ダイセル 酢酸セルロース端材を再生、養生用敷板を開発

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2020年8月25日

 ダイセルは24日、ウッドプラスチックテクノロジー(WPT:鳥取県倉吉市)と共同で、環境対応型プラスチック「酢酸セルロース」の端材をリサイクルした「酢酸セルロース入り養生用敷板(Wボード)」を開発したと発表した。なお、WPTは「Wボード」の販売を来月より計画している。

酢酸セルロース入り養生用敷板「Wボード」
酢酸セルロース入り養生用敷板「Wボード」

 酢酸セルロースの製造工程では、セルロース分を含む端材が一定量発生し、通常それらは廃棄物として処分される。ダイセルは従来から、端材の排出量低減に取り組んでいるが、同時に酢酸セルロース端材を環境配慮型の工業製品などに有効活用するため、研究開発を進めている。

 一方、WPTは、2008年の設立当初から同社周辺地域(鳥取県・岡山県)の森林資源(木質バイオマス)を利活用することを目的として、木質バイオマスとプラスチックの複合材料「ウッドプラスチック」を使用した産業資材の開発に取り組んでいる。

 両社が開発した「Wボード」は、ダイセルの酢酸セルロース製造時に発生する端材をリサイクルし、WPTの技術によってポリエチレン(PE)と複合することで、「酢酸セルロースのリサイクル」「天然素材であるセルロース素材の利用」「プラスチックの使用量削減」を実現した、環境にやさしい養生用敷板。

 同ボード1枚(40kg)あたり酢酸セルロース4kgを配合しており、約4kg‐CO2のセルロース由来の炭素分(CO2換算)が固定されている。また、曲げ強度が強く、温度による変形(寸法変化)が少ないため、長期間繰り返し使用する用途に適している。

 両社は今後も、セルロース素材による石油系プラスチックの代替などを目的とした研究開発を継続し、販売、自社活用など、様々な形で展開していく計画。また、ダイセルは廃棄物の積極的なリサイクルによって環境対応を強めるため、リサイクル技術のさらなる開発にも取り組んでいく考えだ。

 

 

 

 

富士フイルム CO2削減目標を引き上げ、国際認定取得

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2020年8月24日

 富士フイルムホールディングスはこのほど、2030年度までの環境目標を改定し、「事業を通じた社会課題の解決」と「事業プロセスにおける環境・社会への配慮」の両面での気候変動対策を加速すると発表した。

 地球温暖化の影響は、パリ協定の目標「産業革命以降の人為的な気温上昇を2℃未満とする」レベルでも甚大との認識が広まる中、CO2排出削減に関わる環境目標を引き上げた。これにより、国際的な環境イニシアチブであるSBTイニシアチブから、パリ協定「2℃目標」達成のための科学的根拠に基づく「WB2℃(2℃を十分に下回る)」認定を取得した。

 環境目標は、①原材料調達から製造・輸送・使用・廃棄に至る同社製品ライフサイクル全体でのCO2排出削減目標を、2013年度比30%から45%へ引き上げ②CO2削減効果の高い同社製品・サービス提供による排出削減貢献の目標を5000万tから9000万tへ引き上げ、そして③環境負荷削減に特に優れる製品やサービスである富士フイルムグループ「Green Value Products」の売上を全社の6割に設定した。

 ③は気候変動対応、資源循環、有害物質などの環境リスク低減、廃棄物削減など独自の環境配慮基準で140製品を認定。

 代表的なものに、「新聞用CTPプレート「SUPERIA ZN‐Ⅱ」」輪転機用の印刷版で、現像工程不要・主原材料アルミニウム再利用の効果で、新聞社1工場あたり年間約390tのCO2削減、「データ保管システム「ディターニティオンサイトアーカイブ」」低使用頻度の大容量アーカイブデータをハードディスクから磁気テープに置き換えて、使用エネルギーを大幅削減、「文書ハンドリングソフト「DocuWorks」」紙と電子文書を大容量クラウドストレージサービス「Working Folder」で一元保管し、印刷枚数や人の移動頻度を減らして排出量を削減、などがある。

 気候変動対応など持続可能な社会の構築を目指す「グリーンリカバリー」が世界的に提唱される中、富士フイルムグループは、「サステナブル・バリュー・プラン2030」を推進し、製品・サービス・技術開発などを通じた新たな価値創出によりポストコロナの社会課題の解決に貢献していく考えだ。

