三菱ケミカル 生分解性プラスチックが環境省の実証事業に採択

, ,

2019年9月27日

 三菱ケミカルは26日、生分解性バイオマスプラスチック「BioPBS」を用いた事業が、環境省が行う「令和元年度 脱炭素社会を支えるプラスチック等資源循環システム構築実証事業(委託)」として採択されたと発表した。

 「BioPBS」は、同社が開発し基本特許をもつ植物由来の生分解性プラスチックで、自然界の微生物によって水と二酸化炭素に分解されるため、自然環境への負荷が少ないという特長がある。

 現在、同社とタイのPTTグローバル・ケミカル社が折半出資するPTT MCCバイオケムが製造を行っている。今回採択されたのは「『BioPBS』の農業用フィルム等開発および実用化」事業だ。

 農業の生産性向上に貢献する一方で、使用後の回収・処分に大きな環境・労働・経済的な負荷が生じている農業用マルチフィルムについて、生分解性かつ植物由来のプラスチックを用いた新しい社会システムの構築を図る。

 具体的には、フィルムの分解を制御する方法を確立し、廃棄処理不要な農業用マルチフィルムをより多くの作物や地域に適用させることを目指す。なお同事業は、農業・食品産業技術総合研究機構(農研機構)、静岡県立大学、神奈川県農業技術センターと共同で実施する。

 環境省は低炭素社会構築に資する資源循環システムの構築を加速するため、従来型プラスチックからバイオマスプラスチックなどへの段階的な代替を目指している。今回の採択は、「BioPBS」がこれまでのバリューチェーンに革新をもたらす可能性があること、また環境負荷低減の見込みなど、環境省が求める要素を備えていることが評価されたもの。同社は同事業を通じ、代替素材の普及に関する課題の解決を図り、実用化に向けた環境評価を行う計画だ。

 三菱ケミカルホールディングスグループが掲げる「KAITEKI」の実現に向け、今後も「BioPBS」をはじめとする生分解性や植物由来のプラスチックについて研究開発・用途展開を加速させていく中で、国内外の関係機関と連携し、循環型社会の構築やSDGsの達成に貢献していく。

三井化学 バイオポリプロピレンが環境省委託事業に採択

, , ,

2019年9月27日

 三井化学は26日、環境省が温室効果ガス(GHG)削減施策の一環として実施する「令和元年度 脱炭素社会を支えるプラスチック等資源循環システム構築実証事業」に、バイオポリプロピレン(バイオPP)実証事業が採択されたと発表した。

 同社は現在、開成(新潟県村上市)と共に、バイオPPの事業化を推進。バイオマスプラスチック市場の拡大に必要な独自の技術を基に、工業レベルでの実証に挑戦する。実施期間は、今年度から3年度。

 今後、三井化学は、世界初となるバイオPPの工業化実証試験を行い、技術面・品質面・経済性・GHG排出量削減効果などの評価を多面的に行い、これらの課題をクリアしながら、同社グループとしてバイオPPの事業化を検討していく。最短で2024年の生産開始を目指す。

 採択事業で連携法人となった開成は、バイオマス原料を供給する。さらに、バイオマス原料製造で生じた廃棄物の回収とその有効活用により、三井化学の製造設備への電力供給を目的としたバイオマス発電や、バイオマス栽培用の肥料の製造を行う。

 PPは自動車部材をはじめ、医療・家電・住宅・食品分野まで、幅広い用途に使用されており、人々の生活に欠かせない素材の1つだ。国内で生産されるプラスチックの2割強を占める主要な素材だが、バイオマス原料化の難易度が高く、今のところ工業化レベルの技術確立には至っていない。

 今回事業化を目指す新しい製法は、非可食植物を主体とするバイオマス原料から、発酵によりイソプロパノール(IPA)を製造し、それを脱水することでプロピレンを得る、世界初のIPA法だ。同製法は、これまでに検討されているバイオマス製法に比べて、より安価なバイオPPの製造が可能になるのが特長。

 バイオマスプラスチックは、主な原料となる植物が生育過程で大気中のCO2を吸収するため、CO2削減と地球温暖化の緩和に有効で、持続可能な社会への貢献が期待される。両社はバイオPPの事業化とともに、製造のサプライチェーン全体で資源循環型モデルを構築することで、CO2排出量の大幅削減を目指す。

