昭和電工 日立化成を9600億円超で買収

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2019年12月19日

 昭和電工は18日、今月9日に設立した完全子会社のHCホールディングスを通じ、日立化成の全株式を株式公開買い付け(TOB)で買収すると発表した。

 昭和電工によれば、日立化成が目指す「機能創出・ソリューション提供を通じた存在感のあるグローバルトップクラスの高機能材料メーカー」と、昭和電工が求める「製造業を超えたソリューション提供カンパニー」という目指す姿が一致していることに加え、日立化成の「ニッチ&クラスター戦略」は、昭和電工の「個性派事業戦略」と、ソリューション志向である点や、多くのグローバルトップシェア事業を対象とした成長戦略であるといった意味で共通性があると考えている。

 こうした背景から、日立化成を子会社化することは、両社の経営方針にも合致するとし、今回の買収合意に至った。買収金額は9600億円超となる見込み。

 昭和電工が目指す「個性派企業」とは「収益性と安定性を高レベルで維持できる個性派事業の連合体」であり、「個性派事業」は適正な市場規模でグローバルトップシェアを獲得できる事業と定義している。

 適正な市場規模は個別事業分野の特性や事業環境によるが、1つの目安として500億~5000億円の市場を有力な対象として考えている。

 昭和電工は、電子材料用高純度ガスやハードディスク、さらには黒鉛電極など、すでに特色ある複数の個性派事業をもっており、また、アルミニウム事業やセラミックスを含めた非有機・無機化学品事業が、売上高の半数超となっている。

 この点、有機化学の事業が大宗を占める企業が多く存在する化学業界の中で、化学メーカーでありながら売上高の半数超が非有機・無機化学品事業で占められる昭和電工の事業ポートフォリオは、世界的にもユニークな事業ポートフォリオとなっている。

 昨年12月に公表し、今年から開始した3カ年の中期経営計画「The TOP 2021」の中では、既存の個性派事業に続く新たな個性派事業群の確立に取り組み、2025年には少なくとも既存事業の半数以上を「個性派事業」とすることを中長期的な経営目標としている。

 このような経営戦略を実現するために、1500億円のM&A枠を含む総額4000億円の投資枠を打ち出し、個性派企業として競争力を高める手段としての他社との提携やアライアンスの方策の検討を進めていた。

東レ 世界最高レベルの造水性能をもつRO膜を開発

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2019年12月19日

 従来比1.7倍の造水量、エネ消費を大幅に削減

 東レは18日、従来品比で造水量を約1.7倍に高めた世界最高レベルの造水性能を持つ海水淡水化向け逆浸透膜(RO膜)を開発したと発表した。

海水淡水化向け逆浸透膜(RO膜)
海水淡水化向け逆浸透膜(RO膜)

 新たに開発した「精密界面重合技術」により、高水質を維持したまま造水量を増大することができるため、ROプラントのエネルギーコストの大幅削減に貢献できる。

 世界では、地球規模の水不足・水質汚濁などの問題が深刻化しつつあり、安全な水の確保はSDGs(持続可能な開発目標)の1つ。

 RO膜による水処理は、

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BASF ポリアミド樹脂がグレーチング製品に採用

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2019年12月18日

 BASFはこのほど、ポリアミド樹脂「Ultramid(ウルトラミッド)」が、シマブン(福岡県久留米市)が新たに発売したグレーチング製品に採用されたと発表した。

「ウルトラミッド」を使用したグレーチング
「ウルトラミッド」を使用したグレーチング

 シマブンは樹脂製グレーチングを製造している。「ウルトラミッド」製のグレーチングは強度に優れ、金属製のグレーチングに比べて軽量であるため、作業者がより多くの荷物を運んだり、プロジェクトをより早く仕上げたりすることが可能になる。

 シマブンの島信英社長は「ウルトラミット」の優れた機械的特性により、新たに発売したグレーチングは腐食性が抑えられるとともに、ノンスリップ性能に優れ、錆びや滑りやすいといった問題解決にも役立つと評価。「押出成型と組み立てによって製造することで、幅広い製品をリーズナブルな価格で提供し、業界のニーズを満たすことができる」と述べている。

