三菱ケミカルホールディングス カーボンニュートラル実現に向け方針策定

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2021年10月21日

 三菱ケミカルホールディングスは20日、2050年のカーボンニュートラル(CN)実現に向けた方針を発表した。

 同社は。中長期経営基本戦略に、GHGインパクトニュートラルが達成されていることを2050年に目指すべき社会の1つの条件として掲げ、その実現のため、バリューチェーン全体を通じたGHG低減・有効活用などの施策を推進。今回、世界各国・地域の状況を踏まえ、グローバルなGHG削減目標(スコープ1、2)および方針を策定した。

2030年のGHG削減目標

 まず、2030年度までにGHG排出量を、グローバルで29%削減(2019年度比)する。製造プロセスの合理化、自家発電用燃料転換などによる削減(自助努力)のほか、2030年度に世界各国・地域のCO2排出係数を前提に電源構成に基づく削減(外部要因)を行う。

 そして、2050年までにGHG排出量を実質ゼロとするCNを達成する。製造プロセスの合理化継続、バイオマス原料の活用やCO2の原料化などのイノベーションの実装に取り組むことに加え、植林などによるカーボンオフセットも図る。

 ただ、各国政府・機関・企業などのイニシアティブによる、CO2フリーの電力供給、水素・アンモニアなどのサプライチェーンの確立と低価格化、CNに向けた研究開発・設備投資への補助などを前提条件(外部要因)とした。なお、設備投資については、2030年度までに約1000億円を見込んでいる。

2050年カーボンニュートラル実現に向けた取り組み

 一方、同社グループの主要会社である三菱ケミカルは、CN達成に向けたGHG排出量の削減目標(スコープ1、2)として、2030年までに世界は32%以上(2019年度比)、日本は43%以上(2013年度比)を設定した。

 取り組みとして、①エネルギー転換の実施、②社内炭素価格制度の導入、③ライフサイクルアセスメント実施体制の強化、を掲げる。

 具体的には、①では、2030年度までに国内事業所・工場において再生可能エネルギー・LNGなどを導入し、石炭火力発電からの脱却を目指す。

 ②では、GHG排出削減と事業成長の両立のため、2022年度から社内炭素価格制度を導入。スコープ1、2に加え削減貢献も評価対象とし、設備投資の判断指標の1つとして活用する。今後は、研究開発の投資判断にも制度対象を拡大させ、事業ポートフォリオ戦略の指標としていく。

 ③では、2022年度上期中に国内事業所・工場で生産される全製品について、カーボンフットプリントを速やかに算定できる体制を確立する。デジタル化や従業員への教育を推進し、スピーディーに算定を行うことで、製品チェーン全体でのGHG排出削減に向けた取り組みを加速させる。

BASF 3Dプリントの統合技術拠点を上海にオープン

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2021年10月20日

 BASFはこのほど、BASF 3Dプリンティングソリューションズ(ドイツ)の「Forward AM」ブランドが中国の3Dプリントの設計・サービス会社Xuberanceと協力してアディティブ・マニュファクチャリング・テクノロジー・センター(AMTC)を上海にオープンしたと発表した。中国・アジア地域のAM(付加製造、3Dプリンティングによる積層造形)市場向けソリューション・素材の専門知識ハブとして機能する。

 同センターがあるLingang Science and Technology Parkは、現地パートナー・顧客との相乗効果を高めるために、多くのAM産業関連企業が拠点としている。

 世界の主要機器メーカーとの連携で20台以上の3Dプリンターを設置し、粉末焼結積層造形方式や光造形方式、熱溶解積層方式などの3Dプリントの主要技術に対応可能。Forward AMの様々な高性能3Dプリント用素材とエンジニアリングの専門知識、特にシミュレーションと表面仕上げに関する包括的な知見と、Xuberanceの3Dプリントのサービスと設計ソリューションのノウハウを完全に統合。コンサルティングから高機能素材、ダイレクト・コンポーネント・プリント、優れたデザインサービスに至る全ての3Dプリントの高付加価値な技術サービスを通じ、アジア太平洋地域の顧客にイノベーションを提供する。

 今回の協業はBASF Venture CapitalのXuberanceへの投資により実現したもので、BASFのAM戦略を強化し、Xuberanceのアジア太平洋地域での成長を加速するものだ。

SUMCO 半導体シリコンウェーハ、設備投資を決定

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2021年10月20日

 SUMCOはこのほど、300mm半導体用最先端シリコンウェーハの設備投資を行うと発表した。

 同社(佐賀県伊万里市)に新工場を建設するとともに、子会社SUMCO TECHXIV(長崎県大村市)の設備を増強する。投資総額2287億円については、自己資金および新株発行で調達する。来年から工事を進め、2023年からは製造設備を導入のうえ順次生産を開始し、2024年までに設備投資が完了する予定だ。

