三菱ケミカル 植物由来のPTMG開発、サンプル提供を開始

, , ,

2021年6月8日

 三菱ケミカルは7日、植物由来原料を使用したPTMG(ポリテトラメチレンエーテルグリコール)「BioPTMG」を新たに開発し、サンプルの提供を開始したと発表した。

BioPTMG ロゴ
BioPTMG ロゴ

 PTMGは、反発弾性や耐摩耗性といった特徴から、ポリウレタン弾性繊維(スパンデックス)などに伸縮性を付加する素材として使用されている。同社が植物由来の原料を使用して開発した「BioPTMG」は、石油由来のPTMGの性能と同等の反発弾性、耐摩耗性、耐加水分解性、低温での柔軟性などの優れた特性をもつため、インテリア、ファッションから工業資材に至るまで幅広い分野での活用が可能。スパンデックス以外にも、ポリウレタンエラストマーやポリエステルエラストマーでの使用が想定される。

 同社は、今回開発したグレードにとどまらず、さらに多くのグレードを開発・拡充することで、顧客ニーズに応えていく。また「BioPTMG」をはじめとする植物由来の素材の研究開発を加速させ、持続可能な社会へのソリューションを提供することで、SDGsの達成に貢献する。

DIC ハイブリッド型無機系抗ウイルス・抗菌剤を開発

, , ,

2021年6月7日

 DICはこのほど、ハイブリッド型の無機系抗ウイルス・抗菌剤「ウィルミッシュ」を開発し販売を開始したと発表した。同製品は、高い抗ウイルス・抗菌性を発揮する金属化合物と特殊な光触媒から構成されるハイブリッド型。同社は今後、住宅内装材や繊維、産業資材などの広範な用途での展開に向けて製品ラインアップを拡充し、日本、中国、東南アジア地域への販売を視野に入れ、2025年までに売上高15億円を目指す方針だ。

ハイブリッド型抗ウイルス・抗菌剤の⽤途展開
ハイブリッド型抗ウイルス・抗菌剤の⽤途展開

 新型コロナウイルスの感染拡大が続く状況下では、消費者の衛生面への関心が高まり、医療施設や公共施設だけでなく、日常生活のあらゆる場面で抗ウイルス・抗菌製品の使用を求める声が多くなっている。抗ウイルス・抗菌剤として有機系製品があるが、皮膚刺激性などの安全性や耐久性の点で近年、無機系製品が着目されている。しかしながら、抗ウイルス性や耐久性、安全性の全ての点で高い機能をもつ製品は多くない。

 今回、同社が開発した「ウィルミッシュ」は、一般的な細菌やインフルエンザ型ウイルスはもちろん、従来の製品では効き難いとされるノロ型ウイルスにも有効。光のない暗所では、金属化合物の作用で高い抗ウイルス性を発現し、光のある明所では、屋内の弱い光でも反応する(可視光応答型)光触媒の作用でさらに高い抗ウイルス性を発揮するとともに、皮脂などの特定の有機物汚れを目立ちにくくするセルフクリーニング機能が期待できる。加えて、耐熱性や耐水性などの耐久試験後も、高い抗ウイルス性を確認しており、安全性試験でも良好なデータが得られている。

 同社は今後の幅広い用途展開を視野に、多方面の製品への応用技術についても特許を出願中。現在、住宅内装材や繊維、産業資材などの広範な分野で同製品の実証試験が進んでおり、すでに内装材分野で一部採用されている。

 今後もDICグループ内に培ってきた多種多様な技術を基盤に、性能向上とアプリケーション開発を進め、人々の健康で安心・安全な暮らしの実現と生活空間の快適化に貢献していく。

 

三菱エンジニアリングプラスチックス POMの医療向けMAシリーズを開発

, ,

2021年6月7日

 三菱エンジニアリングプラスチックスはこのほど、新たに医療規格に対応したポリアセタール樹脂(POM)「ユピタールMAシリーズ」を開発した。

  MAシリーズは、「MAS20」(標準)、「MAS30」(高流動)、「MAH25」(高剛性)、「MAL20」(高摺動)のグレード群をラインアップ。小型化、軽量化が進む医療器具や医療機器に対し、製品設計の自由度向上に貢献する。特に摺動グレードの「MAL20」はPOMとの摺動性を大きく改善。従来、POM製の部品同士を組み合わせると、きしみ音や摩擦が発生し、これらを回避するために異種材料を組み合わせる設計がとられてきた。

