カネカ 新型コロナ用DNAワクチンの製造体制に参画

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2020年9月4日

 カネカはこのほど、グループ会社カネカユーロジェンテック(ベルギー)が、アンジェス(大阪府茨木市)や大阪大学などが開発を進めている新型コロナウイルス用DNAワクチンの大量生産に向け、タカラバイオを中心とする製造体制に参画したと発表した。同ワクチンは大阪大学とアンジェスのプラスミドDNA医薬品開発の実績をもとに開発され、今年6月から臨床試験を開始。実用化に向けて開発が加速している。

 カネカユーロジェンテックは、1985年から医薬・診断薬、研究試薬用のタンパク質、核酸、ペプチドの製造販売を行っている。世界トップクラスのプラスミドDNA技術をもつことから、同ワクチンの中間体製造を受託した。なお、同社はベルギー政府の要請で、新型コロナウイルス検査用のPCR検査試薬も供給している。

 カネカは、mRNAやプラスミドDNAなど最先端の高度技術を活用し、ワクチンの受託製造や抗ウイルス薬の開発、医療器を用いたソリューション提供などにより新型コロナウイルス問題の課題解決に貢献し、世界を健康にしていく考えだ。

Kaneka Eurogentec社の外観
Kaneka Eurogentec社の外観

出光興産 バイオマス発電用植物の植生と木質ペレット化試験を開始

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2020年9月4日

 出光興産は3日、100%子会社である出光オーストラリアリソーシス(ブリスンベン)を通じ、石炭と混焼が可能なバイオマス発電燃料用植物の植生試験と木質ペレット化試験を開始したと発表した。既存のエンシャム石炭鉱山(クイーンズランド州、権益85%)での資産(鉱山内遊休地、用役設備など)を活用する。

 今回のプロジェクトで栽培するのは、バイオマス発電燃料として使用する「ソルガム」。降雨量が少ない同エリアでの生育に適しており、7月までに順調な生育が確認され収穫を行った。現在、ソルガムの木質ペレット化試験を進めており、今年後半には木質ペレットの半炭化(ブラックペレット化)試験を予定している。

 木質ペレットを半炭化したブラックペレットは、従来の木質ペレットに比べて耐水性・粉砕性などに優れ、石炭と同様に取り扱うことができるため、石炭火力発電でのCO2排出量低減が期待できる。

 なお、プロジェクトは、同地が石炭の輸出基地に加え、バイオマス発電燃料の大規模商業輸出基地となる可能性があるとして、クイーンズランド州政府から補助金2万豪ドルを受託している。

 出光興産は、エネルギーを取り巻く環境変化を踏まえ、エネルギー源の多様化とベストミックスの構築により、日本のエネルギーセキュリティへの貢献と再生可能エネルギー普及を推進する考えだ。

エンシャム石炭鉱山での植生試験の様子 植物種「ソルガム」
エンシャム石炭鉱山での植生試験の様子 植物種「ソルガム」

カネカ JTと植物バイオテクノロジーの資産譲受に合意

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2020年8月25日

 カネカは24日、日本たばこ産業(JT)と、病害耐性などの有益な性質・特徴を植物に導入する育種技術(組織培養技術、遺伝子導入技術など)といった、植物バイオテクノロジーに関する資産譲受を今月19日付で合意したと発表した。カネカ独自のゲノム編集技術と今回譲り受けるJTの研究開発資産とのシナジーにより、食糧課題に対するソリューションの提供を加速させていく。

 今回の資産譲受は、高効率で幅広い実用作物品種に適用可能なことから高い評価を受けているカネカのコア技術「インプランタゲノム編集技術」と、JTのもつ最先端の研究関連設備、業界内のネットワーク、実績豊富な遺伝子導入の技術力を活用。ゲノム編集作物の研究開発を大幅に加速・効率化し、従来の作物育種を変革することを目的としている。

 今後、新たな体制で研究開発を加速し、遺伝子導入技術の種子企業へのライセンスや、顧客のニーズに合わせた機能性、多収性に優れた作物種子の研究開発受託を強化する。将来的には、成長が期待されるゲノム編集作物の種子事業への参入を目指す。

 カネカは「カネカは世界を健康にする。」という考えの下、食の安心・安全、安定供給に繋がるソリューションを提供している。オープンイノベーションも活用しながら、世界の食糧問題の解決に貢献していく考えだ。

 

ユーグレナとファミリーマート 配送車両にバイオ燃料

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2020年8月24日

 ユーグレナはこのほど、ファミリーマート店舗から出る使用済み食用油(廃食油)を原料の一部に使う「ユーグレナバイオディーゼル燃料」を同社配送車両で使用する循環型の取り組みを両社共同で実施すると発表した。

