帝人 「TCFDコンソーシアム」に参画

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2019年5月29日

 帝人グループは28日、経済産業省・金融庁・環境省が推進する「TCFDコンソーシアム」に参画したと発表した。

 金融安定化理事会(FSB)が設置した気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)は、2017年6月に最終報告書を公表し、日本でもTCFD提言への対応に向けた機運が高まっている。

 こうした中、TCFD提言に賛同する企業や金融機関などが一体となって、企業による効果的な関連情報の開示や、開示された情報を金融機関などの適切な投資判断につなげるための取り組みを議論・推進することを目的に、今月27日に「TCFDコンソーシアム」が設立された。

 帝人グループは、今年3月にTCFD提言に対する支持を表明し、その提言に従って透明性高く情報開示していくことを発表。さらに、TCFDコンソーシアムに参画することにより、TCFD提言への対応を一層強化し、気候関連のリスクと機会に関するステークホルダーとの対話を重ねて事業戦略に反映するとともに、的確な情報開示に努めていく。

 帝人グループは、昨年6月に100周年を迎えたのを機に、グローバルメッセージ「Future Navigation ~Toward the world we all desire~」を発信し、物質や素材だけの化学にとどまらず、未来の人の豊かさ(Quality of Life)を見据えた解決策(ソリューション)を提供することにより、「未来の社会を支える会社」となることを目指している。

 これからも事業活動が環境に及ぼす影響を認識し、さまざまな解決策に向けた成果を積み重ねながら、事業を通じて「低炭素社会への貢献」「循環型社会への貢献」「地球環境が守られる社会への貢献」に挑戦を続け、社会と企業の持続的な成長を目指していく。

昭和電工 国内アルミニウム缶事業の生産ラインを再編

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2019年5月29日

 昭和電工は28日、連結子会社の昭和アルミニウム缶が、国内アルミニウム缶事業の市場変化に適合するため、小山工場・彦根工場の生産ラインの一部停止を決定したと発表した。

 国内のアルミニウム缶市場は、ビール系飲料の需要減少が続いているものの、ビール系以外のアルコール飲料の需要が増加していることにより、アルコール飲料用缶の需要は堅調に推移している。

 しかし、非アルコール飲料用缶は、ペットボトルへの置き換えにより需要が大幅に減少し、今後も厳しい事業環境が続くことが見込まれている。

 昭和アルミニウム缶は、国内に3拠点(小山・彦根・大牟田)の製缶設備を有して事業を展開しているが、こうした国内市場の変化に対応するため、2020年6月をめどに、主に非アルコール飲料用缶を生産しているラインを停止し、生産能力を現状の6割程度に適正化することにした。

 今後、国内アルミニウム缶事業については、堅調なアルコール飲料用缶に集中して収益基盤を安定化するとともに、少量多品種生産に適した飲料缶の印刷技術の開発や、新用途の開拓、販売価格の地金連動フォーミュラ化を進める。

 同社グループは、個性派企業(収益と安定性を高レベルで維持できる個性派事業の連合体)の実現をVision(目指す姿)とし、2025年には同社事業の半数以上を個性派事業とすることを目指している。

 アルミ缶事業についても、国内収益性の向上と海外拠点の拡充・発展により、個性派事業へと進化を図る。

三菱ケミカル 2018年度触媒学会賞(技術部門)を受賞

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2019年5月29日

 三菱ケミカルは28日、1‐ヘキセンの製造に用いるクロム系エチレン三量化触媒の開発が、日本の触媒研究分野で権威のある触媒学会から、2018年度触媒学会賞(技術部門)を受賞したと発表した。

 世界に先駆けて超高活性・超高選択性をもつクロム系エチレン三量化触媒を見出し、選択的なエチレン低重合反応の技術分野の発展に大きく貢献した点と、同触媒を使ったシンプルで環境負荷の少ない製造プロセスにより、商業規模での1‐ヘキセンの生産が開始された点が評価された。

 同触媒は安価で汎用のトリエチルアルミニウムを助触媒とし、1‐ヘキセンの反応選択性が95%を超える高い反応選択性を示す一方、ポリエチレンの副生率は0.1%未満となる特徴をもち、超高活性・超高選択的エチレン三量化触媒として、同社が開発した。

