出光 情報セキュリティ強化へ次世代通信システムを構築

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2019年8月21日

 出光興産はこのほど、製油所の情報セキュリティ強化を目的に、インダストリー4.0における唯一の推奨通信規格である「OPC-UA」を用いた次世代のデータ通信システムを構築した。複数の製油所・事業所からなる大規模生産システムの主要な通信方式を「OPC-UA」を用いてシステム構築する世界初の事例となる。

 製造業でのIoT活用の重要性が増す中、社会インフラを狙ったサイバー攻撃の脅威が高まっており、ウクライナでは2015年と2016年に、発電所に対するサイバー攻撃が原因と思われる大規模停電が発生した。

 このようなサイバー攻撃から製油所を守り、国内のエネルギーセキュリティを強化することを目的に、同社は北海道製油所、千葉事業所、愛知製油所、徳山事業所の4事業所のヒストリカルデータベースのほぼ全ての通信方式を、複数のベンダーのアプリケーションやOS間を、高いセキュリティで通信できる次世代の通信規格「OPC-UA」を用いるシステムへ更新した。

 「OPC-UA」への更新により、製造現場の制御システムとITシステム間のインターフェースを統一し高度な生産体制を構築できるだけではなく、従来の通信方式と比較し、外部からの不正アクセスによる悪質な攻撃の危険性を大幅に低減する。

 同社は製油所の効率化・競争力強化を目的に、IoT技術を活用した取り組みを推進。業界に先駆け製油所のリアルタイム操業マネジメントシステム「XHQ(neXt generation HeadQuarter)」を2008年に導入、今年はAIを活用した配管腐食システムの実証実験にも参加している。今後も引き続き、IoTなどの先端技術を活用した製油所の高度化とセキュリティ強化に取り組む考えだ。

JNC 独自モノマーで日本材料技研とライセンス契約

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2019年8月21日

 JNCは20日、日本材料技研と、ダブルデッカー型シルセスキオキサンとこれを用いた低誘電・高耐熱樹脂に関するライセンス契約を締結したと発表した。ライセンス対象は、JNCが独自に開発したダブルデッカー型シルセスキオキサンを基本構造とするモノマーと、これを使用したポリイミド樹脂やエポキシ樹脂など。

 同モノマーは二官能性であるため、ポリマーの主鎖にかご型シルセスキオキサンを組み込むことができ、半導体封止樹脂やポリイミド樹脂のさらなる低誘電・高耐熱化につながることが期待される。JNCは日本材料技研にモノマーなどの製造と販売に関する実施権を許諾し、半導体分野やディスプレイ分野で使われる新たな材料開発に貢献していく。

 ダブルデッカー型シルセスキオキサンは、JNCの研究グループによって世界で初めて合成に成功した。二官能性とすることで、剛直な多面体構造をポリマー主鎖へ導入することが可能となり、ポリイミドを始めとする各種エンジニアリングプラスチックスへの応用が期待されている。

 また、かご型シルセスキオキサンは、低誘電性や高耐熱性など、多くの優れた特性を持つケイ素化合物。有機無機ハイブリッド材料の無機成分として、エレクトロニクス、フォトニクス分野での応用研究が活発に行われている。

 JNCグループでは、今後も社内の技術成果の有効活用を図り、ベンチャー企業やベンチャーキャピタルなどとも連携しながら、自社技術の価値最大化を進めていく。

JSR 投資子会社を設立、デジタル技術で事業創出加速へ

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2019年8月21日

 JSRは20日、デジタル技術を活用した事業創出をさらに加速させるため、投資子会社(合同会社)を設立すると発表した。

 具体的には、デジタル技術を中心とするスタートアップへの投資をグローバルに行う新会社「JSR Active Innovation Fund 合同会社」を10月1日付で設立。同社による投資活動は、当初30億円規模からスタートして最大100億円までを想定している。

 デジタル化の急速な進展と、スタートアップが次々と生み出すイノベーションにより、市場構造は今後大きく変化していくことが予想され、すべての企業が産業分野にかかわらずデジタル技術を活用した新しい事業モデルを産み出し、事業化していく必要に迫られている。

 JSRは、シリコンバレーを拠点とするカーボン社(Digital Light Synthesis技術を発明し、迅速な量産を可能とするデジタルマニュファクチャリングを実現)への投資をはじめ、すでに革新的な技術、事業モデルを有するスタートアップへのグローバルな投資活動を積極的に行っている。