三菱ケミカルHD 3Dプリンティングでデンマーク社に出資

, ,

2019年9月27日

 三菱ケミカルホールディングス(MCHC)は26日、米国シリコンバレーに設立したCVC子会社のダイヤモンド・エッジ・ベンチャーズ(DEV)を通じ、独自の3Dプリンター技術により新たなソリューションを提供するAddiFab社(デンマーク・ジリンジ)に出資したと発表した。同出資とともに、DEVのパトリック・スエル社長がAddiFab社の取締役に就任する。

3Dプリンターによる成形例
3Dプリンターによる成形例

 AddiFab社は3Dプリンターや3Dプリンター用後処理装置、ソフトウェア、材料を開発・製造するスタートアップ。同社の主力プラットフォームであるフリーフォーム射出成形「FIM」は、同社3Dプリンターにより樹脂金型を形成、その金型を使って射出成形を行い、最後に金型材料を除去する成形方法だ。

 今まで不可能だった複雑な形状の部品設計や、成形が難しいエンジニアリングプラスチックなども射出成形が可能になり、従来にない多種多様な特性・形状の部品を製造できる。

 DEVのパトリック・スエル社長は「『FIM』は射出成形の均一性と信頼性に加え、3Dプリンターによるフレキシビリティとスピードを顧客に提供できる」と述べ、自動車向けや医療用に展開する樹脂に「FIM」を適用することで、今後のさらなる展開に期待感を示した。

 AddiFab社はすでに、ゴム・熱可塑性プラスチック・セラミック・超硬合金などの加工に「FIM」が適用できることを示している。また、MCHCグループがもつ幅広い機能性ポリマー(「ケトロン」「テファブロック」「トレックスプレーン」「DIAKON」「KyronMAX」など)も、「FIM」に適用できることを確認しているという。

 今後、事業会社の三菱ケミカルとの連携により、さらにその材料を増やしていく予定だ。MCHCは、昨年7月にDEVを設立し、グループ事業に新たな成長をもたらす、テクノロジーやビジネスモデルをもつスタートアップ企業との戦略的パートナーシップを進めている。AddiFab社への出資は、その第3号案件となった。

DIC ESG投資の世界的評価指標に5年連続で採用

, ,

2019年9月26日

 DICはこのほど、ESG投資の世界的な指標である「ダウ・ジョーンズ・サステナビリティ・インデックス・アジアパシフィック」(DJSI AP)の構成銘柄に5年連続で採用されたと発表した。

 同インデックスは米国・ダウジョーンズ社と調査機関であるスイス・ロベコSAM社が共同で開発した「ダウ・ジョーンズ・サステナビリティ・インデックス」シリーズの1つ。

 対象となるアジアパシフィック地域の主要企業約600社を、サステナビリティの視点で経済・環境・社会の3つの側面で評価している。「持続的に成長する企業」を選出しESG投資の評価指標として、世界の投資家から重要視されている。今年度は素材産業から同社を含む14社(うち化学セクターからは8社)が、全体では148社が採用された。

 同社は今回、研究開発などのイノベーションマネジメントや、プロダクト・スチュワードシップ(環境貢献製品に注目した拡大生産者責任)、税務戦略など幅広い項目で高い評価を獲得。加えて、今年5月に金融安定理事会(FSB)により設立された「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」の提言へ賛同を表明したことなども評価された。

宇部エクシモ フィルター不織布用原綿の海外展開を強化

, ,

2019年9月26日

 宇部興産の100%子会社である宇部エクシモは、フィルター不織布用原綿「UCファイバー(HR‐LE)」の海外展開を強化している。

 「UCファイバー」は、性質の異なる2種類のオレフィン系樹脂を用いた複合型繊維で、樹脂の融点差を利用して不織布へ加工され、従来から衛生材料(紙おむつ、生理用品など)、産業資材用(フィルターなど)、メディカル分野(湿布剤基布)などで使用されている。

 「HR‐LE」タイプは、宇部エクシモの独自技術を用いることで得られた不織布用原綿で、不織布への成形加工性を損なうことなく、効率的にフィルター向けのオイルレス不織布が得られるのが特長。「HR‐LE」を用いることで、一般に行われる不織布製造後の脱油洗浄と乾燥工程が省略できる。

