JXTGエネルギーとJXリサーチ、日本エネルギー経済研究所による「第29回国際パネルディスカッション」が5日、都内で開催された=写真。
最初に同研究所の豊田正和理事長が挨拶を行い、世界の低炭素化・脱炭素化の動きの中で「化石燃料である石油・石炭、さらにはこれまで環境性が高いと言われていた天然ガスまで逆風にさらされ始めている」と指摘。しかし、現時点でも1次エネルギーの80%が化石燃料という中で、
2020年2月10日
2020年2月3日
産業技術総合研究所(産総研)はサンアローと共同で、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)に多層カーボンナノチューブ(CNT)を効果的に分散・複合化する技術を開発した。これにより、衝撃に強いPEEK/CNT複合材料の作製が可能になった。
PEEKは溶融成形できる熱可塑性スーパーエンジニアリングプラスチックとして、最高クラスの耐熱性を持ち、耐疲労性・耐環境性・耐薬品性・難燃性にも優れている。金属に比べて軽量なので、電気・電子部品分野、自動車分野、航空宇宙分野などで広く使われている。
最近はさらに静電気対策としての導電性や強度、熱伝導性などを付与するため、炭素繊維(CF)をフィラーとした複合化などがなされているが、一般的にフィラーを添加すると、衝撃で割れやすくなるという問題がある。
産総研はPEEKにCNTを添加して、耐熱性と機械強度を改善する研究開発に取り組んできた。これらの特性で世界最高水準を達成したが、実用的な製品へと展開させるには、CNTを添加すると衝撃強度が母材より低下するという課題を解決する必要があった。
一方、サンアローはゴム・樹脂製品加工メーカーで、CNT複合材料研究拠点の参画企業として、樹脂成形のノウハウを生かして産総研と共同開発を進めてきた。
今回開発した技術は、複合化の際の混練成形手法を改良したもので、樹脂母材と同等の衝撃強度(靭性)を維持したまま、高温でのより優れた機械的強度や高い形状保持性、均一な導電性を付与することが可能になった。
導電性が同程度であるPEEK/CF(炭素繊維)複合材料に比べ大幅に靭性が向上し、導電性と靭性を両立する実用的なPEEK複合材料を作製することができる。
同材料で自動車・航空機などの金属部材を代替することにより、軽量化による省エネへの貢献が期待される。
2020年2月3日
旭化成は31日、iPSアカデミアジャパンとライセンス契約を締結しているiPS細胞技術に関する特許について、原許諾範囲を拡大する変更契約を締結したと発表した。なお、同特許はiPSアカデミアジャパンが京都大学より許諾されているもので、旭化成は2018年にライセンス契約を結んでいた。
今回の変更契約により、原許諾範囲である外傷性関節軟骨損傷を適応とする治療用途に加え、全世界での変形性関節症と半月板損傷を適応疾患とする治療用途を対象とした、iPS細胞技術に関する特許の非独占的通常実施権と、軟骨分化誘導技術に関する特許の独占的通常実施権を取得。
これにより、旭化成は、当該特許権が及ぶ全世界で、変形性関節症や半月板損傷などを適応とするiPS細胞由来の再生医療等製品を独占的に研究開発・製造販売する権利を保有し、iPSアカデミアジャパンに対して、契約一時金と開発段階に応じた開発マイルストーンを支払い、販売後は、販売額に応じたロイヤルティと販売額の目標達成に応じた販売マイルストーンを支払う。
軟骨分化誘導技術とは、iPS細胞などの多能性幹細胞を、特殊な培養条件によって軟骨細胞に分化させるとともに、細胞外マトリクスを生成させ軟骨様組織を作製する技術。
今回の変更契約では、適応範囲の拡大のみならず、iPS細胞から軟骨様組織(軟骨パーティクル)を製造する技術に加えて、板状の軟骨を製造する特許技術についても許諾対象に追加される。
今後については、旭化成は引き続き、京都大学iPS細胞研究所の妻木範行教授との共同研究を推進し、外傷性に限らない関節軟骨損傷を適応とするiPS細胞由来の再生医療等製品の実用化に向けて、製造技術の確立を進めていく。
同社は「軟骨の再生医療技術を研究開発プラットフォームに加えることにより、当社グループの整形領域における取り組みをさらに強化していくことができるものと期待している」とコメントしている。
2020年1月30日
石油化学工業協会(石化協)は28日、都内で「定期修理(定修)研究会報告書」についての説明会を開催した。
少子高齢化が進展し働き方改革の順守が求められる中での「工事品質の確保」、生産設備の高経年化に伴う「工事期間の長期化」、さらに石化各社にとって安定運転の維持に支障をきたす「定修時期の重複」が喫緊の課題となっている。
そうした中、同協会は、昨年7月に定修の課題と解決策を多方面から検討するため、定修に関わる事業者5団体(石油連盟、日本化学工業協会、日本メンテナンス工業会、日本非破壊検査工業会、日本プラスチック工業連盟)と有識者2名の協力を得て同研究会を発足。7回の開催を経て報告書を取りまとめた。
