三井化学 体温を感知する新素材の市場開発を開始

, ,

2020年5月20日

 三井化学はこのほど、ヒトの体温を感知してカラダに馴染む新素材シート「HUMOFIT(ヒューモフィット)」の市場開発を開始したと発表した。

 『HUMOFIT』 シートが手に馴染む様子 
『HUMOFIT』 シートが手に馴染む様子

 同素材は、触れた瞬間から柔らかくなり始め、触れたその手にあっという間に馴染むという、不思議な感覚を持っている。この特性を生かして、「ヒトによりそい、やわらかくつつみこむ、あたらしいここちよさ」を提供し、カラダとモノの不一致による痛みや、疲労、違和感から、人々を開放できる素材として期待されている。

 形状記憶シートとして約3年前から各種展示会やウェブサイトを通じて紹介を始めており、以来、そのユニークな素材特性から、幅広い業界の開発者や企画担当者、デザイナーなどから多くの反響を得ている。

 「ヒューモフィット」にそういった特長を付与する秘密は、ポリマーが劇的に軟化する温度=ガラス転移温度。同素材のガラス転移温度は約28℃。つまり室温(約23℃)とヒトの体温(約36℃)の間にガラス転移温度が存在しているためだ。例えば、ヒトの手の体温がこのシートに熱を伝えると、シートの温度がガラス転移温度を超えることにより、触れたその手に瞬時に馴染むという不思議な心地よさが得られる。

 用途としては、カラダへのフィット感を求めるニーズから、アパレル・シューズ・シート・バンド・サポーター・寝具・ヘルメット・ヘッドホン・スポーツ製品などが想定される。また、新型コロナウイルスの影響により、リモート社会へのパラダイムシフトが始まった社会では、ウェアラブル・VR・AR・eスポーツ・医療IoTなど、新たな市場で、カラダに装着するデバイスの需要が急拡大することが予想される。

 三井化学は今後、同素材の開発を通じて、急成長が期待される新市場にも「ヒトによりそう」やさしい素材として貢献していく考えだ。

 なお、「ヒューモフィット」特設サイト(https://jp.mitsuichemicals.com/jp/special/humofit/index.htm)では、各種素材特性やデモ動画、サンプル請求方法などを公開している。

東レ 車載コンデンサ向けにOPPフィルム生産能力を増強

, ,

2020年5月20日

 東レはこのほど、二軸延伸ポリプロピレンフィルム(OPP)「トレファン」の生産能力を増強すると発表した。東レ土浦工場(茨城県土浦市)に生産設備を増設し、2022年の稼働を予定。車載コンデンサ用フィルムの需要拡大に対応するため、生産能力を現行比1.6倍に拡大する。

 「トレファン」はプラスチックフィルムの中でも軽く、強靱性・電気特性・機械的特性に優れたフィルム。主力用途であるフィルムコンデンサは、家電・IT機器向け電子部品のほか、電動化車両(xEV)のモーターを駆動させるパワーコントロールユニット(PCU)のインバーター回路に使用されている。

 xEVの運転性能と燃費の向上、さらには車内空間の確保と設計の自由度向上のためには、PCUやフィルムコンデンサの小型・軽量化が求められている。これには、フィルムを薄膜化することが最も有効だが、薄膜化すると耐電圧性が悪化するという課題があった。

 「トレファン」は、独自技術により薄膜化と高耐電圧化の相反する性能を両立できることから、車載コンデンサ用フィルム市場ではトップシェアを持つ。近年、世界各国・地域で自動車に対する環境規制強化が進み、xEV市場は環境規制の厳しい欧州や中国を中心に年率約20%の高成長が見込まれている。今後のさらなる車載コンデンサの需要拡大に応えるため、土浦工場での「トレファン」の生産能力増強を決定した。

 東レは今後も「わたしたちは新しい価値の創造を通じて社会に貢献します」の企業理念の下、土浦工場での早期の生産能力拡充により、成長市場の取り込みを図り、より一層の事業拡大を目指す考えだ。