帝人フロンティア 保温性と吸汗拡散機能を両立する新製品を開発

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2020年8月24日

 帝人フロンティアはこのほど、インナーに求められる汗処理機能と、ミドラー(中間着)に求められる保温機能を兼ね備えた新規な嵩高立毛構造体「Thermo Fly(サーモフライ)」を開発したと発表した。

新開発の「Thermo Fly (サーモフライ)」。肌側(写真右下)と表側
新開発の「Thermo Fly (サーモフライ)」。肌側(写真右下)と表側

 2021年秋冬のスポーツ・アウトドア向け衣料の重点プロモート素材と位置づけ、一般カジュアル用途やユニフォーム用途にも積極的に拡販を図っていく。2025年度の販売目標は100万m。

 「サーモフライ」は、吸汗速乾性に優れる超異形中空断面糸「オクタ」を中間結節部に使用した3層構造のダブルラッセル編地を精緻に半裁し、高品位に染色仕上げした〝起毛しない〟新規嵩高立毛構造体。肌に触れる面の毛先を均一化することで、高い汗処理機能と、軽量嵩高性・ウォーム感による保温機能を両立させ、今までにない着用快適性を実現した。

 同製品は環境にも配慮。リサイクルポリエステル原料100%での製造が可能で、長繊維を使用し起毛が起こらず繊維の抜け落ちが発生しにくいため、海洋マイクロプラスチックの発生を抑制する。

「サーモフライ」用途例
「サーモフライ」用途例

 アウトドアウェアは、運動量や気候に応じてアウター、ミドラー、インナーの3着のウェアを着脱することで温度調整するのが一般的だが、昨今は街着としても親しまれるようになってきた。機能を保ちながら重ね着を減らすことが求められ、インナーとミドラーを兼ね備えたウェアのニーズが高まっている。

 一般にインナーには汗処理機能、ミドラーには保温機能が求められる。そのため、ミドラーには主に起毛素材が使用されるが、起毛加工により吸水面が不均一となることで汗処理機能が低下するなど、インナーとミドラーの機能を兼ね備えることはできなかった。

 こうした中、同社は独自の技術を駆使することにより、インナーに求められる汗処理機能と、ミドラーに求められる保温機能を兼ね備えた「サーモフライ」の開発に成功した。

 

太陽石油 松山市内線の新型車両にSOLATO広告掲出

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2020年8月24日

 太陽石油はこのほど、伊予鉄道・松山市内線「新型LRT車両」へのラッピング広告掲出を8日より開始したと発表した。

:『新型LRT車両』へのラッピング広告
「新型LRT車両」へのラッピング広告

 広告は、同社並びにSOLATOブランドのさらなる認知促進を目的に掲出するもの。車体側面にロゴを大きく表示したシンプルで視認性の高いデザインは、乗客のみならず歩行者やドライバーなどへ広く訴求することができる。

 伊予鉄道新型LRT車両は、未来型流線形デザインをコンセプトに、松山市内線で2017年に営業運転が開始された低床バリアフリー型の車両。今回の新型車両へのラッピング広告掲出は、太陽石油が初めてとなる。

ダウ リサイクル可能な装飾メディアを凸版印刷と開発

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2020年8月24日

 ダウは21日、再生可能な美しい装飾メディア「ecocracy(エコクラシー)」を凸版印刷と共同で開発したと発表した。オリンピックの公式化学会社であるダウは、東京2020大会に向け、凸版印刷と協力しイベントの成功に貢献する装飾メディア作りに取り組んでいる。

リサイクルされたバナーから再生されたベンチ、植木鉢など
リサイクルされたバナーから再生されたベンチ、植木鉢など

 こうした中、ダウの優れた光学適性と加工性をもつポリオレフィン(PO)樹脂「バーシファイ」が、凸版印刷に採用された。

ダウ・オリンピック&スポーツ・ソリューションズ事業部のグローバル・サステイナビリティ&テクノロジー担当ディレクターであるニコレッタ・ピッコルロヴァッツィ氏は、「ダウは、使用後のプラスチックに第2の活躍の舞台を与えるというニーズの拡大に応え、特別に東京2020大会のため、凸版印刷と密接に協力して、このPOベースの幕(バナー)材料を開発した」とコメントしている。

 従来、競技会やイベントなどで使用される防水シート(ターポリン)は、塩化ビニルなど複数のプラスチックを使用していたためリサイクルが困難であった。それに対し「ecocracy」は、プラスチック部分(幕、網、小穴、糸など)がすべてPO製と単一の素材で作られているため、再生樹脂としてリサイクル性が向上している。

