丸紅 インドネシア最大の民間病院グループに出資

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2020年3月4日

 丸紅はこのほど、インドネシア最大の民間総合病院グループであるSiloam病院の株式約5%を取得し、インドネシアでの病院事業へ参入したと発表した。同時にSiloam病院の親会社であり、インドネシアの大手財閥Lippoグループの中核会社であるLippoとの間で、同国のヘルスケア領域における協業に関する戦略的パートナーシップの覚書を締結した。

  インドネシアでは、人口増加や所得水準の向上による医療ニーズの高まりに対し、慢性的な医療インフラや人材不足の解消が急務であり、充実した医療サービスの整備・拡充が求められている。

 そうした中、Siloam病院は、ジャワ島をはじめインドネシア全土に36病院・病床数7557床を持つ同国最大の民間総合病院グループとして、1万3000人以上の医師・看護師を擁し、医療機関が不足する地域への病院展開や先進的医療設備の導入を推進している。また、Lippoは、同国に医療教育機関を設置するなど、積極的に医療水準向上に取り組んでいる。

 丸紅は2019年、社会課題へのソリューションを先取りする新たなビジネスモデルを構築し、2030年に向けた長期的な企業価値向上をミッションとする次世代事業開発本部を発足。今回のSiloam病院への資本参画、並びにLippoとの戦略的パートナーシップを通じ、インドネシアで新たなヘルスケア事業の構築・拡大に取り組み、急務とされるインドネシアへの医療インフラ・サービスの拡充を追求していく考えだ。

ポリプラスチックス 高電圧環境に適した樹脂材料の電気特性を比較

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2020年3月4日

 ポリプラスチックスはこのほど、自動車高電圧環境で使用される樹脂材料PBTとPA66の電気特性の詳細比較を実施した。

 自動車を取り巻く環境は大きな変化の中にあり、CASEが重要なキーワード。特に電動化については、各国の脱化石燃料化、排ガス規制の強化などにより、さらに加速すると考えられている。

 樹脂材料は自動車の軽量化に大きく貢献するとともに絶縁性を持つため、電動化の進捗に伴い使用量も増加している。こうした中、同社は、自動車の高電圧部品で候補となるPBTとPA66の電気特性について比較。その適正について詳細に検討を行い、結果を同社ウェブサイト(https://www.polyplastics.com/jp/product/lines/pbt_pa66/index.html)に公開した。

 今回比較した樹脂材料は、高圧コネクタや端子台などで一般に使用されるPBT‐GF30%の3製品(高電圧用途向け・高圧コネクタなど/金属インサートを含む製品向け・バスバーなど/一般部品向け)と、PA66‐GF33%(一般射出成形向け)。機械特性、寸法精度、絶縁破壊特性、体積低効率、耐トラッキング性について評価を実施。それぞれ図を用いて結果を表示し、最後に総合的な評価を掲載している。

東レ ドイツで水素・燃料電池用核心部材の第2工場を新設

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2020年3月4日

 東レは3日、水素・燃料電池用部材を開発・製造・販売するドイツ子会社GNT(バイエルン州)の第2工場を新設することを決定し起工式を行ったと発表した。なお、稼働開始は2021年11月を予定している。

 今回の第2工場には、水素・燃料電池の核心部材である触媒付き電解質膜「Catalyst Coated Membrane(CCM)」と膜・電極接合体「Membrane Electrode Assembly(MEA)」を効率的に生産する設備を導入し、フル生産時には、両製品合わせて年間約1000万枚の生産を行う計画。これは、レンジエクステンダー方式デリバリーカー約8万台分に相当する。

 地球温暖化防止のための低炭素化について、各国ではパリ協定や国連のSDGsに掲げられた世界的目標の達成に向けて、ガソリン車・ディーゼル車など内燃機関(ICE)自動車のCO2排出抑制に関する政策の導入や法制化を進め、具体的な規制・基準を打ち出している。

