東レはこのほど、ハンガリーのニェルゲシュウイファル市に、リチウムイオン二次電池(LIB)用バッテリーセパレータフィルム(BSF)生産設備の新設を決定した。新生産設備は昨年4月に設立した東レハンガリーに設置し、これにより東レグループ全体のBSF生産能力は年産約20%の増強となる。稼働開始は2021年7月を予定。
現在、同社のBSF関連生産設備は、日本の那須工場のほか、韓国にも二拠点がある。TBSK社ではBSFの開発・製造・販売を行い、TBCK社ではコーティング加工を行っている。両拠点では、2017年に発表したそれぞれの増産設備を昨年度から順次稼働させている。
BSFの世界需要は、携帯型電子機器、定置用蓄電池など民生用途の堅調な拡大に加え、今後は電気自動車(EV)の普及拡大による車載用途での急激な拡大が見込まれている。特に欧州では、環境問題への意識の高まりから、EVなど環境対応車の普及は急速に進むと見られており、電池メーカー各社の進出も活発だ。
同社の海外事業展開は、地産地消を基本戦略としており、顧客の立地に合わせて生産拠点を設置することで、需要増への対応を確実に行うとともに、同地域での経済発展にも貢献していく考え。
フィルム事業では、現在進めている中期経営課題〝プロジェクト AP‐G 2019〟の基本方針を「成長分野での高付加価値品拡販とグローバル拠点のフル活用による事業拡大」と設定し、BSF事業の拡大を最大の課題と位置付けている。
企業理念「わたしたちは新しい価値の創造を通じて社会に貢献します」のもと、環境負荷の低減に貢献するLIBの主要部材であるBSFの需要拡大に積極的に対応することで、あわせて世界シェアナンバーワンのBSFメーカーを目指していく。