 今回、合同会社を通じたさらなる戦略的な投資により、新たな事業創出を加速させ、スタートアップが生み出す革新的な技術および事業モデルと、JSRがこれまで培ってきた知見を組み合わせることで社会に新しい価値を提供する。JSRは同活動を通じて、スタートアップを戦略的パートナーとして支援するとともに、投資先企業との協業をさらに拡大していく。

帝人 フォードが新型車種の構造材にGF-SMC採用

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2019年8月21日

 帝人は20日、同社グループの米コンチネンタル・ストラクチュラル・プラスチックス(CSP社)のGF-SMC部材が、米フォード社の新車種に採用されたと発表した。GF-SMC部材とは熱硬化性樹脂をガラス繊維に含浸させ、シート状にした成形材料のこと。

 両社はGF‐SMC部材を使用して、世界初の二重壁構造のコンポジット製エンジンシュラウド(エンジンルーム内の部品を保護するための構造材)「デュアル・ウォール・ダッシュボード」を共同開発した。これにより、自動車の快適性の評価項目であるNVH(騒音・振動・ハーシュネス)を大幅に改善できる。

 「デュアル・ウォール・ダッシュボード」は、フォード社が今夏から北米で展開する「フォード・エクスプローラー」の2020年モデルに搭載される。

 「デュアル・ウォール・ダッシュボード」は、エンジン後部をカバーするとともに、エンジンルームの両サイドにあるストラットタワーまでを覆い、エンジンルームとフロントバルクヘッドの間に密閉性の高い空間を設ける。これにより、エンジンルーム内で発生する騒音を消散させ、NVHを大幅に改善する。

 こうした機能を備えつつ、従来のスチール素材では成形が困難な薄肉で複雑な形状を、わずか4点のGF-SMC成形部材で実現し、エンジンルーム内の限られた空間への収納を可能にした。また、12ポンド(約5.5kg)と軽量で、エンジンルーム内の電気部材の熱防護機能も持っている。「デュアル・ウォール・ダッシュボード」はCSP社のコノート工場(米国オハイオ州)で製造する。

 帝人はティア1サプライヤーとして、素材選定から部品設計にまで踏み込んだ提案力の強化や、グローバル安定供給体制の確立を図っている。さらに、2020年以降の環境規制強化に対応した車体の軽量化に向け、使用材料の拡充や他メーカーとの協業なども進め、マルチマテリアルでの部品供給メーカーとしてソリューション提案力を強化している。

 こうした取り組みにより、自動車向け複合材料製品事業の売上を、2030年頃に20億米ドル規模へと拡大する計画だ。

 

ユポ・コーポレーション 創立50周年に、合成紙の世界最大手

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2019年8月21日

機能性生かし新用途を開拓

 合成紙の世界最大手ユポ・コーポーションがこのほど50周年を迎えた。この間、事業環境の変化により浮き沈みはあったが、天然紙の代替という当初の位置付けから、天然紙では不可能な高機能用途に販売方針を転換したことで、現在は世界のリーディングカンパニーとなっている。

 同社は三菱油化(現・三菱ケミカル)と王子製紙(現・王子ホールディングス)の折半出資である王子油化合成紙(現・ユポ・コーポレーション)として、1969年に発足した。

 木材の消費増加による森林資源の枯渇と石油化学の勃興を背景に、国の方針に応じて合成紙事業に参入。1973年の第一次オイルショックで多くの企業が撤退する中で、同社は合成紙ならではの優れた機能に可能性を見出だして事業を継続した。

 現在は「ユポ」ブランドにより、生活のあらゆるシーンで使われるようになっており、ファーストフード店などの電飾メニューや冷凍・冷蔵ケースのPOP、飲食店・カラオケ店などのメニュー、インモールドラベルやボトルラベル、トリアージタグ、選挙ポスターなど、採用例は枚挙にいとまがない。特筆すべきは投票用紙で、筆記特性と投票箱の中で自然に開くことにより、開票作業の効率化と時間短縮に貢献している。

 原料はポリプロピレンで、添加剤を加えて押出機でフィルム状に成形する。基層を上下の表層で挟んだ3層構造で、基層は縦と横の2方向に引っ張ることで強度や剛性をもたせ、上下の表層は横方向のみに力を加えることで空孔(ミクロボイド)が発生。光が乱反射することで紙のように白く見えるほか、鉛筆などの粒子が引っ掛かりやすくなるため、筆記もスムーズに行える。

 軽量で耐水性・靭性・耐薬性に優れ、発塵性が上質紙の約100分の1と少なく、燃やしても有害物質が発生しない。吸着品・半透明タイプ・メタリック調などバリエーションも豊富だ。

