三菱ガス化学 国内最大規模の完全人工光型植物工場を竣工

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2019年11月26日

 三菱ガス化学はこのほど、国内最大規模となる完全人工光型植物工場が竣工し、今月22日に竣工式を行ったと発表した。同社事業所である「QOLイノベーションセンター白河」内に建設していた。

 完全人工光型植物工場は、従来の畑地栽培やハウス栽培とは異なり、施設内で植物の生長に必要な光や温湿度、CO2濃度、水分、栄養分などの環境条件を制御しながら、常に最適な生育環境で植物を栽培する施設。そのため、季節や天候に左右されることなく、1年を通して、安定した品質の野菜を、安定に提供することが可能となる。

 今回竣工した工場は、完全人工光型植物工場としては国内最大規模を誇り、1日2.6t以上、1株80グラムのリーフレタス換算で約3万2000株の葉菜類の生産能力を持つ。また、工場設計の工夫や最新の技術ノウハウなどの導入により同時に多品種を栽培でき、一般消費者向け個包装商品から業務用商品まで、顧客ニーズに沿った計画的生産と供給が可能となった。

 今後は、同社とファームシップが共同で設立した「MGCファーミックス」がこの工場を運営するが、GLOBAL G.A.P.認証(食品安全に関する国際規格の1つ)の早期取得に向けた活動を開始するなど、安全・安心にこだわって生産・販売を行っていく。三菱ガス化学は、工場の竣工により、同社グループとしての「医・食」分野でのさらなる成長を目指すとともに、福島の発展・活性化にも貢献していく考えだ。

旭化成ファーマ ファスジル製剤で米社とライセンス契約締結

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2019年11月26日

 旭化成ファーマは25日、同社が開発したRho‐kinase(ローキナーゼ)阻害薬「ファスジル塩酸塩水和物」について、米Woolsey Pharmaceuticals(ウールジー社)とライセンス契約を締結したと発表した。

 対象となるのは、注射剤と点眼剤以外のファスジル製剤。脳卒中と冠動脈疾患以外の全疾患に対し、日本・韓国・中国(香港とマカオを含む)・台湾以外の全世界での開発権と製造権・独占的販売権をウールジー社に供与するもの。

 ウールジー社は、今年設立されたプライベートカンパニーで、承認済みの薬剤を用いて他の適応で開発を行うリバイバル創薬に特化した事業を行っている。近年の研究では、ローキナーゼが、細胞内情報伝達に関与する蛋白質リン酸化酵素であり細胞の収縮・増殖・遊走・アポトーシス・遺伝子発現誘導など重要な生理機能に関与していることが明らかになってきている。

 このようにローキナーゼ機能の解明が進むにつれて、特徴的なローキナーゼ阻害作用をもつ「ファスジル」が、多くの疾患に対して効果を示すことが期待されている。こうしたことから今回、ウールジー社のリバイバル創薬により「ファスジル」が希少神経変性疾患の治療に貢献することを期待し、希少神経変性疾患治療薬の開発に注力している同社に「ファスジル」を導出することとなった。

 なお、「ファスジル」の注射剤(日本販売名「エリル点滴静注液30㎎」)は、旭化成ファーマが日本と中国で「くも膜下出血術後の脳血管攣縮及びこれに伴う脳虚血症状の改善」の適応症で販売しており、同疾患の治療に広く使用されている。

BASFジャパン 創立70周年記念し茅ヶ崎で清掃活動

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2019年11月25日

 BASFジャパンは10月に創立70周年を迎えたことを記念して、11月9日に茅ヶ崎サザンビーチでクリーンアップ活動を実施した。社員有志とその家族約110人が参加した。

集めたごみの分類と計測を行う 参加者
集めたごみの分類と計測を行う 参加者

 同社は毎年100を超える国と地域で行われている、海洋環境保護活動「国際海岸クリーンアップ(International Coastal Cleanup:ICC)」キャンペーンへの参加を表明している。茅ヶ崎でのイベントはその活動の一環。清掃活動の後、ICCの世界共通の手法により、集めたごみの分類と計測、データカードへの記録を行った。

 調査結果は日本のICCのナショナルコーディネーターである、JEANの海洋ごみデータベース情報に登録される。同社では社員有志による社会貢献活動として、今後も毎年継続していく予定である。

