラウド上でリアルタイムに一元管理・分析する。これにより出光興産は、輸送状況の可視化や、受注・配送業務のデジタル化だけでなく、輸送計画の精緻化、および輸送オペレーションの効率化を図ることができる。さらに配送経路の最適化はCO2排出削減にもつながる。また、すべての物流関係者が、情報にアクセスし共有できることから、出光興産と物流関係者双方の課題解決への貢献が期待される。

 このほか、タンクローリーに搭載されたタブレット端末には、乗務員が直感的な操作で確認や報告ができるアプリがインストールされ、これまで以上に安全かつ効率的な輸送業務が実現できる。

 アクセンチュアは、新プラットフォームについて、構想から、「セールスフォース」を活用した設計・開発、既存システムとの連携を含む導入に至るまで全面的に支援。また、タンクローリー乗務員に対する実態調査を踏まえたアプリ開発では、一連の業務シナリオに沿った設計、直感的な操作を可能にするUI(ユーザーインターフェイス)のデザインおよび開発をサポートした。

日化協 森川会長「事業環境は緩やかな回復が継続」

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2021年3月22日

カーボンニュートラル実現には化学産業が原動力

 日本化学工業協会は19日、定例となる森川宏平会長(昭和電工社長)の会見を開催した。10-12月期の主要化学企業の実績について森川会長は、「化学企業も回復の傾向が表れてきている。売上高は前年比で7四半期連続の減収となったが、営業利益は9四半期ぶりに増益となった。汎用化学品はスプレッドが低水準にあるものの、市況の改善により市況が回復している。特殊化学も自動車および電子材料の市場環境がさらに改善した」と総括した。今後の見通しについては “日化協 森川会長「事業環境は緩やかな回復が継続」” の続きを読む

BASFとシーメンス カーボンマネジメント分野で協力

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2021年3月19日

 BASFと独シーメンス・エナジーはこのほど、温室効果ガス排出量削減に向けた低酸素技術の商業的導入を目的とする戦略的パートナーシップを結んだと発表した。BASFは、2018年以来取り組むカーボンマネジメントの一環で温室効果ガス排出量のさらなる削減を追求し、今後競争力のある価格の再生可能電力を大量に必要とする。

 両社は、BASFの野心的な気候目標達成の支援に焦点を当て、戦略的パートナーシップの覚書に署名。世界最大級の化学品製造拠点であるBASFのルートヴィッヒスハーフェン工場で、モジュールでの容量拡張が可能な出力50MWの水素製造用PEM(プロトン交換膜)電解槽の建設と、生産プラントの廃熱からプロセス蒸気を生成する50MWの高温サーマルヒートポンプの設置を含む複数のパイロットプロジェクトを検討中だ。

 また、シーメンス・エナジーのデジタル製品とCO2最適化製品を使用し、同工場の電力網の近代化も査定し、PEM電解プラントの効率向上のためのシステムや触媒の共同開発、風力発電での協力の可能性も調査している。

 BASFは、これらの技術を大規模に利用するための適切な規制条件と対象を絞った支援が必要で、商業規模のプロジェクトを通じ、新たな低炭素技術をいち早く開発・導入する考え。また自社の技術知識とシーメンス・エナジーの革新的製品とサービスポートフォリオを組み合わせ、化学品製造でのCO2排出量削減の主導的役割の拡大を目指す。

 シーメンス・エナジーは、パイロットプロジェクトの経験を新規技術やコンセプトの実装に活用し、プロセス産業でのエネルギー転換で積極的な役割を果たしていく考えだ。

 CO2低排出・不排出の発電と発熱、送電と電力貯蔵、CO2排出量削減、産業プロセスのエネルギー消費量削減、持続可能な水素経済の形成、といった戦略的目標の達成に向けた重要な一歩となる。今後、商業的な実現可能性が確認されたパイロットプロジェクトをできる限り早期に調査し、必要な投資を確実に定量化し、一般的な枠組みの範囲内で実施することを目指す。

ENEOS ベトナム事業を強化、LNGなど拡大・推進

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2021年3月19日

 ENEOSはこのほど、ベトナム最大手の国有石油製品販売会社であるペトロリメックスとの間で、ベトナムでの新規共同施策の拡大・推進に関する覚書を締結したと発表した。また、同新規共同施策の実行推進強化を目的に、今年4月1日付で「ベトナム総代表」を設置する。

 ENEOSは、ペトロリメックスの長期的な戦略的パートナーとして、同社への出資比率を高めることにより協力関係の強化を行っているが、同覚書締結を契機に新規共同施策の検討をさらに推進することで、ベトナムでの事業拡大に向けた事業検討・展開を加速させていく考えだ。

 具体的には、①ペトロリメックスの石油製品サプライチェーン強化②ペトロリメックスSSの併設事業開発支援③電子決済導入支援・データマーケティングの強化④エネルギーインフラ事業(LNG、再生可能エネルギー)⑤水素事業⑥ペトロリメックスの物流効率化⑦ペトロリメックスの代理店管理―などを行っていく。

 ENEOSは、アジアを中心とした新興国の経済成長と、それに伴うエネルギーの需要増を事業創出の機会として捉えている。ベトナムでは、2016年のペトロリメックスへの出資以来、戦略的パートナーとして同社の事業価値向上を図るとともに、ベトナム国内で販売シェア約50%を誇る同社の石油製品販売に関わる事業を検討してきた。

