宇部興産 緑内障・高眼圧症治療剤で製造販売承認を取得

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2018年9月26日

 宇部興産はこのほど、参天製薬と共同開発した緑内障・高眼圧症治療剤「エイベリス点眼液 0.002%」について、9月21日付で日本での製造販売承認を取得したと発表した。

 同剤の有効成分である「オミデネパグ イソプロピル」は、選択的にEP2受容体に作用して眼圧下降作用を示す、新規作用機序の化合物。

 緑内障は視神経の障害により視野の欠損が起こる疾患で、日本では眼疾患における視覚障害(視力低下、失明)の主な原因となっている。

 緑内障の視神経障害と視野障害は基本的に進行性で非可逆的であるため、早期発見・早期治療による障害の進行抑制が、治療上の重要な課題。眼圧を下降させることは、現在、緑内障の障害に対する最も確実な治療法であり、同剤はこの治療法に貢献する薬剤であると考えている。

 今後、新たな治療選択肢として同剤を医療現場に提供するとともに、同剤の適正使用のために、安全性に関する情報を医療関係者と患者に理解してもらえるよう努めていく。これにより、患者のQOLの向上に寄与できることを期待している。

 なお、同剤はグローバル開発品であり、日本以外での承認取得も目指し、現在アジアにおいてフェーズ3試験を実施中。今年度下期に、米国でのフェーズ3試験を開始する予定だ。

帝人ファーマ 韓国でCPAP治療装置のレンタル事業を開始

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2018年8月31日

 帝人ファーマは30日、韓国で睡眠時無呼吸症候群の、持続陽圧呼吸療法(CPAP)治療装置のレンタル事業を開始したと発表した。同国でCPAPが7月2日から公的保険適用となったのを受け、同社グループの韓国合弁会社Yuyu Teijin Medicare Inc.(YTM社)を通じて事業を行う。

 睡眠時無呼吸症候群は日中の眠気や集中力の低下につながることから、交通事故や医療事故、産業事故のリスクを高めるとされている。近年の研究では、高血圧や脳卒中の発症率との関連性も報告されるなど、治療意義の高い疾患で、日本では1998年から公的保険の適用となっている。

 韓国でも、2016年に睡眠時無呼吸症候群の検査・治療などで、医療機関を受診した患者が約三万人に及ぶとされており、公的保険の適用を期待する声が高まっていた。

 帝人ファーマは2006年に韓国の医薬品メーカーであるYuyu Pharma,Inc.との合弁により、YTM社を設立して以来、同国で在宅医療事業を展開。在宅酸素療法用の酸素濃縮装置のレンタル事業では、トップシェアの地位を確保している。

 今回、CPAPが公的保険適用となったことにより、YTM社が現地で構築している強固なネットワークと、帝人ファーマが日本のCPAP事業で培った技術やノウハウを活用し、さらなる事業拡大を図っていく。

富士フイルム 米大学と医療画像診断支援システムを共同研究

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2018年8月30日

 富士フイルムはこのほど、米国の高度先端医療機関であるインディアナ大学医学部(IUSM)と、AI技術を活用した医療画像診断支援システムの開発に関して共同研究を開始すると発表した。

 近年、CTの多列化など画像診断装置の高性能化に伴い、診断画像の枚数が増大しており、医師がこれらの大量の画像を効率的に読影・診断できるソリューションが求められている。

 また、AI技術の活用で画像から病変の疑いがある箇所を検出したり、過去の症例と照合しレポートを半自動で作成したりするなど、医師を支援し、医療現場の効率化に貢献できるシステムが期待されている。

 同社は、医師の診断ワークフローを総合的に支援する、AI技術を活用した画像診断支援システムの研究開発に注力。複数の自社開発プロジェクトに加え、優れた技術を持つ国内外のAI技術ベンダーとも積極的にパートナーシップを組み、各社のAI技術を同社システム上で利用できる仕組みの開発を推進している。

 IUSMは、米国内に17の病院と約3万3000人の従業員を擁する、高度先端医療機関であるインディアナ大学病院と提携しており、画像診断の知見やノウハウを豊富に保有。

 今回の共同研究では、同社の画像処理技術やAI技術と、IUSMの豊富な読影・臨床知見を融合することにより、医師の画像診断プロセスやノウハウを取り込んだAI技術を開発するとともに、グローバル展開を見据えて、医師の診断ワークフローを支援する最適なシステムを探索する。

 まずは、同社のAI技術による①加齢や臓器不全などの疾患によって全身の筋力や身体機能が低下するサルコペニアを対象とした診断・治療支援の可能性②脳神経領域での病変候補の検出および定量化による読影支援の可能性について、共同で検証していく。