 同触媒プロセスは、触媒の生成とエチレンの三量化反応を反応槽内で同時に行う同時接触法を採用している点に特徴がある。この独特な接触法によって、触媒活性種を不安定化させることなく、効率的に生成させることが可能となり、稀有な高い触媒性能を実現した。

 また、同プロセスの革新性は、同時接触法の採用によって、煩雑で高コストとなる触媒調製工程を排除した点にあり、製造プロセスの簡素化や製造時のエネルギー消費の削減、プラントの安定運転、生産性の向上につながった。

 なお、同社はすでにこの触媒を用いたプロセス技術について、タイ国内の大手化学メーカーと2014年にライセンス契約を締結しており、2018年度から生産が始まっている。

 今後も、同社は世の中のさまざまな課題に対してソリューションを提供するため、触媒やプロセスなど、自社の保有技術をブラッシュアップすると同時に、ライセンスビジネスも積極的に展開していく。

 

昭和電工 スイスのNSCメーカー買収へ、世界市場で競争力強化

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2019年5月29日

 昭和電工は28日、ノンスティック・コーティング剤(NSC)を製造・販売するILAG社(スイス)の全株式を取得することを決定し、ILAG社の株式を保有するHelvetica Capital AG(スイス)との間で株式売買契約を締結したと発表した。

 NSCとは、調理器具や家電製品などの消費者向け製品や、自動車・産業機器などの工業製品に塗布される、焦げ付き、汚れ防止を目的とした材料で、世界の市場規模は約1300億円(2019年、昭和電工推定)と見られている。

 ILAG社は消費財NSC市場で世界第4位、欧州市場では第2位に位置し、特に欧州で高いブランド力をもっている。消費財だけでなく、自動車部品向けなど工業分野にも市場をもつ企業で、スイス国内で生産した製品を50ヵ国以上に供給している。また、中国にも生産拠点があり、顧客である中国国内メーカーの調理器具は世界中で販売されている。

 昭和電工が2016年11月に買収した消費財NSC大手のGMMグループは、米国の大手調理器具メーカーを主な顧客としており、GMMグループとはグローバル市場で、販売エリアの補完など多くのシナジー効果が期待できる。

 昭和電工のNSC事業は、今回の買収により6000万ドルの売上規模を得て、特に消費財市場で世界的な競争力をもつ事業となる。同社は機能性高分子・機能性モノマー事業でコーティング材料向けの原料を販売しており、高機能コーティングの材料・処方、評価方法の知見をもっている。

 NSCはフッ素樹脂系、シリコン系、セラミックス系があり、同社の幅広い事業・製品・技術を組み合わせることで、最適なソリューション提供が可能な市場である。

 なお、ILAG社とGMMグループを統括し、グローバル事業運営を行うため、昭和電工内に「コーティング材料部」を7月に新設する。

 

積水化学 「防災・災害意識と住まい調査」実施

2019年5月28日

 被災経験持つ住宅取得計画者はライフライン設備を希望

 住環境研究所がこのほど実施した「防災・災害意識と住まい調査」で、被災経験がある住宅取得計画者では、災害に備えることができるライフライン設備を望んでいることが明らかになった。

 同研究所は、積水化学工業住宅カンパニーの調査研究機関。調査は5年以内に戸建て持ち家を取得した被災経験者と、被災経験がある住宅取得計画者を対象に行った。

 被災した際の停電経験者は70%、断水経験者は43%で、災害時にライフライン関連がストップする状況が数多く発生していることが分かった。

 災害時に困ったことは「家の片付け、掃除」が26.6%、「停電、計画停電で自宅の電気が使えない」が25.7%、「食料の入手」が25.0%、「飲み水の入手」が23.3%、「自宅の水洗トイレが使えない」が23・2%の順で、ライフラインの確保に関しては、あまり備えが進んでいないことが伺えた。

 災害に備えておいたことで回避できたことは、トイレットペーパーなどの日用品や飲み水の入手などで、災害用の備蓄に関しては、多くの人が日頃から対応できていることが判明した。

 住宅取得計画者に、災害に対応する住まいへの配慮(建物や設備)について聞いたところ、特に設備への要望で、停電対策として「太陽光や蓄電池などにより最小限の生活が行える」が51.0%、「電気のみに頼らない、ガスも併用した設備」が47.6%、「大容量蓄電池などにより普段通りの生活が行える」が45.1%だった。

