BASF 屋外5G基地局向けに光安定剤を提案

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2019年7月17日

 BASFは光安定剤の「チヌビン360」を、5G基地局の紫外線保護用途で提案している。同製品を使用することで、屋外に設置された5G基地局が、強い太陽光による風化や劣化にも耐えられるため、長期にわたって安定したサービスを維持することができる。

 中国の通信機器・電子・電気機器メーカーの深圳市兴盛迪新材料では、同製品を主要な国際通信会社の5G基地局製造に用いている。モバイル端末とコアネットワークとの間の通信を中継するために電波を使用する基地局は、通常、建物の外に設置される。

 基地局は一般的にはポリカーボネート製で、太陽光に当たるとさまざまな分解反応を起こすため、光安定化が必要だ。光安定剤はポリカーボネート樹脂の製造段階で添加され、高濃度での良好な相溶性、加工温度での低揮発性が求められる。

 「チヌビン360」は低揮発性により、金型への微小成分(目ヤニ)の蓄積が減少して長い稼働時間が可能となり、より安定した加工と生産時間とメンテナンスコストの削減を可能にする。

 また、同製品は、最終的な電子ケーシングで紫外線の高カット性能を実現するとともに、皮膚を紫外線から保護する日焼け止め製品の添加剤のように、紫外線を吸収し、過剰なエネルギーを熱として放出する。

 BASFアジア太平洋地域パフォーマンスケミカルズ事業本部担当のハーマン・アルトフ・シニア・バイスプレジデントは「『チヌビン360』は生産プロセスを最適化することで価値を創出し、それにより生産性と収益性の向上に寄与する」と述べている。

 深圳市兴盛迪新材料のデトゥ・スー・ゼネラル・マネジャーによると、これまで屋外基地局は金属製だったが、小型軽量プラスチックにすることで、競争力のある価格でシステム性能を最適化できるようになったと評価している。

 BASFは研究所で、紫外線放射に対するプラスチックの安定化のための徹底した研究を行っている。用途試験は化学者がプラスチックの分解メカニズムを研究するため、特別な設備が整った実験室とアプリケーションセンターで行われる。

 このプロセスで得られた知見は、ヒンダードアミン光安定剤(HALS)である「チヌビン」と、紫外線吸収剤の開発にも直接生かされているという。

 

富士フイルム iPS細胞を用いた創薬支援分野の協業を開始

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2019年7月16日

 富士フイルムはこのほど、アクセリードとiPS細胞を用いた創薬支援分野での協業を開始したと発表した。

 富士フイルムのiPS細胞由来製品とアクセリードの化合物評価・解析サービスなど、両社の技術や製品・サービスを組み合わせることで、顧客提案力のさらなる強化を図るとともに、新たな評価方法やサービスの開発を目指す。

 昨今、新薬の研究開発では、多額の費用がかかる臨床試験前に、医薬品候補化合物の安全性や有効性、薬物動態などをより効率的かつ高精度に評価したいというニーズが高まる中、無限増殖性と多様な細胞に分化する性質を持つiPS細胞が新薬の研究開発ツールとして注目されている。

 iPS細胞は、狙った細胞に分化誘導させて、その細胞(iPS細胞由来分化細胞)を用いることで、ヒト生体に近い環境を再現できるため、医薬品候補化合物の評価に活用される事例が増えている。

 また、iPS細胞由来分化細胞を用いた安全性試験の標準化に向けた取り組みも進んでおり、iPS細胞のさらなる需要拡大が見込まれている。

 富士フイルムは、iPS細胞の開発・製造のリーディングカンパニーである米国子会社フジフイルム・セルラー・ダイナミクス(FCDI)を通じて、iPS細胞由来の心筋細胞や肝細胞、ミクログリア細胞など15種類の創薬支援用iPS細胞由来分化細胞を、全世界の製薬企業やアカデミアなどに販売し、多様な顧客ニーズに応えるとともに、iPS細胞を用いた新薬開発の普及に取り組んでいる。

