日本ゼオンと日本IBM 技術動向予兆分析システムが稼働開始

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2021年12月16日

AIを活用した「技術動向予兆分析システム」

 日本ゼオンと日本IBMはこのほど、知的財産分析を経営判断に生かすための「技術動向予兆分析システム」が稼働を開始したと発表した。

 複合的な検索・テキスト分析のプラットフォームである日本IBMの「Watson Discovery」を活用した同システムにより、日本ゼオンは10万件以上の大規模で複雑な特許データを効率よく網羅的に解析。移り変わる市場や需要、技術トレンドの予兆を的確かつ迅速に捉え、持続可能な社会に貢献する「ものづくり」に繋がるアイデアを導き出すことが可能となる。

 日本ゼオンは、中期経営計画に、〝カーボンニュートラル(CN)とサーキュラーエコノミーを実現する「ものづくり」への転換を推進する〟方針を掲げる。競争力の源泉となる研究開発において、時流や目的にあった技術動向の予兆分析が喫緊の課題となっていた。

 こうした中、両社は、特許をはじめ知財に関わる領域のDX化を進めることで合意。豊富な導入実績とノウハウをもつIBMのコンサルタントや高い開発スキルをもつITスペシャリストが分析環境を整え、IBMが特許を保有する相関値を活用した相関分析やトレンド分析などといった分析アプローチを「Watson Discovery」から提供。これにより日本ゼオンは、分析者による技術動向のトレンド把握や自社技術との関連性といった、新しい洞察の入手が可能となる。また、知財領域の専門かつ固有の表現や単語分析には、日本ゼオンのテキスト化された独自の辞書データを用いることで、テーラーメードで分析できる。

 今回、特に分析軸としてトレンド分析を利用し、技術や研究領域の動向、最新の研究結果を可視化することで、新たな事業展開マーケットの割り出しや、日本ゼオンの技術と親和性の高い特許の発見が期待される。すでに3カ月間の実証期間において、新たな事業展開に向けた「ものづくり」に繋がるアイデアを発見している。

 今後、日本ゼオンは、同システムを活用した分析結果を基にR&D領域の潜在的なニーズを把握し、社会的課題などの探索を中心に実装する。また、M&Aに向けたデューデリジェンスなどユースケースの幅を拡大し展開することで、より市場に必要とされるサービスの早期創出を目指していく。

出光興産など 周南市と木質バイオマス材利活用で連携協定

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2021年12月16日

 出光興産、東ソー、トクヤマおよび丸紅は15日、山口県周南市との間で木質バイオマス材利活用と森林整備などに関する連携協定を締結したと発表した。今後は、同市の市有林を活用した共同実証事業の実施に向けて、検討を進めていく。

 同協定は、今年1月に設置された「周南市木質バイオマス材利活用推進協議会」を契機として、周南市と各社が、同市での木質バイオマス材の利活用と森林整備などの推進を図ることを目的としたもの。同協定に基づき、①木質バイオマス材の利活用と地産地消②森林の整備と有効活用③その他、木質バイオマス材の利活用と森林整備などの推進を図るために必要と認める事項、の3点について連携を図る。

周南市の市有林

関西電力 液化CO2出荷基地を舞鶴発電所構内に建設

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2021年12月15日

 関西電力はこのほど、日本CCS調査(JCCS)と液化CO2出荷基地を同社舞鶴発電所構内に建設することに合意し、建設支援業務に係る委託契約を締結した。

 CO2を回収し有効利用・貯留するCCUS技術は、ゼロカーボン社会実現の上で重要な技術の1つだが、CO2排出地と貯留・活用地は離れていることが多く、CO2を安全かつ低コストで輸送する技術の確立が課題である。

 JCCSが代表するコンソーシアム(エンジニアリング協会、伊藤忠商事、日本製鉄)は、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の委託事業「CCUS研究開発・実証関連事業/苫小牧におけるCCUS大規模実証試験/CO2輸送に関する実証試験」に取り組んでいる。期間は今年度から6年間。

 長距離・大量輸送に適したCO2の液化と貯蔵システム、輸送船舶の研究開発と設備機器の設計に伴う検討を行い、2023年度末頃を目途に年間1万t規模で舞鶴火力発電所から排出されるCO2を出荷基地で液化し、船舶輸送を経て苫小牧市の基地で受け入れる一貫輸送システムを運用し、操業に必要な技術を検証する。

 そして、安全規格や設計基準の検討に必要な基礎要件を実証試験データから収集・分析し、液化CO2の長距離・大量輸送に求められる国際的なルールづくりにも取り組む。加えて、CO2輸送に関する実効性あるビジネスモデルの検討も進める。同社は、新たに建設する出荷基地の詳細設計に関する助言や、用地・施設・ユーティリティを提供し、CCUS技術の普及に向けた船舶によるCO2大量輸送技術の確立に貢献する考えだ。