 BASFは材料ソリューションの提供に加え、独自のCAE(コンピューター援用工学)解析ツールを用いた設計・解析でもシマブンを支援した。CAEの活用により、開発チームは初期段階から設計を最適化し、材料を効率的に使用して、製品の強度と性能を最大限にすることができた。

 BASFジャパン・パフォーマンスマテリアルズ事業部の山本勇事業部長は「全国の建設現場や物流業界は人手不足に陥っており、プロジェクトオーナーは耐久性と軽量性を兼ね備えた建築資材を求めている」との認識を示した上で、シマブンと協力することで積載効率を改善し、ビジネスの生産性向上に貢献することを指摘した。

 グレーチングは橋のデッキや歩道、スタジアムなどの屋外施設や厨房で使用されている格子状の蓋で、排水溝の詰まりを防ぎ、水や空気の流れを促進する。

大日本住友製薬 再生細胞薬の共同開発中止でサンバイオと合意

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2019年12月18日

 大日本住友製薬とサンバイオ(東京都中央区)はこのほど、再生細胞薬「SB623」の慢性期脳梗塞を対象とした、北米(米国・カナダ)での共同開発を中止することで合意した。大日本住友製薬とサンバイオの米国子会社SanBioの間で2014年に締結した、共同開発とライセンス契約を解消する。

 北米の同剤に関する権利は、サンバイオグループ(サンバイオ・SanBio)に返還される。今後両社間での開発協力金やマイルストンなどの支払い・受領は発生しない。なお、大日本住友製薬は保有するサンバイオ株式を、現時点で売却する予定はない。

 サンバイオグループが慢性期脳梗塞を対象として米国で行った、フェーズ1/2a臨床試験の良好な結果を受けて、2014年9月に大日本住友製薬とSanBioは契約を締結。しかし、これに基づき2015年に開始したフェーズ2b臨床試験は、今年1月に主要評価項目未達という結果となった。その後実施した詳細解析も踏まえ、両社で今後の方針を協議し、契約を解消することになった。

 大日本住友製薬は同剤のフェーズ2b臨床試験の詳細解析を踏まえ、全社の事業戦略上の優先順位を検討した結果、共同開発を中止することを決定した。一方、サンバイオグループは、今後もグローバル展開を目指して同剤の慢性期脳梗塞を対象とした開発を継続する。

三洋化成 初の化粧品ブランド「Cheriage(シェリアージュ)」立ち上げ

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2019年12月18日

 三洋化成工業はこのほど、化粧品ブランド「Cheriage(シェリアージュ)」を立ち上げ、来春から中国での販売を開始すると発表した。完成版の化粧品を取り扱うのは今回が初めて。まずは、洗顔フォーム、バリアミスト、ルージュ、アイライナーの四商品を通販サイトを利用し中国市場に投入していく。

「Cheriage」ブランド。(右上から反時計回りに)洗顔フォーム、バリアミスト、ルージュ、アイライナー
「Cheriage」ブランド。(右上から反時計回りに)洗顔フォーム、バリアミスト、ルージュ、アイライナー

 同社は「変える。」をスローガンに様々なチャレンジを推進する中、その1つとして化粧品事業開拓に注力しており、昨年5月に「Sanyo Skin Coffret(コフレ=小箱)」プロジェクトを発足させた。

 今年10月には同プロジェクトを発展的に解消し、新たに「Beauty & Personal Care部」(BPC部)を設置して体制をさらに強化。同社がもつ技術を総合的に融合することで、スキンケア・ヘアケアを中心とした化粧品分野に向け、新たな価値を提案する化粧品原料の開発を行っている。

 同社の強みは、幅広い分野で活躍する界面制御技術をはじめとした多様なコア技術と、ニーズを機能と物性に翻訳し、最短ルートで組成・プロセスにつなげる開発スタイルだ。そのためには、技術や評価力の向上だけでなく、消費者の美容ニーズの把握が重要という考えから今回、化粧品ブランド「シェリアージュ」を立ち上げた。