日本触媒 新型コロナ対策を支援、事業所の所在地に寄附

,

2020年5月20日

 日本触媒は19日、新型コロナウイルス感染症への対応に尽力している医療従事者などへの支援のため、事業所の所在地である大阪府(新型コロナウイルス助け合い基金)、兵庫県(ひょうご新型コロナウイルス対策支援基金)、東京都(守ろう東京・新型コロナ対策医療支援寄附金)、神奈川県(かながわコロナ医療・福祉等応援基金)の基金などに、各500万円ずつ合計2000万円を寄附すると発表した。

 同社グループは、引き続き社会生活を支える製品の安定供給に努めるとともに、新型コロナウイルス感染の早期終息に向けて必要な支援策を検討していく考えだ。

SEMI 1Qシリコンウェーハの出荷は4Q比で微増に

, , ,

2020年5月19日

 SEMIはこのほど、SMG(SEMI Silicon Manufacturers Group)によるシリコンウェーハ業界の分析結果をもとに、2020年1Q(1-3月期)の世界シリコンウェーハ出荷面積が29億2000万平方インチだったと発表した。2019年4Q(10-12月期)の28億4400万平方インチから2.7%増加したが、前年同期比では4.3%減となっている。

 SEMI SMGニール・ウィーバー会長(Shin‐Etsu Handotai America 技術TS副会長)は、「シリコンウェーハの世界出荷面積は、この1年間にわたり減少が続いていたが、1Qにはわずかに回復した。しかし、新型コロナウイルスの影響により、次の四半期は市場の不確実性が広がるだろう」とコメントしている。

東レ RO膜の高性能化に寄与する重要知見を獲得

, ,

2020年5月19日

 東レはこのほど、理化学研究所の開拓研究本部前田バイオ工学研究室・杉田理論分子科学研究室との共同研究を通し、逆浸透膜(RO膜)の透水・物質除去機能の向上に寄与する重要知見を獲得した。

 透水・物質除去機能を担うポリアミド(PA)分子同士が形成する相互作用のネットワークの強さと、水分子の拡散挙動の関係を明らかにしている。東レは、解析結果を活用し、かん水淡水化、廃水再利用および廃水をゼロ化するZLD(Zero Liquid Discharge)向けの革新省エネルギーRO膜を始めとした、先端分離材料の開発を加速していく方針だ。

 世界では、地球規模の水不足・水質汚濁などの問題が深刻化しつつあり、安全な水の確保はSDGsの重要なテーマ。RO膜を用いた浄水技術は、持続可能な水資源を確保するための技術として、世界各地での採用が進んでいる。しかし、従来のRO膜では、造水量を高めると水質が低下してしまうトレードオフの関係があるため、高品質の水を得るための除去性能と省エネルギーを実現する透水性能の向上には、RO膜中での水分子の拡散挙動の詳細解明が望まれていた。

 研究グループは、RO膜のPA分子構造でのPA分子同士および水分子との相互作用を解析し、PA分子集合体中の水分子の集合状態と運動性に及ぼす影響の解明に成功。その結果、PA分子同士が形成する相互作用のネットワークが疎なほど、水分子同士の相互作用が促され、運動性の高い水分子の集合体が形成されることを確認した。

 東レはすでに東京大学との共同研究によりPA分子集合体中のPA分子と相互作用して動きにくい「束縛水」と、運動性の高い「自由水」の関係性を解明しており、自由水は束縛水と比べて10倍以上速く拡散することを見出だしている。これらの研究成果を応用し、微細な細孔の構造とその中での水の動きを精密に制御できれば、透水・除去性能に優れた高性能RO膜が得られる。

 なお、今回の研究成果は、科学技術振興機構(JST)の研究成果展開事業「センター・オブ・イノベーション(COI)プログラム」の支援を受け、「世界の豊かな生活環境と地球規模の持続可能性に貢献するアクア・イノベーション拠点」の事業・研究プロジェクトによって得られた。

 東レは今後も、地球上の誰もが十分にきれいな水を手に入れられる社会の実現に寄与するため、産学官の連携により、世界各地への社会実装を目指して研究・技術開発を推進していく。

 

