デンカ 放熱シートの生産能力を2倍、渋川工場に新設備

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2021年11月26日

「デンカ放熱シート」

 デンカは25日、グループ企業である九州プラスチック工業で生産している放熱シートについて、電子材料の中核生産拠点と位置づける渋川工場(群馬県渋川市)に生産移管するとともに、新規生産設備を導入し生産能力を2倍に増強することを決定したと発表した。投資金額は約17億円で、2024年度上期の稼働開始を予定している。

 同社は、今後の車載・通信市場における放熱シートの需要拡大に対応するだけでなく、放熱材料をはじめとしたスペシャリティー事業をさらに強化する考えだ。

「デンカ放熱シート」 半導体素子/トランジスタ使用イメージ

 同社の放熱シート「デンカ放熱シート」は、シリコーン樹脂に機能性フィラーを高充填することで高い絶縁性や放熱性の機能をもつ。その性能から、車載製品や通信基地局など様々な電子機器に使用されている。xEVなどの車載電装機器や5Gを中心とする通信基地局向けに放熱シートの需要は拡大する見通しであることから、渋川工場への生産移管および新規設備導入による生産能力の増強を決定した。

 

 渋川工場は1951年に塩化ビニル系樹脂の生産工場として操業を開始。以降、時代のニーズに合わせて高熱伝導メタルベース基板をはじめとする放熱材料、半導体製造工程用仮固定テープ、アクリル系接着剤など電子材料を中心とした生産拠点に変化し、今年で操業70周年を迎えた。今後は自動生産プロセスの導入や、工場内にある研究開発部門を強化し、車載・通信で求められる高熱伝導・高耐熱・接触熱抵抗低減・高耐圧などを持ち合わせた次世代スペシャリティー製品の開発も行っていく。

「デンカ放熱シート」 を移管する渋川工場

 同社は今後もSDGsを羅針盤に、誰よりも上手にできる仕事で全ての人がよりよく生きる世界をつくる、社会にとってかけがえのない企業を目指していく。

産総研 PETボトルのリサイクル、常温原料化法を開発

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2021年11月25日

 産業技術総合研究所はこのほど、PETボトルなどに使用され廃棄されたPET樹脂を、従来よりも大幅に低い温度で分解し、原料であるテレフタル酸ジメチル(DMT)を高収率かつ高純度で回収する触媒技術を開発したと発表した。

 同技術は、炭酸ジメチルを使用した新しいアルカリ分解法によって、常温・短時間で効率よくPET樹脂の分解が進行し、原料であるDMTを90%以上の収率で得ることができる。200℃以上の高温処理が課題となる現行法から大幅に低温化できるため、PETボトルの「ボトルtoボトル」リサイクルの低コスト化が期待される。

 使用済みPET樹脂のマテリアルリサイクル(MR)は、選別後に樹脂のまま溶融・再成形する手法であるが、不純物の影響でリサイクル前の品質に戻すことが困難となる。一方、ケミカルリサイクル(CR)は、PET樹脂を一度低分子化合物へと化学的に分解することで、原理的に元のPET製品と同じ品質で製造することができる。しかし、この方法は分解処理のために高い温度が必要であり、高コストなプロセスであることが大きな課題だった。

 こうした中、産総研触媒化学融合研究センターは、資源循環型社会の推進に貢献するため、様々な未利用資源を活用するための触媒技術開発を推進。今回、プラスチックごみを効率的にリサイクルするための触媒技術開発に着手した。PET樹脂の効率的なCRとしてエステル交換反応に着目し、副生成物の捕捉により平衡反応をコントロールする独自のアイデアによって、反応温度の大幅な低温化を実現に成功した。

 今後、同リサイクル法の社会実装を目指し、触媒の改良、反応のスケールアップ、種々のPET含有製品への適応可能性を検討する。また、PET樹脂以外のプラスチック材料をリサイクルするための触媒開発についても鋭意検討を進めていく。

日本ガイシ 産業排ガス向けCO2分離膜、分離精度5倍

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2021年11月25日

サブナノセラミック膜

 日本ガイシはこのほど、産業排ガス向けのCO2分離膜を開発、CO2分離精度を従来型ゼオライト膜の約5倍に向上させた。

 同社はこれまでDDR型ゼオライト膜の開発に成功し、原油随伴ガスや天然ガスからのCO2分離の実証試験を進めている。これは分子の大きさの違いで分離するため、CO2より大きな分子であるメタンを主成分とする原油随伴ガスや天然ガスからは、CO2を容易に分離できる。

