住環境研究所 新常態の住まい方、20代の意識に特徴

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2021年2月16日

 積水化学工業の調査研究機関である住環境研究所は、「ニューノーマル(新常態)時代の住まい方に対する意識調査」を実施した。

 近年、情報技術の発達や働き方改革などにより生活者の価値観が変化。それに伴い〝してみたい暮らし方〟や〝暮らしたい場所〟も多様化し、また〝新しい暮らし方〟も多く現れている。こうした中、コロナ禍によって、リモートワークやオンライン会議の普及、自粛による在宅時間の増加など、世の中がさらに大きな変化を強いられている。

 今回の調査(昨年10月実施)は、住宅購入者の多数を占める20~50代の男女既婚者を対象に、新常態の時代も見据えたこれからの「住まい方」に対する生活者の意識を明らかにすることを目的に実施された。その結果、住宅取得の主役となる20代は、新しい暮らし方では「技術的最先端の暮らし」や「職住一致」、従来からある暮らし方では、「エコな暮らし」や「二世帯居住」、暮らしたい場所では、「郊外」を筆頭に多様な場所での暮らし、に関心が高いといった特徴が見られた。

 同研究所は、「20代が様々な暮らし方・暮らしたい場所に対し関心をもてることは、住まい方の多様性を許容する「柔軟性」のため」と分析。そして「これまでの生活や慣習が加速度的に変化を遂げていくウィズコロナ、ニューノーマルの時代では、しなやかさ(レジリエンス)が必要になってくる。そのような時代を乗り切っていくためには、20代に見られるような住まい方への「柔軟性」も原動力となっていくのではないか」との見解を示している。

ランクセス 消毒・衛生製品の仏テセオ社買収計画を発表

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2021年2月16日

 ランクセスはこのほど、コンシューマープロテクション事業拡大のため仏テセオ社(仏・ラヴァル)買収の独占交渉を開始したと発表した。

 テセオ社は欧州とラテンアメリカの消毒・衛生製品のトップメーカーであり、同社製品は、特に畜産分野の疾病予防・抑制に使われている。買収によりランクセスは、成長する畜産衛生市場での製品ラインアップを大幅に拡大し、将来的には動物用栄養業界向け製品も提供可能になる。ランクセスは約7000万ユーロの資金調達を計画しており、規制当局の承認後、今年半ばに買収取引を完了する予定だ。

 テセオ社の2020年度の売上高は約3300万ユーロ、EBITDAは数百万ユーロを見込んでおり、3年以内に相乗効果により同程度のEBITDAの上積みが期待される。ランクセスの1株当たり利益(EPS)は、初年度から増加すると見られる。

 テセオ社はフランス、ドイツ、英国、ブラジルに拠点を置き、欧州での強力なプレゼンス、経験豊富な従業員、技術分野と規制に関する専門性、定評あるブランド、確立された流通ネットワークをもつ。また、豚・鶏分野の消毒・衛生製品と、畜産用飲用水衛生と動物用栄養分野の優れたポートフォリオにより、バイオセキュリティや抗生物質フリー食肉などの重要な役割も担う。

 一方、物質保護剤(MPP)ビジネスユニットは幅広い抗菌有効成分ラインアップと処方を生かし、消毒、塗料・コーティング、木材保護、建設、飲料といった様々な業界で顧客特有のソリューションを提供し、包括的な技術サービスと法的規制サポート、プロジェクト固有の研究開発サービスも提供している。その中の消毒・衛生製品ソリューションのポートフォリオを補完し、畜産衛生分野を強化・拡充しビジネスをより成長させ、グローバルなプレゼンスを高める。

 ランクセスは収益性の高い特殊化学品分野に注力する中、コンシューマープロテクション製品は重要で、同分野の高収益事業をさらに拡大させていく考えだ。

 

三井化学 停電でエチレン設備停止、再稼働に2週間程度

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2021年2月16日

 三井化学は15日、13日深夜に発生した福島県沖を震源とする最大震度6強の地震による千葉県下の停電により、市原工場(同県市原市)のエチレンプラントをはじめ、用役設備以外のすべての設備を停止していると発表した。東京電力からの電力供給停止に伴う措置。