 BASFは自然環境、特に海洋でのプラスチック廃棄物を削減・除去するソリューションを前進させるため、様々なプロジェクトやイニシアティブに携わっている。

 例えば、プラスチック廃棄物問題の解決に向けた世界的なアライアンス「Alliance to End Plastic Waste(AEPW)」の設立や、プラスチックペレットの環境への漏出を防止するためのプラスチック業界の国際的な取り組み「Operation Clean Sweep」への参加、プラスチック廃棄物をガス化・油化して新製品を生み出す「ChemCyclingプロジェクト」の推進などが挙げられる。

 BASFジャパンの活動も、そうしたグローバルでの取り組みに準じたものだ。なお、BASFが初めて日本市場にアプローチしたのは明治時代。当時、BASFの代表的な合成染料である「インディゴ・ピュアBASF」が日本に輸入され、「紺がすり」にも採用された。その後、1949年10月12日に、現在のBASFジャパンの母体となるカラケミー貿易が設立されている。

住友商事 日豪間の水素サプライチェーンの実証事業に参画

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2019年11月25日

 住友商事はこのほど、川崎重工業、電源開発(Jパワー)、岩谷産業、丸紅、豪AGL Energy(AGL)が取り組んでいる、豪ビクトリア州ラトローブバレーの褐炭から製造された水素を液化し、日本へ輸送する国際的なサプライチェーン(Hydrogen Energy Supply Chain Project)構築の実証事業に参画すると発表した。

 住友商事を含む6社は、豪州連邦とビクトリア州政府の補助金を受け、水素ガス精製、液化水素製造、陸上輸送および積出のパイロット実証と、水素サプライチェーンの商用化に関する検討を行う。実証設備の建設は、今年から順次開始しており、最初の水素製造と輸送試験は、2020~2021年の間に実施を予定している。

 住友商事は同実証を通して、豪州連邦とビクトリア州政府が取り組んでいるCarbonNet Projectとのコミュニケーションを促進する役割を担い、将来のCO2フリー水素サプライチェーンの構築を目指し実証事業の完遂に貢献していく。

 川崎重工と岩谷産業は、液化水素積荷基地の建設と運用評価を担当し、Jパワーは、褐炭をガス化し、製造された水素ガスの精製設備を担当している。また、丸紅はそれぞれの実証を基に将来の商用サプライチェーン構築に向けた具体的な道筋の構築を行い、AGLは、褐炭の供給とガス精製設備の建設地を提供している。

 住友商事は、昨年5月に事業部門横断の「水素関連ビジネスワーキンググループ」を立ち上げ、水素関連のビジネス機会の可能性を追求している。今後も、水素社会の実現に向けた取り組みを加速させていく考えだ。

凸版印刷 プラフィルムのマテリアルリサイクルの研究を開始

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2019年11月25日

 凸版印刷はこのほど、NEDOが公募した2019年度「NEDO先導研究プログラム/エネルギー・環境新技術先導研究プログラム」の委託事業者として、同社が参画する「プラスチックの高度資源循環を実現するマテリアルリサイクル(MR)プロセスの研究開発プロジェクト」に採択され実証を開始した。

 同研究プロジェクトは、福岡大学工学部化学システム工学科の八尾滋教授をプロジェクトリーダーに、8つの研究機関と、凸版印刷を含む10社が共同で革新的な技術・システムの先導研究を行い、使用済みプラをバージン素材と同等の物性に再生し、再利用するMRの技術開発を行うもの。

 同社は、同研究プロジェクトの中で、再生されたプラ樹脂を軟包装フィルム化する際の課題の抽出を行う。この取り組みを通して、再生プラ樹脂を軟包装として再利用するための、リサイクルシステムを構築する技術開発への取り組みを開始する。

 プラごみ問題が社会課題として注目される中、国内外で環境配慮型包材の需要が高まっており、グローバル企業の多くが容器包装のより優れたプラ資源循環に向けた目標を設定し、さまざまな施策を打ち出している。また米国では、ポリエチレン(PE)の回収から再利用までのリサイクルルートが整備され始めているなど、世界的にもモノマテリアルを前提とするリサイクルへの取り組みが加速しつつある。

 同社はこうした社会動向に対応するため、PET、ポリプロピレン(PP)、PEを基材としたバリアフィルムを開発し、軟包装に使用される3つの主要素材すべてのモノマテリアル高機能包材を提供する。

 今回開始する同研究プロジェクトは、成形品や軟包装などで使用されたプラ製品を回収・選別し、包材にも再利用するというMRプロセス構築を目指す研究開発。このリサイクルプロセスが構築されることにより、国内ではPETボトル以外のPEやPPの回収ルートの構築が実現し、国内についてもモノマテリアル包材のリサイクルの実用化が期待される。

