住友化学 豪農薬会社と買収で合意、南米の子会社4社

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2019年10月1日

 住友化学は30日、オーストラリアの大手農薬会社ニューファーム社との間で、同社グループが所有するブラジルの子会社1社、アルゼンチン・チリ・コロンビアの子会社3社の全株式を、それぞれ子会社の住友化学ブラジル社と住友化学チリ社を通じて取得することで合意したと発表した。

 12月開催予定のニューファーム社株主総会での決議後、競争法当局による審査など、所定の手続きを経て買収が完了する見込み。

 南米地域は現在、世界の農薬市場の約25%を占めており、北米や中国を上回る市場規模になっている。世界最大の農薬市場で、特に大豆用の需要が多いブラジルや、世界有数の農業国であるアルゼンチンがあることから、世界の食糧需要増加を背景に、同地域での農薬市場のさらなる拡大が予想される。

 住友化学は1988年にベーラントU.S.A.社で農薬の開発・販売を開始して以降、北米地域で確固たる事業基盤を築き、現在では住友化学の農薬売上の約30%を同地域で上げている。また、2010年にニューファーム社へ出資して包括的事業提携を始め、世界31カ国で販売提携を中心にシナジー効果を生み出してきた。

 一方、2016年にはインドの農薬会社を買収、さらに同国内の住友化学子会社と合併し上場手続きを進めるなど、グローバルフットプリント(自社の販売網)の拡大にも注力し、世界的に事業を展開している。今回の買収によって、南米地域での住友化学の農薬売上高は約3倍となり、北米地域を上回る規模になる。

 また、高い成長が期待される同地域に確固たる農薬の自社販売体制を構築できるため、同社が進める一連のグローバルフットプリント整備が大きく進展することになる。

 さらに、同社が独自に開発したダイズさび病などに高い効果を示し、2020年以降に市場投入を予定している新規殺菌剤(一般名:インピルフルキサム、有効成分商標:インディフリン)を使い、ニューファーム社と共同で進めてきた新規混合剤開発を一層加速させ、製品ラインアップを拡充。今回強化する南米地域でのグローバルフットプリントを活用し、上市直後からインピルフルキサムの販売を確実に積み重ねることで、同地域での飛躍的な増収につなげる。

 加えて、同地域に新たに製剤拠点を獲得できることから、すでに住友化学が保有している、圃場を併設したブラジルの研究開発拠点と合わせて、開発から製造、販売まで一貫した事業運営を実現していく。

太陽石油 潤滑油販売プログラム、第2回集合研修を開催

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2019年9月30日

 太陽石油は系列サービスステーション(SS)向けの潤滑油販売プログラム「SOLATO オイルプログラム」の一環として、今月、全国6会場(東京都、京都府、広島県、愛媛県、香川県、熊本県)で「第2回集合研修」を開催し、97人が参加した。

研修会(実技) 同研修のメインテーマは、第1回のアンケート結果で特に要望の多かった「駆動系オイル」。苦手意識を克服し自信をもって駆動系オイルを販売できるようになるため、座学研修だけでなく実技研修=写真=も実施し、基礎知識から交換作業の方法までを体系的に学ぶ研修を行った。

 受講者からは「駆動系オイルの交換は想像していたよりもずっと簡単だった」「明日から積極的に声掛けしていきたい」といった声が寄せられ、SS従業員の知識・技術の向上と店頭販売増加につながる研修会となった。

 同社は、今後も同プログラムを通じ様々な販売施策を展開するとともに、オイルの販売促進につながる知識・技術の向上をサポートする研修を実施し、SSでのオイル販売をトータルサポートしていく。

三洋化成 シンガポールのコンサル会社とアドバイザリー契約

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2019年9月30日

 三洋化成工業はこのほど、シンガポールに本社を置く戦略コンサルティング会社のHafnium Hafawayとアドバイザリー契約を締結したと発表した。同契約を機にスタートアップ企業との事業共創を行い、新規事業の創出と既存事業の強化を目指す。

 Hafnium Hafawayはスペシャリティケミカルズのバリューチェーンを専門に扱うコンサルティング&スタートアップ支援会社。グローバルな拠点をもち、特に東南アジア・欧州・北米のスタートアップ企業を中心に、パートナー企業とのマッチングやスタートアップ企業への投資などを行っている。

 一方、三洋化成は、生活・健康、石油・輸送機、プラスチック・繊維、情報・電気電子、環境・住設産業など幅広い分野で、数多くのパフォーマンス・ケミカルス(機能化学品)を取り扱う。

 Hafnium Hafawayがもつスペシャリティケミカルズの専門知識や、スタートアップを評価できるベンチャーキャピタル機能を活用することで、同社の専門的で幅広い技術や、ビジョン・構想を十分に踏まえた有望なスタートアップ企業を絞り込めると期待している。

 三洋化成は既存事業の強化だけではなく、現在注力しているエネルギー・エレクトロニクス、バイオ・メディカル、化粧品、アグリ・ニュートリション分野での新規事業の創出も視野に、同契約を通して自社の枠を超えた、有望なスタートアップ企業とのイノベーション創出を図る考えだ。

