NTTドコモ 合成繊維製造でIoT活用、タイで実証実験開始

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2019年3月12日

 NTTドコモとシンガポール現地法人のNTTドコモアジアはこのほど、合成繊維製造工程でIoTを活用する実証試験をタイで開始した。

 法人顧客のIoT製品のグローバル展開のため、ドコモがグローバル回線・オペレーション・コンサルティングをワンストップで提供する、マネージメントサービス「グロビオ」の取り組みの一環として実施する。帝人フロンティアのグループ会社で、タイで繊維事業を展開するテイジン・ポリエステル(タイランド)と協力して現場での検証を行う。

 これまで、ドコモアジアはセンサーから取得したデータをクラウド上で見える化する「IoTソリューションプラットフォーム」を、自動車の部品をはじめとするプラスチック成形業界を中心に提供してきた。今回の実証実験を通じて、高機能で安定供給が求められる繊維業界での活用を検証する。

 実験では同プラットフォームを使い、繊維工場の稼働状況を見える化する。工場の機器に設置された各種センサーから、約30点の操業情報をモバイルネットワークを通じてリアルタイムに収集。クラウド上に蓄積することで、工場管理者がパソコンやスマートフォンで、工場の様子を遠隔監視できるようになる。これにより、工場内のデジタル化を促進し、現場の情報を速やかに共有することで、効率的な生産体制の構築が可能になる。

 さらに、今後は同プラットフォームを活用し、一時的なトラブルによる設備停止時間の削減や、設備の劣化状態の把握など、製造現場のさらなる業務改善を目指す。

ブルーイノベーション 無線通信拡張ユニットなど発売

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2019年3月12日

 ドローンによるソリューションプロバイダーのブルーイノベーション(東京都文京区)は11日、記者会見を行い、設備点検ドローン「エリオス」による点検作業をより広範囲で行うための、無線通信拡張ユニット「レンジ・エクステンダー」の発売と、ドローンの販売・サービス・開発に関するBIパートナー制度の開始を発表した。

 同社はスイスのフライアビリティ社との業務提携により、屋内狭小空間での飛行に最適な性能を持つ「エリオス」を活用した、屋内点検分野で新たなソリューション・サービスを展開している。すでにボイラーやタンク、工場などで採用されているが、地下の閉塞空間で遠隔操作を行う場合、複雑な地下トンネルなどでは、電波の送受信可能な範囲に制約があり、点検作業ができないといった課題があった。

 これを解決するために開発したのが「レンジ・エクステンダー」である。①電波を発信するアンテナ・モジュール②信号を中継増幅するパワー・モジュール③2mケーブル④20mケーブルで構成。2mケーブルはコントローラーとパワー・モジュール、20mケーブルはパワー・モジュールとアンテナ・モジュールをそれぞれ接続する。この20mケーブルを地下トンネルに伸ばすことで、より広範囲に点検作業を行うことができる。アンテナ・モジュールは防滴・防塵仕様で、内蔵アンテナを備えている。適正使用温度は0~40℃。100万円前後(税別)で来月発売する予定だ。

 熊田貴之社長は「すでに世界ではさまざまな実績があるが、ようやく日本でも申請が通り、販売を拡大していくことになった」と述べた。

 一方、BIパートナー制度は、パートナー参加企業に対し、販売・サービス・開発面をトータルでサポートすることで、パートナー企業のビジネス拡大を後押しするもの。BIパートナーになると、販売面ではブルーイノベーションの全ての製品・サービスを販売することができる。

 また、ドローン運用サービス面では、顧客の紹介、機材のレンタル、操縦ノウハウ、厳選したパイロットなどの提供が受けられる。第1弾として「エリオス」の販売・サービス運用からスタートする。

INPEX 米テキサス州でシェール生産に初参入

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2019年3月11日

 国際石油開発帝石(INPEX)はこのほど、子会社のINPEXアメリカズを通じて、ガルフテックス・エナジーが米国テキサス州イーグルフォードシェールに保有し操業する複数のシェールオイル生産・開発権益を取得することで合意したと発表した。INPEXは、初めてとなる米国でのシェールオイル生産・開発事業に参入する。