サブナノセラミック膜の分離のしくみ

 一方、産業排ガスの主成分である窒素や酸素はCO2と分子サイズが近いため、CO2を高い精度で分離することは難しい。工場などから排出される産業排ガスについてもCO2を分離回収する技術の社会的なニーズが高まっていることから、同社の大型膜・均一膜製造技術を生かし、産業排ガス向けCO2分離膜を開発した。

CO2と窒素(N2)の分離精度比較

 これは、分子の大きさではなく分子の吸着性(親和性)の違いを利用して分離するため、窒素や酸素からのCO2分離精度はDDR型ゼオライト膜の約5倍(CO2/N2比は約300)に向上した。苛酷な条件下でも使用できるセラミックスの特長を生かし、高温の産業排ガスをターゲットにさらなる分離性能の向上などに取り組み、実証試験を経て2030年の実用化を目指している。

東レ 食品やバイオ向け中空糸膜モジュールを開発

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2021年11月25日

独自技術で外圧式を実現、耐熱性で省エネに貢献

 東レはこのほど、食品飲料製造やバイオ分野で精製・濃縮工程に使用する高耐久性の中空糸限外ろ過膜モジュールを開発した。同モジュールにより、従来食品分野の濃縮に使われている熱濃縮法と比較してCO2排出量で8割以上の削減となる省エネルギー化が実現できる。本格的な量産化に向けた開発を加速し、今後幅広い用途に向けて展開を進めていく考えだ。

新規中空糸膜モジュール 低圧損の特徴とCO2 削減効果

 中空糸膜は分離性に優れ、膜の集積度が高く設置面積を縮小でき、高面積利用効率の点から液体ろ過に広く使われている。同社の中空糸膜は、水処理用途分野に強みをもち、独自の高強度PVDF(ポリフッ化ビニリデン)中空糸膜技術により、高い耐久性と優れた分離性を実現し、広く採用されている。今回、これまで培った技術を生かし、

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INPEXと大阪ガス 大規模メタネーションの実証事業

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2021年11月24日

 INPEX(旧国際石油開発帝石)と大阪ガスは共同で、「ガスのカーボンニュートラル化に向けたCO2‐メタネーションシステムの実用化に向けた技術開発事業」を開始する。INPEXが新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)で採択されたINPEXの助成事業の下、大阪ガスは業務委託の形で参画する。

 メタネーションとは触媒によりCO2と水素から都市ガス主成分のメタン(合成メタン)を作る方法で、再生可能エネルギーで作った水素を使うことで都市ガスをカーボンニュートラル化できる。合成メタンは都市ガスの既存インフラ・機器をそのまま使え、「グリーン成長戦略」では2030年までに既存インフラへ合成メタンを1%注入することが目標だ。

 サバティエ反応によるメタネーションの基本的要素技術は確立されており、今後、合成メタン製造コストの低減と設備の大規模化などの実用化に向けた技術開発が必要だ。2024年度後半から2025年度にかけて、INPEX長岡鉱場内で回収したCO2から合成メタンを製造する実証実験を行い、同社の都市ガスパイプラインへ注入する予定だ。合成メタン製造能力は約400N㎥/hで、世界最大級の規模。INPEXは2017年から長岡鉱場で行っている合成メタン製造能力8N㎥/hのメタネーション基盤技術開発の経験を生かして事業全体の取りまとめや設備のオペレーションを担う。

 大阪ガスは、石油系原料からの都市ガス・代替天然ガス製造で培った省エネルギーメタン製造の触媒技術やスケールアップの設計ノウハウなどのエンジニアリング力を生かし、設備設計とプロセス最適化を担う。また名古屋大学は、反応挙動把握のための反応シミュレーションの技術開発を行う。

 並行して、オーストラリアなどの再エネ由来のグリーン水素製造が安価な国でメタネーションを行い日本へ輸入する事業性評価や、環境価値の国内移転に向けた制度検討なども行う。将来的には、海外で商用規模(1万N㎥/h)の実証事業を行い、さらに6万N㎥/h規模での商用化を視野に入れて取り組んでいく。

 同事業を通じて、INPEXと大阪ガスの両社は、CO2-メタネーションによる都市ガスのカーボンニュートラル化の早期社会実装に向けて取り組んでいく考えだ。

デクセリアルズ 熱伝導シート発売、長期信頼性と柔軟性

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2021年11月24日

 デクセリアルズはこのほど、高い熱伝導率と柔軟性を両立した熱伝導シート、シリコーンタイプ「ZX11N」を製品化し、販売を開始した。同製品は、長期信頼性に優れ、長期間の使用でも劣化や性能低下が少ない。同社は、5G通信基地局やデータセンター(DC)、自動運転の情報処理を担うICチップの放熱用途などに積極的に提案を進めていく考えだ。