KHネオケム サステナビリティ調査で2年連続ゴールド

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2021年12月15日

 KHネオケムはこのほど、仏EcoVadis社によるサステナビリティ調査において、2年連続でゴールドメダルを獲得した。

サステナビリティ調査でゴールドメダル

 EcoVadis社は、グローバルサプライチェーンを通じた企業の環境・社会的慣行の改善を目指して2007年に設立された、企業のESGに関する取り組みの評価機関。

 これまでに世界160カ国、200業種におよぶ約7万5000の企業を対象として、「環境」「労働と人権」「倫理」「持続可能な資材調達」の4分野に関する方針・施策・実績について評価を行っており、多くのグローバル企業が、ESGの観点から同評価結果をサプライヤー選定における重要な基準の1つとして参照している。今回の評価においては、「環境」分野で継続して高いスコアを獲得したことに加え、「倫理」分野でのスコアが向上した。

帝人フロンティア アパレル業界の課題解決に向けFFGに参画

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2021年12月15日

 帝人フロンティアはこのほど、アパレル業界が抱える環境負荷などの課題解決を目的とした国際的なイノベーションプラットフォーム「Fashion For Good」(FFG:オランダ・アムステルダム)に、東アジアの企業として初参画したと発表した。

 FFGは、衣料品やその原料の生産・運送時に発生する環境負荷や、使用済み衣料品の廃棄問題、リサイクルの仕組み作りなど、アパレル業界が抱える多くの課題解決に向け2017年に設立。欧州を中心とするアパレルや小売り企業をはじめ、原料・素材メーカー、繊維加工、縫製、物流など様々な業種のスタートアップ企業や研究機関が参画し、環境負荷軽減や世界的なリサイクルのシステム作りを中心とする7つの重要課題に対して、共同で技術開発や仕組み作りなどの課題解決に取り組んでいる。

 帝人フロンティアは今回の参画を機に、長年にわたり蓄積したリサイクル技術を活用し、使用済み衣料品や繊維屑を原料としてプラットフォーム内でケミカルリサイクルされるポリエステルチップの品質評価や、同チップを使用した原糸の製造、品質評価などを実施していく。保有する技術や知見を活用し、より効率的な「繊維to繊維」の仕組み作りを目指すとともに、FFGが設定する他の重要課題の解決に向けても貢献していく考えだ。

 帝人フロンティアは、環境戦略として「THINK ECO」を掲げ、衣料から産業資材まで幅広い用途で、リサイクルをはじめとする地球環境に優しい活動を実践。また、SDGs(持続可能な開発目標)の目標の1つである「持続可能な消費と生産」に対し、廃棄物の削減やリサイクルの推進など、資源の有効活用に資する社会システムの普及に取り組んでいる。今後も国内外での活動を積極的に推進し、地球環境の保全に一層貢献していく。

東洋紡 来年5月に本社移転、創立140周年を機に

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2021年12月15日

来年5月に本社移転を予定する「大阪梅田ツインタワーズ・サウス」

 東洋紡はこのほど、来年に迎える創立140周年を機に本社を移転する、と発表した。新住所は、大阪府大阪市北区梅田一丁目13番1号 大阪梅田ツインタワーズ・サウス(総合受付は32階)。阪神電鉄・大阪梅田駅から徒歩1分、JR・大阪駅から徒歩3分に立地。2022年5月9日の業務開始を予定する。

ダイセル TCFDに賛同、気候変動のリスク情報を開示

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2021年12月14日

 ダイセルはこのほど、「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」提言に賛同した。

TCFD宣言に賛同

 同社グループは、長期ビジョンにおいてサステナブル経営方針を掲げ、中期戦略においては、循環型社会の構築に貢献すべく、2050年にカーボンニュートラルの達成を最終目標として取り組むことを表明。この最終目標に向けて、「ダイセル式生産革新手法」をベースとした「自律型生産システム」による生産プロセスの最適化、クリーンエネルギーの導入および革新的技術の開発によって大幅なGHG排出量削減を図るとともに、バイオマスバリューチェーンの構築などを通じて、バリューチェーン全体の脱炭素化を目指す。

 今後、同社グループは TCFD提言に従い、気候変動に関わるリスクと機会、その財務的影響、GHG排出量削減や循環型社会構築に向けた取り組みなどに関して情報開示を行っていく。