 300mm半導体用シリコンウェーハの需要は堅調に拡大し、現状、同社グループの製造設備では供給が需要に追い付かない状況にある。同社はこれまで、供給責任を果たすために市場の成長に見合った段階的な増産を継続してきたが、足元では同社グループの国内既存建屋内の増産スペースが尽きている状況。最先端シリコンウェーハの段階的な増産を継続するために新工場を建設すること、また併せて子会社の設備を増強することを決定した。

サンアロマー インパネ用新材料が日産イノベーション賞

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2021年10月20日

「Nissan Global Supplier Award‐イノベーション賞」を初受賞

 サンアロマーはこのほど、同社の軽量・無塗装インストルメントパネル用新材料が、日産自動車の「Nissan Global Supplier Award‐イノベーション賞」を受賞したと発表した。

 同賞は、技術分野の革新的な開発を対象とするもので、サンアロマーの開発した素材では初の受賞となった。従来のインストルメントパネル(自動車前席の前面内装部分)の課題であった軽量化・無塗装を実現し、高い外観品質を保持したまま環境負荷を低減したことが高く評価された。

 サンアロマーは今後も、環境に配慮した魅力ある新素材の開発・供給を通じて社会に貢献していく。

ダイセル 人事(11月1日/他)

2021年10月20日

[ダイセル・人事](11月1日)▽マテリアルSBUケミカルBU副BU長兼同SBU研究開発グループリーダー鈴木弘世▽解兼同SBU事業推進室副室長、同SBUアセチルBU長兼同SBU同BUセルロースマーケティング部長奥村浩一▽解兼同SBU事業推進室長、同SBUケミカルBU長松田徹▽同SBU研究開発グループ上席技師、リサーチセンターリサーチグループ上席技師北山健司▽同SBU研究開発グループ主席研究員渡部淳▽同SBU同グループ主席研究員、同SBUアセチルBUセルロースマーケティング部主席部員樋口暁浩▽同SBU研究開発グループ主席研究員北尾久平▽同中西秀生▽同谷川博人▽同SBU同グループ主任研究員中谷哲▽同谷田大輔▽同上原和浩▽同竹中洋登▽同SBU事業推進室長、同SBU同室戦略企画グループリーダー田中賢一(12月1日)▽生産本部生産技術センタープロセス革新グループ主任研究員新谷博昭▽リサーチセンターリサーチグループ主任部員西尾直高▽(1月1日)▽原料センター主席部員西岡浩一朗▽マテリアルSBUアセチルBUアセチルケミカルマーケティング部主任部員春名信之▽セイフティSBUグローバル生産統括部品質保証グループ主席部員尾﨑暢彦。

出光興産 北海道製油所に防災技術訓練所、保安防災力を向上

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2021年10月20日

防災技術訓練所の設置に伴うテスト訓練の様子

 出光興産はこのほど、北海道製油所(苫小牧市真砂町)と100%子会社である出光プランテック北海道が、保安防災力向上を目的として、「防災技術訓練所」を開所したと発表した。

 同訓練所は、製油所装置のポンプや配管からの漏洩を想定した機器を設置し、火炎消火の模擬体験ができる施設。北海道製油所では、2003年に発生した北海道十勝沖地震を教訓に、防災戦略・戦術の構築や消防技術の強化を目的とした訓練の充実を図ってきた。 今回、防災技術と対応力向上を目的として、製油所設備を模した訓練施設を設置し、想定訓練を実施することとした。なお、同訓練所の運営は出光プランテック北海道が担う。

 北海道製油所は、今後も実践的な訓練により製油所の安定操業体制を強化し、地域住民の安心と製油所操業に対する理解を得られるよう努めていく。

三井化学のオープンラボ活動 デザイン&アート展に参加

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2021年10月20日

有志メンバーによる素材の展示会「モルカフェ」開催。今年2回目。「DESIGNART TOKYO 2021」の構成展示会として

 三井化学の組織横断的なオープン・ラボラトリー活動「そざいの魅力ラボ(MOLp:モル)」は、東京を舞台にしたデザイン&アートフェスティバル「DESIGNART(デザイナート)TOKYO」開催期間中の今月27~31日の5日間、ライトボックススタジオ青山(東京都港区)にて、素材の展示会「モルカフェ2021」を開催する。

 同活動を行う有志メンバーは、「NeoPLASTICism(新造形主義)」をテーマとした素材の魅力を体感できる「モルカフェ」を7月に開催し好評を博した。今回は、東京を舞台に、世界中から集まるアートやデザイン、インテリア、ファッションなどが多彩なプレゼンテーションを披露する、日本最大級のデザイン&アートフェスティバル「DESIGNART TOKYO 2021」(今月22~31日)に参加する形での開催となる。