熱伝導シート シリコーンタイプ「ZX11N」

 近年、5G通信の実用化などにより通信量が飛躍的に増加し、またエレクトロニクス機器や自動車の高機能化・高性能化によりICチップが処理する情報量も増加している。ICチップは動作周波数を高めてコア数を増やすことで処理能力を向上させているが、半導体であるICチップは自身の抵抗をもつため動作量に応じて熱が発生し、その熱対策が重要な課題となっている。

 熱伝導シートは発熱するICチップとヒートシンクなどの間を埋めて密着させることで、熱を効率的に逃がす役割を担う。高い熱伝導率と密着・段差吸収のための柔軟性が求められるが、材料(フィラー)を多く使用するとシート全体が固くなってしまうため、一般的に熱伝導率と柔軟性はトレードオフの関係にあった。

 こうした中、同社が新たに開発した「ZX11N」は、11W/m・Kの高い熱伝導率と柔軟性を両立。同社が熱伝導シートの炭素繊維タイプで培った独自の配向技術を活用することで、向きによって熱伝導率が異なる窒化ホウ素(BN)フィラーを整列させて配置し、熱伝導シートとして高い熱伝導率を実現した。また、使用するフィラーの量も少ないため柔軟性も兼ね備えている。

 さらに、BNフィラーは長期的に安定かつ絶縁特性をもつため、熱伝導シート全体として高い信頼性と絶縁特性を保持することができる。同社は、同製品以外にも高熱伝導率をもつハイエンドの熱伝導シートとして炭素繊維タイプもラインアップしており、使用アプリケーションや部位にあわせた製品の提供が可能。今後も、技術革新が進む領域に新たなソリューションを提供していく。

出光興産など 公共交通のEV化、種子島で実証を開始

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2021年11月24日

 出光興産と種子島石油、および鹿児島県西之表市はこのほど、種子島で「公共交通のEV化によるサービスステーション(SS)におけるEV関連事業」の共同実証の取り組みを開始すると発表した。共同実証では、公共交通車両のEV化と、種子島石油が運営するSSなどで充電を含めたEV関連事業を検証。来年1月の試運転を経て2月から運行を開始する予定だ。

種子島の共同実証で使用予定のEV

この取り組みに対し、出光興産は、種子島石油と業務委託契約を、また西之表市と共同取組契約をそれぞれ締結した。共同実証では、西之表市内の公共交通車両にEVを導入し、充電を種子島石油のSSなどで行う。

 EV化によるCO2排出量削減効果、公共交通機関維持にかかる自治体の財政負担の低減効果、またSSなどでのEV充電サービスのオペレーションなどを検証し、カーボンニュートラル(CN)社会の実現に向けたEV関連事業モデルを実証する。なお同実証は、経済産業省の補助事業の採択を受けている。

 出光興産は種子島を拠点に、昨年から種子島石油、西之表市、東京大学らと共に、交通、福祉、エネルギー、産業、環境、人材育成、防災防犯、観光の8つの切り口で、地域課題の抽出とソリューションの共創に取り組んでいる。この共創では、出光興産がもつ全国約6300カ所のSSネットワークが蓄積した地域課題に関する知見、地域社会に根差した事業を展開する特約販売店との連携を生かし、地域との共創による新たな価値創造を目指している。

地域課題解決に向けた8 つの切り口

 今回の実証では、主に交通・エネルギーの面に着目し、CN社会の実現に資する島内モビリティの社会実装を目指す。実証後には蓄積したデータを活用し、島内の再生可能エネルギーの開発やその電力を活用した充電設備の整備などを検討する。また、人口減少による空き家の増加や農業の担い手不足を補う物流面での支援など、種子島が抱える様々な地域課題の解決に向け、出光興産、種子島石油、西之表市の3者は、今後も連携して取り組みを進めていく。

三井物産など 豪州でアンモニア生産・CCSを共同調査

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2021年11月22日

 三井物産と石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)はこのほど、西豪州でのクリーン燃料アンモニア生産の事業化に向けたCO2の回収・貯留(CCS)に関する共同調査を実施することに合意し、三井物産子会社Mitsui E&P Australia(MEPAU)とJOGMECの間で契約を締結した。MEPAUは、調査の実施についてWesfarmers Chemicals,Energy & Fertilisers社(WesCEF)と覚書を交換した。