 また、同製品がターゲットとしているフィルター市場は、近年、自動車関連、建築物の空調、排気口を中心に需要が大幅に伸びており、国内では、大手不織布メーカーで採用されている。

 海外では特に、中国で昨年、工場から出る粉塵の排出量の規制を強化したため、有害物質を抑えるフィルターの需要が高まっており、中国や台湾を中心に採用が拡大している。同社は、「HR‐LE」原綿をステープルファイバー(短繊維)のみ供給、2019年度に昨年度の2割増の売上数量を目指す考えだ。

宇部興産 「ホワイト物流」推進運動で自主行動宣言を提出

,

2019年9月26日

 宇部興産は25日、国土交通省・経済産業省・農林水産省が提唱する「ホワイト物流」推進運動に賛同し、「ホワイト物流」推進運動事務局に自主行動宣言を提出したと発表した。

 「パレット等の活用」をはじめ、「集荷先や配送先の集約」「荷主側の施設面の改善」「構内輸送・荷役作業時の安全対策」「異常気象時等の運行の中止・中断等」の5項目に取り組む。

 パレット等の活用では、パレットを活用し、荷役作業負担の軽減と荷役時間の削減を図る。集荷先や配送先の集約では、トラック運転者の拘束時間を短縮するため、グループ企業との共同集荷や共同配送を進めるとともに、物流事業者から集荷・配送方法の見直しについて相談があった場合は、真摯に協議に応じていく。

 荷主側の施設面の改善への取り組みは、倉庫などの物流施設の増設・レイアウト変更を行い、長距離輸送を削減する。 構内輸送・荷役作業時の安全対策については、構内輸送時と荷役作業時の危険要因を抽出し、作業手順マニュアル作成や協力会社への安全教育を通じて、安全の確保を図っていく。

 異常気象時等の運行の中止・中断等では、台風・豪雨・豪雪などの異常気象が発生した際やその発生が見込まれる際には、無理な運送依頼はせず、また、運転者の安全を確保するため、運行の中止・中断などが必要と物流事業者が判断した場合は、その判断を尊重する。

 「ホワイト物流」推進運動は、国交省、経産省、農水省が呼びかけた物流改善運動で、深刻化が続くトラック運転者不足に対応し、国民生活や産業活動に必要な物流を安定的に確保するとともに、経済の成長に寄与することを目的としている。

 同社は2007年からグループの物流改善活動として、「物流効率化プロジェクト」を発足させ、共同輸送やモーダルシフトなど様々な施策を実行してきた。今後も、顧客・取引先や協力会社との一層の物流合理化運動を推進していく。

帝人など 大腸サポート関連企業、共同啓発事業体を設立

, , , ,

2019年9月25日

 帝人は24日、武田コンシューマーヘルスケア、東亜薬品工業、森永乳業と「大腸活コンソーシアム」を同日設立したと発表した。

 同コンソーシアムは、大腸の腸内フローラ環境改善に寄与するビフィズス菌、酪酸菌などの善玉菌と水溶性食物繊維を扱う企業が中心となり、食品、医薬品の業界を越えて連携する共同啓発事業体。健康長寿の要となる大腸をより意識してケアする「大腸活」を通じて、日本人の健康長寿に貢献することを目指す。

 近年、大腸に生息する腸内フローラの研究が格段に進んだ結果、腸内フローラが消化器系領域だけでなく、神経領域、循環器領域、代謝領域、免疫機構など、われわれの全身の健康と密接に関わっており、大腸が健康長寿の要となっていることが明らかになってきている。

 一方、腸の健康をケアする「腸活」が社会に浸透しつつも、一般生活者へは、大腸の役割や重要性について、いまだ十分に理解が進んでいないというのが現状。同コンソーシアムは、大腸の重要性について広く啓発するとともに、大腸に棲むビフィズス菌・酪酸菌などの善玉菌と、そのエサとなる水溶性食物繊維の摂取により、〝1つの臓器〟といわれる腸内フローラの環境を改善する「大腸活」の啓発も広く推進していく。

 また、従来の整腸市場の枠に止まらない〝大腸活市場〟をターゲットとした、魅力的な商品・サービスを提供することにより、日本人の健康長寿に貢献することを目指す。

 さらには、コンソーシアム参画企業が連携をとりながら、社会に向けた「大腸活」に関する継続的な情報発信や、大腸活商品群の浸透を目指した店頭・流通施策の推進、自治体・地域と連携した啓発の場づくりなどに取り組んでいく予定だ。