 今回の新規共同施策のうち、2019年以降、協議・検討を重ねてきたLNG事業については、ペトロリメックスとのLNGターミナル、ガス発電所の建設・運営に関する共同検討の実施に合意。今後は両社の知見・強みを生かすことにより、LNG調達から発電までの一貫操業体制を確立し、伸び行くベトナムの電力需要への対応と電力需給安定化への貢献を目指す。一方では、新設する「ベトナム総代表」を通じて、現地での意思決定と業務執行の迅速化を図り、ビジネスパートナーや関係各所との連携を強化する考えだ。

 ENEOSは、2040年長期ビジョン「アジアを代表するエネルギー・素材企業」を目指している。ベトナムでも次世代型エネルギー供給・地域サービス事業を実現し、長期的な戦略的パートナーとしてペトロリメックスとの協力関係を基に、同国の経済・社会の発展と、両社の繁栄に貢献していく。

住友化学 環境コミュニケーション大賞、優良賞を受賞

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2021年3月17日

 住友化学が発行する「住友化学レポート2020」および「サステナビリティ データブック2020」がこのほど、環境省と地球・人間環境フォーラムが共催する「第24回環境コミュニケーション大賞」の環境報告部門で、昨年に引き続き優良賞を受賞した。

環境コミュニケーション大賞 優良賞
環境コミュニケーション大賞 優良賞

 同大賞は、優れた環境報告や環境活動レポートを表彰することにより、事業者などの環境コミュニケーションへの取り組みを促進するとともに、環境情報開示の質の向上を図ることを目的とする表彰制度。今回、環境報告部門では147点の応募作について審査が行われ、26点の優良賞が選出された。

 同レポートは、ステークホルダーに同社の価値創造ストーリーをわかりやすく伝えることを目指し、財務情報と非財務情報を総合的にまとめている。また、同データブックは、同レポートを補完する報告ツールとして、環境・社会・ガバナンスの側面から同社のサステナビリティ情報を紹介。

 今回の受賞は、レポートとデータブックの中で、新たにマテリアリティを特定しKPI(重要業績評価指数)を設定した点や、気候変動対応に関して2050年度に向けた長期目標を掲げ、SBT(科学的根拠に基づく目標)達成に向けた諸施策やTCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)のシナリオ分析の結果などを開示している点、プラスチック資源循環への対応に関しても豊富な取り組み事例を開示している点が評価された。

横浜ゴム タイの金型生産能力増強にジェトロの支援

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2021年3月17日

 横浜ゴムはこのほど、タイヤモールド(金型)生産会社のヨコハマモールド(YMC)がASEANでのサプライチェーン強化を目的にタイのグループ会社ヨコハマモールド・タイランド(YMTC)の生産能力を増強すると発表した。今年末に完了する予定だ。

 YMTCは2018年にタイ・ラヨーン県に設立以来、横浜ゴムの日本、タイ、フィリピン、インドなどのタイヤ生産拠点に乗用車用とライトトラック用のタイヤモールドを供給している。今後、タイヤモールドの供給は日本のYMCと中国のパートナー企業に加え、YMTCを活用してアジア3拠点体制を確立し、ASEANでのより安定的な供給を実現する。

 横浜ゴムは中国、台湾、フィリピン、タイ、ベトナム、インドネシア、インドなどにタイヤとMB(マルチプル・ビジネス)の生産販売拠点をもち、アジア地域の事業強化を進めてきた。今後も生産能力の増強やサプライチェーンの強化などを通じて、ASEAN諸国との相互発展に貢献していく考えだ。

 なお今回の増強は、日本貿易振興機構(ジェトロ)の「海外サプライチェーン多元化等支援事業第3回公募(設備導入補助型)」に採択された。これは、特にアジア地域で生産の多元化などのサプライチェーンを強靭化し、日本とASEANの経済産業協力関係を強化することを目的としたものだ。

チッソ 新たに中期計画を策定、JNCの業績改善に注力

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2021年3月16日

 チッソはこのほど、「中期計画~業績改善のための計画」(2020~2024年度)を策定した。これは2019年度のJNC業績が目標利益を大きく下回ったことによる政府要請を重く受け止めたことが背景にある。水俣地域の経済・雇用などに最大限の配慮をしながら、これまで以上の徹底した自助努力により早期の収益回復と持続的な経営を両立させる考えだ。

 前中期計画(2017~2021年度)では、「主力の液晶事業の急激な環境変化への対応の遅れ」、「ボラティリティの大きい液晶事業への過度な依存と第二の収益の柱が不在」、「赤字事業への抜本的な対応の遅れ」により計画未達かつ赤字事業が多く存在し、早急な対応が求められていた。これらを踏まえ、新中計では、構造改革の遂行による止血を最優先し、経常黒字を実現させることを主眼に置く。

 計画の骨子として、①構造改革による業績改善:すでに決定している電子部品などの撤退に加え、赤字事業の縮小・撤退・役員報酬など削減継続、本社賃借面積の縮小といった全社のコスト削減による固定費負担の抑制

 ②Fit化推進による電力事業の収益拡大:五ヵ所の水力発電所(白川・内大臣川・津留・頭地・内谷)のFit化を推進し電力事業を将来の安定収益の基礎に

 ③ガバナンス強化:黒字化に向けた戦略・時期を明確化し、プロセス管理を徹底するとともに、戦略見直しのトリガーや未達時対応策を設定して赤字事業を見極め/モニタリング強化:成長土台となる毎期の安定経常利益・資金を確保するために、損益・資金モニタリングなどの内部管理体制強化、などを挙げた。

 これらの施策により、2024年度のJNC連結経常利益55億円(2019年度は営業損失7億円)の回復を目指していく。なお、研究開発では、未来を変える新しい価値を発見し、社内外の技術を活用した価値創造のビジネスモデルを目指す。また設備投資は5年間で430億円を計画。資金状況に鑑み、維持更新投資のほかはFit化工事に注力する方針だ。