 同社は医療画像診断支援、医療現場のワークフロー支援、医療機器の保守サービスに活用できるAI技術の開発を進め、これらの領域で活用できるAI技術を〝REiLI(レイリ)〟というブランド名称で展開し、各市場のニーズやワークフローに適したソリューションとしてグローバルに提供していく予定。

 今後、ビッグデータ化する診療情報に対してAI技術を活用し、医療現場の様々なニーズに応える幅広い製品・サービスを開発・提供することで、さらなる診断の効率化と医療の質の向上、人々の健康の維持増進に貢献していく考えだ。

ゼオンメディカル 胆管メタリックステントで新製品

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2018年8月27日

 日本ゼオンのグループ会社であるゼオンメディカルはこのほど、胆管メタリックステントの新製品「HILZO STENTS 胆管アンカバードステントを上市したと発表した。

 編み込みタイプの「ムービングセル構造」により、各セルを最大10mmで拡張できる。閉塞性黄疸症例に使用することで胆汁の流れを改善でき、患者の生活の質(QOL)の向上に貢献する。

 胆管メタリックステントとは、金属を筒状・自己拡張するように形成し、閉塞した胆管を広げて胆汁の流れを確保する処置具。手術不能な患者の場合、生存期間中のQOLを維持するために使われる。

 胆管は肝臓内に樹枝状に広がる肝内胆管から、1本の総胆管となって12指腸に至り、その中を肝臓で作られた胆汁が通る。ニッケルとチタンから成る形状記憶合金のナイチノールを材質とする同製品は、10mm径まで拡張できるセルから分岐する肝内胆管へ、さらにステントを挿入・留置することで、樹枝状の構造を形成することが可能だ。

 これにより、胆道閉塞が原因で起こる「閉塞性黄疸」を軽減する。医療器材事業を展開するゼオンメディカルは、循環器系・消化器系の各種デバイスを製造販売している。

バイオインダストリー協会 バイオインダストリー大賞を決定

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2018年8月27日

 バイオインダストリー協会はこのほど、ぜんそく治療薬のイノベーション創出に貢献した富山県薬事総合研究開発センターの高津聖志所長を、第2回「バイオインダストリー大賞」受賞者に決定した。併せて第2回「バイオインダストリー奨励賞」受賞者10人も決定した。

 大賞を受賞した高津所長は、マウスB細胞の増殖分化因子としてインターロイキン‐5(IL‐5)/IL‐5受容体を発見。さらにIL‐5が、ヒトでは好酸球の増殖分化に関与していることも見いだし、好酸球の制御に基づく、新たなぜんそく治療のための抗体医薬品の開発を主導した。

 協和発酵キリン、アストラゼネカ、メディミューンにより開発された、抗IL‐5受容体の好酸球性重症気管支ぜんそく治療薬「ファンセラ(一般名:ベンラリズマブ=遺伝子組み換え)」は、ぜんそくを重症化する好酸球を直接・速やかに除去。

 2017~18年に米国や欧州、日本などで相次ぎ承認され、既存治療では症状をコントロールできず、頻回のぜんそく増悪や呼吸機能の低下を余儀なくされている重症ぜんそく患者に対し、追加維持療法という新たな選択肢を提供することになった。

 IL‐5/IL‐5受容体の発見に端を発する抗体医薬品3剤が、ぜんそく治療薬としてすでに販売されており、これら3剤の抗体医薬品の全世界での売り上げは、21年に合計20億米ドルを超えると見込まれている。

 高津所長の基礎研究でのブレークスルーは、国内外のバイオインダストリーの発展に大きく寄与するもので、バイオインダストリー大賞に最もふさわしいと評価された。

 両賞は昨年、バイオインダストリー協会が30周年を迎えたのを機に、次の30年を見据え「最先端の研究が世界を創る―バイオテクノロジーの新時代―」をスローガンに創設された。

 大賞はバイオインダストリーの発展に大きく貢献、あるいは今後の発展に大きく貢献すると期待される顕著な業績を表彰するもの。奨励賞はバイオサイエンスとバイオテクノロジーに関連する応用を指向した研究に携わる有望な若手研究者と、その業績を表彰する。

 副賞として大賞受賞者には300万円、奨励賞受賞者には30万円が贈られる。両賞の贈呈式・受賞記念講演会は10月10日、パシフィコ横浜で開催される国際的なバイオイベント「バイオ・ジャパン2018」の会場で行われる。