 WesCEFはアンモニア製造事業者として製造・販売にわたる豊富な知見をもつ。MEPAUは50%の権益をもつ西豪州ウェイトシアガス田をオペレーターとして開発中で、近隣の廃ガス田の権益も100%もっている。

 地理的に近いガス田と廃ガス田を結びつけ、ガス田で生産される天然ガスを改質し、得られる水素でアンモニアを合成し、副生するCO2は廃ガス田に貯留することで、クリーン燃料アンモニアを製造する。

 今回、廃ガス田でのCCSの有効性を共同調査する。三井物産は西豪州での石油・ガス生産事業のオペレーター機能に加え、既存の優良ガス資産を活用したクリーン燃料アンモニアの生産と日本を含むアジアへの輸出を計画している。両社の強み・ノウハウを生かして協業を進め、クリーン燃料アンモニアのサプライチェーン確立に向けた投資と雇用創出を通じて、豪州経済にも貢献していく。

 三井物産は、石油・ガス上流事業の知見と、今年3月に出資参画した英国のStoregga Geotechnologies社との業務提携を通じて得られる知見を生かし、「環境と調和した社会」の実現に向けてCCS事業をグローバルに展開し、低炭素エネルギーとCO2削減ソリューションを提供していく考えだ。

三菱ケミカル 世界最大級のGaN基板設備、結晶成長を確認

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2021年11月22日

 三菱ケミカルと日本製鋼所は19日、世界最大級の窒化ガリウム(GaN)基板製造実証設備を使い、高品質なGaN基板の低コスト製造技術「SCAAT‐LP」を活用した4インチGaN基板の量産に向けた結晶成長試験を進める中、4インチGaN結晶が計画通りに結晶成長していることを確認したと発表した。

「 SCAAT -LP 」を用いて成長した GaN 結晶

 GaNは、高い耐久性をもつ超高効率デバイスの実現を可能とする素材。大幅な消費電力の削減によりCO2排出量の削減につながることから、環境負荷の低減が期待されている。このため、さらなる省エネルギーを実現する高輝度・高出力レーザや、高効率照明、新世代ディスプレイへの応用のほか、情報通信、パワー半導体など様々な分野での応用が見込まれている。

 このような背景の下、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の助成事業に取り組む中で、両社は、日本製鋼所M&E室蘭製作所内(北海道室蘭市)に建設したパイロット設備において三菱ケミカル独自の液相成長技術「SCAAT」を活用した高品質、かつ高い生産性を実現するGaN基板の低コスト製造技術「SCAAT-LP」の開発に取り組み、4インチの均一な結晶成長を確認した。

GaN基盤実証 オートクレーブ大型化イメージ

 パイロット設備は低圧酸性アモノサーマル法を利用した結晶成長を実現するために、高温高圧オートクレーブ(圧力容器)を備えることが特長であり、日本製鋼所のもつ豊富な圧力容器の製造実績が生かされた。

 さらに2020年度からスタートしたNEDOの新たな助成事業で両社は、同事業で導入した大型実証設備で「SCAAT-LP」による4インチGaN基板の量産に向けた実証実験に取り組む。

 今回のオートクレーブはパイロット設備に比べ大幅なスケールアップを行ったことで、GaN基板の大量製造が可能となっており、これまで計画通りに4インチ結晶の成長を確認している。

 両社は今後、大型実証設備での結晶成長試験を継続、より高い生産性を可能とし、2022年度初頭からの市場供給を開始する予定。未来の社会を支える材料として重要な位置付けをもつ高品質なGaN基板の供給を通じ、超高効率デバイスの実現への貢献を目指していく。

三井化学とマイクロ波化学 CR技術で協業開始

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2021年11月19日

自動車の混合廃プラなどダイレクト・モノマー化

マイクロ波化学の施設外観

 三井化学とマイクロ波化学は18日、マイクロ波技術を活用した廃プラスチックのダイレクト・モノマー化の取り組みを開始すると発表した。これまでリサイクルが難しかったポリプロピレンを主成分とする混合プラスチックであるASR(自動車シュレッダーダスト)や、バスタブや自動車部品などに使用されるSMC(熱硬化性シートモールディングコンパウンド)などの廃プラを、直接原料モノマーにケミカルリサイクル(CR)する技術の早期実用化を目指す。

 両社は、

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