 そのため、欧州、中国地域では、大手Tier1や自動車メーカーが、バス、トラック、デリバリーカーなどの商用車向けのレンジエクステンダー(REX)や乗用車向けを含む燃料電池車(FCV)に使用する水素・燃料電池分野へ本格参入している。これによりCCM、MEAの需要が飛躍的に増大する見通しであり、今回のGNT新設生産工場は、これら需要見通しへの顧客からの増産・供給の要請に応えるもの。

 東レグループは、水素・燃料電池向けに、高圧水素タンク用高強度炭素繊維、プリプレグ、水素脆性 高耐性ライナー樹脂、電極基材(GDL)、触媒層、高温運転性と水電解・水素圧縮にも好適な低ガス透過性とを備える炭化水素系電解質膜などの素材やその加工品を提供している。

 東レは2015年に、CCMとMEAの設計技術を持つGNTを買収し、東レの関連素材と融合してCCM、MEAの製造・販売拠点に育成してきた。将来の低炭素・水素社会構築のため、今後も一層、取り組みを強化していく考えだ。

 

三井化学 新型ウイルス感染防止対策、在宅勤務を実施

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2020年3月4日

 三井化学は、今回の新型コロナウイルスの感染リスク低減、感染拡大・集団感染の防止の目的で、従来の対策に加え社内対応の強化を実施する。

 本社(汐留地区)在勤者約1300名については、今月4~19日まで原則テレワークでの勤務。ただし、業務上出社が必要な場合は、職場ごとに調整を行い、その場合も通勤時の混雑を避けるため、フレックスタイム制度(時差出勤)を積極活用する。

 一方、本社以外の在勤者は今後の状況を見て判断する(他地区事務所および各工場は今回の対応には含まない。また、本社地区関係会社はそれぞれの状況を鑑み個別に判断を行う)。

ランクセス 武漢の複数の病院に高レベルの消毒剤寄付

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2020年3月3日

 ランクセスはこのほど、武漢の複数の病院に消毒剤を寄付したと発表した。中国で発生している新型コロナウイルスによる感染症の蔓延を防止するため、同社は高い効果を発揮する消毒剤「Rely+Onビルコン」1tを、武漢と周辺の2市にある複数の病院に寄付した。この高レベルの1tの消毒剤を水で希釈することにより、10万ℓの消毒液を作ることができる。

2月16日に湖北省に到着した消毒剤「Rely+On ビルコン」1t
2月16日に湖北省に到着した消毒剤「Rely+On ビルコン」1t

 2月第1週に英国のサドベリー製造プラントから送られ、各病院に同月16日に到着した。第3者評価機関が実施した複数のテストで、「Rely+Onビルコン」は現在蔓延しているコロナウイルス株に極めて類似性が高い、サロゲート(代替)ウイルスを不活性化することが実証された。これらのテスト結果から、「Rely+Onビルコン」はCOVID‐19(新型コロナウイルス)に対しても、有効であると結論づけることができる。

 「Rely+Onビルコン」を使用する際は、希釈して硬質表面や設備にスプレーする。これにより、表面やドアノブ、テーブル、椅子などの消毒対策として、病院だけでなく、公共交通機関のターミナル、空港、ショッピングモールなどの施設でも汚染のリスクを軽減することができる。

 「Rely+Onビルコン」を製造している同社の物質保護剤ビジネスユニットの責任者は「ランクセスは、中国に8カ所の製造拠点があり、1200人の従業員を擁していることから、中国の人たちに深い繋がりを感じている」と述べている。

三菱ケミカル アセテート繊維原糸が「Bluesign」取得

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2020年3月3日

 三菱ケミカルはこのほど、トリアセテート繊維「ソアロン」とジアセテート繊維の「リンダ」原糸が、繊維業界での環境保全、労働者・消費者の観点で持続可能なサプライチェーンを経た製品に付与される認証である「Bluesign」を取得したと発表した。

 「Bluesign」とは、スイスに拠点を置くBluesign Technology社が運営管理している認証。繊維製品の各生産段階で使われる糸や染料・添加剤、織布などの材料から、人の健康や環境に悪影響を与えると考えられる全ての物質の除去を目的としており、テキスタイル業界で最も厳格な認証の1つと言われている。