 両社は、イベントで使用したサインやバナーを回収し、再生樹脂としてリペレット化。木材廃棄物に含まれる材料と混合することで、ベンチや床などに使われる木とプラスチックの複合材を生産する。さらに、「ecocracy」は、優れた光学適性をもつため、素晴らしい鮮明さと来場者の注目を集める「輝き」を提供するディスプレイ面を実現することができる。

 凸版印刷の情報コミュニケーション事業本部技術戦略・開発部の新商材開発技術チーム課長、古谷誠士氏は、「当社は、ダウとの共同プロジェクトにより、製品の従来の使用と寿命に関する限界を超えることができた。東京2020でのバナーのリサイクルは、当社がいかにして使い捨てプラスチックの使用を縮小し、焼却や埋め立てられることになる材料を減らし、全く新しいものを生み出すことができるかを証明するだろう」と述べている。

 

 

産総研 プラスチック劣化を近赤外光測定で非破壊診断

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2020年8月21日

 産業技術総合研究所(産総研)はこのほど、近赤外光でプラスチックの劣化を診断する技術を開発した。自動車や建築などに汎用されるポリプロピレン(PP)の劣化を、非破壊によるその場で診断が可能。製品内で使用中のPP部品の品質や劣化の診断、部品製造ラインでの異常品検出、マテリアルリサイクル時のプラスチック部品の選別などへの利用が期待される。

 品質検査には引張変形試験が広く用いられる。機械特性の重要指標の1つ「破断伸び率」は、試料が破断するまでの引張り伸び率で、劣化が進むと低下する。しかし測定対象は変形・破壊するため使用中の部品は診断できず、それに代わる非破壊診断技術もなかった。

 今回、劣化度が異なるPP試料の近赤外光吸収スペクトルと破断伸び率を計測し、これらを学習データとしたAIデータ解析により、吸収スペクトルの変化から劣化を推定した。破断伸び率の算出値は引張試験実測値とよく一致した。

 さらに、PPの固体構造の変化と近赤外光吸収の変化が直接的に相関することも確認した。多量の添加剤を含んだPPや他のプラスチックの劣化診断も、対象物の近赤外スペクトルや破断伸びなどを測定し機械学習することで適応可能。材料を破壊することなく、数秒間の赤外光吸収測定による破断伸び率の高精度の推定を実現した。非破壊・リアルタイムのプラスチック製品の品質評価に利用することで、製造コストの削減が期待される。

 今後は自動車部品、建設資材の品質管理やプラスチック部品のリサイクルに適用するため、企業への橋渡しを積極的に行う。また「材料診断プラットフォーム」では複数の診断技術を統合し、「材料の総合病院」として、企業からの診断依頼に幅広く対応していく考えだ。

 

カネカ 高性能太陽電池がトヨタの低速EVに採用

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2020年8月21日

 カネカはこのほど、同社が開発した結晶シリコン太陽電池(ヘテロ接合バックコンタクト型)が、トヨタ自動車の低速自動運転EV「e‐Palette」のルーフガラス部分に採用されたと発表した。

 世界最高の変換効率(26.7%)を誇る結晶シリコン技術を用いた太陽電池は、表面に配線のないバックコンタクト構造によって、自動車用ガラスに近い意匠性も実現。これら独自技術による高い変換効率と優れた意匠性が評価され採用に至った。同社の車載用太陽電池は、曲面状に設計できる特長をもつことから、自動車ボディへの設置が可能となっている。

 カネカは今後、走行距離延長やCO2削減に貢献するソリューションとして車載用太陽電池の提案を引き続き強化し、EVやハイブリッドカーへのさらなる採用を目指して取り組んでいく考えだ。

カネカ 太陽電池

ランクセス 水処理ビジネスを再編、逆浸透膜事業を売却

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2020年8月21日

 ランクセスは20日、水処理ビジネスについて、イオン交換樹脂事業に注力するため、逆浸透膜事業を持続可能な資源管理の世界的リーダーの仏・スエズ社に売却すると発表した。売却価格は非公表。売却手続きは今年末までに完了する予定。

 ランクセスは、ドイツのビターフェルト拠点で逆浸透膜を製造しているが、スエズ社が同プラントと研究施設、全従業員を引き継ぐ。なお、昨年の同事業の売上高は、数千万ユーロだった。ランクセスは、水処理技術ビジネスの再編を実行している。今後は高性能特殊アプリケーションに注力し、イオン交換樹脂事業をさらに拡大していく方針だ。