三菱ガス化学 二酸化炭素地中貯留技術研究組合に加入

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2021年12月14日

 三菱ガス化学はこのほど、二酸化炭素地中貯留技術研究組合に加入した。同組合は2016年に設立。地球温暖化対策上の重要技術CCS(CO2回収・貯留)の実用化を目指し、実用化規模(年100万t)でのCO2圧入・貯留の安全管理技術と貯留層の有効圧入・利用技術の確立と、CCS普及条件の整備・基準の整備を行っている。

 組合員は伊藤忠商事、伊藤忠石油開発、応用地質、INPEX、石油資源開発、大成建設、電源開発、JX石油開発と三菱ガス化学の9社と、産業技術総合研究所と地球環境産業技術研究機構。同社は2050年カーボンニュートラルの目標達成に向けたロードマップを策定しており、この活動を通じてCCSの実用化に向けた技術開発へ積極的に取り組み、脱炭素社会の実現に貢献していく考えだ。

三菱ケミカル 光学用透明粘着シート、韓国で特許侵害を提起

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2021年12月14日

 三菱ケミカルは13日、光学用透明粘着シートの製造・販売会社である韓国TMS社に対し、特許権に基づいて、韓国における製造・販売などの差止と損害賠償を求める訴訟を、今月1日に韓国ソウル中央法院に提起したと発表した。

 同訴訟は、スマートフォンやタブレットのダイレクトボンディング材などに用いられる光学用透明粘着シートOCAに関する三菱ケミカルの韓国特許を実施して、TMS社が製造・販売していると判断し、特許侵害で提起した。

 特許は、被着部材貼合後に紫外線によるアフターキュア(加工後に熱硬化)が可能な光学用透明粘着シートに関するもの。三菱ケミカルが製造販売している光学用透明粘着シートは、優れた段差吸収性、裁断加工性および耐発泡信頼性の実現により、顧客の歩留まりを向上させ、業界初のアフターキュア型OCAとしてパネルメーカー各社から多くの支持、評価を得ている。

 アフターキュア型OCAは、他社に先駆けて長年開発し続けてきた独自技術であり、三菱ケミカルは、顧客に安心して使用してもらうために、積極的な投資により事業展開を行うとともに、知的財産権の積極的な保護・活用にも努めてきた。

 今回の訴訟は、重要な知的財産を法により守るためであり、光学用材料産業の健全な発展と秩序維持に貢献できると捉えている。同社は今後も、許諾なしに特許を実施して物品の製造・販売・使用などの行為が行われた場合、看過することなくいかなるケースに対してもその責任を追及し、全世界において適正な対応を取っていく。

三井化学 デジタルグリッド社に出資、再エネ導入を推進

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2021年12月14日

デジタルグリッドプラットフォーム(DGP)のイメージ図

 三井化学は13日、発電事業者と需要家間で直接電力取引が可能なプラットフォームサービス提供事業を運営するデジタルグリッド社(東京都千代田区)に対し出資を行ったと発表した。 今回の出資により、三井化学とデジタルグリッド社が連携し強みを生かすことで、日本の再生可能エネルギー導入推進に向けたデータソリューション型ビジネスを進めていく。

 デジタルグリッド社は、「電力を生む発電家」と「電力を買う需要家」が直接売買できるシステムを備えたプラットフォーム「デジタルグリッドプラットフォーム(DGP)」を提供している。DGPは、再エネ電源に加え通常電源など多種多様な電源と電力需要をピアツーピア(P2P)取引で結び付ける。

 特長としては、①電力取引の専門資格やシステム投資なしで取引できる(=電力取引プレーヤーを増やせる)、②再エネだけを選んで購入できるなど、電源識別を行う(=再エネ活用を円滑化する)、③需給調整などの煩雑な業務をAIなどで自動化(=発電家は電気の効率的な売却、需要家は電力コスト削減などが見込める)、が挙げられる。

両社の協業により日本での再エネ利用拡大を図る

 三井化学は太陽光発電所の診断・コンサルティングサービスの提供により、再エネの中でも重要な位置づけを占める太陽光発電の安定的な発展・運用に寄与。さらに今年8月からはオンライン診断サービスも開始し、短時間での発電性能診断や期待発電量予測を可能にした。DGPとの連携により、データソリューション型ビジネスの創出を加速し、再エネの普及・拡大に貢献していく狙いだ。

 世界的な地球温暖化を防止するため各国でカーボンニュートラルの取り組みが進められているが、日本では本来大きな役割を果たすべき再エネの利用が、需給調整の手間やコスト高を理由に進んでいない。さらなる利用拡大には、出力不安定な再エネの需給調整のコスト削減に寄与する、簡便かつ低コストを実現する取引の仕組みが必要とされている。両社は、デジタルグリッドが提供するDGPが、その有効な手段の1つと捉え協業を開始した。