 なお、1つの企業・団体による整腸や大腸サポートに関する啓発活動はこれまでも行われてきたが、大腸を健康長寿の要と位置づけ、業界を越えて、より多面的に社会啓発を行う今回のコンソーシアムとしての活動は、これからの時代の健康づくりを象徴する新たな取り組みとなる。

旭化成メディカル ウイルス除去フィルターの紡糸工場が竣工

, ,

2019年9月24日

 旭化成メディカルは20日、ウイルス除去フィルター「プラノバ」の紡糸工場の建設が完工し=写真、17日に竣工式を行ったと発表した。

旭化成メディカル 「プラノバ」の紡糸工場 外観 年産4万㎡の能力をもつ新紡糸工場は、宮崎県延岡市にある既存プラノバ紡糸・組立工場の隣接地に立地。今回の増強により、2016年に竣工した「プラノバBioEX」の紡糸工場と合わせ、ウイルス除去フィルター向け中空糸生産能力は年産13万㎡となった。

 「プラノバ」は、バイオ医薬品や血漿分画製剤といった生物学的製剤の製造工程に使用されている、セルロース製中空糸型ウイルス除去フィルター。一方、「プラノバBioEX」は、より高いタンパク質濃度領域でも高効率なろ過性能をもつ親水化ポリフッ化ビニリデン(PVDF)製中空糸型ウイルス除去フィルターだ。

 同社が製造・販売する両製品は、医薬品の安全性に貢献する製品としてグローバルな信頼を得ている。

旭化成メディカル 式典の様子
17日に竣工式が行われた

 近年は世界規模で、生物学的製剤のウイルス安全性に対する要求が高まっていることに加え、モノクローナル抗体を中心としたバイオ医薬品の開発が盛んになってきたことから、ウイルス除去フィルターの需要が年々増加しているという。

 こうした動きは今後も続くことが予想されており、同社は今回、さらなる安定供給を目指すために新紡糸工場を建設した。

 積極的に研究開発や設備投資を行い、高性能・高品質の製品開発を続けていくことで、世界のニーズに対応した新製品を生み出し、生物学的製剤の安全性の向上に貢献していく考えだ。

クレハ 「ホワイト物流」推進運動で自主行動宣言を提出

, ,

2019年9月24日

 クレハは20日、国土交通省・経済産業省・農林水産省が提唱する「ホワイト物流」推進運動の趣旨に賛同し、自主行動宣言を「ホワイト物流」推進運動事務局に提出したと発表した。

 自主行動宣言の中で表明している取り組みは「物流の改善提案と協力」「荷主側の施設面の改善」「高速道路の利用」「船舶や鉄道へのモーダルシフト」「運賃と料金の別建て契約」。

 物流の改善提案と協力では、取引先や物流事業者から、トラック運転者による手荷役や長時間の無駄な荷待ちなどに関する要請を受けた場合、真摯に協議に応じるとともに、自らも車両の大型化などの物流の改善策について積極的に提案していく。

 荷主側の施設面の改善については、同社の主力工場であるいわき事業所で、事業所内の倉庫レイアウト変更などを行い、車両の動線、荷待ち時間や荷役時間の短縮、保管能力増強による外部倉庫への転送輸送削減に取り組む。高速道路の利用に関しては、輸配送時の物流業者の高速道路使用要請に対して真摯に協議し、納品時間の短縮や運転者の負担軽減に努める。

 船舶や鉄道へのモーダルシフトでは、長距離輸送について、トラックから船舶や鉄道の利用への転換を適宜行う。運賃と料金の別建て契約については、運送契約を締結する場合、運賃と料金(運送以外の役務や待機時間の対価)を別建てで契約することに取り組む。

「ホワイト物流」推進運動とは、深刻化が続くトラック運転者の不足に対応し、国民生活や産業活動に必要な物流を安定的に確保するとともに、 経済の成長に寄与することを目的にしている。今年4月に国交省・経産省・農水省が、上場会社と各都道府県の主要企業約6300社に対し、参加の呼びかけを開始した。

 同社は「ホワイト物流」推進運動をCSR活動の一環と位置づけ、グループ各社とともに自主行動宣言の実現に向けて取り組んでいく。