 ファミリーマートは今年「ファミマecoビジョン2050」を策定し、持続可能な社会の実現に向け、中長期目標「温室効果ガスの削減」「プラスチック対策」「食品ロスの削減」に基づく数値目標を設定。

 ユーグレナの「日本をバイオ燃料先進国にする」ことを目指す「GREEN OIL JAPAN」宣言に賛同し、両社共同で20年、30年先を見据え「ユーグレナバイオディーゼル燃料」の利用・普及拡大へ向けて取り組むことを決定した。なお両社は2014年より、微細藻類ユーグレナ(和名:ミドリムシ)配合食品の共同開発も行っている。

 ユーグレナは2018年に、横浜市鶴見区に日本初のバイオジェット・ディーゼル燃料製造の実証プラントを竣工。今回の取り組みは同プラントを使用し、ファミリーマートの横浜市内の2店舗から出る廃食油(月約300リットル)を、9月以降から原料の一部として「ユーグレナバイオディーゼル燃料」を製造する。なお8月下旬から、ファミリーマートの横浜市内の配送車両(1台)でバイオ燃料の使用を開始する。

 バイオ燃料は、化石燃料より理論上のCO2排出量が少なく、再生可能燃料として世界で普及が進む。同プラント製造の「ユーグレナバイオディーゼル燃料」はユーグレナなどの微細藻類油脂や廃食油を主原料とするため、食料との競合や森林破壊などの問題がなく、持続可能性に優れた燃料となることが期待される。

 また、化石由来の軽油用のエンジンにも使え、水素や電気などの代替エネルギー移行に必要な多大なインフラコストも不要なため、石油中心の社会環境で、既存インフラのまま効率的に普及できる。

 なお、この取り組みは、ユーグレナが横浜市と取り組む「バイオ燃料地産地消プロジェクト」活動の一環でもある。両社は今後も、食品での連携のみならずバイオ燃料を通して、人の健康や環境に関するサステナブルな取り組みを実施していく考えだ。

富士フイルム コロナワクチン候補の原薬製造を米社より受託

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2020年8月18日

 富士フイルムはこのほど、子会社のバイオ医薬品の開発・製造受託会社(CDMO)フジフイルム・ダイオシンス・バイオテクノロジーズ(FDB)が、米国バイオテクノロジー企業ノババックスより新型コロナウイルス感染症のワクチン候補「NVX‐CoV2373」の原薬製造を受託したと発表した。

 ノババックスは、独自のナノ粒子技術で重篤な感染症の次世代ワクチンを開発するバイオテクノロジー企業。新型コロナウイルスの遺伝子情報で作った抗原を有効成分とするワクチン候補の作製に成功し、臨床第Ⅰ相試験をオーストラリアで実施している。7月には、新型コロナワクチン開発を目的とする米国政府による官民連携プロジェクト「Operation Warp Speed」から、16億米ドルの助成を獲得。臨床第Ⅱ/Ⅲ相試験を推進し、1億人分のワクチン供給を目指している。

 FDBは、30年以上にわたる受託実績と高度な生産技術や最新設備をもつバイオ医薬品CDMO。ホルモン製剤や抗体医薬品、遺伝子治療薬、ワクチンなどあらゆる種類のバイオ医薬品の生産プロセスを開発し、少~大量生産、原薬から製剤・包装の対応能力で受託ビジネスを拡大。新型コロナ感染症の治療推進プロジェクト「COVID‐19 Therapeutics Accelerator」からの新型コロナ治療薬のプロセス開発・製造の受託が決定している。

 さらに今回、ノババックスから、今秋計画の最大3万人規模の臨床第Ⅲ相試験に向けて「NVX‐CoV2373」の原薬製造を受託し、米国ノースカロライナ拠点で原薬製造を開始した。

 FDBは、新型コロナワクチンや治療薬の開発が進展する中、顧客ニーズに合った高品質なバイオ医薬品を迅速かつグローバルに供給し、新型コロナ感染症の拡大抑止や流行終息に貢献していく考えだ。

 

大王製紙 愛媛県三島工場のバイオマス発電を稼働、電力販売を開始

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2020年7月30日

 大王製紙はこのほど、バイオマス発電設備の新設工事が完了し、今月より再生可能エネルギー固定価格買い取り制度(FIT)を利用した電力販売を開始した。

〈バイオマス発電設備〉
バイオマス発電設備

 同社三島工場(愛媛県四国中央市)では、これまでもクラフトパルプ製造工程で発生するパルプ廃液(黒液)を、黒液回収ボイラーで燃焼させるバイオマス発電を行ってきた。今回、黒液回収ボイラーを新設し、発電した電力をFIT制度で電力会社に販売する。