市原工場のプラント全景。再稼働には10日~2週間程度かかる見通し
市原工場のプラント全景。再稼働には10日~2週間程度かかる見通し

 地震・停電に伴う人的被害はなく、また、同工場を除く同社関係事業所や工場、研究所などへの影響はなかった。現在、生産技術などの側面から対応を協議しており、停止した設備の再稼働には、10日~2週間程度かかる見通し。なお、製品出荷については、在庫で対応し、顧客への影響を最小限にとどめるとしている。

 

ユーグレナ 米国の食品安全性のGRAS認証を取得

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2021年2月15日

 ユーグレナはこのほど、「ユーグレナグラシリス」が米国で一般的に安全と認められる食品として食品安全認証制度のGRASを取得したと発表した。GRASはGenerally Recognized As Safe(一般に安全とみなされている)の略語で、国際的に広く認知されている米国の食品安全に関する認証制度だ。今回取得したのは「食品に使用して安全であるか」を米国内の学識経験者が客観的に評価する「self-determined GRAS」認証で、食品としての安全性が評価され、米国での販売が可能になった。

 ユーグレナグラシリスは微細藻類の一種で、100種類以上あるユーグレナ種の中でも幅広い栄養素をもち、食品・サプリメントの原料に適している。ヒトが必要とする59種の栄養素(ビタミン、ミネラル、アミノ酸、DHA、オレイン酸などの不飽和脂肪酸、特有成分パラミロンなど)をもち、細胞壁がないため栄養の消化吸収率も高い。米国でのヘルスケア市場は伸長を続け、動物性たんぱく質の代替として藻類への注目度も年々高まる中、GRASの取得を大きな機会と捉えている。

 同社は沖縄県石垣島で培養し、「石垣島ユーグレナ」として基幹食品ブランド「からだにユーグレナ」など様々な製品に使用し、日本国内で販売してきた。またASC(環境と社会に配慮した責任ある養殖方法で生産された水産物を対象とする国際認証制度)とMSC(持続可能で環境に配慮した漁業で獲られた水産物を対象とする国際認証制度)の共同で策定された海藻認証を取得している。

 今後も安心・安全で健康寿命延伸に寄与するサステナブルな食品を、米国をはじめ世界中の人々に届け、サステナブルな社会の実現を目指すとしている。

伊藤忠商事 ナイロンリサイクル、イタリア社と業務提携

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2021年2月15日

 伊藤忠商事は12日、世界最大のリサイクルナイロンブランド「エコニール」を展開するAquafil社(イタリア)とナイロン循環リサイクルに関するビジネスの推進、拡大に向けて業務提携を締結したと発表した。今回の提携を契機にナイロン廃棄物の回収からリサイクルナイロンを原料とした最終製品の開発、販売まで本格的に取り組んでいく。

 昨今、カーボンニュートラルの対応が世界中で急務とされる中で、石油化学製品のリサイクル比率の向上は最重要課題の一つと位置付けられている。ナイロンは石油由来の化学繊維およびプラ原料として幅広い分野で使用される一方で、他原料との複合素材として使用されている製品も多く、リサイクルが難しい素材の一つだった。

 Aquafil社は、独自の技術でナイロン廃棄物をケミカルリサイクルによって粗原料であるカプロラクタム(CPL)まで戻し、不純物等を完全に除去しバージン材と同等品質で再利用できる循環リサイクルシステムを構築。2011年よりスロベニアにて漁網やカーペットなどの廃棄物を原料としてリサイクルナイロン「エコニール」の生産を開始した。「エコニール」は100%廃棄物からのリサイクルのため、石油由来の通常のナイロンに比べてCO2排出量を最大90%削減が可能。環境配慮型素材としてファッション業界やカーペット業界などを中心に、全世界2000社以上の著名なブランドで採用されてきた。特にファッション業界ではグッチやバーバリー、プラダといった大手ファッションブランドから大きな支持を受け注目を集めている。

