三菱ケミカル クリンスイのウォーターサーバー、各所に設置

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2021年9月15日

 三菱ケミカルはこのほど、グループ会社である三菱ケミカル・クリンスイが、ニューヨーク発のライフスタイルブランド「ピルグリム サーフ+サプライ」の渋谷店、京都店にクリンスイのウォーターサーバーを設置したと発表した。

クリンスイのウォーターサーバ
クリンスイのウォーターサーバ

 同ブランドとは、これまでも浄水機能付きのタンブラーを限定販売するなどコラボレーションを実施。今回のウォーターサーバーの設置により、来店客にマイボトルの普及を推進し、ペットボトルの消費削減が、海洋プラスチック問題へのアクションに繋がることを目指している。

 三菱ケミカル・クリンスイは、浄水器の製造・販売を通じて、環境に優しく安心して使えるおいしい水を暮らしに届けるとともに、国内の水資源の活用を軸に、人々のよりサステナブルなライフスタイルを推進する様々な取り組みを推進。その一環として、戦略的パートナーシップを締結した「mymizu」との取り組みのみならず、水道水を活用した浄水によるウォーターサーバーを製造し、今年より都内をはじめ各所に設置。安心でおいしい水を届けるだけでなく、使い捨てペットボトルによる環境負荷の削減のサポートを実施している。

クリンスイとピルグリム サーフ+サプライ
クリンスイとピルグリム サーフ+サプライ

 今回、「ピルグリム サーフ+サプライ」がクリンスイの水資源の活用と環境への取り組みに賛同し、ウォーターサーバーを各店舗に設置することとなった。

 クリンスイは、2009年から「water alive 水道水を飲もう!」というスローガンの下、水と環境をテーマにしたイベントなどを通じて、水道水の利用を勧めるメッセージを多くの人に発信してきた。

 世界中で飲まれているペットボトル飲料水は、製造、輸送時に莫大なコストとエネルギーがかかる上に、多量の空きボトルのごみが発生する。このペットボトル飲料水の代わりに、身近な水である水道水を利用することが、大幅なごみやエネルギーの削減、コスト減につながる。

 同社は今後も、この活動への賛同者を増やし、日本各地にウォーターサーバーの設置場所を広げていくことで、使い捨てペットボトルの削減を目指し、循環型経済(サーキュラー・エコノミー)の実現に向けてブランド全体で取り組みを進めていく。

ポリプラスチックス 射出成形のガス焼け、評価方法をウェブに公開

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2021年9月15日

 ポリプラスチックスは14日、「射出成形時のガス発生メカニズムから生まれた新評価法~射出成形品表面のガス焼け~」を同社のウェブサイトに公開した。

 射出成形の現場では、ショートショットやガス焼けの発生により連続生産ができなくなり、製造コストアップや納期トラブルが起きる事例が多く発生する。今回、成形時のガスを同社独自の手法で捕集・評価する新たな評価法「成形時ガス評価法(Gas Investigation Method in Injection Molding)」を使い、ガス焼けを引き起こす原因について考察を行った。

 ガス焼けを引き起こす主な要因として、①樹脂のエネルギー損失によるガス発生、②バレル内部での熱伝導の不均一、③ガスベントの詰まり、④不適切なパージ作業の四つが挙げられる。これらのうち③と④について、PPS樹脂「ジュラファイド」やその他のエンプラを実験材料とし、「成形時ガス評価法」によるガス焼けの原因を解析。各原因の対策についてウェブサイトに掲載している。 

 同社は「今回の結果を参考に、生産効率アップに役立つことを期待している」と述べている。エンプラの素材メーカーである同社は、材料技術のみならず、成形・加工技術の開発にも積極的に取り組む。今回紹介した材料や技術に加え、成形・加工技術を融合させた新たな発想を生産者に届けていく。今後も材料情報や設計技術について、引き続きウェブサイトに公開していく予定だ。

 

トクヤマとパナソニック 純水素型燃料電池の実証を開始

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2021年9月15日

 トクヤマとパナソニックは14日、トクヤマの徳山製造所(山口県周南市)で発生する副生水素を使った純水素型燃料電池の実証を開始したと発表した。実証期間は2023年3月までを予定している。