 今回導入した最新鋭の黒液回収ボイラーは効率が5%改善し、一般家庭の約7200世帯分に相当する、年間2万5000tのCO2排出量を削減可能。四国地方の電力需要に占める再生可能エネルギー比率向上に貢献していく。

 大王製紙グループは「世界中の人々へやさしい未来をつむぐ」の下、事業活動を通じて地球環境保全への貢献に取り組む。業界に先駆けて建築廃材を主燃料とするバイオマス発電や、可児工場(岐阜県可児市)での重油からLNGへの燃料転換など、様々な環境対策を進めてきた。今後も、三島工場のバイオガス製造設備新設(今年10月稼動予定)など、再生可能エネルギーを有効利用した環境負荷低減の取り組みを継続していく考えだ。

JBA 「バイオインダストリー大賞」の受賞者を決定

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2020年7月22日

 バイオインダストリー協会(JBA)はこのほど、第4回「バイオインダストリー大賞」の受賞者を決定した。大賞に輝いたのは、北沢剛久氏(中外製薬研究本部創薬薬理研究部長)が率いる中外製薬と、吉岡章氏(奈良県立医科大学名誉教授)らの同大学のグループ。「血液凝固第Ⅷ因子機能を代替するバイスペシフィック抗体医薬の創製による血友病Aの治療革命」の業績に対して贈られた。

 同研究グループは、血友病Aに対し「バイスペシフィック(二重特異性)抗体」で生体内タンパク質の作用を代替するという独創的発想から創薬研究にチャレンジし、「ヘムライブラ皮下注」を開発した。同新薬は従来製剤と比較し、患者と家族のQOLの劇的な向上や症状の軽症化に加え、医療費のコストダウンが期待される画期的な治療薬。昨年までに世界約100カ国で承認されており、その売上は日本円換算で1500億円を超え、極めて高い社会的インパクトのあるブロックバスターとなった。

 創薬研究から臨床開発を一貫して産学連携で進め、抗体医薬生産技術を確立。世界に先駆けた日本発の創薬であり、今後、新たな機能性抗体医薬の創出など国内外のバイオインダストリーの発展に大きく寄与するものと期待されることから、その業績が高く評価された。

 「バイオインダストリー大賞」は2017年、JBAが30周年を迎えるのを機に、次の30年を見据えて〝最先端の研究が世界を創る―バイオテクノロジーの新時代―〟をスローガンに創設。バイオインダストリーの発展に大きく貢献した、または、今後の発展に大きく貢献すると期待される顕著な業績を表彰している。

 今回、科学技術振興機構の顧問・相澤益男氏を選考委員長とする13人の選考委員会により厳正な審査を経て、受賞者1件を決定した。副賞は300万円。贈呈式・受賞記念講演会は今秋10月14日に、国際的なバイオイベント「BioJapan 2020」の会場(パシフィコ横浜)で開催される予定。

 

岩谷産業 バイオ3Dプリンティングで業務資本提携を締結

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2020年7月8日

 岩谷産業は7日、細胞を立体的に積層する独自のバイオ3Dプリンティング技術を活用し革新的な再生医療製品の実用化を目指すサイフューズ(東京都文京区)と、再生・細胞医療分野での業務資本提携を締結したと発表した。

サイフューズの細胞製人工血管
サイフューズの細胞製人工血管

 サイフューズは、独創的なバイオ3Dプリンティング技術を血管再生や骨軟骨再生、神経再生などの再生医療に応用するこれまでにない3D細胞製品の開発に取り組んでいる。現在、サイフューズでは、この新たな治療選択肢を1日でも早く多くの患者へ届けることを目指し、細胞のみで作製した細胞製人工血管の臨床試験を開始するなど、3D細胞製品の実用化に向けた開発を進めている。

 今回の業務資本提携を通じて、再生医療などへ向けた製品の実用化を目的として、岩谷産業が培ってきた製造・保管・輸送インフラの技術・知見・ノウハウを最大限に生かし、サイフューズが開発を進める3D細胞製品の事業化を加速していく。

 岩谷産業は、再生・細胞医療分野の基幹インフラを構築することで、新産業の創出と市場発展に貢献していく考えだ。

サイフューズのバイオ3Dプリンタ
サイフューズのバイオ3Dプリンタ

 