 伊藤忠商事はナイロン原料であるCPLおよびナイロンチップについて、数量ベースで世界最大規模の取り扱いをしており、伊藤忠商事のもつナイロンバリューチェーンの活用とAquafil社のエコニール事業の方向性が合致し本提携を締結するに至った。今後は伊藤忠グループのもつ多様なネットワークを活かして、グローバルにファッションやカーペット、自動車用部材、包材等の用途向けに拡販していく。さらに既存の販売チェーンからの廃棄用ナイロンの回収スキームを構築する予定で、Aquafil社への原料安定供給の観点からも協業をすすめていく。廃棄物の回収から最終製品の販売までを共同で取り組むことにより、付加価値の高いナイロン循環リサイクルの拡大を目指す。

Aquafil エコニール循環リサイクルイメージ
Aquafil エコニール循環リサイクルイメージ

 

出光興産 ENEOSのPX装置など、譲受の基本契約を締結

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2021年2月12日

 出光興産は10日、ENEOSとの間で、ENEOS知多製造所の石油化学製品製造設備の譲受に向けた基本契約を締結したと発表した。両社は昨年10月に基本覚書を締結以降、譲受に関する協議を行っていた。対象となる知多製造所の石化設備は、パラキシレン(PX)製造装置(年産40万t)と、不均化装置など周辺設備。出光興産は国内に47万9000tのPX製造装置を保有している。

 出光興産は今後、譲受に関する詳細な条件をENEOSと協議し、今年9月末を目途に設備譲渡(譲受)契約を締結することを目指す。

 

住友化学 プラスチックリサイクルのリサイクル教育、ナイジェリアで支援

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2021年2月12日

 住友化学はこのほど、ナイジェリアのオアンド財団による、プラスチックリサイクル意識の向上を目指すプロジェクト「Clean Our World」(COWプロジェクト)に対し、5万ドルの寄付を実施したと発表した。なお同社は、2017年から同財団と連携し、太陽光発電装置を備えたICTセンターを6カ所設立するなど、STEM(理数系)教育の支援も行っている。

ナイジェリア マシン地区の学校での清掃活動
ナイジェリア マシン地区の学校での清掃活動

 ナイジェリアでは年間3200万t以上のごみが発生し、そのうち30%超がプラスチックであると推定される。現在、それらプラごみの大部分は適切に廃棄されず、排水管の詰まりによる冠水を引き起こし、また西アフリカの主要河川であるニジェール川などから海洋に流出している。こうした状況を解決するため、昨年設立したCOWプロジェクトでは、将来を担う小学生に、教材提供や地域清掃活動などを通じて廃棄プラ問題やリサイクルに関する知識を学ぶ機会を提供し、啓発活動により地域の人々の行動変革を促していく。最大の都市ラゴス近郊の対象となる7つの小学校区のうち、すでに2校区で取り組みが進んでいる。

ナイジェリア オリル・イガンミュ地区での学校・地域一体となった清掃活
ナイジェリア オリル・イガンミュ地区での学校・地域一体となった清掃活動

同社は重要課題の1つに「プラスチック資源循環への貢献」を掲げており、プラスチックのリデュース、リユースにつながる製品の開発・供給に加え、近年は他企業やアカデミアと共同で複数のケミカルリサイクル技術の開発も推進。また、「オリセットネット」事業を通じてマラリア防圧に取り組む中で、アフリカの自立的な経済発展を実現していくためには教育環境の改善が必要と考え、2005年からはNGOなどと連携し、小・中学校の建設支援などを行ってきた。

 同社は今後も、アフリカの子どもたちの教育環境の改善に貢献するとともに、社会課題の解決に向けた取り組みを積極的に進めていく。

帝人 GHG排出削減に貢献、SBTの認定取得を目指す

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2021年2月10日

 帝人は9日、パリ協定が定める目標に科学的に整合する温室効果ガスの排出削減目標「SBT(サイエンス・ベースド・ターゲット)」を認定する機関「SBTi(SBTイニシアチブ)」に対して、コミットメントレターを提出し、2年以内にSBTの認定取得を目指すことを表明したと発表した。