 今回の認証取得は、「ソアロン」原糸・「リンダ」原糸が、サステナビリティに配慮し、環境保全や労働者・消費者に対する安心・安全性という観点で優れた原糸素材であることが評価された。

 「ソアロン」は、木材パルプを原料とする半合成繊維で、その原料は持続可能な形で適切に管理された森林から調達している。2017年には製造拠点である富山事業所フィラメント工場がFSC‐COC森林認証を取得しており、国内のみならず、海外でもサステナブル素材として注目されている。

 同社は、三菱ケミカルホールディングスグループが掲げる「KAITEKI」の実現に向け、引き続き国内外に向けてアセテート繊維のサステナビリティを訴求し、循環型社会の構築に貢献していく考えだ。

ダイセル 酢酸セルロースと石灰石の新素材を共同開発

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2020年3月3日

 ダイセルは2日、TBMと、酢酸セルロースと石灰石を組み合わせた新素材「海洋生分解性 LIMEX(ライメックス:仮称)」の共同開発を開始したと発表した。

 新素材は、生分解性のある酢酸セルロースと、世界中に豊富に存在する石灰石を使用した革新的な材料として、将来的にはプラスチックや紙の代わりとして生活のあらゆるところで活躍することを目指す。

 ダイセルがトップメーカーである「酢酸セルロース」は、植物由来のセルロースと、天然に広く存在する酢酸を原料として製造されるプラ材料。生分解性を持ち、最終的に水と二酸化炭素に生分解されるため、環境に負荷を与えない。たい肥や土壌に加え、海洋中でも分解されることが確認されており、海洋プラごみ問題の解決策となる可能性を秘めている。

 一方、TBMは無機フィラー分散系の複合材料「LIMEX」を開発・製造・販売するベンチャー企業。「LIMEX」は石灰石を主原料とし、プラや紙の代替素材として、買い物袋やホテルアメニティ、飲食店のメニュー表などに採用されている。

 石灰石は世界各地で埋蔵量が豊富で、日本でも100%自給自足が可能で、価格安定性に優れた材料。「LIMEX」を利用することで、原料に水や木材パルプを使用せず紙の代替製品(LIMEXシート)や、石油由来原料の使用量を抑えてプラスチック代替製品(LIMEXペレット)を製造できる。

 両社は酢酸セルロースの「生分解性」と、石灰石の「サステナビリティ」を融合させる共同開発を開始し、今年度中に新素材「海洋生分解性 LIMEX」の採用を目指す。

 将来的には紙やプラの代わりとして、海洋プラごみ問題の原因となっている飲食品容器や農漁業用品のほか、身の周りにある文房具やおもちゃなど、幅広い用途への展開を図る。さらに、未知なる可能性を求めて、他素材でも共同研究を行う。

 ダイセルが持つさまざまな素材とTBMの「LIMEX」と石灰石を組み合わせ、画期的な素材の開発に取り組んでいく考えだ。

住友化学 新型コロナウィルス感染拡大防止に対応策

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2020年3月3日

 住友化学は2日、新型コロナウィルスの感染拡大を防止するため、実施している対応策を発表した。

 ①勤務については、3月2日から2週間、住友化学の昼勤勤務者を対象に、フレックスタイム制(コアタイムなし)を活用した時差出退勤や、有給休暇の取得またはストック休暇の特例取得を奨励するとともに、自宅での勤務が可能な社員については在宅勤務を可能とする。

 ②出張については、中国国外から湖北省や浙江省温州市、韓国国外から大邱市や慶尚北道清道郡への出張を禁止。上記を除く中国、韓国、および日本の入出国を伴う出張は原則延期する。

 ③会議・会食などについては、住友化学グループが開催するグローバル会議は中止するとともに、日本国内での大規模(50名以上)会議は延期を検討。職場の大半が参加する懇親会は中止するとともに、会社厚生施設での大人数(10名以上)での懇親会などは自粛する。