 同社では装飾用として、原理の異なる2種類の製品を製造・販売している。1つは静電気の性質を利用した「ユポ静電吸着」。2枚のフィルムに静電気を閉じ込めた構造で、2枚のフィルムをはがすと静電気が発生し、貼っているうちに紙と壁の間の電荷が安定し、吸着する。

 もう1つは微細な吸盤で吸着する「サクションタック」。片面に設けた微細なセルが吸盤のように作用して吸着する。「ユポ静電吸着」が1度きりの使用なのに対し、「サクションタック」は何度でも貼ってはがすことができる。さらに、紙とプラスチックの両方の物性を生かし、5月に発売されたヤマハのエレクトリック・アコースティックギターでは、圧電素子に使われている。

 同社は米国に製造・販売会社、ドイツに販売子会社をもつほか、中国・インド・タイに販売拠点を設けている。今後も時代を先取りした新製品を開発し、顧客に満足してもらえる製品を提供し続ける会社を目指す。

BASF 中国に2ヵ所目のターシャリーブチルアミン工場建設へ

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2019年8月20日

 BASFはこのほど、中国・南京のBASFスペシャリティ・ケミカルズによる、ターシャリーブチルアミン(tBA)の2カ所目の製造工場に投資すると発表した。

 これにより、BASFのtBAの世界生産能力は30%以上増加する。2022年の操業開始を予定しており、先進的な生産プロセスで副産物を最小限に抑える同社の先端技術を採用する予定。

 同社はベルギーのアントワープ、米国のルイジアナ州ガイスマーでもtBA生産工場を操業している。同社のヴァシリオス・ガラノス中間体事業本部アジア太平洋地域担当シニア・バイスプレジデントは「アジアはtBAの主要成長地域であり、新工場はゴム・タイヤ産業と農薬・製薬市場における顧客の成長を支援するという、当社の強いコミットメントを明確に示すもの」と述べている。

 tBAは、ゴム・タイヤ産業用の加硫促進剤を製造するための中間体として使用される脂肪族第1級アミン。また、農薬・製薬産業でも欠かせない原料として用いられており、日本国内ではこれらの業界へのtBA供給を強化し、増加する顧客ニーズに対応していく。

東洋紡 欧州のコンソーシアムに参加、軟包装で循環型経済実現へ

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2019年8月20日

 東洋紡は19日、欧州の軟包装分野の循環型経済の実現を推進するコンソーシアム「CEFLEX(Circular Economy for Flexible Packaging)」に参加したと発表した。

 CEFLEXは2017年に設立。大手素材メーカー、コンバーター、印刷会社、消費財メーカー、小売業者、リサイクル会社など、軟包装のバリューチェーン全体に関わる130以上の企業や団体が参加している。

 同社は、食品の消費期限の延長に貢献する高いバリア性能を誇る高機能なフィルムから、包材の薄肉化が可能で廃棄物の減量に貢献する、環境に配慮したフィルムまで、多様な包装用途のフィルム製品を手掛けている。

 回収されたペットボトルから作られるリサイクル樹脂をフィルムの原料として活用することにも早くから取り組んでおり、2012年には、当時世界最高レベルとなる、リサイクル樹脂の使用比率80%のフィルム「サイクルクリーン」を上市。ペットボトル用ラベルとして飲料メーカーに幅広く採用されている。

 CEFLEXは、欧州の軟包装分野の循環型経済の実現を推進するためのロードマップを2020年までに確立するとともに、2025年までに、使用済み軟包装を回収・分別・リサイクルするためのインフラを構築することなどを目標に掲げている。

 東洋紡は、欧州の軟包装業界全体を網羅するCEFLEXへの参加を通じて、今後ますます議論が進展していく、回収システムやレギュレーションに関する様々な情報や動向を把握しながら、環境にやさしい技術や製品の開発・提供に注力し、循環型経済の実現に貢献していく。

住友化学 印・国営石油会社とPO製造技術でライセンス契約

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2019年8月20日

 住友化学は19日、インドのバーラト・ペトロリアム社(BPCL)との間で、BPCLが進める石油化学プロジェクトに対するプロピレンオキサイド(PO)製造技術のライセンス契約を締結したと発表した。

 インドの大手国営石油会社であるBPCLは、国内4カ所の工場で合わせて約84万BDの原油精製能力を持っている。現在、ケララ州コチにある製油所で、POとポリオール生産設備の新設を含む大規模な石油化学プロジェクトを推進しており、PO生産では住友化学が独自に開発した製造技術の採用を決定した。生産能力は年産30万tで、2022年の完成を目指し、今後、基本設計と詳細設計を進めていく計画。