 同社は、リサイクル適性の高い製品としてモノマテリアル高機能包材を開発・販売すると同時に、MRプロセスの構築に貢献することで、グローバルレベルの社会課題であるプラごみ問題の解決と、将来にわたる持続可能な社会の実現を目指し、より積極的に地球環境保全への取り組みを図る考えだ。

日本触媒 核酸医薬ベンチャー企業を株式譲受で子会社化

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2019年11月25日

 日本触媒は22日、東京医科歯科大学発の核酸医薬のベンチャー企業であるレナセラピューティクスの株式の譲受を今月21日に完了し子会社としたと発表した。レナセラピューティクスは、東京医科歯科大学横田隆徳教授と大阪大学小比賀聡教授らが開発したヘテロ2本鎖核酸技術(HDO技術)を創薬基盤技術とし、核酸医薬を早期に実用化することを目指して設立した。

 核酸医薬はこれまで治療が困難であったさまざまな疾患に対する次世代の医薬品として期待されているが、投与後の血中安定性や副作用などに課題があることが広く知られている。HDO技術は、DNAとRNAからなる2本鎖にDDS(ドラッグデリバリーシステム)機能を発現するリガンド分子を結合させた構造を持つため、核酸医薬のこれらの課題を克服する革新的な技術と期待されている。

 HDO技術の高い可能性が認められ、レナセラピューティクスは2018年に核酸医薬開発の世界的なリーディングカンパニーであるイオニス社、国内製薬最大手の武田薬品工業とHDO技術の非独占的ライセンス契約の締結を発表した。なお、日本触媒は2017年にHDO技術の開発支援と両社の関係強化を図ってレナセラピューティクスへ出資を行っている。

 日本触媒は核酸やペプチドといった中分子医薬と、DDSを重点領域として健康・医療事業に注力している。今回の子会社化により核酸医薬のDDS技術の強化を図るとともに、事業支援を積極的に実施し、レナセラピューティクス、東京医科歯科大学、大阪大学との連携を通じてHDO技術の実用化を推進していく。

 日本触媒は、HDO核酸医薬の受託合成を担うことで、製薬企業などの顧客獲得を図り、原薬受託製造事業の拡大を目指す。そして、今回のシナジーを最大限に発揮し、患者に1日も早く核酸医薬を届けるため、創薬支援事業の確立・発展を目指してさらなる取り組みを続けていく考えだ。

帝人など 健康寿命の延伸目指すコンソーシアムを設立

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2019年11月22日

 帝人はこのほど、健康寿命を延伸し、前向きに年を重ねることで充実した生活を送ることを目指す「プロダクティブ・エイジングコンソーシアム」を設立したと発表した。幹事会社に、帝人、明治ホールディングス、島津製作所、オリエンタル酵母工業が名を連ね、帝人グループ会社NOMONが発起人となっている。

 近年、医療やテクノロジーの進化により〝人生100年時代〟を迎え、世界に先駆けて超高齢社会を迎えた日本では、医療・介護費が2040年に94.3兆円にまで増大すると見込まれており、健康寿命を延伸することが、個人だけでなく社会全体にとって大きな課題となっている。

 そのため政府は、「平均寿命を上回る健康寿命の延伸加速を実現し、2025年までに健康寿命を2歳以上延伸する」「2016年を起点として、2040年までに健康寿命を男女とも3年以上延伸し、75歳以上を達成する」といった健康寿命に関する指標も掲げている。

 また、内閣府が唱える日本のグランドデザインであるSociety5.0の大きな課題は、経済発展と社会的課題の解決を両立することであり、その解決策として、健康寿命延伸による、医療費、介護費を含む社会保障費の削減が期待されている。

 同コンソーシアムは、こうした流れを受け、「健康寿命を延伸し、歳を取ることを前向きに捉え、生まれてから最後の日まで自分らしく充実した生活を送る」こと、すなわち「プロダクティブ・エイジング」の実現を目指すという理念に賛同する企業が集まり設立した。

 同コンソーシアムは、幹事会社が中心となり、健康寿命延伸につながる情報の発信やイベントの開催などを行っていく。また、今後は、同コンソーシアムの理念に賛同する企業・研究機関などを広く受け入れることで、業界の垣根を超えた連携を推進していく。

