三洋化成 全樹脂電池開発の子会社が資金調達を実施

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2020年3月10日

 三洋化成工業はこのほど、子会社で、次世代型リチウムイオン電池「全樹脂電池」の開発を行うAPBが、JFEケミカル、JXTGイノベーションパートナーズ、大林組、慶應イノベーション・イニシアティブ一号投資事業有限責任組合、帝人、長瀬産業、横河電機の計7社を引受先とする第3者割当増資により、総額約80億円の資金調達を実施したと発表した。

 APBは、三洋化成とAPBの現代表取締役である堀江英明氏が共同で開発したバイポーラ積層型のリチウムイオン電池である全樹脂電池の製造と販売を行うスタートアップ企業。

 全樹脂電池は、界面活性制御技術を持つ三洋化成が新開発した樹脂を用い、活物質に樹脂被覆を行い、樹脂集電体に塗布をすることで電極を形成している。

 こうした独自の製造プロセスにより、従来よりも工程を短縮することで、製造コスト・リードタイムの削減を実現するとともに、これまでにない高い異常時信頼性とエネルギー密度を実現した。部品点数が少なくて済むバイポーラ積層型で、樹脂で構成しているため、電極の厚膜化が容易に行え、セルの大型化が可能で形状自由度が高いことも特長であり、リチウムイオン電池の理想構造ともいえる。

 今回の資金調達は、APBが開発する全樹脂電池の量産工場設立を主たる目的としており、全樹脂電池の量産技術の確立、製造販売の開始に向けて投資を実施する。また、APBは、全樹脂電池の量産やその後の市場展開に必要となる各分野に関し、豊富な経験を持つ新たなパートナーの支援を得ることで、成長を加速していく。

 三洋化成の安藤孝夫社長は「曲げても釘を打ちつけても発火せず安全で、形状自由度が高く、低コストにつくれるという革新的でユニークな全樹脂電池は、あらゆる生活の場面を豊かにし、持続可能な社会の創造に貢献できるものだ。三洋化成はAPBの株主としてそのような全樹脂電池の事業化を支援し、パートナー企業とともに『オールジャパン』の体制を作っていければと考えている。10月に統合を控えているが、三洋化成・日本触媒の強みを融合し、経営リソースを投入して統合後も引き続きAPBをサポートしていく。そして10年後には数千億円程度の事業へと成長させたい」とコメントしている。

出光興産 シェルブランド潤滑油事業を譲渡、シェルと協議

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2020年3月10日

 出光興産は9日、完全子会社であるシェルルブリカンツジャパン(SLJ)の全株式と、シェルブランド潤滑油事業に関して、出光興産が持つ資産および権利を、シェル・インターナショナル・ペトロリウム(シェル・インターナショナル)の関係会社(シェル)に譲渡することについて具体的な協議を開始することとし、シェル・インターナショナルとの間で基本合意書を締結したと発表した。

 潤滑油事業の維持・発展を目的として、出光興産は出光ブランドの潤滑油事業を、SLJではシェルブランドの潤滑油事業をそれぞれ行ってきた。今回、シェル・インターナショナルからの要請により、SLJの全株式とシェルブランド潤滑油事業に関して出光興産が持つ資産と権利をシェルに譲渡することで、競合する両ブランド事業の独立した運営体制を確立し、両ブランド事業がより一層成長・発展することを目的として、協議を開始することを決定した。

 出光興産とシェル・インターナショナルは、SLJが営むシェルブランド潤滑油事業に関して出光興産が持つ資産・権利をSLJに承継させた上で、SLJの全株式をシェルが出光興産から取得することで譲渡を行う予定。譲渡の詳細については、両社間の協議により今後決定する。

三菱ケミカル 半導体関連事業を強化、MCSSブランドで展開

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2020年3月10日

 三菱ケミカルは9日、半導体関連事業の強化を目的に、今年4月1日付で情電・ディスプレイ部門に半導体本部を設置し、関連する事業を集約すると発表した。

 同時に、グローバルなバーチャル組織として「MC Chemical Solution for Semiconductor」を立ち上げ、「MCSS」の統一ブランドの下、海外の現地法人を含め既存の組織・会社の枠にとらわれないスピーディな事業運営を行う方針だ。

