合同会社フリートEVイニシアティブ EVトラックの最適運用に関する実証を開始

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2020年4月16日

 中部電力と丸紅が共同で設立した合同会社フリートEVイニシアティブ(FEVI)はこのほど、名鉄運輸(名古屋市東区)およびエスライングループのエスライン各務原(岐阜県各務原市)とともに、EVトラックの最適運用に関する実証を実施すると発表した。実証期間は2022年3月31日までの予定。

 今回の実証は、FEVIが名鉄運輸とエスライン各務原のEVトラックを使用し、物流事業でのEVトラックの運用に関する知見を得ることを目的に実施するもの。運行スケジュールに応じた最適な充電方法を検討し、急速充電による車両稼働率の向上効果、電力消費のピークコントロールによる電気料金の抑制効果、車両電動化に伴うCO2削減効果などを実証する。

 FEVIは、物流・運輸事業者などの車両電動化を通じて、CO2削減に貢献するとともに、電動車両の蓄電機能を活用したBCP対策や再生可能エネルギーのさらなる活用についても提案を進めていくことで、持続可能な社会の実現に貢献していく。

東レ マスク用不織布の生産を倍増、月6000万枚に供給拡大

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2020年4月16日

 東レはこのほど、同社グループのグローバルな生産設備をフル活用し、国内向けにマスク用不織布の供給体制を強化・拡充する方針を決定した。

 同社は海外子会社でマスク用不織布の増産を進めており、現在国内の大手マスクメーカーを中心に、月産マスク約3000万枚分の供給を行っている。まずは、これらの設備でさらなる増産を行い、来月から約6000万枚分にまで拡大する。

 一方、国内でも、滋賀事業場内の不織布試験設備の量産化検討に着手しており、来月以降、月産最大で約2000万枚分の国内供給体制の確立を計画している。加えて、医療関係者用の防護服についても、国内外を含めた生産・供給体制を早期に確立し、国内に供給していくことを検討中だ。

 東レグループは、「わたしたちは新しい価値の創造を通じて社会に貢献します」という企業理念に基づき、社会貢献を企業の目的の最優先事項として事業として取り組んできた。2050年に目指す世界を展望し策定した「東レグループ サステナビリティ・ビジョン」の中でも、革新技術と先端材料によって世界的な課題の解決に貢献することを目標に掲げている。

 同社は今後も、新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、政府の策定する行動計画に基づき、必要な対策を実行するとともに、早期の終息とその後の社会・経済の発展に、全社を挙げて尽力していく方針だ。

住友化学 新型コロナ対策を支援、医療現場へマスクを寄付

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2020年4月16日

 住友化学は15日、新型コロナウイルス感染症の対策支援として、日本経済団体連合会(経団連)を通じて、緊急用に備蓄していた2万枚のN95マスクを寄付すると発表した。医療現場での新型コロナウイルスを含んだ飛沫による感染を防ぐことのできるN95マスクなど呼吸器防護具が不足していることに対応したもの。

 なお、N95とは、米・労働安全衛生研究所(NIOSH)が定めた規格で、「N」は耐油性がないこと、「95」は試験粒子を95%以上補集できることを示す。同マスクは、結核などの感染予防として医療現場で強く使用が推奨されている。

 同社は、新型コロナウイルス感染拡大の早期終息に向けて、今後も行政ならびに業界団体と連携を図りながら、最大限の支援策を検討していく。

 

東洋スチレン ケミカルリサイクルの事業化に着手

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2020年4月15日

米社とライセンス契約、実証設備建設の検討開始

東洋スチレン PSケミカルリサイクル 大手ポリスチレン(PS)メーカーである東洋スチレン(出資比率:デンカ50%、日鉄ケミカル&マテリアル35%、ダイセル15%)は、地球温暖化や廃棄プラスチックといった環境問題への対応として、バイオPSやリサイクルに取り組んでいる。

  昨年にはバイオ化ニーズの高まりから、PSとポリ乳酸(PLA)をアロイ化した「トーヨーエネライツ」を上市。顧客から高い評価を得ており、引き合いが強まっている状況だ。

 一方、リサイクルではマテリアルリサイクル(MR)に注力。再生品は品質的な課題があるが、バージン品を組み合わせるなど品質向上に取り組んでいる。

 こうした中、昨年10月には環境対策推進室を創設。使用済みPSのケミカルリサイクル(CR)の事業化を検討してきたが、今回、CR事業実証を進めるため、米国アジリックス社(オレゴン州ポートランド)と技術ライセンス契約を締結した。

 PSは熱分解によりスチレンモノマー(SM)に戻る性質を持っているが、アジリックス社の熱分解技術は、PSを高収率でSMに変換することが可能。また、同社は使用済みPSの熱分解SM化設備を商業運転している唯一の存在であり、さらにイネオス社など複数の海外PS/SMメーカーとの連携・合弁事業を進行している。