純水素型燃料電池 実証機の外観
純水素型燃料電池 実証機の外観

 世界的に脱炭素社会の実現に向けた取り組みが加速する中、次世代エネルギーの1つとして水素への関心が高まっている。カセイソーダの製造工程で副次的に発生する副生水素の有効活用は、地球温暖化防止やエネルギーセキュリティの観点のみならず、化学産業にとっても社会貢献へ活用できるものであり、大きな意義がある取り組みになる。

 今回、徳山製造所内に設置した実証機は、パナソニックが開発する6台の純水素型燃料電池を1つのユニットに収めたシステム構成。水素の供給配管や熱配管、電力出力ラインなどを集約してユニットに接続し、6台の純水素型燃料電池を1つのシステムとして稼働させる連携制御を実現した。なお、純水素型燃料電池の六台連携制御の実証は、国内で初となる。

 トクヤマは、イオン交換膜食塩電解法でカセイソーダを製造する際に発生する副生水素を、純水素型燃料電池に安定供給。実証機で発電した電力は製造所内の事務室で使用し、発電時に生成する熱も温水にして回収し有効利用する。トクヤマでは、副生水素の有効活用を図るとともに、水素を活用した地域貢献モデルの検討を進めているが、今回の実証もその一環となる。

 一方、パナソニックは、副生水素を使用した場合の稼働性能に加えて、連携制御の検証・評価を行う。実証に使う純水素型燃料電池単体の発電出力は700Wだが、6台の実証機を個別に稼働および停止させることができるため、700W~4.2kWで任意の発電出力に設定することが可能。将来的には、連携制御による大規模な電力需要への対応を想定している。さらに、仮に1台が故障したとしても残りの5台は継続して稼働させることができる。そのため、順番にメンテナンスを行えばシステムとして電力の連続供給も可能となるなど、連携制御により運用の柔軟性向上が期待される。

 両社は、今回の実証を通じて、水素社会の実現を目指した取り組みをさらに進めていく。

NEDOなど 固体表面の高速・高分解能測定技術を開発

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2021年9月14日

 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)はこのほど、人工知能(AI)を使った材料開発プロジェクト「超先端材料超高速開発基盤技術プロジェクト」で産業技術総合研究所(産総研)と先端素材高速開発技術研究組合(ADMAT)が金属酸化物の固体表面解析に必須の動的核偏極核磁気共鳴法(DNP-NMR)で高速・高分解能なスペクトルを得ることができる測定技術を開発したと発表した。固体材料表面の高速・高精度解析が可能になり、触媒の合成や表面処理などが革新的材料の開発時間を大幅に短縮できる。

 固体触媒の開発では、触媒表面の化学構造を知るために酸素をはじめとする各種原子核のNMR測定が重要だが、四極子核に対する測定感度とスペクトル分解能が低く、適用範囲はH、C、N、Siなどに限られていた。

 今回、マイクロ波照射で感度を上げるDNP-NMRに、四極子核測定を可能にする新設計の照射プログラムと高分解能化のための新型パルスプログラムを組み込むことで、固体表面の四極子核の高速・高分解能の観測が可能となり、O、Zn、Mo、TiなどのNMRスペクトル観測に成功した。

 触媒担体として汎用されるγ-アルミナ(Al2O3)は、従来のNMRではAl-O結合に由来する構造が示唆されるだけであるのに対し、今回Al-Oの各ピークが分離され、3配位、4配位、6配位構造と、表面上にのみ存在する5配位構造が実測できた。

 引き続き、同事業で様々な金属酸化物の表面構造を詳細に解析し、高度な計算科学や高速試作・革新プロセス技術、先端計測評価技術を融合し、材料開発の加速と製品性能や製品寿命に優れた超先端材料の開発に貢献する考えだ。

 

ダイセル にんにくの希少成分、機能性表示食品で販売

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2021年9月14日

 ダイセルはこのほど、カラダの疲れを感じている人のための機能性表示食品「S-アリルシステイン」について消費者庁に届け出を行い、受理されたと発表した。同成分を含む素材は昨年7月に販売を開始していたが、さらに販路を拡大していく予定だ。

