東レの4-6月期 コロナ禍影響大きく全事業で減収減益

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2020年8月17日

 東レが7日に発表した2021年3月期第1四半期(4―6月期)連結業績(IFRS)によると、売上収益は前年同期比23%減の3976億円、事業利益64%減の125億円、営業利益72%減の95億円、親会社所有者帰属の四半期利益63%減の95億円だった。国内外ともに新型コロナウイルス感染症の拡大による生産活動・消費行動停滞などの影響を受け、主力の繊維事業や機能化成品事業をはじめ、全事業セグメントで減収減益となった。

 繊維事業については、衣料用途は各国でのロックダウンや販売店舗の閉鎖から需要が減退、産業用途も主力となる自動車関連用途で、自動車メーカーの稼働停止や生産台数低下を受け販売数量が減少した。医療用白衣地やマスク用途での不織布需要の増加はあったものの、総量の減少をカバーするには至らなかった。

 機能化成品事業は、樹脂では国内外で自動車・一般産業用途ともに需要が減少し、ケミカルは、基礎原料の市況下落が響いた。フィルムは、内食需要の高まりから包装材料用途が堅調に推移したものの、LIB向けセパレータやポリエステルフィルムの各用途が振るわなかった。

 電子情報材料事業は、有機EL関連の生産稼働低下が響いた。炭素繊維複合材料事業は、一般産業用途では、風力発電翼・筐体用途が堅調に推移したが、航空宇宙用途で大型旅客機のビルドレートが減少した影響を受けた。

 環境・エンジニアリング事業は、水処理は、逆浸透膜などの需要はおおむね堅調だった一方で、国内での工事中断や、エレクトロニクス関連装置の出荷減少の影響を受けた。

 ライフサイエンス事業は、医薬事業は、経口そう痒症改善薬「レミッチ」が後発医薬品発売や薬価改定の影響で伸び悩んだ。

 なお、通期業績予想については、1Qの業績と今後の事業環境を踏まえ売上収益のみ下方修正を行った。売上収益は期初見通しを800億円引き下げ、前年度比12%減の1兆8400億円とした。他の利益項目には変更はなく、事業利益44%減の700億円、親会社所有者帰属の当期利益53%減の400億円を見込んでいる。

デンカの4-6月期 需要減と価格見直しで減収減益

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2020年8月17日

 デンカは7日、2021年3月期第1四半期(4-6月期)の連結決算を発表した。売上高は前年同期比16%減の762億円、営業利益35%減の44億円、経常利益21%減の50億円、純利益17%減の42億円だった。一部の電子・先端プロダクツ製品で販売数量は増加したが、全体的には世界的景気後退による需要減のため販売数量が減少。また原材料価格下落に応じた販売価格の見直しも影響した。

 セグメント別では、エラストマー・機能樹脂部門の売上高は31%減の271億。クロロプレンゴムの販売減とSMやPS樹脂、MS樹脂の価格見直しを行った。

 インフラ・ソーシャルソリューション部門の売上高は9%減の117億円。特殊混和材や農業・土木用コルゲート管は堅調だったが、セメントや肥料、耐火物・鉄鋼用材料が前年を下回った。

 電子・先端プロダクツ部門の売上高は微増の156億円。球状アルミナはxEV関連で数量が増加し、電子部品・半導体関連の機能フィルムや球状溶融シリカフィラーは、5Gやデータセンター需要で堅調だった。高純度導電性カーボンブラックや高信頼性放熱プレート、LED用サイアロン蛍光体は前年並。金属アルミ基板ヒットプレートなどの自動車産業用製品は前年割れとなった。

 生活・環境プロダクツ部門の売上高は11%減の79億円。食品包材用シート・加工品はテイクアウト需要で堅調だったが、プラスチック雨どいや合繊かつら用原糸、工業用テープは前年を下回った。

 ライフイノベーション部門の売上高は3%増の53億円。試薬は健康診断の減少が響いた。「アビガン錠」の原料マロン酸ジエチルの出荷を行った。その他部門の売上高は5%減の87億円。商社の取り扱い量が前年を下回った。

 なお、上期業績予想を発表。売上高17%減の1600億円、営業利益22%減の120億円を見込む。通期業績予想については前回発表を据え置いている。第2四半期以降も経済情勢の先行き不透明感は残るが、電子・先端プロダクツやライフイノベーションのスペシャリティー事業を中心に、「Denka Value-Up」成長戦略を推進し、期初予想の達成を目指す考えだ。

 

住友ベークライト 4-6月期決算(6日)

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2020年8月7日

[住友ベークライト/4―6月期決算](6日)単位100万円、カッコ内は対前年同四半期増減率。▽連結(国際会計基準:IFRS)=売上収益43,681(▲16.5%)、事業利益2,380(▲45.7%)、営業利益1,855(▲57.8%)、親会社の所有者に帰属する四半期利益1,854(▲52.9%)。