 東洋スチレンは今後、アジリックス社からの技術導入を受け、親会社であるデンカ千葉工場(千葉県市原市)内に、使用済みPSの熱分解SM化実証設備(年間処理能力:約3000t)建設の具体的検討に着手し、2021年の操業開始を目指す方針だ。

 PSリサイクルのMRでは、使用済みPS食品容器を再び同じ用途(食品接触部)に使用することは品質安全上困難とされてきた。それに対し、使用済みPSをSM(熱分解SM)に戻す今回のCR方式であれば、その課題をクリアできる。

 熱分解SMを原料に使用したリフレッシュPSは、品質安全上も全く問題がなく用途に制限がない。また、ワンウェイ(使い捨て)仕様と比較すると、地球温暖化ガスであるCO2の排出量を、少なくとも半減させる効果も期待できる。この事業化計画を実現し、熱分解SMを使用したリフレッシュPSを製造販売できれば、CRによる真のサーキュラーエコノミー(循環型経済)への第一歩を踏み出せることになる。

 東洋スチレンは、アジリックス社から技術導入するCR設備により、先ずは製造時に発生するポストインダストリアル材料を中心(一部ポストコンシューマー材料含む)とした実証試験操業を行い、PSの優れたリサイクル性を広く一般に認知させる。そのうえで、政府、コンシューマー、関係団体、需要家などの関係先と協同でスケールアップを図り、将来の目標であるポストコンシューマー材料に対象を広げていく考えだ。

 

 

昭和電工 AIでフレキシブル透明フィルムの開発を迅速化を実証

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2020年4月15日

 昭和電工はこのほど、産業技術総合研究所(産総研)、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)、先端素材高速開発技術研究組合(ADMAT)と共同で、フレキシブル透明フィルムの開発に人工知能(AI)を活用することにより、要求特性を満たすフィルムの開発の実験回数を25分の1以下に低減できることを実証したと発表した。

フレキシブル透明フィルムの用途例
フレキシブル透明フィルムの用途例

 今回の開発は、NEDOの「超先端材料超高速開発基盤技術プロジェクト(超超PJ)」の委託事業として実施。超超PJでは、経験知による従来の材料開発からの脱却を目指し、AIやマルチスケールシミュレーションを積極的に活用することで、従来と比較して実験回数を削減し、開発期間を大幅短縮することを目指している。

 昭和電工など4者は、モバイル機器などの開発に欠かせないフレキシブル透明フィルムの設計にAIを活用し、要求特性を満たすポリマーの探索に取り組んでいる。

 はじめに熟練研究員が27種類のフィルムを作成し、その原料の分子構造、モル比などの化学的な情報をECFP(Extended Connectivity Circular Fingerprints)という手法を応用して説明変数に落とし込み、目的変数にはトレードオフの関係にあり並立の難しい物性である換算透過率、破断応力、伸びの3項目を選択し、作成したフィルムの実測データをAIに学習させた。

AI予測を行い作製したフレキシブル透明フィルム(引張試験中の写真)
AI予測を行い作製したフレキシブル透明フィルム(引張試験中の写真)

 その後、説明変数を網羅的に割り当てたデータを用意して、偏差値概念を導入したAIにこれら3項目が等しい割合で最大となる配合を予測させ、その予測の通りに3種類のフィルムを作成し、AI学習データを作製した熟練研究員が自己の知見に基づき作成した25種類のフィルムの物性値とを比較した。 

 この結果、AIが予測した配合で作成した3種類のフィルムの物性値は、いずれも比較実験として熟練研究員が作成した25種類のフィルムの物性値よりも優れていることが判明。研究員による開発に比べて25分の1以下の実験回数でより高い物性値のフィルムを得られたことから、大幅な開発期間の短縮が可能なことが実証できただけでなく、研究員の経験知をもとに作成した製品を超える製品が開発できる可能性があることも実証した。

 今後は同技術をさらに高度化させ、要求特性を満たしながらより良い物性値となる配合比をAIが提案できるように開発を進めていく。なお、同件の詳細は、超超PJ成果報告会のウェブサイトに発表された。

ヘンケル 新型コロナ対策で包括的な世界連携を開始

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2020年4月15日

 ドイツの化学・消費財メーカのヘンケルは、パンデミック(世界的大流行)に至った新型コロナウイルスの影響を受けている顧客や社員、コミュニティへの支援を目的に、包括的な世界連帯プログラムを発表した。

 実施するのは、①WHO(世界保健機関)と国連財団が設立した「COVID‐19連帯対応基金」や選定した団体に、総額200万ユーロ(約2億4000万円)を寄付②個人・家庭向け衛生用品500万個を寄付③同社製造工場で除菌剤を製造④美容サロンに対する支払い条件の柔軟化⑤職場勤務、在宅勤務を含む社員の安全衛生を確保―の5つのプログラム。

