旭化成は26日、創業の地である宮崎県延岡市で健康長寿社会の実現に向けた取り組みを今月末から開始すると発表した。延岡市が目指す「健康長寿のまちづくり」と旭化成グループが目指す地域社会での「サステナビリティの実現」という方針が一致し、共同で「骨粗鬆症による骨折の予防を目的とした健康長寿のまちづくり」に取り組んでいく。
わが国では、骨粗鬆症の患者が約1280万人いると見られているが、骨粗鬆症は痛みなどの自覚症状がないことも多く、適切な予防や治療がなされないケースも少なくない。骨粗鬆症による骨折者数は、この20年間で患者数が約2倍に増加しており、高齢化に伴い今後も増加することが見込まれている。骨粗鬆症による骨折は患者本人や家族のQOLを低下させる要因にもなり、経済的な負担も少なくない。
こうした中、同社の延岡支社と延岡市は昨年12月、骨粗鬆症による骨折予防を目的とする「自分の足で100年歩ける健康長寿のまちづくりに関する協定」を締結。その協定に基づき、骨疾患治療薬の開発・製造を手掛ける旭化成ファーマがもつ多くの知見や、旭化成のデータ解析などの技術を、高齢化が進む社会課題の解決手段として有効活用し、延岡市や研究機関(国立循環器病研究センター、宮崎大学、東京大学)の専門家との連携を通じて、地域の人々の健康長寿社会の実現に向けて取り組む。
期間は、今月末~2026年末の6年間を予定。内容は2年ごとに、第1期:現状把握のための調査と課題解決の仮説を策定、第2期:地域を限定した実地での試行と課題検証、第3期:延岡市全域で事業として施行し成果の確認と事業継続性などの最終評価を実施、の3期に分けて段階的に実行する。
この取り組みによって、延岡市では、「まちぐるみで骨粗鬆症を見守る体制(予防、早期発見・治療)(延岡モデル)」を実現することで、広く市民のQOLが維持されるとともに、地域の医療費、介護費の抑制を目指す。また旭化成は、将来的に同モデルを他の地域へ広げるとともに、応用可能な他の疾患への展開も検討していく。