 木材や緑茶殻など地域特有の廃棄物を有効活用し、相溶化技術によりベース樹脂のポリプロピレンと混ぜ合わせトレーに仕立てた「GoTouch(ゴトウチ)コンパウンド」をはじめ、7月の展示内容をさらに深化・進化させた。様々な素材の中に眠る機能的価値や感性的な魅力を、あらゆる感覚を駆使して再発見し、そこから生まれた可能性やアイデア、ヒントを社会とシェアしていく。入場は無料。午前11時~午後6時(最終日は午後5時まで)。

シージーエスター 市原の設備を2万t削減、水島に集約

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2021年10月20日

 シージーエスターはこのほど、可塑剤製品の生産体制合理化を決定し、現状の年産12万t体制から10万t体制とすると発表した。具体的には、2022年5月初旬に市原工場(千葉県市原市)の設備能力7万tを2万t削減し、当該製品については水島工場(岡山県倉敷市、5万t)への集約を図る。また今回の設備削減に併せ、一部製品の生産を中止する。

 同社は、DOPやDINPなどフタル酸系可塑剤の生産を行うが、フタル酸系可塑剤の市場は同社設立時と比べて半減しており、今後も大きな伸びは期待できないことから、生産体制合理化の一環として過剰設備の削減を決めた。

帝人 航空機向け高耐熱熱硬化プリプレグ、生産を増強

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2021年10月20日

 帝人は19日、グループ会社の米国レネゲード社が、高耐熱熱硬化プリプレグの生産能力を約2.5倍へと増強すると発表した。投資金額は400万ドル。同社は昨年3月に設備増設に着工した設備が完成しており、来年1月から商業生産を開始する。

 レネゲード社は、1993年創立の樹脂メーカーを母体として2007年に設立された航空・宇宙用途向け高耐熱熱硬化プリプレグメーカー。耐熱性樹脂に関する豊富なノウハウをもってており、中でも、低毒性原料によるポリイミド樹脂を用いて製造される高耐熱性および熱サイクル耐性に優れるプリプレグは、欧米をはじめとする航空機メーカーや航空機用エンジンの関連メーカーなどから高い信頼と採用実績を得ている。同社製品でしか対応できないことから、使用温度が極めて高い航空機のエンジン部品を中心に採用が拡大しており、今後も高耐熱熱硬化プリプレグは、航空機用途でのさらなる需要拡大が見込まれている。

 こうした中、同社は、需要拡大への対応力強化や産業用途への拡大展開を目的として、2019年12月に生産増強を決定。すでに増設設備は完成しており、現在実施している試運転を経て来年1月から商業生産を開始する予定だ。

 なお、帝人グループは、米国テキサス州ダラスで開催される複合材料と最先端技術に関する展示会「CAMX」(10月19~21日)において、グループ共同ブースにレネゲード社の高耐熱熱硬化プリプレグを出展する。

 帝人グループは、今後、炭素繊維製品の開発をさらに強化し、革新的な高性能材料とソリューションを提供することで、長期ビジョンである「未来の社会を支える会社」を目指していく。

 

DSM 植物由来ポリアミド、転がり軸受用保持器に採用

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2021年10月19日

 DSMはこのほど、植物由来の高性能ポリアミド(PA)「EcoPaXX B-MB PA410」が日本精工の転がり軸受用耐熱樹脂保持器に採用されたと発表した。同製品に植物由来の材料が使用されたのは世界初となる。

 DSMエンジニアリングマテリアルズ事業部門では、2030年までに、植物由来または、リサイクルベースの製品を、すべての製品群に導入することを掲げており、顧客やパートナーのサステナビリティ実現に貢献することを目指している。

 「EcoPaXX」は、トウゴマといった植物由来のモノマー(化学基礎原料)が重合原料となる70%植物由来のPA。耐衝撃性、耐クリープ性、剛性などの特性に優れており、PA66の代替品となり自動車部品用途として使用ができる。さらに2019年には、バイオマスバランシング方式による100%植物由来の「B-MB」グレードも上市した。

 同グレードは、PA66と比較して、カーボンフットプリント(ライフサイクル全体を通して排出されるGHGの量をCO2に換算)を91%低減、樹脂1kgあたり5.9kg削減することができる。また、独立した第3者機関による検証により原材料入手から製品出荷まで100%バイオベース(28%マスバランシング式)の認定を受けている。

 今回、同グレードが従来のPA66製保持器と同等もしくはそれ以上の性能を発揮することや、環境特性が評価され、日本精工の転がり軸受用耐熱樹脂保持器に採用された。DSMは今後も、同グレードを幅広い顧客へ提案し、日本政府が目指している2050年カーボンニュートラル、脱炭素社会の実現に貢献していく。