 ④健康・衛生管理については、中国、韓国大邱市や慶尚北道清道郡から帰国した社員は、14日間の自宅待機とする。

 住友化学では、各事業場の判断により通勤および就業時のマスク着用を義務づける。

DIC 半導体市場を睨み大型脱気モジュール生産を強化

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2020年3月2日

 DICはこのほど、液体の脱気・給気をコントロールする中空糸膜モジュール「SEPAREL」シリーズの生産能力増強を発表した。

大型脱気モジュール
大型脱気モジュール

 水処理などに用いられる大型脱気モジュールの強化を目的に、同社グループのDIC化工・市原工場で、新工場稼働により中空糸膜モジュールの生産能力を従来の1.5倍に拡大した。投資額は約16億円。DICは今回の増強により、中空糸膜モジュール事業の売上高を、2021年には2019年比で約1.7倍の拡大を目指す。

 大型脱気モジュールは、水から酸素や二酸化炭素を除去する直径10インチ(25.4㎝)以上の製品。中心部が空洞の繊維である中空糸を束にした膜に液体を通すことで、液中に溶け込んでいる窒素や酸素などの不純物を取り除き、液体の純度を高める。

DIC化工 市原工場
DIC化工 市原工場

 主な販売先は、半導体や液晶ディスプレイ(LCD)、電子部品の製造工程で用いられる超純水を製造する水処理装置メーカーになる。

 富士経済研究所調べによると、大型脱気モジュール市場は半導体や、LCD設備投資の活況、従来の脱気法である真空脱気塔からの置き換え促進により、2017年から2021年で約2.3倍に伸長すると見込まれている。

 DICグループは、中期経営計画「DIC111」の中で、環境に配慮した製品や高機能製品を社会へ提供することで、社会貢献と成長の実現を事業方針に据えている。今後も中空糸膜モジュールの市場要請に対応した高機能な製品を提供し、事業規模拡大に注力していく考えだ。

コベストロ 新素材がトヨタのEVコンセプトカーに採用

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2020年3月2日

 コベストロジャパンはこのほど、トヨタ紡織と共同開発した新素材が、トヨタ自動車の電気自動車(EV)コンセプトカー「LQ」に採用されたと発表した。

トヨタ「LQ」
トヨタ「LQ」

 新素材はコベストロの「Advanced Baypreg F NF」の技術と、トヨタ紡織のケナフ繊維の技術を日本で進化させて共同開発した軽量ケナフ繊維強化ポリウレタンコンポジットで、「LQ」のドアトリムに採用されたことで、世界初披露となった。

 EVの普及拡大が見込まれる未来のモビリティで軽量化素材が果たす役割は、これまで以上に重要になることが予想されている。コベストロは世界の自動車産業に向けて長期にわたり革新的な素材を提供してきた。日本市場でも、日本の研究開発拠点であるイノベーション・センター(兵庫県尼崎市)で、自動車の軽量化に貢献する低密度ポリウレタンフォームなど、数多くのサステナブルなソリューションを開発している。

 今回の新素材に使用されているケナフはアオイ科の植物で、東南アジアやバングラデシュ、インド、アフリカなど多くの地域で栽培されてきた。

 ケナフの特徴は成長速度が速く、短期間で多くの繊維を収穫できること。低価格であるだけでなく、機能性が高いという点で近年注目を集めている。植物バイオマスは代替原料として、自動車業界からの関心がますます高まっている。

 今回開発したケナフ繊維強化ポリウレタンコンポジットは、必要な実用強度を持つ基材として、世界で初めて1kg/㎡を切る画期的な材料であり、この複合材を使うことで、従来のドアトリム材に比べ30%以上の軽量化を実現した。材料が軽ければ軽いほど、1回の充電または給油での車の航続距離を伸ばすことが可能になる。共同開発はトヨタ紡織との強い連携の下、2019年9月にリニューアルしたイノベーション・センターで行われた。

 住化コベストロウレタン・ポリウレタン事業本部の井戸博章・自動車材料開発部長は、コベストロが推進するサーキュラー・エコノミーと、代替原料の活用を実現する好例を、日本のイノベーション・センターから提供することができたことを強調した上で「トヨタ紡織との新規開発は、特に軽量でサステナブルな自動車のデザインに大きな貢献ができると思う」と述べている。