 具体的には、同社の社会貢献活動を担うフリッツ・ヘンケル財団が、WHOと国連財団が設立した基金に100万ユーロを直接寄付。最前線の医療従事者に対する防護具の提供、臨床検査室の設置、データ収集・分析の強化、集中治療室の設置・維持のほか、ワクチンや治療法の研究・開発を加速させる取り組みなどに活用される。

 さらに同財団は、世界の各種団体やパートナー企業、今回の危機的状況に打ち勝つために社員が個人的に取り組むボランティア活動に対し、総額100万ユーロの助成金を給付する。また、個人・家庭向けの支援としては、洗剤や除菌剤などの家庭向け洗浄剤に加え、手指用消毒剤・石けん・防護具などを寄付する予定。

 同社の企業市民活動チームが、世界各地の慈善団体や自治体、パートナー企業と緊密は連携を図り、寄付活動などを行っていく。カーステン・クノーベルCEOは「新型コロナウイルスのパンデミックとの戦いに一致団結し、当社の社員と仕事を全力で守り、顧客の役に立てるよう取り組むとともに、当社が活動しているコミュニティの支援に努める」との方針を明らかにし、前例のない事態を終息させるための支援策に取り組んでいくとした。

 

帝人 米ヘルスケアVCに出資、新規製品創出などを強化

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2020年4月15日

 帝人はこのほど、米国のヘルスケアベンチャーキャピタル(VC)ファンドであるメドテック・コンバージェンス・ファンドに、最大で約9000万米ドル(約100億円)の出資を行うと発表した。

 同ファンドは、米国のVCであるSVヘルスインベスターズ(マサチューセッツ州)が運営。帝人は今回の出資を通じ、米国を中心に欧州やイスラエルなどを対象地域としたアーリーステージ企業への投資を行うことで、ヘルスケア領域の新規製品・サービスの獲得を推進する。

 帝人グループは、中期経営計画「ALWAYS EVOLVING」(2020~22年度)の中で、ヘルスケア事業領域の中長期戦略として、医薬事業・在宅医療事業で培った強みを生かした地域密着型の総合ヘルスケアサービス事業の展開を掲げている。一人ひとりの健康生活のサポートを目指し、画期的なヘルスケア製品やサービスの創出に向けた取り組みを強化していく方針だ。

 メドテック・コンバージェンス・ファンドには、米VCのノリッジベンチャーズ(マサチューセッツ州)のパートナーも参画しており、共同で投資活動を行っている。SVヘルスインベスターズとノリッジベンチャーズは、米国を中心に医療機器のスタートアップ企業に対する投資や事業育成に優れた実績があり、投資による資金援助だけでなく、取締役の派遣や戦略的な提言など経営にも深く関与し、多くの医療機器関連のスタートアップ企業を支援してきた。

 こうした中、帝人は、米国の両VCとヘルスケア領域へのソリューション提供で目指すべきビジョンが一致していることから、今回の出資を決定。帝人は今後、メドテック・コンバージェンス・ファンドに社員を派遣し、グローバル市場でのヘルスケア事業展開に向けたパートナーシップを長期的に強化していく。また、共同でインキュベーション活動を推進し、医療機器・サービスに関連した帝人グループの研究開発機能の活性化を目指す。

 少子高齢化が進展する日本のみならず、世界中で製品、サービスとデジタル技術の組み合わせによるヘルスケアソリューションの価値がますます高まる中、同社グループは、高品質な製品と専門性の高いサービスを提供することにより、患者のQOL向上に努めていく。

旭化成 世界で初めて冷却ストッキングのメカニズム解明

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2020年4月15日

 旭化成はこのほど、着用により冷却効果を得られるストッキング(冷却ストッキング)のメカニズムを、世界で初めて数値流体力学(CFD)と表面形態の連成解析により定量的に解明したと発表した。

ストッキングTOP
a)素足の状態で、上が歩行前、下が歩行後。b)冷却ストッキングを着用した状態で、上が歩行前、下が歩行後。

 同社生産技術本部の生産技術センターCAE技術部が解析によるシミュレーションを行い、結果は同パフォーマンスプロダクツ事業本部の繊維技術開発総部商品科学研究所で実験・検証。なお今回の結果は、「Nature」出版グループの学術誌「Scientific Reports」に掲載されている。

 一般的にストッキングは足を温めるために履くが、通常の繊維材料は断熱性があり、体熱が放散するのを防ぐ。一方、特殊構造を持ったニットストッキングの着用で、一定の冷却効果を得られることも分かっていた。