 昨今のAI、IoT導入の広がり、自動車産業のCASEの潮流などに伴い、半導体市場は大きく成長を遂げており、今後も高機能化が進みつつ一層伸長することが見込まれている。

 同社はこれまで、情電・ディスプレイ部門内の各事業部や高機能化学部門で、半導体製造に関連する製品やサービスなどの事業を行ってきたが、これらを新設する半導体本部に移管・集約し、一体的に運営することで、事業基盤の強化とともに業界内での存在感の向上を図る。

 また、同本部内の各事業部や所管する関係会社の枠にとらわれず、グローバルに「MCSS」の統一ブランドを用いて事業を展開することで、世界各国・地域の顧客に対して、半導体関連のソリューションをワンストップで提供する体制を立ち上げる。

 同社は今後も、三菱ケミカルホールディングスグループの中期経営計画「APTSIS 20」に基づき、フォーカスマーケットの1つである「IT・エレクトロニクス・ディスプレイ」について、半導体関連事業の拡大を図っていく考えだ

JXTGホールディングス 「ENEOS童話賞」の作品募集を開始

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2020年3月9日

 JXTGホールディングスは、「心のふれあい」をテーマとした「第51回ENEOS童話賞」の作品募集を3月2日から開始した。なお、6月に予定している商号変更に伴い、今回の募集より「ENEOS童話賞」に改称している。

 童話賞は、1970年に設立し、児童福祉施設などで暮らす子どもたちの大学や専門学校進学を支援してきた。毎年応募された中から優秀作品を選考し、1冊にまとめた童話集「童話の花束」をチャリティー販売。その売上金の全ては全国社会福祉協議会へ寄付し、同協会が設立した「JXTG奨学助成制度」を通して子どもたちへ贈られている。

 「童話の花束」の作成には同社グループが取り組んでいる森林活動「ENEOSの森」での間伐採材を製紙原料の一部に使用。同社は、今後も次世代育成や環境保全の取り組み、社会の発展と活力ある未来づくりに貢献していく考えだ。

NEDO ムーンショット型研究開発事業の公募を開始

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2020年3月9日

 NEDOは、地球環境再生に向けた持続可能な資源循環の実現を目指す、ムーンショット型研究開発事業の研究開発プロジェクトの公募を開始した。

 ムーンショットとは日本発の破壊的イノベーションの創出を目指す、従来技術の延長にない、より大胆な発想に基づく挑戦的な研究開発のこと。

 同事業では地球温暖化問題の解決(クールアース)と環境汚染問題の解決(クリーンアース)に向け、2050年までに資源循環技術を用いた商業規模のプラントや製品を、世界的に普及させることを目指す。

 具体的には、大気中のCO2や海洋プラスチックごみなど、環境に広く拡散された物質や低濃度な状態で環境に排出される物質について、それらを回収し有益な資源に変換する技術や、分解・無害化する技術に関する挑戦的な研究開発を推進する。

 この公募では、国内外から研究開発をマネジメントするプロジェクトマネージャー(PM)と、PMが率いる研究開発プロジェクト(複数の企業や大学などから構成される体制で実施する研究開発)を原則複数選定する。

 NEDOは選定した複数のプロジェクトを統一的に指揮・監督するプログラムディレクターとして、地球環境産業技術研究機構(RITE)の山地憲治副理事長・研究所長を任命した。プログラムディレクターは、ムーンショット目標を戦略的に達成するためのポートフォリオを構築し、研究開発を挑戦的かつ体系的に推進する。