にんにく中のS-アリルシステインが機能性関与成分として受理
にんにく中のS-アリルシステインが機能性関与成分として受理

 S-アリルシステインは、強い抗酸化作用をもつにんにく由来の機能性成分。ただ、にんにくにはごく微量にしか含まれない希少成分であり、にんにくを熟成する過程で増加する。S-アリルシステインを指標成分の1つとし、熟成にんにくエキスを機能性関与成分とした疲労感の軽減効果を訴求する機能性表示食品は、すでに他社品で受理されていたが、S-アリルシステイン単一成分を機能性関与成分とした疲労感を軽減する機能性表示食品は初となる。

 今回の届け出は、システマティックレビュー(SR)による届け出で、採用文献として同社が実施した研究成果を使用しており、機能性関与成分による研究レビューで、機能性を評価している。

 1日にS-アリルシステイン2㎎を含む試験食品またはプラセボ食品の摂取を四週間継続し、摂取前後に運動負荷試験を実施し、身体作業負荷中、回復期および翌朝起床時の主観的な疲労度の評価についてVAS法により行った。その結果、運動負荷試験中は各群に有意差はなかったが、回復2時間後に試験食を摂取した群では、プラセボ食を摂取した群に比べ運動後の疲労度が有意に少ないことを確認した。

 同社は今後、今回の届け出受理の実績をもって、サプリメントメーカーへ素材販売を本格的に開始し、抗疲労を訴求した機能性表示食品の届け出支援を行っていく。

帝人 訪問看護師向けのサイト開設、地域包括ケアを支援

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2021年9月14日

 帝人はこのほど、訪問看護師や訪問看護事業者への情報提供に特化したウェブメディア「NsPace(ナースペース)」(https://www.ns-pace.com/)を開設したと発表した。

 訪問看護に必要な情報や、職員の採用や教育、事業所の運営などに関するノウハウ、さらには訪問看護師同士の交流の場を提供し、訪問看護師と訪問看護事業者にとってのプラットフォームとなることを目指していく。

 団塊の世代が75歳以上となる2025年以降には、国民の医療や介護の需要がさらに増加すると見込まれている。これに対し、政府は在宅医療の体制整備を急務とし、高齢者が住み慣れた地域で住まい・医療・介護・予防・生活支援などのサービスを一体的に受けられるよう、地域の包括的な支援・サービス体制(地域包括ケアシステム)の構築を推進。

 こうした中で、訪問看護師は、在宅医療の中心的な担い手としてのニーズが高まっており、その所属事業所である訪問看護ステーションの数は10年間で約2倍に増加している。しかし、経営に必要な情報やノウハウが充分に得られないことや、採用や教育が上手くいかないなどの課題により、休止や廃止に至る事業所も多く課題となっていた。

 今回、帝人はウェブメディア「ナースペース」を開設し、課題解決の支援を通じて、地域包括ケアシステムの構築に貢献する。「ナースペース」の特長として、①訪問看護師の求める訪問看護関連の情報に特化し、迅速に検索・閲覧が可能、②訪問看護事業所の経営者層、管理者層にも有用なコンテンツ構成、③オンラインセミナーなど各種イベントを定期的に開催し専門性の高い人材の育成や経営を支援、④事業運営に欠かせないマニュアルやフォーマットを提供し事業運営を効率化、などが挙げられる。

 帝人は今後、「地域包括ケアシステム関連新事業の創出」を掲げ、保険領域に留まらない地域密着型の総合ヘルスケアサービスの提供を目指しており、今回の取り組みを含めたデータプラットフォームを活用することで、新たな市場創出を推進していく。

訪問介護士向けのウェブメディア「NsPace」
訪問介護士向けのウェブメディア「NsPace」

 

NEDO グリーンイノベーション、水素関連実証に着手

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2021年9月13日

 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)はこのほど、2050年カーボンニュートラル実現を目指し、脱炭素化の実現に必要不可欠な二次エネルギーとして期待される水素に関する11テーマの実証研究事業に着手すると発表した。同事業は総額2兆円のグリーンイノベーション基金事業の一環で実施するものであり、今回が第1号案件となる。

 同事業を通じて商用水素サプライチェーンの構築を見通す技術の確立を目指すほか、余剰な再生可能エネルギーの電力を水素に変え、熱需要の脱炭素化や基礎化学品の製造などで活用する「Power to X」の実現を目指すとともに、水素需給創出による好循環を通じた自立的な水素の普及拡大・社会実装を促す。

