出光興産の3月期 原油価格急落で営業損失39億円

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2020年5月27日

 出光興産は26日、2020年3月期の連結決算を発表した。売上高は、前年度比37%増の6兆459億円、営業損失39億円(同1832億円減)、経常損失140億円(同1831億円減)、純損失229億円(同1044億円)となった。売上高は昭和シェルとの経営統合などにより増収となったが、営業利益は燃料油セグメントでの在庫評価、資源セグメントでの生産量減少や資源価格下落などの影響などにより損失となった。

 セグメント別では、燃料油セグメントは売上高同47%増の4兆8210億円、セグメント損失(営業利益+持分法投資損益)は1094億円(同1373億円減)。OPECプラスの協調減産協議決裂などにより、ドバイ原油は3月に20ドル前半まで急落し在庫評価損が発生した。また新型コロナウイルス感染拡大の影響で石油製品を中心に需要軟化が3月より顕在化。3月の販売数量の比較では、ガソリンが10%減、軽油が10%減、JET燃料が50%減となった。ベトナム・ニソン製油所では減損処理として339億円を計上した。

 基礎化学品セグメントは売上高同2%減の4592億円、セグメント利益は同63%減の119億円。スチレンモノマーなど製品マージンが縮小した。

 高機能材セグメントは売上高同12%増の3938億円、セグメント利益同4%減の284億円。電力・再生可能エネルギーセグメントは売上高同5.6倍の1277億円、セグメント損失5億円(同12億円減)。資源セグメントは売上高同22%減の2418億円、セグメント利益同53%減の418億円だった。

 通期業績予想では、売上高36%減の3兆9000億円、営業利益600億円(同639億円増)、経常利益300億円(同440億円増)、純利益50億円(同279億円増)を見込んでいる。

JXTGホールディングスの3月期 原油大幅下落や減販が響き減収減益

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2020年5月21日

 JXTGホールディングスが20日に発表した、2020年3月期の連結業績(IFRS)によると、売上高は前期比10%減の10兆118億円、営業損失は1131億円(6501億円の悪化)、親会社所有者帰属の当期損失は1879億円(5103億円の悪化)となった。また、在庫影響除き営業利益は4190億円減の967億円だった。

 同日にオンライン決算説明会を開催。杉森務社長は在庫影響除き営業利益に触れ、「石油化学品マージンが期初から下落したことに加え、新型コロナウイルスの感染拡大などに起因する資源価格の下落による、石油製品マージンの悪化や、石油・天然ガス開発事業の減損損失などが響いた」と説明した。特に、1-3月期の

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旭有機材 3月期決算(19日)

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2020年5月20日

[旭有機材/3月期決算](19日)単位100万円、カッコ内は対前期増減率。▽連結=売上高56,581(0.9%)、営業利益4,368(3.4%)、経常利益4,395(0.1%)、純利益3,138(▲19.6%)。

住友ベークライトの3月期 QOL関連が伸びるも24%の減益

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2020年5月19日

 住友ベークライトは18日、2020年3月期の連結業績(IFRS)を発表した。売上収益は前期比3%減の2066億円、事業利益は17%減の143億円、営業利益は24%減の103億円親会社所有者帰属の当期利益は40%減の90億円の、減収減益となった。期初からの製造業全般にわたる景況感の低迷、円高ドル安ユーロ安為替、2月以降の新型コロナウイルス感染症拡大などが影響した。

 セグメント別に見ると、半導体関連は売上収益2%増の498億円、事業利益4%減の77億円。車載用モータやECU一括封止用途の実績化に加え、5G通信用途の需要が増加し、主力の半導体封止用エポキシ樹脂成形材料の販売が伸長した。感光性ウェハーコート用液状樹脂も年度前半が好調だった。一方で、半導体用ダイボンディングペーストは前半の不調をカバーできなかった。半導体パッケージ基板用材料はスマートフォンの新機種採用などが増えたが、一部原材料の価格高騰により収益率が悪化した。

 高機能プラスチック関連は売上収益10%減の849億円、事業利益39%減の41億円。世界的な自動車市場の低迷、中国の米国向け電機製品の輸出減、米国子会社のシェールガス・オイル向けの販売不振に加えて、新型コロナの影響による中国での自動車生産・販売の急落により、工業用フェノール樹脂、フェノール樹脂成形材料および銅張積層板は売上が減少した。航空機内装部品は、米国航空機メーカーの一部生産停止の影響を受けた。自動車用成形品は、環境規制関連用途で中国大口顧客を獲得した。