 昨年、総合科学技術・イノベーション会議(CSTI)は、ムーンショットを推進するものとして、「ムーンショット型研究開発制度」を創設した。同制度に基づき、CSTIが決定したムーンショット目標と、経済産業省が策定した研究開発構想を踏まえ、NEDOはムーンショット目標「2050年までに、地球環境再生に向けた持続可能な資源循環を実現」を達成するため、挑戦的な研究開発(ムーンショット型研究開発事業)を進めていく。

 

太陽石油 愛媛マラソンに協賛、ランナーの力走を支援

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2020年3月9日

 太陽石油はこのほど、愛媛県松山市の城山公園をスタート・ゴール地点とする「第58回愛媛マラソン」に協賛した。

スタートしたランナーを応援する様子
スタートしたランナーを応援する様子

 先月9日に開催された大会では、北海道から沖縄までの全都道府県と、米国やタイ、香港など7カ国から総勢1万408人のランナーが力走を見せた。大会にはゲストランナーとして、シドニーオリンピック金メダルの高橋尚子さん、プロランナーの下門美春さん、ものまねアスリート芸人のM高史さんのほか、チャレンジランナーとして、愛媛県出身のガールズバンド「たけやま3.5」のメンバーである武田雛歩さんも参加した。

 同社はゴール付近の広場で、ランナーと来場者向けにオリジナルチョコマシュマロと風船を配布。さらに今回初の試みとして「完走記念缶バッジ」を用意し、先着1000人のランナーにプレゼントをして好評を得ていた。

セルフ北条SS付近での応援の様子
セルフ北条SS付近での応援の様子

 また、スタートから約10㎞の吸水ポイントにある「セルフ北条SS」(太陽石油販売運営)で、温かい飲み物を提供。太陽石油も沿道の応援者向けにオリジナルスティックバルーンを配り、ランナーに熱い声援を送る人たちとともに沿道を盛り上げた。

 同社はスポーツ支援を通じて、市民の健康増進や地域活性化につながるよう、今後もこのような活動を積極的にサポートしていく。

 

昭和電工 ケミカルリサイクルが地球環境大賞の会長賞を受賞

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2020年3月9日

 昭和電工はこのほど、フジサンケイグループ主催の「第29回地球環境大賞」で「日本経済団体連合会会長賞」を受賞した。

 同社グループが取り組んでいる、使用済みプラスチックのケミカルリサイクル(CR)による低炭素な化学品原料化・資源循環事業が環境負荷低減に資すると評価された。なお、表彰式は4月8日に、秋篠宮同妃両殿下ご臨席の下、明治記念館(東京・元赤坂)で行われる予定。

 同社は2003年より、リサイクル手法の1つであるCRによる使用済みプラのリサイクル事業を展開中。川崎事業所では、回収された使用済みプラを熱分解によりガス化し、水素や一酸化炭素を取り出し、化学品の原料として利用している。

 一酸化炭素は炭酸製品に、水素はアンモニアの原料として利用するほか燃料電池車やホテルに設置された燃料電池での発電用として供給するなど、低炭素社会実現に向けた取り組みにも貢献。

 このような使用済みプラを焼却処理しないことによるCO2排出削減だけでなく、陸上での資源循環を推進し、海洋流出するプラの削減に寄与する取り組みであることが高く評価され、今回の受賞となった。

 同社グループは、CRをはじめ、鉄のリサイクルに必ず使われる黒鉛電極の世界各地への供給や、日本で最初にアルミ缶リサイクル活動に取り組み、回収済みアルミ缶を新たなアルミ缶として製造する「can‐to‐can」など、環境に配慮した事業活動を積極的に推進している。引き続き、社会的課題の解決に貢献する製品・技術・サービスの提供に取り組み、地球環境負荷低減へ貢献していく方針だ。

 

旭化成 スチレン系樹脂事業から撤退、注力分野に再配分

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2020年3月9日

 旭化成は6日、スチレン系樹脂であるAS樹脂・ABS樹脂・ACS樹脂(製品名「スタイラック」「エステロイ」)事業からの撤退を決定したと発表した。2021年3月末をもって川崎製造所(神奈川県川崎市)内のAS工場を停止し、営業活動も終了する。