 これにより、被災経験がある住宅取得計画者では、災害に備えることができる、太陽光や蓄電池などのライフライン設備を望んでいることが明らかになった。

BASFジャパン 建築用塗料で共同ブランディング

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2019年5月28日

 BASFジャパンと総合塗料メーカーの菊水化学工業(名古屋市)は、建築用塗料の耐久性の重要性に関する認知向上のための共同ブランディングを開始した。この取り組みは、共同開発した高性能樹脂を使い、菊水化学が製造販売する高耐候性アクリルシリコン樹脂塗料「水系ファインコートシリコン」を通じて行う。

 同製品はBASFのコアシェル技術を活用した、多層構造のポリマー粒子から成るアクリルディスパージョンに、紫外線による経年劣化を防ぐ同社の光安定剤「チヌビン」を配合した専用樹脂を採用することで、建物の長期にわたる美観維持に寄与する。

 共同ブランディングでは、「水系ファインコートシリコン」のパッケージやパンフレットにBASFのロゴが付くほか、パッケージに「チヌビン」のウェブサイトをQRコードで表示し、塗料の耐候性の重要性を訴求する。

 外壁塗装は建物を保護するために施されているが、日光・雨・ほこり・風に直接さらされることで、一部の塗料は徐々に割れてはがれ、時間の経過とともに保護機能を失う。

 「水系ファインコートシリコン」に使われる「チヌビン」は、有害な紫外線から塗膜を保護し、光沢低下とひび割れ、チョーキング(白亜化)のような塗膜劣化を最小化する。

 菊水化学の山口均社長によると、「水系ファインコートシリコン」は、建築物の期待耐用年数を、一般的なシリコン樹脂塗料の10~12年から12~16年に延長できるという。

 日本では住民の高齢化や空室問題などで、マンションの大規模修繕費用の不足が課題となっており、耐用年数の延長は、日本の不動産管理会社や住宅所有者にとって、環境に優しく、コスト削減につながるソリューションになるとのこと。

旭化成 気候関連財務情報開示タスクフォース提言に賛同

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2019年5月28日

 旭化成は27日、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)提言に賛同すると発表した。これは世界主要25ヵ国・地域の財務省、金融規制当局、中央銀行などの代表を参加メンバーとする、金融安定理事会(FSB)が設置したタスクフォースによる提言。企業に対し、気候関連のリスクと機会に関する情報開示を行うことを推奨している。

 パリ協定に象徴されるように、世界的な平均気温の上昇を始めとする気候変動は、社会や生態系、企業に中長期的に大きな影響を与える恐れがあり、解決すべき重要な課題となっている。

 また、気候変動を防ぐための行動や規制は、社会のあり方や企業の事業戦略に影響を与える可能性がある。同社では、企業が自らのリスクと機会を開示することは、ステークホルダーとのさらなる信頼関係を構築し、持続的に企業価値を向上させるためにも有用であると考え、TCFD提言に賛同することにした。

 同社は「世界の人びとの〝いのち〟と〝くらし〟に貢献します。」というグループ理念のもとで経営を進めており、地球温暖化ガス(GHG)の排出量削減に向けた行動はもとより、多様な事業を通じて、世の中のGHG排出量削減に貢献していくことを経営の重要課題と認識している。

 持続可能な社会の実現に向け、「健康で快適な生活」と「環境との共生」を通じた新たな価値を提供していくという観点から、今後も世界の人びとの〝いのち〟と〝くらし〟に貢献していく方針だ。

セキスイハイム中部 理想の住空間提案するショールーム開設

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2019年5月27日

 セキスイハイム中部は18日、理想の住まいの実現に役立ててもらうためのインテリアショールーム「ハイムデザインミュージアム名古屋」をオープンした。

 同社住宅を検討中、あるいは契約した人に、住宅設備やインテリアを楽しみながら選んでもらう。リアルとバーチャルの両面から、インテリアを検討してもらい、納得度・満足度の高い理想の家づくりを提案する。

 セキスイハイムグループでは、体感型施設の展開を加速している。セキスイハイム中部も、昨年の2拠点(名古屋市港区・三重県四日市市)に加え、4月に体感宿泊施設(名古屋市緑区)をオープンした。