 クオリティオブライフ関連は、売上収益2%増の712億円、事業利益3%増の56億円。医療機器製品は、国内は償還価格改定の影響と企業向け製品が低調だったが、米国市場では販売が好調だった。バイオ関連製品は、既存の糖鎖キットの米国向け輸出や診断用マイクロフルイディクスの販売が好調。また、体外診断用医薬品事業会社SBバイオサイエンスが寄与し売上が倍増した。

 ビニル樹脂シートと複合シートは、医薬品包装用途はジェネリック医薬品メーカー向けが好調だった。電子部品搬送用カバーテープは、中国南通工場が順調に立ち上がった。ポリカーボネート樹脂板と塩化ビニル樹脂板は、サングラス用などの偏光板が欧州市場をメインに拡販したが、建装材・工業設備用は、暖冬と顧客の在庫調整の影響で後半低調。防水関連は、住宅(新築・リフォーム)、マンション向けで堅調に推移した。

 今年度の連結業績見通しについては、新型コロナウイルスの影響など、現段階での合理的算定が困難であることから未定としている。

AGCの1-3月期 電子セグメントなどが好調で増益に

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2020年5月19日

 AGCは18日、2020年度第1四半期(1-3月期)の連結業績(IRFS)を発表した。売上高は前年同期比1%減の3575億円、営業利益は7%増の223億円、親会社所有者帰属四半期純利益は13%減の135億円。自動車用および建築用ガラス事業では新型コロナ感染の影響により業況が悪化したものの、電子部材や液晶用ガラス基板、ライフサイエンス事業の好調が上回り増益となった。なお新型コロナ影響は、売上高で100億円、営業利益で30~40億円の下押し要因となっている。

 セグメント別に見ると、ガラスセグメントは売上高168億円減の1693億円、営業損失26億円(61億円減)。建築用ガラスは欧州を中心に市況が悪化し、稼働調整により製造原価が悪化した。自動車用ガラスは、中国をはじめ各地域で自動車生産台数が減少し、出荷が減少した。また、北米では減損損失を計上している。

 電子セグメントは売上高98億円増の692億円、営業利益64億円増の89億円。ディスプレイは、液晶用ガラス基板の出荷数量が増加し、価格の下落幅も縮小した。第11世代向け液晶用ガラス基板新設備のフル稼働が寄与した。電子部材は、オプトエレクトロニクス用部材やEUV露光用フォトマスクブランクスなどの半導体関連部材の出荷が増加。プリント基板材料事業などの新規連結が寄与した。

 化学品セグメントは売上高14億円増の1142億円、営業利益7億円増の151億円。クロールアルカリ・ウレタンは、東南アジアでのカセイソーダの販売価格が下落した。フッ素・スペシャリティは、半導体・航空機関連製品向けフッ素樹脂の出荷が減少。ライフサイエンスは、バイオ医薬品原楽の受託件数が増加し、合成医薬関連製品の出荷が増加した。

 なお同日、業績予想を修正。上期(1-6月期)を売上高6500億円(前回発表比1000億円減)、営業利益250億円(同250億円減)に下方修正し、通期は予想を取り下げ未定とした。新型コロナウイルスの世界的な感染拡大により、第2四半期(4-6月期)は当初想定から大幅な減収減益となる見込み。また、通期業績については、終息時期の見通しは立っておらず、予想の合理的な算定が困難であるとした。

 

トヨタ 今期の販売台数は大幅減も国内300万台を堅持

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2020年5月18日

豊田社長「サプライチェーンと雇用・人財を守る」

 トヨタ自動車が発表した、2021年3月期(2020年度)通期業績予想(IFRS)の中で、売上収益は前年度比20%減の24兆円、営業利益は80%減の5000億円との見通しを明らかにした。大幅な減収減益要因は、新型コロナウイルス感染症拡大に伴う市場の落ち込みによる、グルーバルでの自動車販売台数の減少だ。今年度は前年度実績を195万8000台下回る、700万台を想定する。

近健太執行役員
近健太執行役員

 12日に行われたオンライン決算説明会Ⅰ部で、近健太執行役員は、新型コロナの影響で先々は見通しづらいとしながらも、「当社は自動車産業のOEMであり、非常に裾野が広い産業だ。なんらかの基準を示すことが必要だと考え、見通しを公表した」と経緯を説明。算出に当たっては「販売は4月を底に、年末から来年にかけて前年並みに戻っていく」(近執行役員)ことを前提条件に、販売台数は4-6月期に前年度比6割程度、7-9月期に8割程度、10-12月期に9割程度までの回復を想定し、その後は徐々に前年並みに推移するとの見通しを示した。