 アクセリードは、創薬ターゲットの探索から医薬品候補化合物の最適化、さらには臨床開発への橋渡しプロセスまでの総合的な非臨床創薬研究サービスプロバイダー。現在、創薬研究をプロジェクト単位で請け負う統合型創薬研究支援サービスなど特徴的なサービスを展開し、事業拡大を進めている。

 今回、両社は技術や製品・サービスを組み合わせた協業を通じて、iPS細胞を用いた創薬支援分野での顧客提案力をさらに強化する。さらに、両社の技術・ノウハウを活用して、顧客のきめ細かなニーズに応じた評価方法やサービスの開発も行い、顧客が進める新薬の研究開発の効率化・迅速化に貢献していく。

 今後、培地のリーディングカンパニーであるフジフイルム・アーバイン・サイエンティフィックや総合試薬メーカーである富士フイルム和光純薬の持つ培地・試薬なども組み合わせた、創薬支援分野でのさらなる協業も検討していく。

 

 

「夢・化学‐21」委員会 小学生を対象に実験ショーを開催

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2019年7月16日

 化学の学会と産業界で組織する「夢・化学‐21」委員会は8月3~4日、東京都千代田区の科学技術館で、小学生を対象とした無料の化学実験体験イベント「夏休み子ども化学実験ショー2019」を開催する。出展する化学企業や団体は、面白くて夏休みの自由研究にも生かせる全16プログラムを用意する。

 同ショーは子どもたちに「化学のスゴさ」を体感してもらうことで、化学に興味を持つきっかけをつくることを目的に、1993年から毎年開催し、今年で27回目となる。

 実験体験イベントでは、企業の研究者や大学の先生の指導のもと、小学校の授業ではできない趣向を凝らした実験が体験できる。光を当てると固まる樹脂、貼り付けたらすぐにくっつく接着剤、普通は混ざらない水と油を混ぜる実験など、バラエティ豊富で自由研究に生かせる面白い実験をそろえている。元素を学ぶ「化学検定」もある。なお、実験は当日予約が必要な「当日予約イベント」と、予約なしで自由に参加できる「自由参加イベント」がある。

 ステージイベントでは、中学・高校の先生たちが、おもしろい化学の実験を見せてくれる「なぜナニ化学クイズショー」を1日2回実施する。実験の途中で先生がクイズを出題。3択式なので小学1年生でも参加でき、兄弟でも親子でも一緒に楽しめる実験ショーとなっている。

 「夢・化学‐21」委員会は日本化学会・化学工学会・新化学技術推進協会・日本化学工業協会の4団体によって組織されている。化学の啓発と化学産業の社会への貢献の理解促進を目的に、1993年に設立された。

 主な活動には、「夏休み子ども化学実験ショー」や「なぜなに? かがく実験教室」といった小学生向けの実験体験イベントをはじめ、中高生を対象とした「化学グランプリ」の実施、「国際化学オリンピック」への日本代表生徒の派遣などがある。

 

 

横浜ゴム フィリピンのタイヤ生産販売子会社にPVシステム

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2019年7月16日

 横浜ゴムはこのほど、地球温暖化の防止や天然資源の保全活動の一環として、フィリピンのタイヤ生産販売子会社であるヨコハマタイヤフィリピンの生産工場の屋根に太陽光発電(PV)システムを設置し、4日より運転を開始したと発表した。

 設置したPVシステムの出力規模は約4メガワット(直流)で、年間予測発電量は約5363メガワット。発電した電気は同工場で使用し、年間で約2858tCO2の温室効果ガス排出量を削減できる見込み。

 なお、同件はシャープエネルギーソリューションと共同で日本の環境省が実施する「2国間クレジット制度資金支援事業のうち設備補助事業」の採択を受け、また同プロジェクトはフィリピン政府と日本政府の協力の下で実施されている。

 横浜ゴムは、地球温暖化防止の長期目標として「2050年までに当社グループのバリューチェーン全体で排出するCO2総量を基準年(2005年度)比で50%以上削減する」を掲げている。