 最終化粧品まで手掛けることで、中国での同社の認知度向上を図るとともに、末端消費者のニーズを直接把握し化粧品原料の開発へと反映させることが狙い。

セキ・ユウティン(左)とユウリ選手
セキ・ユウティン選手(左)とユウリ選手

 同ブランドは、同社がスポンサーを務め、中国と日本で活躍する中国人女子ゴルファー、石昱婷(セキ・ユウティン)、石昱莉(セキ・ユウリ)両選手とのコラボによって生まれた。

 ブランド名は、セキ姉妹が好きな桜のcherryとフランス語のcheri(最愛の)、age(時代)を組み合わせて名付けたもの。セキ姉妹のように、将来が期待される若い女性を対象に、コスメを使うことで外見のかわいさだけでなく、内面までキラキラ輝く強い女性になれるようなブランドを目指す。

 今後は、イメージモデルにセキ姉妹を起用し、ブランドの魅力を伝えていく。開発メンバーも、女性活躍推進の観点から、統括リーダーをはじめ女性を中心とした構成にした。高品質な日本製化粧品に対する信頼度が高い中国で、メインユーザーの女性目線でユーザーニーズを捉えていく。

三菱ケミカルインフラテック 受水槽「ヒシタンク」に追い風

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2019年12月18日

災害時の水確保が再評価、更新需要も取り込む

 毎年のように大規模な自然災害が発生する中で、生活に不可欠な飲料水を提供する受水槽が再評価されるようになっている。受水槽市場で国内トップシェアの三菱ケミカルインフラテック(MCIT社)は、レジリエンスの観点から新規拡販を行うとともに、更新につながる提案を行っている。

 MCIT社は三菱ケミカルの子会社で、住環境設備資材や社会インフラなどを製造・販売している。コンクリートや鋼板製が一般的だった受水槽市場で、1962年に国内初となるFRP(ガラス繊維強化プラスチック)製の受水槽「ヒシタンク」を発売した。これにより、従来品に比べ軽量で耐久性に優れ、より清潔な飲料水を提供することが可能になったことから、発売から半世紀以上が経過した現在も、国内トップシェアを維持している。

 同社によると今、「ヒシタンク」に追い風が吹いているのだという。バブル期に建てられたマンションやビルの受水槽が更新期を迎えており、これまでは

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三井化学 〝世界一過酷なマラソン〟完走の講演会を開催

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2019年12月17日

 三井化学は、がんを克服して「サハラ砂漠250㎞マラソン」に挑戦し完走した大久保淳一氏の講演会を、同氏が代表を務めるNPO法人5years(ファイブイヤーズ)と共催する。来年1月8日、午後6時30分~午後8時の開催。

サハラ砂漠を走る大久保氏
サハラ砂漠を走る大久保氏

 三井化学では、社員と会社から寄付を募る共同CSR「ちびっとワンコイン」の枠組みを通じて、昨年から5yearsの活動を継続支援している。同団体代表の大久保氏が、がんを克服して世界一過酷なマラソンの1つと言われる「サハラ砂漠250㎞マラソン」に挑む姿に共感。同氏の挑戦は、三井化学のコアバリューの一つ「チャレンジ」を体現するものであることから、大久保氏のレースを支援した。

 レースには、同社が開発した眩しさを低減し、色の差を見分ける力をアシストするレンズ『NeoContrast』などを提供し、その効果を体感してもらった。今年4月、大久保氏は見事完走を果たした。

 開催場所は、三井化学本社4階「LINK Cafe -結-」(東京都港区東新橋1―5―2 汐留シティセンター)で、定員は50名。なお参加費は無料。参加申し込みは、専用メールアドレス(mci_cc_event@mitsuichemicals.com)で受け付けている。氏名、所属、連絡先(当日連絡の取れる電話番号)を明記のこと。

旭化成 米にマーケティング拠点新設、自動車分野を強化

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2019年12月17日

 旭化成は16日、米子会社の旭化成アメリカが北米での自動車分野を中心にさらなるマーケティング活動強化を図るため、ミシガン州ノバイ市にノバイ事務所を開設したと発表した。

ノバイ事務所
ノバイ事務所

 ノバイは、BIG3(ビッグスリー)と呼ばれる米系大手自動車メーカーが本社を構えるデトロイト近郊に位置し、周辺に多くの部品メーカーが所在する。自動車産業の中心地に北米の自動車関連マーケティング機能を集約させることにより、急激に変化するモビリティ分野のニーズに合った製品の提案を行っていくのが狙い。同時に、北米にはモビリティ分野以外にも多くの成長分野があり、それらの分野での新規事業創出を加速していく。

