帝人はこのほど、デンマークのクリスチャン・ハンセン社と、日本での健康食品用途・育児用調製粉乳用途へのプロバイオティクス原料の販売代理店契約を締結したと発表した。同社は世界的なバイオサイエンス企業であり、プロバイオティクスのリーディングサプライヤー。これにより、帝人はこれまで展開してきたプレバイオティクス素材に加え、プロバイオティクス素材の販売を開始し、機能性食品素材事業のさらなる強化を図る。
プロバイオティクスとは、適正量を摂取した宿主に有用な作用を示す生菌体のこと。一方、プレバイオティクスは、大腸内の特定の細菌の増殖と活性を選択的に変化させることで、宿主に有利な影響を与え、宿主の健康を改善する難消化性食品成分である。
帝人はヘルスケア事業の発展戦略の1つとして、機能性食品素材事業を掲げ、腸内環境を整えることで「未病」「予防」に貢献するプレバイオティクスに着目し、2016年からスーパー大麦「バーリーマックス」、2018年から水溶性食物繊維「イヌリア」の素材開発・販売を行っている。機能性食品素材事業の拡大を図る同社では、これらのプレバイオティクス素材と相性が良い、プロバイオティクス素材をラインアップに加えることが必要と考え、調査を進めていた。
一方、クリスチャン・ハンセン社は2013年から日本で、一般食品以外に向けた機能性乳酸菌などの事業を展開しているが、顧客サポート体制のさらなる強化と、事業拡大を図ることができるパートナーを探していた。
今回、両社のニーズが合致したことから、契約締結に至った。販売対象となる製品は、エビデンスが豊富な自然由来のビフィズス菌「BB‐12」や乳酸菌製剤「UREX」など、6種のプロバイオティクス関連製品。両社の強固な協力関係の下、帝人はクリスチャン・ハンセン社が培ってきたノウハウの共有や技術支援を得ながら、マーケティング活動を展開する。
今後、帝人の機能性食品素材事業は、市場規模1兆5千億円と言われる健康食品市場のメーカー各社に向け素材提案を行う。また、育児用調製粉乳への採用も目指す。さらに、プレバイオティクとプロバイオティクスのそれぞれで、素材開発や製品ラインアップの拡充を進め、機能性食品素材事業をヘルスケア事業領域の将来のコアビジネスとして育成していく。