三井化学 アークを完全子会社化、機動的な意思決定を図る

, ,

2020年5月19日

 三井化学はこのほど、同社を株式交換完全親会社とし、連結子会社のアークを株式交換完全子会社とする株式交換を行うことを決め、14日に両社間で株式交換契約を締結したと発表した。アークの普通株式1株に対して、三井化学の普通株式0.0511株を割り当てる。アークは今年7月30日付で上場廃止になり、8月1日付で三井化学の完全子会社となる予定だ。なお、同株式交換により交付する株式数は、529万9076株になる見込み。

 開発支援企業であるアークは、1948年の創業以来、自動車をはじめとするあらゆる業界で、商品企画やデザイン、製品設計、解析エンジニアリング、試作、金型の設計・製造・メンテナンス、小ロット成形品の生産・販売など、幅広いサービスを提供している。

 三井化学は、アークと両社の強みを融合し、国内外で相互に事業拡大を図るため、2018年1月にアークを連結子会社化した。その後、三井化学の素材の知識、アークの自動車向け開発支援の知見といった各々の得意分野を中心に、両社のチャネル・技術を活用。総合力を駆使したソリューション提案と、両社の顧客基盤のさらなる拡大や周辺新事業の創出が可能となり、持続的な成長を目指し協業を進めてきた。

 一方で、自動車産業全体を揺るがすほどに急速に変化す市場環境の中では、多様化する顧客ニーズへの迅速な対応が求められる。両社によるより強固な連携が不可欠との考えの下、グループの総力を挙げた迅速かつ円滑なソリューション提案が可能な体制へ移行するために、今回の完全子会社化を決めた。

 アークの2020年3月期の業績は、売上高は前期比5%増の146億円、営業利益134%増の15億円、経常利益56%増の15億円、純利益98%増の12億円だった。

 今後は、三井化学の中長期的視点に基づき、グループ一体としての機動的な意思決定や、人的・財務的経営資源の効率的な配分、両社間の緊密なコミュニケーションによる協業を促進していく。

 

日化協 淡輪会長「化学がグローバルな社会課題を解決」

, ,

2020年5月18日

 日本化学工業協会は15日、定例となる淡輪敏会長(三井化学会長)のオンラインによる会見を開催した。淡輪会長は今月で2年の任期を満了するため今回が最後の会見となる。

 淡輪会長は、「新型コロナウイルスの感染拡大は、生活や企業活動に大きな影響を及ぼしている。化学産業にとって最も重要な課題は工場の安全操業を維持することであり、従業員の感染防止に最大限努めている。

コンテンツの残りを閲覧するにはログインが必要です。 お願い . あなたは会員ですか ? 会員について

旭化成 延岡のスパンボンド不織布製造工場、撤収を決定

, ,

2020年5月18日

 旭化成は15日、スパンボンド不織布を製造する延岡エルタス工場(宮崎県延岡市)の撤収を決定したと発表した。

同工場は、2001年より製造を開始し、19年間にわたり、主におむつを中心とした衛生材料向けに国内顧客へ不織布製品を提供してきた。しかし、昨年9月に延岡市で発生した竜巻が工場を直撃し、甚大な被害を受けたため製造の停止を余儀なくされていた。

復旧に向け検討を重ねてきたが、復旧費用が大きいこと、設備の老朽化が進んでいること、また再開まで1年以上の期間を要することなどを勘案した結果、復旧を断念し工場を撤収することを決定した。販売活動については今年9月末までに終了し、従業員については、原則として他の既存事業に再配置することを予定している。

 同社は、中期経営計画において、経営資源の優先投入や再配分を進めることで事業ポートフォリオの転換を図り、サステナブルで高付加価値な事業体となることを目指している。同時に、グループビジョンにおいて、「健康で快適な生活」と「環境との共生」の実現を掲げており、ポリプロピレン・スパンボンド不織布の衛生材料事業は、グループの価値提供注力分野と定める「Life Material」のひとつ。

 今後、同事業については、旭化成スパンボンド(タイ)を中心にさらなる事業の拡大に努め、世界の人びとの〝いのち〟と〝くらし〟に貢献していく考えだ。