住友化学 「ホワイト物流」推進運動に賛同、自主行動宣言を提出

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2019年9月30日

 住友化学はこのほど、国土交通省・経済産業省・農林水産省が提唱する「ホワイト物流」推進運動の趣旨に賛同し、自主行動宣言を提出したと発表した。

 「ホワイト物流」推進運動は、深刻化が続くトラックの運転者不足に対応し、国民生活や産業活動に必要な物流を安定的に確保するとともに、経済の成長に寄与することを目的とし、トラック輸送の生産性の向上・物流の効率化や、女性や高齢の運転者も働きやすい労働環境の実現に取り組むもの。

 同社は、これまでも物流事業者と連携しながら、トラックの運転者不足に対応した物流の効率化に取り組んできた。2014年には顧客と物流事業者の三者連携によるモーダルシフトや返却コンテナ活用の取り組みが評価され、経産省と国交省から「グリーン物流優良事業者表彰特別賞」を受賞した。

 また、今年4月には、船舶を最大限活用した飼料添加物メチオニンの国内輸送業務が国交省による「総合効率化計画」の認定を受けた。同社は、引き続き、取引先とのパートナーシップの下、物流の効率化や物流事業者の労働環境の改善を着実に推進し、持続可能な物流の実現を目指していく考えだ。

帝人 テキサスにCSP社新工場、21年度中の稼働へ

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2019年9月30日

 帝人の鈴木純社長は27日、記者会見を行い、米国テキサス州セギーン市に事業用地を取得し、工場を新設すると発表した。

記者会見を行った鈴木社長(左)とグレッグ知事
記者会見を行った鈴木社長(左)とグレッグ知事

 帝人グループで、軽量複合材料部品の生産・販売・技術開発を手がけるコンチネンタル・ストラクチュラル・プラスチックス(CSP社)が、自動車向け複合材料部品として、SMC(熱硬化性樹脂を繊維に含浸させシート状にした成形材料)の成形を行う工場となる。

 投資額は約7000万ドル(約75億円)。工場面積は約1万9000㎡で、従業員数は200人規模。今週着工し、2021年度中の稼働を目指す。北米で14ヵ所目、グローバルでは先日買収したチェコのベネット・オートモーティブ社に続く、25ヵ所目の複合材料部品の生産拠点となるが、テキサス州に工場を設けるのは初めて。

 鈴木社長は同州を選んだ理由について

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三菱ケミカル 生分解性プラスチックが環境省の実証事業に採択

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2019年9月27日

 三菱ケミカルは26日、生分解性バイオマスプラスチック「BioPBS」を用いた事業が、環境省が行う「令和元年度 脱炭素社会を支えるプラスチック等資源循環システム構築実証事業(委託)」として採択されたと発表した。

 「BioPBS」は、同社が開発し基本特許をもつ植物由来の生分解性プラスチックで、自然界の微生物によって水と二酸化炭素に分解されるため、自然環境への負荷が少ないという特長がある。

 現在、同社とタイのPTTグローバル・ケミカル社が折半出資するPTT MCCバイオケムが製造を行っている。今回採択されたのは「『BioPBS』の農業用フィルム等開発および実用化」事業だ。

 農業の生産性向上に貢献する一方で、使用後の回収・処分に大きな環境・労働・経済的な負荷が生じている農業用マルチフィルムについて、生分解性かつ植物由来のプラスチックを用いた新しい社会システムの構築を図る。

 具体的には、フィルムの分解を制御する方法を確立し、廃棄処理不要な農業用マルチフィルムをより多くの作物や地域に適用させることを目指す。なお同事業は、農業・食品産業技術総合研究機構(農研機構)、静岡県立大学、神奈川県農業技術センターと共同で実施する。

 環境省は低炭素社会構築に資する資源循環システムの構築を加速するため、従来型プラスチックからバイオマスプラスチックなどへの段階的な代替を目指している。今回の採択は、「BioPBS」がこれまでのバリューチェーンに革新をもたらす可能性があること、また環境負荷低減の見込みなど、環境省が求める要素を備えていることが評価されたもの。同社は同事業を通じ、代替素材の普及に関する課題の解決を図り、実用化に向けた環境評価を行う計画だ。

 三菱ケミカルホールディングスグループが掲げる「KAITEKI」の実現に向け、今後も「BioPBS」をはじめとする生分解性や植物由来のプラスチックについて研究開発・用途展開を加速させていく中で、国内外の関係機関と連携し、循環型社会の構築やSDGsの達成に貢献していく。

三井化学 バイオポリプロピレンが環境省委託事業に採択

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2019年9月27日

 三井化学は26日、環境省が温室効果ガス(GHG)削減施策の一環として実施する「令和元年度 脱炭素社会を支えるプラスチック等資源循環システム構築実証事業」に、バイオポリプロピレン(バイオPP)実証事業が採択されたと発表した。