  「MAL20」は一般のPOMと組み合わせても摩擦や摩耗が抑えられ、静粛性とスムーズな動きを実現して、医療機器を使用する際の快適性を大幅に向上させる。また、MAシリーズでは調色用の着色マスターバッチを用意。物性だけでなく、意匠の点からも部品設計をサポートする。

 「ユピタールMAシリーズ」は、医療用材料に求められる品質と規制に対応しており、COPD(慢性閉塞性肺疾患)やぜんそくの薬剤吸入器、インスリンペンなどの注射器具、医療機器の部品などの用途に適している。

 

NEDOと産総研 AI材料設計向け仮想実験環境を構築

, , , , ,

2021年6月3日

 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)と産業技術総合研究所(産総研)はこのほど、物性計算シミュレーターとAI技術を連携させ、材料の電気伝導度計測を計算機上で再現する基盤技術を開発したと発表した。これにより生成した大量の材料データを深層学習させることで、望みの電気特性をもつ材料の組成・構造の予測・設計につながることが期待される。

 NEDOは各種有機・高分子系機能性材料開発の試作回数・開発期間を従来の20分の1に削減・短縮する「革新的機能性材料の開発を支援するためのシミュレーター」を、産総研と先端素材高速開発技術研究組合と共同で開発した。材料の組成・構造から物性・機能を予測(順問題予測)するには正確なビッグデータが必要だが、そのための計算シミュレーションでは、実材料のサイズが計算容量を大きく上回ることが問題であった。

 今回、第一原理電気伝導計算機能(量子方程式で物質構造から電子状態を求める)とAIの深層学習法を連携させ、順問題予測を正確に行い、電気特性に関する仮想材料実験を計算機上で行うための技術を開発した。材料を構成する全原子の相対的位置情報を局所的情報に単純化して記述子とし、様々な構造・組成に対する電気伝導度の第一原理計算シミュレーションで得たデータを深層学習に使う。大きなサイズ領域の記述子を構築できるため、計算シミュレーションの計算機性能の制限を受けず、高い精度で予測できることを検証できた。

 この仮想実験により、材料の組成・構造の数値情報と電気的性質が明瞭に関連付いた高精度で、また実際の実験では得ることが難しいデータを大量に生成できる。そしてAIを利用することで、目的の機能・性質を実現する材料の組成・構造の予測(逆問題予測)が可能になる。

 今後、計算機上での仮想実験で、実際の実験や材料試作に応じた大量のデータを系統的かつ網羅的に生成し、電気伝導物性(材料機能)から材料組成・構造を予測する逆問題予測手法の開発につなげていく考えだ。

デンカ コンクリート凝結効果を促進、特殊混和材が採用

, , , ,

2021年6月3日

 デンカはこのほど、コンクリート凝結効果促進材「デンカ ACF材」が、青森県中泊町における清水建設の実工事で初めて採用されたと発表した。寒冷期の工事では冷たい外気温によりコンクリートの凝結時間が長くなり、通常期と比べ施工の長時間化と作業従事者の負担増加の課題を抱えている。

特殊混和材「デンカ ACF 材」
特殊混和材「デンカ ACF 材」

 「デンカ ACF材」は、セメント・特殊混和材で培った無機材料設計技術を応用して清水建設と共同開発した凝結促進材料。工事現場で生コンクリート車に混和材を投入し撹拌する簡易な方法で、コンクリートの凝結時間を短縮し、通常期と同レベルの凝結時間の確保が可能となる。また、外気温や施工現場の環境に合わせてその場で混和材の添加量を調整し、凝結時間を任意に調整することも可能だ。

ACF 工法による凝結促進効果
ACF 工法による凝結促進効果

 今回の工事では清水建設と共同で開発したコンクリートの凝結時間制御技術「アドバンストコンクリートフィニッシュ工法(ACF工法)」が用いられ、気温5℃の低気温環境下で適用したケースで4時間以上の工事時間短縮や、ブリーディング(打ち込んだコンクリート表面から練り混ぜ水の一部が上昇する現象)低減により発生リスクが高い傾斜面の沈降クラック抑制の効果が確認されている。

 デンカは今後、様々な工事場面での適用に向けて、「デンカ ACF材」の販売を本格的に展開していく。

 

三菱ガス化 四日市のPOM生産を停止、タイ拠点に集約

, , ,

2021年6月3日

 三菱ガス化学はこのほど、四日市工場(三重県四日市市)におけるポリアセタール(POM)の生産について、2023年9月末を目途に停止すると発表した。POMは、耐摩擦性・耐クリープ性・耐疲労性・耐薬品性に優れたエンジニアリングプラスチックスで、自動車、電気・電子、精密機器などの部品の材料として広く使用されている。