 同社のスチレン系樹脂事業は、1962年の川崎工場(現・川崎製造所)でのAS樹脂工場稼働から始まり、1964年にABS樹脂工場稼働(1978年に停止し水島工場に統合)、1995年にはACS樹脂事業を開始し現在に至っている。これまで約58年間にわたり、OA・家電・自動車・雑貨用途などに向け国内外の顧客へ製品を提供してきた。

 また、2015年には、国内市場の大幅な需要減などによる事業損益の悪化を受け、1967年に製造を開始した水島製造所のABS樹脂工場を閉鎖し、事業構造の改善を図ってきた。

 しかしながら、グローバルABS市場で同社製品の優位性を発揮することは容易ではなく、将来的に拡大戦略を描くことも難しいとの判断から事業撤退を決めた。

 同社は、中期経営計画「Cs+ for Tomorrow 2021」の中で、経営資源の優先投入や再配分を進めることで事業ポートフォリオの転換を図り、サステナブルで高付加価値な事業体となることを目指している。今後は同事業の経営資源を他の注力事業へと振り向けていく考えだ。

旭化成 米社の自動車内装事業を買収、欧州事業拡大で

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2020年3月9日

 旭化成は6日、米国子会社のセージ社(サウスカロライナ州)が、米大手自動車シートサプライヤー・アディエント社(ミシガン州)の自動車内装ファブリック事業を買収する契約を、3月5日(米国東部時間)に締結したと発表した。欧州自動車市場での事業拡大と基盤強化のため。買収額は1億7500万米ドル(約188億円)。

 セージ社は米国を中心に、自動車内装材向けに各種繊維製品の開発・製造・販売を手掛けている。カーシートファブリック市場では、グローバルサプライヤー大手の1社として、自動車メーカーと部品メーカーに対して高いプレゼンスがある。一方、欧州は最大の自動車内装ファブリック市場であると同時に、自動車市場の最先端のトレンド発信拠点でもあることから、セージ社の事業拡大には重要な市場となっている。

 今回買収するアディエント社の自動車内装ファブリック事業は、欧州を中心にグローバルに複数の拠点で展開している。また、デザイン力や品質に関して、欧州主要自動車メーカーからの評価が高く、欧州のカーシートファブリック市場で有数の地位を築いている。

 アディエント社の自動車内装ファブリック事業が持つ欧州を中心としたマーケティング・生産・開発機能とセージ社の事業を組み合わせることで、欧州市場の深耕を期待し、両社間での協議を経て買収合意に至った。

 旭化成グループの戦略は、各地域の自動車メーカーとの関係強化が、グループ全体の自動車分野での事業拡大に繋がるとの考えに基づく。セージ社の地域戦略・素材戦略をグローバルに推進することを通じ、カーシートファブリックサプライヤーとしてマーケットリーダーの地位を確固たるものにしていく。

自動車内装ファブリック事業買収

東亞合成 100周年に向けた新事業、第4の柱を探索

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2020年3月6日

新中計を足掛かりにR&D強化、新製品創出加速

 東亞合成は昨年7月に、創立75周年を迎えた。記念すべき年を最終年度とした3カ年の前中期経営計画(2017~019年)は、売上高は中計目標を100億円下回る1450億円、営業利益も42億円届かない138億円と、景気低迷のあおりを受けて、共に数値目標未達の不本意な結果に終わった。

東亞合成社長
新中計を説明する髙村社長

 そんな中、計数面で目標を大きく上回ったのは設備投資だ。当初予定の420億円に対し、認可ベースでの実績は560億円に上り、「特に成長戦略とインフラ整備への投資額が大きく、将来に向けて確実に企業の強靭化、あるいは増益に向けた設備の増強を行った」(髙村美己志社長)。

 先月開催の決算報告に併せ、1月からスタートした新中計「Stage up for the Future」(2020~2022年)の説明会を行った。髙村社長は「新中計では、

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