 大規模水素サプライチェーンの構築プロジェクトでは、液化水素とメチルシクロヘキサン(MCH)による大規模水素サプライチェーンの実証研究や液化水素関連機器の評価基盤の整備、直接MCH電解合成などの革新的技術開発を通して、水素供給コストを2030年に30円/N㎥、2050年に20円/N㎥以下まで低減させるための技術確立を目指す。また、供給側の取り組みと同時に水素ガスタービン発電技術を実機により実証することで、大規模需要を創出する水素ガスタービン発電技術の実現に向け技術確立を支援する。

 一方、再エネ等由来の電力を活用した水電解による水素製造プロジェクトでは、国内水素製造基盤の確立や、先行する海外市場獲得を目指すべく、アルカリ型およびPEM型水電解装置の大型化やモジュール化、優れた要素技術の実装、水電解装置の性能評価技術の確立といった技術開発などを支援し、水電解装置コストの一層の削減(現在の最大6分の1)を目指す。

 また、水電解装置の開発と併せて、ボイラーなどの熱関連機器や基礎化学品の製造プロセスと組み合わせ、再エネ電源などを活用した非電力部門の脱炭素化に関するシステム全体を最適化する実証研究を行う。

積水メディカル 新型コロナウイルスの迅速検査キット

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2021年9月13日

 積水メディカルはこのほど、SARS-CoV-2(新型コロナウイルス)抗原検出用の迅速検査キット「ラピッドテスタ SARS-CoV-2」を発売した。

 イムノクロマト法に基づくデバイスタイプの検査キットで、目視でも専用装置「ラピッドテスタ リーダー」でも、十分で判定が可能だ。検体希釈液は既存製品の「ラピッドテスタ FLU・NEXT」や「ラピッドテスタ RSV-アデノ・NEXT」と併用でき、希釈液を共通化することにより、一度の検体採取で新型コロナウイルスのほかに、インフルエンザウイルス、RSウイルス、アデノウイルスなどの同様の呼吸器感染症の判定も可能だ。

 同社は、多様化を極める臨床検査業務に対して、「トータルソリューションの提供」をコンセプトに、装置・試薬・学術情報・技術情報のトータルサポートを実現し、さらなる利便性の向上に努めていく考えだ。

ENEOSとNSG 窓用透明太陽光パネルの実証開始

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2021年9月13日

 ENEOSホールディングスと日本板硝子(NSG)はこのほど、ENEOSが出資し、NSGが共同開発を実施している、米国ユビキタスエナジー社(UE社)が開発した透明な太陽光発電パネルを、建物の窓として使用する実証実験を国内で初めて実施すると発表した。

実証実験の様子。NSG千事業所で実施する
実証実験の様子。NSG千事業所で実施する

 同実証は、日本国内の日照や気候条件下でのUE社製太陽光発電パネルの省エネ性能(遮熱・断熱性)と発電性能について検証するもので、9月1日から来年8月31日までの1年間、NSGの千葉事業所(千葉県市原市)内に設置した施設で定量的な評価をしていく。ENEOSのもつ電力事業や再生可能エネルギー事業のノウハウと、NSGとUE社の太陽光発電窓ガラス共同開発の知見を生かすことで、今回の取り組みを太陽光発電の新たな選択肢の1つとして事業化を目指す考えだ。

 UE社製の透明太陽光発電パネルは、紫外線と赤外線をエネルギー源に高効率な発電が行えるもの。一般的な窓と同程度の透明度を維持しつつも、遮熱性と断熱性に優れていることから、建物の高いエネルギー効率を実現できる。また、高層ビルなどに活用できることから、広大な用地確保が不要であり、平置き型の太陽光発電と比較して小さい敷地面積から多くの電力を生み出す可能性がある。

 ENEOSグループは、分散型電源の活用を中心とした次世代エネルギー供給・地域サービスのネットワーク構築を目指しており、その一環として、多様な再エネや未活用エネルギーの利用による地域に根付いたエネルギーマネジメントサービスの検討を進めている。