 住友化学のPO製造技術は、世界で初めて工業化に成功したクメンを循環利用するクメン法PO単産プロセス。併産物がなく、独自に開発した高性能なエポキシ化触媒と組み合わせることで、高収率と省エネ、高い運転安定性を実現できるという特長がある。

 同社の千葉工場やサウジアラビアのペトロ・ラービグ社で運転実績があるほか、韓国S-OIL社に対しライセンスを実施した年産30万tのプラントが昨年、操業を開始。また、タイPTTグローバルケミカル社の子会社に対してライセンスを実施した年産20万tのプラントも、2020年の完成へ向け建設が進められている。

 住友化学は今後も技術ライセンスのグローバル展開により、石油化学部門での事業ポートフォリオの拡充を目指すとともに、長年の経験で培ってきた技術のライセンスを通じて世界の石油化学産業の発展や課題解決に貢献していく。

BASF クリエーションセンターを開設、顧客の開発支援

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2019年8月19日

 BASFはこのほど、顧客のアイデアをソリューションに変換するクリエーションセンターを、横浜イノベーションセンター(横浜市緑区)内に開設した。同社の素材サンプルや用途事例などを備え、顧客が素材を活用して、新製品やソリューション、既存製品の改良のアイデアを発見・理解し、創造するためのリソースを提供する。

 顧客は同社のデザイナーとともに素材を手に取りながら吟味し、素材について学べるタブレットなどの対話型デジタルツールを使用したり、素材やアイデアを生み出すコンサルティングワークショップに参加することができる。

 同社のエキスパートは、デザイン開発から、CAEを利用した高度なシミュレーション、試作支援までを一貫して提供する。アジアでは5月に、インドでクリエーションセンターを開設している。日本での開設に続き、上海でも今月中に開設される予定。

 日本では2014年に、横浜イノベーションセンター内に素材とデザインに関する用途開発の促進やアイデアを提供する、デザインファブリークを開設しており、同センター内のシミュレーションツールであるCAEや、材料試験の機能をもつエンジニアリングプラスチック・イノベーションセンター(EPIC)と連携してきた。

 今回、グローバルでのクリエーションセンター開設を機に、デザインファブリークの名称をクリエーションセンターに変更し、さらに連携を強化していく。また、10月には、EPIC内に新型成型機の導入を予定しており、現在の市場のニーズに合った材料試験・試作支援・検証能力を提供する。

 BASFジャパンの山本勇パフォーマンスマテリアルズ事業部執行役員事業部長は「自動車・家電・スポーツ用品・家具の分野をはじめ、日本はアジアのイノベーションの中心であると考えており、これらの顧客への開発支援をさらに推進していく」と述べている。

帝人フロンティア 福岡のエコプロジェクトに協力、海岸清掃など

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2019年8月19日

 帝人フロンティアは、福岡県福津市で開催される、野外音楽フェスティバル「宗像フェス」の会場内で発生する資源ごみの回収や、宗像市と福津市で行う海岸清掃などの環境活動をサポートする。

 今回協力する「宗像フェスecoプロジェクト」は、「宗像フェス」の実行委員会が、両市での海岸清掃活動などを通じ、幅広い世代で環境問題を考えるきっかけを作ることを目的に、2015年に開始した環境保護啓発活動。海岸清掃でペットボトルを含む資源ごみを回収するほか、環境保護や海洋プラスチックごみの削減などに向けた、環境学習事業・講演会などの活動を行っている。

 一昨年からは同プロジェクトの一環として、「宗像フェス」会場内で、資源ごみの回収を実施している。同社は昨年から「宗像フェスecoプロジェクト」に協力しており、今回は24日に福津市中央公民館で行われる海洋プラスチックごみの削減に向けた環境学習事業に協力するのをはじめ、同日、恋の浦海岸で行われる海岸清掃、来月の21、22日に実施する「宗像フェス」会場内に設置する、エコブースで回収される資源ごみの分別などを行う。

 回収したペットボトルは、来年の「宗像フェス」のオフィシャルグッズなどにリサイクルする。また、リサイクルを身近に感じてもらうため、同社のリサイクルポリエステル繊維「エコペットプラス」を使用したTシャツを、海岸清掃活動の参加者に提供する。同社は環境活動指針として「THINK ECO」を掲げており、今回のような環境保護啓発活動への協力など、地球環境に優しい行動を実践している。

 今後もこうした取り組みを積極的に推進することにより、さらに「地球環境に優しい企業」を目指していく。