報告書は、①定修の実態②定修から発生する問題点と課題解決の方向③解決に向けた
2020年1月30日
2020年1月23日
日本ポリエチレン製品工業連合会は21日、都内で新春賀詞交歓会を開催し、関係者ら約130人が参加した。
萩原邦章会長(萩原工業会長・東洋平成ポリマー社長)は冒頭の挨拶で、「昨年の国内の実質GDPは、最終的にはプラス1%前半の小さな伸びになると予想されているが、われわれプラスチック加工業界としては、景気の雲行きが怪しくなっているというのが正直なところだ」と述べ、事業環境への懸念を示した。
コスト面では、原油価格の高騰にともなう原材料費の上昇に加え、物流費や廃プラ処理費用も上昇する。さらに、昨今のプラスチック使用・排出削減や食品ロス削減の流れを受け、食品用容器・包装材の出荷減も顕在化しており、事業的には厳しい状況が続いている。
しかし、こうした状況にあるがゆえに
2020年1月22日
2020年1月21日
NEDOはこのほど、産業技術総合研究所(産総研)、未利用熱エネルギー革新的活用技術研究組合(TherMAT)と共同で、熱電発電モジュールの発電性能評価を行うための試験装置用標準器(標準参照モジュール)を開発したと発表した。
1次エネルギーの多くは効率的に利用されておらず、未利用熱エネルギーとして廃棄されている。そのため、未利用熱エネルギーの有効活用は、省エネルギーとCO2排出削減の重要な柱。特に、未利用熱エネルギーの電力回収(排熱発電)には高いニーズがあり、熱エネルギーを電力に直接変換できる熱電変換技術には大きな期待が寄せられている。
しかしながら、熱電発電システムの基本構成部品である熱電発電モジュールの発電性能や耐久性を正確に評価する技術は標準化されておらず、その性能を保証する技術の確立が課題だった。
今回、こうした課題を解決するため、NEDOは産総研とTherMATとともに、熱電発電モジュールの正確で迅速な発電性能評価を行うための試験装置用標準器(標準参照モジュール)を開発。熱電変換材料としてニッケル合金を使用することで、この標準参照モジュールに高い耐久性と信頼性を持たせた。これにより、熱電発電性能の試験法を標準化する上で大きな貢献が期待される。
今後、3者は国内外の研究機関と連携し、同モジュールの普及を進めることで、熱電発電モジュールに関する信頼性の高い性能計測技術の確立を目指す。また3者は、この熱電発電試験用標準参照モジュールを、現在、国際電気標準会議(IEC‐TC47/WG7)で進めている熱電発電モジュールの発電性能試験法に関する国際標準化活動にも活用する。
2020年1月20日
2020年1月17日
新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)と大崎クールジェンはこのほど、CO2分離・回収型酸素吹石炭ガス化複合発電(CO2分離・回収型酸素吹IGCC)の実証試験を開始した。
実施期間は2019年12月25日から2021年2月28日までを予定し、中国電力大崎発電所構内に建設した実証試験設備で行う。両者は石炭ガス化燃料電池複合発電(IGFC)とCO2分離・回収技術を組み合わせた革新的な低炭素石炭火力発電の実証事業に取り組んでおり、今回の実証試験はその第2段階となる。
なお、大崎クールジェンは中国電力と電源開発の共同出資会社。同実証試験では商用発電プラント(1500℃級IGCC)を想定して、IGCCでガス化したガス全量に対してCO2を90%分離・回収しながら、現状で最新鋭微粉炭火力発電方式と同等となる、送電端効率(高位発熱量基準)40%の達成見通しを立てることを目標としている。
酸素吹IGCC実証試験設備にCO2分離・回収設備を付設して、CO2分離・回収型酸素吹IGCCシステムとしての基本性能やプラント運用性・信頼性、経済性などを検証する。この実証事業では、酸素吹IGCC実証(第1段階)、CO2分離・回収型酸素吹IGCC実証(第2段階)、CO2分離・回収型IGFC実証(第3段階)の順に実施する。
2017年3月から開始した第1段階の実証試験では、170MW規模の実証プラントとしては、世界最高レベルの効率となる送電端効率40・8%(高位発熱量基準)を達成し、実用化後の商用発電プラントに換算して、送電端効率約46%(高位発熱量基準)の達成に見通しが立った。今回、第2段階となるCO2分離・回収型酸素吹IGCCの施設が完成したことから、試運転を経て実証試験を開始した。
同実証試験の目標を達成することにより、同事業とは別に開発が進められているCO2の利用・貯留技術と組み合わせることで、CO2をほとんど排出しない、ゼロエミッション石炭火力発電が実現できる。今後、CO2分離・回収型酸素吹IGCCシステムを確立し、国内外で同技術を普及させることで、世界全体のCO2排出量抑制(地球温暖化対策)への貢献を目指す。