 この取り組みを進化させたものが、今回のショールーム。注文住宅で家づくりのメインイベントとなる住宅設備や内装材、インテリア商品の選定を、インテリアコーディネーターなどの専門スタッフとともに、「楽しく・わかりやすく・効率的に」行う。

 プロのトータルコーディネート提案でこだわりの住空間を実現するとともに、住宅設備や内装材などの検討・セレクトの場を1カ所に集約することで、効率的な家づくりを進めるための手助けをする。

 ショールームには3つの体感プログラムを用意した。「リアルフィッティング」ゾーンでは、多彩な大型サンプルでインテリアイメージを確認。「バーチャルチェック」ゾーンでは、設備や間取りを大型画面や映像、CGで再現確認する。

 「シーントライアル」ゾーンでは、生活シーン別のライティングやIoT住宅を体感できる。

 利用は完全予約制。住所は名古屋市東区東桜1-13-3(NHK名古屋放送センタービル10階)。毎週火・水曜日と、同社の展示場定休日に準じて休館となる。

日本化学工業協会 LRI賞の受賞者を広島大学の古武教授に決定

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2019年5月27日

 日本化学工業協会(日化協)はこのほど、日本毒性学会内に設立した日化協LRI賞の第5回目の受賞者に、広島大学大学院医歯薬保健学研究科の古武弥一郎教授を決定した。テーマは「化学物質神経毒性の分子基盤解明と毒性評価指標の開発」。

 主な受賞理由は2点。1点目は、有機スズなどの神経毒性を有する化学物質が、生体内に存在するグルタミン酸受容体(GluR2)のタンパク質レベルを減少させることを見出すなど、化学物質の神経毒性メカニズムの解明に貢献したこと。

 2点目は、化学物質の神経毒性評価で、GluR2の発現低下が評価指標として有用であることを示したこと。この評価指標を用いることでIn vitro(試験管内)での鋭敏な神経毒性の予測評価手法として実用化が期待できる。

 LRIとは、国際化学工業協会協議会(ICCA)に加盟している欧州化学工業連盟、米国化学工業協会、日化協の3つの団体によって1999年から運営されているグローバルプログラム。化学物質の安全性を向上させ、不確実性を低減させることを目的に「化学物質が人の健康や環境に与える影響」に関する研究を、長期的に支援する自主活動である。

 日化協では2000年からLRIを通じて、年間最大1億円の研究支援を始め、2015年にはLRIの認知拡大と理解促進のほか、優れた若手の研究者、世界をリードするような新しい研究分野を発掘することを目指し、日本毒性学会内に日化協LRI賞を設立した。

 なお、授賞式は6月26~28日にアスティとくしま(徳島県立産業観光交流センター)で開催される、第46回日本毒性学会学術年会で行われる。

SEMI シリコン再生ウエハーが2年連続の高成長

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2019年5月27日

 マイクロ・ナノエレクトロニクス製造サプライチェーンの国際工業会であるSEMI(米国カリフォルニア州)はこのほど、昨年のシリコン再生ウエハー市場が2年連続で高成長を記録したと発表した。

 シリコン再生ウエハー市場が過去最高量のウエハーを再生した結果、前年比19%増の6億300万ドルとなった。2021年には6億3300万ドルとなることが予測されている。ちなみに、再生シリコンウエハー市場は2007年のピーク時には、7億300万ドルを記録している。

 地域別では、大口径(200mmと300mm)ウエハーの再生能力の多くを持つ日本のサプライヤーが、引き続き最大のシェアを占めている。ただし、2018年の日本企業の大口径ウエハーの再生能力シェアは前年から2%減少し、53%になっている。

 アジア太平洋地域のサプライヤーの大口径ウエハー再生能力シェアは、2017年の30%から31%に増加した。欧州・北米のサプライヤーの大口径ウエハー再生能力は、16%の水準を維持している。世界全体では、大口径ウエハーの再生能力は3%増加した。

 SEMIは現在、22のシリコン再生ウエハーサプライヤーを調査対象としている。内訳は日本が9、アジア太平洋は7、北米・欧州は6。昨年のレポートには中国の200mmサプライヤーであるアドバンスト・シリコン・テクノロジーが、また一昨年のレポートには韓国の300mmサプライヤーであるアドバンスト・エナジー・テクノロジー・ソリューションが、それぞれ追加された。