 同社は今回の合意により、米国シェールオイル生産開発事業でのオペレーターとしての知見やノウハウを習得するとともに、すでに保有しているタイトレザバー開発技術を同権益の操業に活用することで、同権益の価値拡大につなげていく考え。

 取得した権益の大部分は、シェールオイル・シェールガス開発の実績が豊富なイーグルフォードシェールの中でも生産性の良いカーンズ郡に位置している。ネット生産量は、日量約7600バレル(2019年1月時点)。取得リース権は、約1万3000ネットエーカー(約53平方キロメートル)で、一部の権益を除き、INPEXがオペレーターとして操業を行う。

 同社は、昨年5月に公表した「ビジョン2040」に、「石油・天然ガス上流事業の持続的成長」を事業目標の一つとして掲げる。今回の権益取得は、資産ポートフォリオのさらなる拡充につながるものと考えている。

昭和シェル 医療品など視野にクラゲ事業へ出資

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2019年3月11日

 昭和シェル石油はこのほど、海月研究所(神奈川県川崎市)と丸和油脂(東京都品川区)の3社で、クラゲビジネスの共同事業化を行うことで合意し、海月研究所に対して出資(出資比率:51.72%)を完了したと発表した。

 合意に至ったのは、クラゲの採取と、クラゲコラーゲンやムチンなどの化粧品・医療品・食料品の原料成分の生産・販売に関する事業化。同事業は、昭和シェルが昨年9月に発表した海月研究所とのクラゲコラーゲン・ムチン供給の事業化検討を踏まえたもの。

 今後は、昭和シェル石油グループの発電所を原料となるクラゲの供給元として活用し、丸和油脂の工場内の製造設備を使い、海月研究所の所有する技術をもとに化粧品・医療品・食料品などの原料となるクラゲコラーゲンとムチンの生産を行う。

 海月研究所は、理化学研究所発のベンチャー企業として2009年に設立。エチゼンクラゲやミズクラゲなどの生物からコラーゲンやムチンといった生物に必要な有効成分を抽出する技術とその特許を所有し、クラゲコラーゲンを添加した美容液なども販売している。

 一方、海月研究所の株主でもある丸和油脂は、マーガリンメーカーとしてスタートし、永年培った技術をベースに、種々の開発やアイデアに加え、独創的な製品を作りだす企業として発展。現在、マーガリン類・マヨネーズ類・ドレッシング類の製造・販売を手掛けている。 

 クラゲから得られるコラーゲンは他生物からのコラーゲンにはない特性をもち、化粧品や人工皮膚の材料として、世界中の化粧品原料メーカーや食品関連企業から注目を集めている。また、クラゲ由来のムチンはムチンと呼ばれるものの中で唯一構造の同定がされたものであり、変形性関節症治療薬やドライアイ治療薬など医療品としての活用が期待されている。

 クラゲの大量発生は、海水を利用する工場を所有する事業者や漁業事業者の間でも課題となっている。3社は今回の事業を通じ、迷惑なものとして扱われていたクラゲを有効利用することで、社会問題の解決に寄与するとともに新たな価値を創造していく考え。

日本ゼオン 健康経営の評価で「ホワイト500」に認定

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2019年3月11日

 日本ゼオンはこのほど、経済産業省が主催する「健康経営アワード2019」で、「健康経営優良法人2019(大規模法人部門)~ホワイト500~」に認定された。

 同制度は健康経営に取り組む企業を顕彰するもの。その取り組みが特に優良な法人を「見える化」し、従業員や求職者、各機関などから「健康管理を経営的な視点で考え、戦略的に取り組んでいる法人」として、社会的評価が受けられる環境づくりを目標としている。経産省が普及促進に向けた制度設計を担い、日本健康会議が認定を行っている。

 同社は今回、「ゼオングループ全員の成長と力の発揮は、一人ひとりの健康がベース」というトップ方針の下、全社で取り組む健康経営の施策が高く評価された。今後も継続的な認定取得を目指し、よりいっそう健康経営の質向上を図っていく姿勢を明らかにした。

