デンカは25日、グループ企業である九州プラスチック工業で生産している放熱シートについて、電子材料の中核生産拠点と位置づける渋川工場(群馬県渋川市)に生産移管するとともに、新規生産設備を導入し生産能力を2倍に増強することを決定したと発表した。投資金額は約17億円で、2024年度上期の稼働開始を予定している。
同社は、今後の車載・通信市場における放熱シートの需要拡大に対応するだけでなく、放熱材料をはじめとしたスペシャリティー事業をさらに強化する考えだ。
同社の放熱シート「デンカ放熱シート」は、シリコーン樹脂に機能性フィラーを高充填することで高い絶縁性や放熱性の機能をもつ。その性能から、車載製品や通信基地局など様々な電子機器に使用されている。xEVなどの車載電装機器や5Gを中心とする通信基地局向けに放熱シートの需要は拡大する見通しであることから、渋川工場への生産移管および新規設備導入による生産能力の増強を決定した。
渋川工場は1951年に塩化ビニル系樹脂の生産工場として操業を開始。以降、時代のニーズに合わせて高熱伝導メタルベース基板をはじめとする放熱材料、半導体製造工程用仮固定テープ、アクリル系接着剤など電子材料を中心とした生産拠点に変化し、今年で操業70周年を迎えた。今後は自動生産プロセスの導入や、工場内にある研究開発部門を強化し、車載・通信で求められる高熱伝導・高耐熱・接触熱抵抗低減・高耐圧などを持ち合わせた次世代スペシャリティー製品の開発も行っていく。
同社は今後もSDGsを羅針盤に、誰よりも上手にできる仕事で全ての人がよりよく生きる世界をつくる、社会にとってかけがえのない企業を目指していく。