 SBTiは、企業が掲げる温室効果ガスの長期的な削減目標が、パリ協定の「地球の気温上昇を産業革命前と比べて2℃未満に抑える」という目標の達成に必要な水準を満たす場合に、「科学的に整合している目標(SBT)」であると認定する。

 帝人は、中計での環境負荷低減の長期目標として、CO2排出量を2030年度までに2018年度比で20%削減、2050年度までに実質ゼロの達成を掲げる。こうした中で今回は、SBTiの認定基準による「2℃を十分に下回る目標水準(WB2℃)」以上の高い目標として認定されることを目指す。

旭化成 インフラメンテナンス大賞、経産省の優秀賞に

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2021年2月9日

 旭化成はこのほど、「第4回インフラメンテナンス大賞」において、経済産業省「優秀賞」を受賞したと発表した。なお同大賞は、2016年より、国土交通省をはじめ6つの省が、日本国内のインフラメンテナンスに関わる優れた取り組みや技術開発を表彰しており、今回から経済産業省も実施している。

インフラメンテナンス大賞 保温材剥離後の配管例
保温材剥離後の配管例

 同社が受賞したテーマは「化学会社各社の設備データ共有化とそれを基にした保湿材下腐食の発生予測モデル開発」。長期使用している化学プラントでは、保湿材で覆われた鋼製の化学装置の外面から腐食(CUI)が発生する。それによる事故抑制が各社の共通の重要な課題だが、腐食発生を精度良く予測できれば、検査の合理化や設備の信頼性が向上できる。

インフラメンテナンス大賞 CUI検査用の蒸留塔の足場例
CUI検査用の蒸留塔の足場例

 同社は、この課題を解決するために、多くの化学会社から過去に実施したCUI検査などのデータを多量に収集・解析して、使用条件からこのCUI発生可能性を予測する方法を開発。また、その方法をWeb上で公開し、設備の管理に活用できることを実証した。これらの取り組みが評価され、今回の受賞に至った。

 同社は、今回の受賞を糧に引き続き業界他社と協力して、デジタル技術の活用により設備信頼性の維持・向上に尽力していく考えだ。

インフラメンテナンス大賞 CUI 発生予測モデルを開発
CUI 発生予測モデルを開発

三菱ケミカル 植物工場関連事業をMCASに移管・集約

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2021年2月9日

 三菱ケミカル(MCC)はこのほど、植物工場事業の強化を目的に4月1日付でMCCと子会社の三菱ケミカルアグリドリーム(MCAD)がそれぞれ持つ植物工場事業を、同じく子会社の三菱ケミカルアクア・ソリューションズ(MCAS)に移管し、植物工場に関する事業を集約すると発表した。

苗専用人工光装置「苗テラス」
苗専用人工光装置「苗テラス」

 現在、MCCおよびMCADでは「苗テラス」「ナッパーランド」「AN(AGRICULTURE NEXT)」「Plant Plant」といった水耕栽培技術を用いた植物工場の設計、施工及び販売に関する事業を行っている。一方、MCASは長年にわたり水処理ビジネスを手掛け、そのエンジニアリング力や水処理技術を培ってきた。気候変動や農業人口の減少などで今後ますます植物工場へのニーズが高まる中、MCCグループが有する植物工場関連事業をMCASに集約化することで、MCASが持つ「水」に関する卓越した技術や設計、施工機能などとのシナジーにより、より高度で優れた植物工場関連製品およびサービスの提供を図っていく。また、今回の集約化により将来的には、バイオ技術などを融合させた植物工場の高度化や医療・健康食品・エネルギー分野への展開も目指していく。

葉物専用水耕栽培「ナッパーランド」
葉物専用水耕栽培「ナッパーランド」

 三菱ケミカルホールディングスグループでは、中長期経営基本戦略において、「食糧・水供給」を解決すべき社会課題・注力すべき事業領域の1つに位置付ける。今回の植物工場関連事業の集約化は、この施策の一環であり、今後もMCCグループは保有する財産を結集させてこの課題の解決を目指していく考えだ。