 

積水化学 「地球環境大賞」の国土交通大臣賞を受賞

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2019年3月8日

 積水化学工業は、『「エネルギー自給自足型住宅」の開発・普及』の取り組みが評価され、第28回「地球環境大賞」で「国土交通大臣賞」を受賞した。同社は「スマートハイム」シリーズなどの展開を通じ、大容量の太陽光発電システム(PV)で発電した電気を蓄電池や電気自動車などの蓄電システムに蓄えて効率よく使う、再生可能エネルギーだけで暮らす住まいづくりを目指している。

 昨年9月末現在の、同社PV搭載住宅は約19万9000棟、電気の蓄電と使用を賢く管理するシステム「HEMS」出荷台数は約5万3000台、蓄電池は約1万7300台を出荷している。

 「地球環境大賞」は1992年、「産業の発展と地球環境との共生」を目指し、産業界を対象とする顕彰制度として、世界自然保護基金(WWF)ジャパンの特別協力を得て創設。地球温暖化防止や循環型社会の実現に寄与する新技術・新製品の開発、環境保全活動・事業の促進や、21世紀の社会システムの探求、地球環境に対する保全意識の一段の向上を目的としている。

 同社はパリ協定での日本のCO2削減目標を踏まえて、日本企業としてその責任を果たすため、国家目標と同等以上の削減目標を掲げて意欲的に取り組んでいる。中でも特に家庭部門の削減目標は高いため、同社でも住宅事業については積極的にCO2削減に寄与する商品の開発・普及に注力している。

 なお、授賞式は4月22日に東京・明治記念館で行われる予定。

クラレノリタケ 欧州企業と歯科材料でライセンス契約

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2019年3月8日

 クラレノリタケデンタルは7日、同社が保有する積層セラミックスの製造方法(欧州特許第2024300号)について、先月、欧州企業とライセンス契約を締結したと発表した。契約を行ったのは、リヒテンシュタインに本社を置くイボクラール・ビバデント社。1923年に人工歯製造会社として設立され、現在では歯科医療の包括的・革新的な製品を提供する、世界的な歯科材料総合メーカーへと発展している。

 クラレノリタケデンタルは、2012年に積層セラミックス製造方法を用い、各層にギャップのないグラデーションを持つマルチレイヤードジルコニアディスクを製品化した。独自の着色技術と顔料添加量の最適化、各層の収縮を制御することで高い適合精度を達成。加工機で切削加工するだけで、歯頸部から切端部にかけて色調のグラデーションを持つフルジルコニア修復物の製作を可能にした。

 2015年には新シリーズとしてエナメル質に近似した高透光性をもつシリーズを発売し、前歯部での審美性修復を追求。さらに昨年には、新たなジルコニアソリューションの提案を目指し、短時間焼成でありながら優れた機械的特性と審美性を両立したジルコニアブロック(ブロック形状)を上市した。

 同社は、今後もさらなる技術革新により、歯科業界の発展に寄与する材料開発を続けていく考えだ。

住友化学 持続的な価値創出へ最重要課題を特定

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2019年3月8日

 住友化学は7日、3カ年の新中期経営計画が4月1日からスタートするのに先立ち、経済価値と社会価値をともに継続的に創出するため、経営として取り組む7つの最重要課題(マテリアリティ)を特定したと発表した。

 7つのマテリアリティは「持続可能な社会の実現への貢献」を明示的に推進すべく特定したもので、主として、同社の事業と直接関係する「社会価値創出に関するマテリアリティ」と、将来を見据えた取り組み課題である「将来の価値創造に向けたマテリアリティ」の2つの観点から抽出している。

 「社会価値創出に関するマテリアリティ」では「環境負荷への貢献」「食糧問題への貢献」「ヘルスケア分野への貢献」「ICT技術革新への貢献」、「将来の価値創造に向けたマテリアリティ」については「技術・研究開発の推進」「デジタル革新への取り組み」「ダイバーシティ推進」を最重要課題とした。