 続く決算説明会のⅡ部では、豊田章男社長が登壇し、決算発表を踏まえた上でのコロナショックへの対応をスピーチした。今年度の販売台数は、リーマンショック以上の約20%の減少を想定するものの、「営業利益は5000億円の黒字確保を見込んでいる」(豊田社長)とし、これまで同社が行ってきた企業体質の強化を評価した。

 中でも「国内生産300万台体制の死守」を挙げ、どんなに厳しい経営環境下にあっても「日本にはモノづくりが必要であり、グローバル生産をけん引するために競争力を磨く現場が必要だ。その信念の下、まさに『石にかじりついて』守り抜いてきた」と言葉を強めた。その背景には、自社のみを守るのではなく、「そこに連なる膨大なサプライチェーンと、そこで働く人たちの雇用を守り、日本の自動車産業の要素技術と、それを支える技能を持った人財を守り抜くことでもあった」(同)との考えを明かした。

豊田章男社長
豊田章男社長

 さらに豊田社長は「私たちが『石にかじりついて』守り続けてきたものは、『300万台』という台数ではない。世の中が困った時に必要なものをつくることができる、技術と技能を習得した人財だ」と続けた。

 同社ではコロナ感染拡大を受け、米国で3Dプリンタを使った医療用フェイスシールドの生産などを展開し始めた。多くの化学メーカーが自動車産業に参入する今日、業界が連携しコロナショックをどう乗り切るのか、ポストコロナに向けた新たな戦略が期待される。

 

昭光通商 1-3月期決算(15日)

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2020年5月18日

[昭光通商/1―3月期決算](15日)単位100万円、カッコ内は対前年同四半期増減率。▽連結=売上高27,801(▲13.0%)、営業利益462(▲41.7%)、経常利益497(▲44.1%)、純利益1,792(118.0%)。

ニチバン 3月期決算(15日)

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2020年5月18日

[ニチバン/3月期決算](15日)単位100万円、カッコ内は対前期増減率。▽連結=売上高44,063(▲7.1%)、営業利益2,975(▲19.2%)、経常利益3,095(▲19.8%)、純利益1,751(▲45.1%)。

トクヤマの3月期 コスト削減するも販売軟化で減収減益

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2020年5月18日

 トクヤマは15日、2020年3月期の連結業績を発表した。売上高は前期比3%減の3161億円、営業利益は3%減の343億円、経常利益は2%減の328億円、純利益は42%減の199億円だった。

 世界経済は米中貿易摩擦を背景に減速、その後日本では、新型コロナウイルス感染症拡大の影響による輸出の減少・個人消費の落ち込みと、景気は大きく後退した。このような中、同社は中期経営計画で掲げた重点施策に取り組んできた。徳山製造所のコスト削減に一定の成果はあったものの、主力製品を中心とした販売軟化により減収減益となった。

 セグメント別で見ると、化成品セグメントは、売上高5%減の937億円、営業利益9%減の154億円で減収減益。カセイソーダは、販売は堅調だが原料価格上昇と海外市況の下落で減益、塩ビ樹脂は、原料価格と販売価格のスプレッド維持により増益となった。酸化プロピレンは、主用途のウレタン向けが伸び悩み、塩化カルシウムは、少雪による販売売量減少と物流費増加が響き減益だった。

 特殊品セグメントは、売上高9%減の545億円、営業利益29%減の71億円で減収減益。多結晶シリコンと放熱材は半導体市場に回復の兆しがあるものの、顧客の在庫調整による数量減少で減益。電子工業用高純度薬品は、海外向けを中心に数量が回復し前期並みで推移した。

 セメントセグメントは、売上高6%減の873億円、営業利益20%増の38億円で減収増益。石炭価格の下落により製造コストは低減したが、軟調な販売と修繕費などの増加により減益、資源リサイクルは、廃棄物受入数量増により増益となった。

 ライフアメニティーセグメントは、売上高2%増の563億円、営業利益11%減の29億円で増収減益。プラスチックレンズ関連材料は、メガネレンズ用フォトクロミック材料の増加で増益。歯科器材は、海外を中心に数量増加したが、新製品の広告宣伝費などの増加が利益を下押しした。医療診断システムは、臨床検査機器システム案件獲得が堅調に推移し増益。イオン交換膜は、大型案件の減少により減益となった。

 なお、2021年3月期の通期業績予想については、新型コロナの影響は、第2四半期より徐々に薄れ第3四半期以降回復に向かうものと想定し、売上高2%減の3100億円、営業利益18%減の280億円、経常利益15%減の280億円、純利益10%増の220億円を見込んでいる。