 目標達成の一環として太陽光発電をはじめとした再生可能エネルギーの活用を進めており、ヨコハマタイヤフィリピン以外に中国の杭州横浜輪胎有限公司、蘇州優科豪馬輪胎有限公司、インドのヨコハマインディア、日本の三重工場、三島工場、研究開発センター「RADIC」にPVシステムを、平塚製造所、新城南工場には太陽光+風力発電システムを導入。

 また、エネルギー効率の良い設備の導入や物流のモーダルシフト化など様々な省エネ活動を強化し、エネルギー使用量の削減に努めている。

NEDO 機械設計で人を補助するAIソフトの開発に着手

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2019年7月16日

 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の技術戦略研究センター(TSC)は12日、製造業での設計開発工程の効率化につながる「AIを活用したシステムデザイン(AASD)技術」分野について、最新動向や課題、市場予測をまとめた「TSC Foresight」レポートを公表した。

NEDO・TSCの三島良直センター長
NEDO・TSCの三島良直センター長

 同日に開催された記者会見で、TSCの三島良直センター長は「AI技術では、中国や米国が非常に先行しており、日本は周回遅れの状態だが、今回のレポートの技術分野については、わが国がかなり先んじて進めていくことができる分野だ。AIの技術関連の論文や特許などで有利に立っている」との見解を述べ、今後の技術開発への期待感を示した。

 製造現場での生産性向上のためのツールとしてAI(人工知能)の応用が期待される中、近年は多品種化・短サイクル化による工数増大やベテラン作業者の退職など、製造業のさまざまな状況の変化により、設計開発工程についても開発者の作業負荷が増大している。

 NEDOは、開発者が「モノの形を作る」といった本質的な作業に集中できるようにするために、AIが

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東ソー 東京大学にゼオライト関連の社会連携講座を設置

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2019年7月16日

 東ソーは12日、東京大学大学院工学系研究科と、同研究科に次世代の吸着・分離用途、環境浄化等の触媒用途での高機能ハイシリカゼオライトの創出と高効率合成プロセスの開発を目指す、「規則性多孔体の革新的合成プロセスの構築」社会連携講座を6月1日に設置したと発表した。期間は2022年5月31日までの3年間で、経費総額は6500万円を見込んでいる。

 同研究科の大久保達也教授、脇原徹准教授の研究室は、ゼオライトを中心とする多孔体の先進的研究を国内外でリードしており、ゼオライトの結晶化機構解析、新規結晶化技法の開発などの分野で多数の研究成果を挙げている。

 東ソーでは、長年にわたり工業用ゼオライトの技術開発に取り組んできた。さらなる事業機会の創出と事業拡大を図る上で、顧客ニーズに応え続けるためには、従来にない発想のもとで、材料設計の重要工程であるゼオライト結晶化技術を深化させることが必要となる。

 今回設置した社会連携講座では、専任教員・専任研究員による集中研究を複数年にわたり実施し、緊密な産学連携体制のもと、省エネルギーや環境負荷低減へのキーマテリアルとなる高機能ハイシリカゼオライトの高効率合成手法の開発を推進する。

 また、同研究で得られた成果を踏まえて、学部・大学院講義で、同分野の合成と応用の最先端分野を講義し、次世代を担う人材の育成を行う。

 東ソーは合成ゼオライトメーカーとして、ユニークな機能性無機材料であるハイシリカゼオライトの潜在力を最大限に引き出し、社会の諸課題の解決に向けた技術開発を加速することで、持続可能な社会の実現に貢献していく。

日本触媒 インドネシアでアクリル酸設備の起工式を開催

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2019年7月16日

 日本触媒は12日、インドネシア子会社NIPPON SHOKUBAI INDONESIA(NSI)が、同社敷地内(インドネシア・チレゴン市)にて、アクリル酸(AA)の年産10万t設備建設の起工式を7月11日に行ったと発表した。

 今回の投資額は約2億ドルで、2021年3月末の完工、同年11月の商業運転開始を予定。増設後のNSIは、既存能力14万tと合わせ24万t体制となる。

 同社のコア事業の1つであるAAは、高吸水性樹脂(SAP)や、アクリル酸エステル(AES)などの原料として堅調に需要が伸びていくことが見込まれている。特に近年、アジア圏でのAA需給バランスは非常にタイトであり、この需要に対応し供給責任を果たすため、昨年10月にNSIでの増設を決定していた。