JXTGエネルギー 「エネ供給のサステナビリティ」テーマにシンポジウム開催

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2019年11月22日

 JXTGエネルギーは20日、都内で第24回「新時代のエネルギーを考えるシンポジウム」を開催した=写真。最初に大田勝幸社長が挨拶を行い「私たちの生活に欠かすことのできないエネルギーは、CO2削減の観点から大きな転換期を迎えている。そのキーワードはESG投資。化石燃料を扱うエネルギー企業には、CO2排出削減に向け、積極的な対応が求められている」と指摘した。

JXTG 一方で、化石燃料は第5次エネルギー基本計画で、過渡期の主力と位置づけられているように「今後も安定的に生活を支えるエネルギーであり、今すぐ簡単に代替できるものはない」として、「エネルギー企業は

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帝人 EV用LIBセパレーターで上海社とライセンス契約

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2019年11月22日

 帝人は21日、中国・上海にある上海恩捷新材料科技(上海エナジー社)との間で、車載用リチウムイオン二次電池(LIB)に使用される溶剤系コーティングセパレーターの製造に関する技術ライセンス契約を締結したと発表した。

 同技術ライセンス契約は、電気自動車(EV)向けLIBの高性能化や安全性向上を実現する、帝人独自のフッ素系化合物による溶剤系コーティングセパレーターの技術に関するもの。対象となるのはコーティングの組成や生産プロセスに関わる特許で、同契約締結により、上海エナジー社の基材生産能力やコスト競争力との融合を図る。

 LIBは、すでにスマートフォンやモバイルパソコンなどの電子機器向けに幅広く使用されているが、世界的な環境規制の強化を背景にEV化が加速する中、安全で長距離走行に耐え得るLIBの需要が急速に拡大している。帝人は独自技術により、ポリエチレン基材にメタ系アラミド「コーネックス」やフッ素系化合物をコーティングしたセパレーターを開発し、スマホなどの民生用のLIB向けに展開してきた。

 しかし、EV向けの展開には、生産能力の増強やコスト競争力の強化が課題となっていた。こうした中、帝人のもつセパレーター向けコーティング技術と、上海エナジー社がもつ世界トップクラスの基材生産能力とコスト競争力とを融合させることにより、市場でのプレゼンス向上を図れると判断し、今回の技術ライセンス契約締結に至った。

 帝人は今後、上海エナジー社と共同で顧客ニーズの探索を進め、EV向けLIBに求められる要求特性を満たすセパレーターの開発を重ねることにより、溶剤系コーティングセパレータの市場シェアを高めていく。また、高容量でバッテリー性能が高く、安全性も担保できるEV向けLIBの実現に寄与するセパレータの開発を進めるため、さらに両社提携の幅を広げていく考えだ。

 帝人は、将来のEVに求められる持久性と安全性を両立するセパレータを開発することにより、CO2排出量削減などの環境負荷低減に貢献し、長期ビジョン「未来の社会を支える会社」を目指すとともに 、SDGsの目標達成に貢献していく。

BASF 研究を助成、「循環代謝」など3テーマで募集

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2019年11月21日

 BASFはアジア太平洋地域の研究・学術機関に対し、「Nutrition Asia Research Grant(ニュートリション・アジア・リサーチ・グラント)2020」への研究の応募を呼びかけている。募集期間は来年1月9日まで。発表は3月を予定している。

 7回目となるこの助成プログラムは、アジア太平洋地域の消費者にとって喫緊の課題である、健康と栄養に関する問題への科学的研究を支援することを目的としている。

 助成対象となる研究は「免疫サポート」「循環代謝」「身体機能と運動性」の3つの主要分野に焦点を当てたもの。今回の募集では、特に免疫と代謝に関するヒトミルクオリゴ糖(HMO)の生物学的機能に重点を置き、助成する全5案のうち2案は、人間の健康に関したHMOの役割を調査するプロジェクトに授与する。

 HMOは構造的にも生物学的にも多様性に富む難消化性糖質で、ヒトの母乳中に豊富に含まれている。また、HMOが免疫調節機能に必須であり、腸内フローラの特定有益菌の増殖を促進することが最近の研究で明らかになっている。

 企画書の評価・選考は、ヒューマン・ニュートリション分野の著名な研究者や主要なオピニオンリーダーで構成される専門家が行う。5人の研究者に1人あたり最大4万ユーロが授与され、各プロジェクトには18カ月の研究期間が設けられる。

 2012年の同プログラムの開始以来、BASFはオーストラリア・中国・インド・インドネシア・マレーシア・シンガポール・タイの30のプロジェクトを助成してきた。このうち15のプロジェクトは学術会議やセミナーで紹介され、査読付き論文も八本発表されている。