 同社は現在、開成(新潟県村上市)と共に、バイオPPの事業化を推進。バイオマスプラスチック市場の拡大に必要な独自の技術を基に、工業レベルでの実証に挑戦する。実施期間は、今年度から3年度。

 今後、三井化学は、世界初となるバイオPPの工業化実証試験を行い、技術面・品質面・経済性・GHG排出量削減効果などの評価を多面的に行い、これらの課題をクリアしながら、同社グループとしてバイオPPの事業化を検討していく。最短で2024年の生産開始を目指す。

 採択事業で連携法人となった開成は、バイオマス原料を供給する。さらに、バイオマス原料製造で生じた廃棄物の回収とその有効活用により、三井化学の製造設備への電力供給を目的としたバイオマス発電や、バイオマス栽培用の肥料の製造を行う。

 PPは自動車部材をはじめ、医療・家電・住宅・食品分野まで、幅広い用途に使用されており、人々の生活に欠かせない素材の1つだ。国内で生産されるプラスチックの2割強を占める主要な素材だが、バイオマス原料化の難易度が高く、今のところ工業化レベルの技術確立には至っていない。

 今回事業化を目指す新しい製法は、非可食植物を主体とするバイオマス原料から、発酵によりイソプロパノール(IPA)を製造し、それを脱水することでプロピレンを得る、世界初のIPA法だ。同製法は、これまでに検討されているバイオマス製法に比べて、より安価なバイオPPの製造が可能になるのが特長。

 バイオマスプラスチックは、主な原料となる植物が生育過程で大気中のCO2を吸収するため、CO2削減と地球温暖化の緩和に有効で、持続可能な社会への貢献が期待される。両社はバイオPPの事業化とともに、製造のサプライチェーン全体で資源循環型モデルを構築することで、CO2排出量の大幅削減を目指す。

三菱ケミカルHD 3Dプリンティングでデンマーク社に出資

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2019年9月27日

 三菱ケミカルホールディングス(MCHC)は26日、米国シリコンバレーに設立したCVC子会社のダイヤモンド・エッジ・ベンチャーズ(DEV)を通じ、独自の3Dプリンター技術により新たなソリューションを提供するAddiFab社(デンマーク・ジリンジ)に出資したと発表した。同出資とともに、DEVのパトリック・スエル社長がAddiFab社の取締役に就任する。

3Dプリンターによる成形例
3Dプリンターによる成形例

 AddiFab社は3Dプリンターや3Dプリンター用後処理装置、ソフトウェア、材料を開発・製造するスタートアップ。同社の主力プラットフォームであるフリーフォーム射出成形「FIM」は、同社3Dプリンターにより樹脂金型を形成、その金型を使って射出成形を行い、最後に金型材料を除去する成形方法だ。

 今まで不可能だった複雑な形状の部品設計や、成形が難しいエンジニアリングプラスチックなども射出成形が可能になり、従来にない多種多様な特性・形状の部品を製造できる。

 DEVのパトリック・スエル社長は「『FIM』は射出成形の均一性と信頼性に加え、3Dプリンターによるフレキシビリティとスピードを顧客に提供できる」と述べ、自動車向けや医療用に展開する樹脂に「FIM」を適用することで、今後のさらなる展開に期待感を示した。

 AddiFab社はすでに、ゴム・熱可塑性プラスチック・セラミック・超硬合金などの加工に「FIM」が適用できることを示している。また、MCHCグループがもつ幅広い機能性ポリマー(「ケトロン」「テファブロック」「トレックスプレーン」「DIAKON」「KyronMAX」など)も、「FIM」に適用できることを確認しているという。

 今後、事業会社の三菱ケミカルとの連携により、さらにその材料を増やしていく予定だ。MCHCは、昨年7月にDEVを設立し、グループ事業に新たな成長をもたらす、テクノロジーやビジネスモデルをもつスタートアップ企業との戦略的パートナーシップを進めている。AddiFab社への出資は、その第3号案件となった。

DIC ESG投資の世界的評価指標に5年連続で採用

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2019年9月26日

 DICはこのほど、ESG投資の世界的な指標である「ダウ・ジョーンズ・サステナビリティ・インデックス・アジアパシフィック」(DJSI AP)の構成銘柄に5年連続で採用されたと発表した。

 同インデックスは米国・ダウジョーンズ社と調査機関であるスイス・ロベコSAM社が共同で開発した「ダウ・ジョーンズ・サステナビリティ・インデックス」シリーズの1つ。

 対象となるアジアパシフィック地域の主要企業約600社を、サステナビリティの視点で経済・環境・社会の3つの側面で評価している。「持続的に成長する企業」を選出しESG投資の評価指標として、世界の投資家から重要視されている。今年度は素材産業から同社を含む14社(うち化学セクターからは8社)が、全体では148社が採用された。

 同社は今回、研究開発などのイノベーションマネジメントや、プロダクト・スチュワードシップ(環境貢献製品に注目した拡大生産者責任)、税務戦略など幅広い項目で高い評価を獲得。加えて、今年5月に金融安定理事会(FSB)により設立された「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」の提言へ賛同を表明したことなども評価された。