 例えば冷却ストッキングの冷却機能は、感覚として冷たいと感じる(接触冷感)既製品とは異なり、着用により体表面を物理的に冷やすという効果を発現する。その効果は、かねてよりサーマルマネキンを用いた放熱実験によって確認されていたが、体表面を物理的に冷却するメカニズムについてはこれまで不明だった。

 この現象を解明するために、CFDで解析する流体/固体熱連成解析で冷却ストッキング表面に形成される突起構造(リブ)を定量的に数値モデル化し、リブ表面(ストッキング表面の周期的なマイクロメートルスケールの突起物構造)の自然対流を分析。

旭化成 ストッキング
一般的なストッキングのニット構造イメージ(上)と冷却ストッキングのニット構造イメージ(下)。

 その結果、冷却効果を発現するのは、マイクロメートルスケールのリブであることが判明した。一般的に衣服を着用すると保温効果が発現するが、このマイクロメートルスケールのリブは、リブからの放熱が自然対流によって促進され、冷却効果が発現される。

 今回の解析手法による解明は、工業的、学術的にも有用な成果であり、このメカニズムの解明によって、繊維や生地の構造により繊維製品に冷却機能を付与できることが明らかになった。今後、ますます温暖化が進む環境下で、快適な生活を提供できる繊維製品の開発などの進展が期待される。

 旭化成は、今後も繊維のテクノロジーをはじめ、同社がこれまで培ってきた技術とCAE(Computer Aided Engineering)技術の融合による新しい付加価値の提供に努め、「世界の人びとの〝いのち〟と〝くらし〟」に貢献してく考えだ。

クラレ 新小学1年生の「将来就きたい職業」調査を実施

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2020年4月14日

 クラレはこのほど、この春に小学校に入学する子どもとその親を対象に「将来就きたい職業」「就かせたい職業」のアンケート調査を実施した。

 子どもが将来就きたい職業の1位は男の子「スポーツ選手」、女の子「ケーキ屋・パン屋」で、ともに調査開始以来22年連続トップ。

 男の子の「スポーツ選手」の内訳は、サッカー、野球に続き、ラグビーが人気を集めたものの、その比率は2007年をピークに減少傾向にある。一方、2012年から9年連続2位となった「警察官」は15%とポイントを上げ、1位との差を詰めた。「ユーチューバー」は初のトップテン入り。「宇宙関係」(宇宙飛行士など)も過去最高の11位となった。

 女の子については「ケーキ屋・パン屋」が26%で、2位以下を大きく引き離してトップ。内訳は、ケーキ屋とパティシエが約8割を占めた。2位にはアイドル人気を背景に「芸能人・歌手・モデル」が入り、「看護師」「保育士」など、子どもたちにとって身近な職業が比率を伸ばした。

 調査は「クラリーノ」製ランドセルの購入者を対象に実施。昨年7月から12月のインターネット回答分から有効回答を抽出した。有効回答は子ども4000人(男女各2千人)とその親4000人。調査回数は、子どもが1999年から通算22回、親は1992年から通算29回目となる。

 

JXTGエネルギー 「バイオマス・ショア寄付講座」に参画

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2020年4月14日

 JXTGエネルギーは、東京大学大学院農学生命科学研究科に開設されている「バイオマス・ショア寄付講座」に対し、三菱ガス化学、三菱商事および日新商事と共同で寄付を行っている。

 同講座が実現を目指す「バイオマス・ショア構想」は、大気中のCO2を削減しながら産業活動を行う社会の構築を目標としている。具体的には、海洋深層水湧昇流のある砂漠海岸で、海洋深層水を淡水と高濃度海水に分離し、淡水で農業・緑化、高塩濃度海水で藻類を培養し、それぞれの過程でCO2を吸収させることで高付加価値な生産物を得るシステムを構築するもの。また、同システムには再生可能エネルギーを活用する構想となっている。

 同講座は2016年に開設され、2018年4月の三菱ガス化学が参画した第1期では、バイオマス・ショア構想の基本コンセプトの構築、実施候補地の確認などの基盤づくりが実施された。今年4月から開始する第2期では、同構想の実現可能性が検証される予定。

 JXTGエネルギーは、遺伝子組み換えを一切行わない独自の発酵技術を用いて、天然色素であるカロテノイドの生産性を高める研究開発を進め、アスタキサンチンやレアカロテノイドの商品化を達成している。高塩濃度海水で培養し得られる藻類には、タンパク質やグリセロール、グルタチオン、脂質などに加え、同社が扱うカロテノイド類も含まれることから、同講座への寄付を決定した。

 同社は「2040年JXTGグループ長期ビジョン」の達成に向け、機能材事業分野での「発酵生産技術」をはじめとする製品開発力の強化を通じて、革新的な事業を創出し、新たな価値を創造していく考えだ。