東洋紡の4-6月期 自動車や衣料向けが低迷し減収減益

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2020年8月7日

 東洋紡は6日、2021年3月期第1四半期(4-6月期)の連結業績を発表した。売上高は、前年同期比7%減の755億円、営業利益17%減の44億円、経常利益36%減の28億円、純利益6%増の18億円だった。新型コロナウイルス感染症の拡大などにより、事業環境が厳しい中、フィルム事業は堅調を持続したものの、自動車関連や衣料繊維などへの影響が大きく減収減益となった。

 セグメント別に見ると、フィルム・機能マテリアルは増収増益。包装用フィルムは、コロナ禍の巣ごもり特需と、環境意識の高まりにより出荷が堅調だった。工業フィルムは車載用途は不振だったが、大型テレビ向けの液晶偏光子保護フィルムは順調に拡大。工業用接着剤やポリオレフィン用接着性付与材は、国内外ともに自動車用途が伸び悩んだ。

 モビリティは減収減益。自動車減産の影響を受け、エアバッグ用基布は米国やタイの販売が大幅に落ち込み、エンジニアリングプラスチックも苦戦した。

 生活・環境は減収減益。環境ソリューション、衣料繊維などいずれの事業も振るわなかった。

 ライフサイエンスは増収増益。コロナ感染症拡大を受け、遺伝子検査薬原料や研究用試薬が伸長した。

 同日に、コロナ禍で見合わせていた2021年3月期の連結業績予想を発表。売上高は前年比3%減の3300億円、営業利益12%減の200億円、経常利益22%減の140億円、純利益49%減の70億円を見込む。

出光興産の4-6月期 コロナ影響と在庫評価損で大幅減益に

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2020年8月7日

 出光興産は6日、2021年3月期第1四半期(4-6月期)連結決算を発表した。売上高は前年同期比33%減の9828億円、営業損失708億円(同1048億円減)、経常損失995億円(同1341億円減)、純損失813億円(同1173億円減)。セグメント利益は、在庫影響による損失などにより大幅減益となった。在庫影響を除いた営業利益+持分利益は、営業損失31億円(同342億円減)、純損失158億円(同507億円減)となる。

 コロナ影響については、燃料油主要4品目の販売は同12%減、JET燃料は同77%減だった。また、基礎化学品市況の軟化、資源価格の下落や、高機能材セグメントでは需要減少の影響が顕在化した。

 セグメント別に見ると、燃料油セグメントは売上高35%減の7574億円、セグメント損失1038億円(同1090億円減)。原油価格の下落および販売数量が減少したことなどで減収となり、在庫評価影響や持分法投資損失の増加が減益要因となった。

 基礎化学品セグメントは売上36%減の728億円、セグメント利益98%減の1億円。ナフサ価格が下落したことなどで減収となり、スチレンモノマーなど製品マージンが縮小し減益となった。

 高機能材セグメントは売上高17%減の810億円、セグメント利益26%減の48億円。潤滑油事業で販売数量が減少した。

 電力・再生可能エネルギーセグメントは売上高微減の292億円、セグメント利益92%減の1億円。ソーラー事業で販売数量が減少し、販売単価が下落した。

 資源セグメントは売上高37%減の418億円、セグメント利益80%減の32億円。その他セグメントは、売上高16%増の6億円、セグメント利益2.2倍の1億円だった。

 なお通期業績予想については、前回発表を据え置いている。

昭和電工 買収費用および特損を計上、上期業績を下方修正

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2020年8月7日

 昭和電工は6日、日立化成買収関連の費用として216億円、黒鉛電極事業の生産能力適正化に関する特別損失47億円を計上すると発表した。

 買収費用の内訳は、営業費用が43億円、営業外費用173億円であり、借入金利息(12億円)以外は一時的な費用としている。また、特別損失については、稼働率が低下していたドイツの黒鉛電極工場で閉鎖の交渉が労使協議で合意に至ったことが背景にある。

 一方、前回5月発表時に未定に変更していた2020年12月期第2四半期(1-6月期)の連結業績予想を発表。売上高3266億円、営業損失258億円、経常損失432億円、純損失545億円を見込む。

 世界的に鉄鋼生産が減少したことで黒鉛電極は販売減少・市況下落となり、棚卸資産低価法による簿価切り下げで217億円を計上。石化製品は、ナフサ価格急落の影響で製品市況が下落し、受け払い差が悪化する。コロナ影響では、化学品セグメントやアルミニウムセグメントの製品の出荷減少が想定される。また、特別損失を計上することも損益を押し下げる要因となる。