 

富士フイルム バイオ医薬品CDMO拡大に1000億円投資

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2020年6月18日

 富士フイルムはこのほど、バイオ医薬品の開発・製造受託事業の拡大を加速させるため、バイオ医薬品CDMOの中核会社FUJIFILM Diosynth Biotechnologies(FDB)のデンマーク拠点に約1000億円の大型設備投資を行うと発表した。

 FDBは米国(2拠点)、英国の拠点に加え、昨年8月には米バイオジェンの製造子会社を買収し、デンマークに4拠点目を築いた。現在、デンマーク拠点の高度な製造インフラや製造実績、FDBの高品質医薬品の安定供給技術などが合わさり、新規・既存顧客からの新薬製造受託や、新型コロナウイルス感染症治療推進プロジェクトの治療薬製造受託など受注が拡大している。

 こうした中、今後の受託ニーズ増加にも対応するため、デンマーク拠点の生産能力を大幅に増強することを決定した。2023年秋に稼働予定の原薬製造設備は、動物細胞培養用2万ℓタンクを2倍の12基に増設し、バイオ医薬品業界でも有数の規模となる。また、同年夏に稼働予定の製剤製造ラインの新設では、充填能力約3500万本/年の最新の全自動型製剤製造システムを導入し大量受託が可能となる。

 2022年春に稼働予定の包装ラインには、多品種のオートインジェクター(自動注射器)組み立てが可能な装置や、汎用性の高い自動ラベル貼付・梱包設備などを導入し、幅広い顧客ニーズに応えていく。これらの設備投資を通じて、バイオ医薬品の原薬から製剤・包装までワンサイト・ワンストップで大量生産できる体制をデンマーク拠点に構築し、顧客の利便性を一層向上させ、さらなる事業成長を図っていく考えだ。

 同社は、抗体医薬品やホルモン製剤、遺伝子治療薬、ワクチンなどあらゆる種類のバイオ医薬品の生産プロセスを開発し、少量生産から大量生産、原薬から製剤・包装までの製造受託に対応できる強みを生かして、バイオCDMO事業で2021年度の売上目標1000億円達成を掲げている。今回の設備投資による増収効果なども加えて、2025年度には同事業で売上高2000億円以上を目指していく。

ダイセル 酢酸セルロース製品がバイオマスプラの認証を取得

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2020年6月18日

 ダイセルは17日、主力製品の1つである酢酸セルロース(セルロースアセテート)製品が、日本バイオプラスチック協会(JBPA)より、バイオマスプラスチック(バイオマスプラ)と生分解性プラスチック(グリーンプラ)として認証を受けたと発表した。

フレーク状の酢酸セルロース
フレーク状の酢酸セルロース

 バイオマスプラは、植物原料などのバイオマスを主成分とする「自然から生まれた」プラスチック製品。今回認証されたのはセルロースジアセテートとセルローストリアセテートの原料粉体(フレーク状、顆粒状)、およびこのセルロースジアセテートから製造されるアセテート・トウと真球微粒子「BELLOCEA」。一方、グリーンプラは、生分解性を持つ「自然に還る」プラスチック製品。セルロースジアセテートの原料粉体と、これを原料とするアセテート・トウと「BELLOCEA」が登録された。

ともに「セルロース(ジアセテート)」の認証ロゴ
ともに「セルロース(ジアセテート)」の認証ロゴ

 今回の認証取得により、各製品へのシンボルマークの使用が可能になる。同社は欧米でも同様の認証取得を目指しており、海外認証機関へのデータ提出を行っている。また、世界的な海洋プラスチック問題の解決にもより一層貢献するため、生分解性を向上させた酢酸セルロース製品の開発やそれらの用途展開をさらに進めていく考えだ。

 酢酸セルロースは、植物由来の「セルロース」と自然界にも存在する「酢酸」を原料として製造する。廃棄後は水とCO2に生分解される環境にやさしい素材で、土壌や廃棄物中だけでなく、海洋中でも分解。同社の技術により、数カ月から数年の間で分解速度の調整も可能だ。

 この酢酸セルロースを利用した製品は、プラスチック材料として、様々な加工品に対応。包装容器や繊維、液晶保護用などのフィルム、化粧品などの原料として、すでに広く利用されている。今年1月には、従来の生分解性をさらに高めた新製品を開発。近年の環境配慮型製品への需要の高まりを受け、石油系プラスチックの代替として、広く提案を進めている。

工業コンポスト中での酢酸セルロース繊維の生分解
工業コンポスト中での酢酸セルロース繊維の生分解