 同社は現在、ドイツのレバクーゼンとビターフェルト、インドのジャガディアの3拠点でイオン交換樹脂を製造しているが、新たに、2万~3万㎥の生産能力をもつ製造設備の建設を計画。投資額は8000万~1億2000万ユーロとなる見込みで、今後5年以内の完成を目指し、間もなく具体的な建設候補地を決定する予定。

 イオン交換樹脂は、食品産業や医薬品産業などで最新の精製プロセスに大きく貢献。半導体産業では、マイクロチップなどの製造に必要な超純水製造などで重要な役割を果たし、電池産業では電池製造に不可欠な金属リチウム、ニッケル、コバルトの抽出に使用されている。さらに、発電所や化学産業、マイクロエレクトロニクス、飲料用水処理など幅広い分野に使用され、今後も高い需要の伸びが見込まれている。

 ランクセスの最高経営責任者(CEO)であるマティアス・ツァハト氏は、「逆浸透膜ビジネスは当社の戦略に適合しないものとなってきた」とし、「拡大する世界的需要に対応するため、イオン交換樹脂の生産能力拡大に投資する。同時に、特に将来有望な市場セグメントでの成長を目指していく」とコメントしている。

NEDO CO2固定化・有効利用技術、5テーマに着手

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2020年8月20日

 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)はこのほど、CO2を資源として捉え、炭酸塩やコンクリート製品・コンクリート構造物へ固定化し有効利用する「カーボンリサイクル技術」の技術開発5テーマに着手すると発表した。

 火力発電などから排出されるCO2の削減は気候変動対策に重要であり、CO2を資源とし回収・有効利用する「カーボンリサイクル技術」の開発が求められている。炭酸塩やコンクリート製品・コンクリート構造物へのCO2固定化は、使用量が多いためCO2の固定化ポテンシャルが高く、固定化後の生成物は安定な上、燃料や化学品へのCO2利用に必要な水素が不要なことから、カーボンリサイクル技術として期待される。

 こうした中NEDOは、CO2の炭酸塩やコンクリート類への固定化・有効利用の技術開発と、プロセス全体のCO2削減効果と経済性評価を行うため、5カ年事業で次の技術開発テーマに着手する。

 ①「化石燃料排ガスのCO2を微細ミスト技術により回収、CO2を原料とする炭酸塩生成技術の研究開発」(双日、トクヤマ、ナノミストテクノロジーズ)

 ②「海水および廃かん水を用いた有価物併産CO2固定化技術の研究開発」(早稲田大学、ササクラ、日揮グローバル)

 ③「マイクロ波によるCO2吸収焼結体の研究開発」(中国電力、広島大学、中国高圧コンクリート工業)

 ④「廃コンクリートなど産業廃棄物中のカルシウム等を用いた加速炭酸塩化プロセスの研究開発」(出光興産、宇部興産、日揮グローバル、日揮、成蹊大学、東北大学)

 ⑤「セメント系廃材を活用したCO2固定プロセス及び副産物の建設分野への利用技術の研究」(竹中工務店)

 事業総額は約40億円。早期の社会実装を目指す。

東洋紡 コロナ支援で接触冷感マスクなど敦賀市へ寄贈

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2020年8月20日

 東洋紡が福井県敦賀市で操業する敦賀事業所はこのほど、同市への日頃の感謝の意を込め、エアバッグ基布を活用した防護服50着と、高強力ポリエチレン繊維「ツヌーガ」を使用した接触冷感マスク300枚を寄贈した。

渕上隆信敦賀市長(左)と東洋紡の吉川徹敦賀事業所長。贈呈式にて
渕上隆信敦賀市長(左)と東洋紡の吉川徹敦賀事業所長。贈呈式にて

 7月に同市市役所で開催された贈呈式では、渕上隆信敦賀市長をはじめとする関係者が出席し、同社の吉川徹敦賀事業所長より防護服とマスクが手渡された。

エアバッグ用基布を活用した防護服
エアバッグ用基布を活用した防護服

 防護服は、新型コロナウイルスにより深刻化する医療資材不足の解決に向け、豊田合成などと共同で開発。シリコーンコーティングにより空気を通さず、洗って繰り返し使うことが可能なもの。

「ツヌーガ」製の接触冷感マスク
「ツヌーガ」製の接触冷感マスク

 接触冷感マスクは、「ツヌーガ」の高い比熱や熱伝導率により、接触冷感が得られる。防護服の原糸と「ツヌーガ」は、いずれも敦賀事業所で製造している。

 東洋紡は今後も、新型コロナウイルスの感染拡大防止に日夜尽力している人々を支援していく考えだ。