 7つのマテリアリティに対する取り組みを着実に進めるため、今後、それぞれの項目に対して重要業績評価指標(KPI)を設定し、新中期経営計画の中で進捗を確認するとともに、それらを社内外のステークホルダーとの対話の推進にも生かしていく。

 同社は今年1月、住友の事業精神の1つである「自利利他 公私一如」に基づき「サステナビリティ推進基本原則」を新たに制定した。基本原則では、同社にとってのサステナビリティの推進を「事業を通じて持続可能な社会の実現に貢献するとともに、自らの持続的な成長を実現する」と定義し、その達成を通じて企業価値の向上に取り組むこととしている。

 同社グループでは、持続可能な社会の実現に向けて、引き続きグループ一丸となって創造力を最大限に発揮し、化学の力による新たな価値創造を通じた社会課題の解決を目指していく方針だ。

 

三井化学 中国で長繊維GFPP設備の新設で1万t体制に

2019年3月6日

 三井化学は5日、同社グループの中国の製造拠点である三井化学複合塑料(中山)〈広東省中山市〉に、ガラス長繊維強化ポリプロピレン(長繊維GFPP)の生産設備新設を決定したと発表した。生産能力は年産3500t。2020年2月に完工、9月の営業運転開始を予定する。

長繊維GFPP
長繊維GFPP

 同拠点は、日本・米国に続く3つ目の製造拠点。今回の設備新設によりグローバル供給体制の強化を図り、生産能力は合計で年産1万500tとなる。

 プライムポリマー(三井化学:65%、出光興産:35%)が開発した長繊維GFPPは、繊維状のガラスとポリプロピレン樹脂を溶融・混練して得られる複合材料。軽量で、ガラス繊維が長いことによる剛性や、耐衝撃性のバランスに優れていることに加え、外観性が良いことから、無塗装による自動車向けバックドアインナーなどに採用されている。

 昨今の環境規制の強化やEV化の進展を背景に、自動車にはより一層の軽量化が求められている。こうした中、バックドアなどの金属代替素材として、繊維強化樹脂の需要は増加が見込まれる。

 三井化学は、世界的に拡大する需要を的確に捉え、重点分野の1つであるモビリティのさらなる事業拡大を進めていく考え。なお、同社では長繊維GFPPを環境貢献価値が高い製品に位置づけ、展開している。

 

三井化学と三井化学東セロ 「ホワイト500」に認定

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2019年3月6日

 三井化学と三井化学東セロはこのほど、経済産業省と日本健康会議が共同で実施する「健康経営優良法人2019(大規模法人部門)ホワイト500」に認定されたと発表した。三井化学は3年連続、三井化学東セロは初めての認定となった。

 同制度は、地域の健康課題に即した取り組みや、日本健康会議が進める健康増進の取り組みをもとに、特に優良な健康経営を実践している法人を顕彰するもの。

 三井化学は、本社や研究所、主要4工場の健康管理室に専属産業医や保健師、衛生管理者を配置し社員の健康管理を推進するとともに、その他の工場や関係会社の主要工場にも嘱託産業医、保健師などを配置し、グループ社員も含めた健康増進を図っている。同時に、メンタルヘルス不全・生活習慣病の予防や、衛生リスクの継続的低減にも注力し、同社ウェブサイトなどで結果を公開している。

 また、同制度の認定や「健康経営銘柄」の選定に使用される〝健康経営度調査〟のアンケートでは、「健康経営をする上で手本としている、または参考としている法人」として、他社から多くの推薦を得ている。

 一方、三井化学東セロは、産業医、保健師、健康保険組合、労働組合と連携し、社員の健康保持・増進に取り組んでいる。「働き方改革」社長宣言のもと、長時間労働の撲滅や会議運営の効率化推進など、社員の活力向上や生産性向上にむけて包括的に各種施策を実施している。

 同グループは今後も、「社員の健康は会社の健康に直結する」との基本理念に基づき、社員の健康づくりを経営課題と位置づけ、グループ社員の健康増進活動に積極的に推進していく考え。