 一方、NSGグループは、高付加価値の「ガラス製品とサービス」により貢献したい3分野の1つに「地球環境の保護」を掲げ、太陽電池パネル用ガラスをはじめ、再エネの活用拡大や冷暖房負荷の軽減などを通じて、地球にやさしい環境を創造する製品を提供している。

 なお、日本国内での同パネルの有効性が確認された後は、ビルなどへの展開と将来の電力供給を視野に入れた太陽光発電システムへの接続を検討していく。

ちとせグループ カマタマーレ讃岐と腸内フローラ共同研究

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2021年9月13日

選手の筋肉強化を通じ、三豊市の健康増進も視野

 バイオベンチャー企業群・ちとせグループは9日、香川県高松市や三豊(みとよ)市などを練習拠点に活動するサッカーJ3のカマタマーレ讃岐との間で、同クラブ選手の筋力強化を目的に共同研究契約を締結した。腸内フローラ視点での選手の体質分類モデル作成と、管理栄養士やフィジカルコーチ・トレーナーによる選手の体質改善支援を通じて、選手のパフォーマンス向上への貢献を目指す。

カマタマーレ讃岐の池内秀樹社長(左)と、リモートで参加したちとせグループの藤田朋宏CEO。記者会見にて
カマタマーレ讃岐の池内秀樹社長(左)と、リモートで参加したちとせグループの藤田朋宏CEO。記者会見にて

 両者は同日に高松市内で合同記者会見を開催。オンラインで参加したちとせグループの藤田朋宏CEOは、「腸内フローラを改善することで、筋肉の改善が見込まれ、同じトレーニングをしても怪我をしにくくなる、回復力が向上するといったことが分かってきている」と説明する。

 近年の世界的な研究・進歩は目覚ましく、腸内フローラと体質などの関連性が急速に明らかになっているという。国が進める腸内フローラのデータベース作成にも長く携わっている同社。蓄積した知見やデータを生かすことで、「選手の皆さんの競技能力の向上につなげてもらいたい」(藤田CEO)考えだ。

 腸内フローラは腸内細菌叢(そう)、マイクロバイオームなどとも呼ばれる、人の腸内環境に生息する微生物群のこと。様々なアスリートに特徴的な腸内フローラが存在することが報告されており、腸内フローラ視点の食品摂取により、運動のパフォーマンスが上がるという研究も知られている。また一般の人についても、腸内フローラと太りやすさ、高齢者の骨の強さなどとの関係を示唆する研究報告も多い。

 今回の取り組みでは、ちとせグループの知見に基づき、西日本を中心にフィットネスや外食事業を展開するヤマウチ(高松市)の管理栄養士主導で、カマタマーレ讃岐の選手の身体情報や生活習慣、食習慣、様々な食品と腸内環境との相性などの聞き取り調査を行い、選手の体質ごとに、腸内フローラ視点の食材を含めた食事指導やトレーニング支援を提案していく。さらに、一定期間の食事指導の後には、カマタマーレ讃岐のフィジカルコーチ・トレーナーの指導の下でトレーニングを実施し、筋力向上の効果を確認する、といったサイクルを回していく。

 カマタマーレ讃岐の池内秀樹社長は、「腸内フローラの改善は長期的な取り組みになるが、この取り組みを通じ、選手が自己管理や自分のパフォーマンスに対して最高の準備をするという意識が高まれば、短期的にもしっかりと成果が出せる」と期待を寄せた。

 ちとせグループは、今回の取り組みを三豊市と進める健康増進プログラムの先行事例と位置づける。同社は今年5月、同市と「データ駆動型の農業・ヘルスケアに関する包括連携協定」を締結。同市民に対する腸内フローラ視点でのヘルスケアサービスの構築を予定している。カマタマーレ讃岐の選手を対象とした共同研究の成果をロールモデルとし、今後の同市民へのヘルスケアサービスに横展開していく考えだ。

 一方、同市では2023年に向けた「三豊市宝山湖(ほうざんこ)ボールパーク構想」を推進中だ。現存の宝山湖公園を改修することで既存グランドのプロ仕様化と多目的化を行い、カマタマーレ讃岐のJ1昇格を後押しする。また、スポーツを軸にした民間企業とのパートナーシップの下、人と人との交流イベントや健康づくりの拠点とすることを目指している。今回の取り組みは、その一翼を担う。