 今回の増設が完成すれば、同社グループ全体のAA生産能力は足元の88万tから98万tに拡大する。同社は、安定供給体制のより一層の強化を推進していく考えだ。

日本ゼオン FDAでCOPの技術プレゼンテーション 海外展開を加速

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2019年7月16日

 日本ゼオンは12日、米国食品医薬品局(FDA)の技術セミナーで、プレフィルドシリンジの素材として使用される、シクロオレフィンポリマー(COP)に関する技術プレゼンテーションを5月10日に行ったと発表した。

 プレフィルドシリンジとは、感染の危険除去や投与量調整の過誤軽減を主な目的として、薬剤があらかじめ充填された注射器のこと。

 同社のCOP「ゼオネックス」「ゼオノア」は、ガラスに匹敵する透明性に加え、低不純物性や防湿性、機械強度、化学的安定性に優れており、光学用材料として広く普及している。

 一方、タンパク質の吸着・凝集が極めて少ないという特長があることから、近年急速に普及している、バイオ医薬品分野での包装用素材としても注目を集めている。

 同セミナーは、医薬品に関連する技術の教育を目的として、同局職員に向けて開催されているもので、FDAの下部組織であるバイオテクノロジー製品部(OBP)が主催している。このたび行ったプレゼンテーションは、同組織の要請により実現した。

 ゼオングループは、今後も独創的技術に根差したソリューションを積極的に提供し、医薬業界の発展に貢献していく。

 

住友商事 ベトナム港湾・ロジスティクス大手企業へ出資

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2019年7月12日

 住友商事はこのほど、海外交通・都市開発事業支援機構(JOIN)および鈴与とともに、ベトナムでの港湾ターミナル運営事業への参画を目的に、現地に設立した合弁企業を通じて、港湾事業とロジスティクス事業のリーディングカンパニーであるジェマデプト コーポレーション(GMD社)に10%出資参画した。

 ベトナムでは、急速な経済成長に伴う消費市場の拡大や米中貿易摩擦の影響を追い風とした「チャイナ・プラスワン」による生産拠点移管を受け、物流需要が拡大。

 2017年のコンテナ貨物取扱量は1200万TEU(20フィートコンテナを1単位)超で、今後はGDP成長率6.5%(国際通貨基金予測)を超える割合で成長すると見込まれている。2025年には約2300万TEUまで増加し、産業基盤としての物流インフラのさらなる拡大が期待される。

 GMD社は港湾事業とロジスティクス事業をコア事業とする、同国トップクラスの民間企業。ナムハイ港、ナムハイディンブー港、ナムディンブー港(ハイフォン市)、ユンクワット港(クワンガイ省)、フックロン港(ホーチミン市)、ビンズオン港(ビンズオン省)や建設中のジェマリンク深海港(バリアブンタウ省)を含む計7カ所の港湾ターミナルを運営している。

 昨年のコンテナ貨物取扱量は170万TEUで、取扱量は全国シェアの12%を占めており、同国内のコンテナターミナル運営事業者では第2位の事業規模。

 ロジスティクス事業分野では、ディストリビューションセンター、トラック輸送、重量物運送、船舶輸送、空港貨物ターミナルなどの多岐にわたる事業を手掛けている。

 住友商事は、同参画にあたりGMD社と業務提携契約の締結および取締役を派遣し、関係強化を図る。GMD社の成長に寄与するとともに、すでにベトナムで展開する物流事業や工業団地事業を中心とした港湾の後背地事業などとの連携を進める。

 また、IoT技術をソリューションの軸とした、物流コスト・時間の最適化、環境負荷の低減、貨物のセキュリティの向上などを可能にする広域スマートロジスティクスの実現を目指す。

 住友商事は、JOIN、鈴与とともに、同参画を皮切りにさらなる物流効率化の実現を通じ、工業団地入居企業を含むベトナム国内事業者と地域の利便性・競争力の向上を促すことで、ベトナムおよび周辺国の経済活性化と発展に貢献する。