 具体的には、今年4月に旭化成本社に新設したマーケティング&イノベーション本部と連携することで、マーケティング機能をさらに強化していく考えだ。同社は、中期経営計画「Cs+(シーズプラス) for Tomorrow 2021」の中で、マテリアル領域の価値提供注力分野としてモビリティを掲げている。

 北米で同分野に展開するカーシート素材、コンパウンド樹脂、バッテリーセパレーター、電子部品などの製造や販売、顧客に対する技術支援活動などを行っており、大手自動車メーカーに数多く採用実績がある。

 2017年に27品目(現在は35品目)の部材・システムを搭載するコンセプトカー「KXY(アクシー)」を、今年5月には未来の車の快適な車室空間を具現化したコンセプトモック「AKXY POD」をそれぞれ発表し、各種展示会を通じて自動車メーカーや部品メーカーをはじめとする顧客と、未来の自動車・サービスのあり方について議論を進めている。同社は今後も、顧客満足の向上と新たな価値の創造を通じて、北米での事業を積極的に拡大していく。

ランクセス 南アのクロム鉱山の株式を地元企業に売却

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2019年12月17日

 ランクセスはこのほど、南アフリカ・ルステンブルクのクロム鉱石鉱山の保有株式74%を、クローバー・アロイズに売却すると発表した。クローバー・アロイズは同国のクロム鉱石粒子サプライヤー。両社は11月15日付で売却に関する合意書に調印し、売買価格を公表しないことで合意している。

 株式譲渡は関係各国の独占禁止法規制当局の承認を経て、2020年末までに完了する予定。鉱山の残りの株式26%は、従業員と複数の個人投資家で構成される少数株主のダーレムが引き続き保有する。

 ランクセスは今年8月、すでにクロム化学品事業を、中国の兄弟科技に売却することを発表している。ランクセスによると、同社は近年、特殊化学品の事業ポートフォリオに注力することを明確に掲げ、その戦略を体系的に推進している。このため、クロム化学品事業の売却に続いて、同事業の重要な原料であるクロム鉱石鉱山の保有株式を売却することは、戦略的に理にかなったものになるという。

 鉱山では約500人のスタッフと1000以上の請負業者が従事しており、鉱山から採掘されるクロム鉱石は、フェロクロムや化学業界の原料、半導体用途で使われている。

帝人ファーマ 事業共創プログラムの受賞ベンチャー決定

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2019年12月16日

 帝人ファーマはこのほど、事業共創プログラムの受賞ベンチャー企業として、AMIとエーテンラボ、キママニの3社を決定した。

 帝人ファーマは大手企業とベンチャー企業の共創支援を行うアドライトと、在宅医療分野のアクセラレータープログラムを共同運営してきた。選考をクリアしてきた選抜企業5社による成果発表イベントを開催した結果、3社を「Home Healthcare Award」受賞企業に決定した。

 AMIは「超聴診器を用いた新たな心疾患管理指標の構築」、エーテンラボは「互いに励まし合いながら習慣化を目指すピアサポートを生かした在宅患者のアドヒアランス向上」、キママニは「認知行動療法をベースにした感情を記録するデジタルアプリの精神疾患の治療への展開」について発表した。

 同プログラムはベンチャー企業の技術やアイデアと、帝人ファーマがもつ知見や医療関係者とのネットワークを組み合わせることにより、在宅医療分野で新たな価値提供につながる製品・サービスの開発を目指し、7月に開始されたもの。こうしたベンチャー企業との事業共創を目的とした公募型プログラムは、同社としては初めての試みとなる。

 今回の成果発表イベントでは、日本国内のベンチャー企業からの応募受付・書類・プレゼンテーションによる選考を経て決定した選抜企業が、同社の研究員や在宅医療に携わる医師とともに検討を重ねた成果を発表し、それらの内容について、患者に提供する価値の革新性や創造性などの観点から厳正に審査を行った。同社では今後、受賞企業を中心に、選抜企業の各社とともに新規事業創出に向けた検討を行っていく。