 同社グループは、四日市工場のほか、タイ・韓国・中国に生産拠点をもち、「ユピタール」などのブランドで高品質なPOMを世界中に供給している。四日市工場では、1981年以来、40年にわたってPOMを生産してきたが、プラント規模が年産2万tと小さいことに加え設備の老朽化が進んできたこともあり、厳しい採算を余儀なくされていた。こうした背景から、タイ拠点に生産を集約し、より競争力のある供給体制でPOM事業を展開することを決定した。

 現在、四日市工場品を使用している顧客には、タイ品への切替えを依頼。また、タイ拠点においては、旺盛なPOM需要に対応するため、今後の増産を検討する予定だ。今回の生産停止は、昨年12月に発表した韓国POM事業再編に続く事業強化のための施策の一環となる。同社は、引き続きPOM事業の発展に努めていく。

 

ランクセス 高性能プラ向け耐熱性黄色顔料製品を拡充

, , ,

2021年6月2日

 ランクセスはこのほど、高性能プラスチック向け耐熱性黄色顔料「カラーサーム」の製品ラインナップを拡充すると発表した。様々な熱安定性レベルに応じたオーダーメイド顔料により、費用対効果を最適化する。

 特殊な物理・化学特性をもつ高性能ポリマーが金属、ガラス、セラミックの代替として自動車、電子機器、プロセスエンジニアリングや医療分野などの特殊用途・ハイテク用途で使用されるにつれ、着色顔料の要件プロファイルも高まりつつある。特に熱安定性は決定的な品質要因で、有機顔料は処理温度が高いと分解が進み、無機代替顔料は温度が180℃を超えると色のばらつきが起こることがある。

 同社は、高温ポリマーを高い信頼性で黄色着色するモジュラー型の「カラーサームイエロー」製品ラインナップをもつ。耐熱温度300℃の「カラーサームイエロー20」「同30」と同じ色調・色強度で、220~260℃の温度範囲を補完する製品として「カラーサームイエロー5」と「同26」を拡充した。「カラーサームイエロー5」と「同20」は酸化鉄ベース、「同26」、「同30」、「同3950」は亜鉛フェライトベースで、淡黄色・濃黄色からオレンジの色調まで、最高300℃までの温度で加工できる。

 また「同26」と「同30」の色強度は同等製品比で最大20%高く、顔料の添加量は少量ですむ。着色顔料の要求熱安定性レベルはポリマーの種類によって異なり、PEでは240℃前後、PA、PP、PPSでは300℃前後だ。プラスチックの種類や必要な熱安定性に合わせて、最適な顔料の選択が可能となった。

 また同社は、広範な設備の技術センターをもち、顔料使用の包括的アドバイスを提供。顧客のプラスチック用途での熱安定性分析も可能だ。サンプルローディングから比色分析まで自動化され、専門性の高い試験を最高レベルの精度で行える。一貫した品質はプラスチック着色の決定的な要件であり、国際標準の試験方法で原材料を常時モニタリングし、継続的な品質管理を行うことで、製品の信頼性を最大限に確保するとしている。

DIC インキ乾燥促進剤を開発、欧州の環境規制に対応

, , , , , ,

2021年6月2日

 DICはこのほど、米国子会社サンケミカルと欧州地域の環境規制に対応した塗料や印刷インキなどに用いられる酸化重合型樹脂の乾燥促進剤(ドライヤー)を開発した、と発表した。

乾燥促進剤 GHSピクトグラム
乾燥促進剤 GHSピクトグラム

 同製品は、同社の金属石鹸「ディックネート」シリーズの製品として欧州地域の塗料や印刷インキ業界に向けてすでにサンプルワークを開始。今後、さらに欧州地域の展開に注力し、2025年までに売上高10億円を目指す。

 乾燥促進剤は、塗料や印刷インキを製造する過程で配合され、塗布後の効果を促すもので、一般的に乾燥性能に優れたコバルト(Co)の金属塩が用いられる。しかしながら、コバルト化合物は発がん性などの人体への悪影響や、産地が限られ大幅に価格変動する懸念があることから、欧州地域を中心に非コバルトドライヤーのニーズが非常に高まっている。

 こうした社会課題を解決するため、DICはGHSピクトグラム(絵表示)が付与された健康・環境対応設計のドライヤー開発を推進。同開発品は、塗料・印刷インキ用途ともに健康有害性懸念の低いマンガン(Mn)がベース。開発品には、塗料用の「ディックネート ESG-130BZ」と、塗料および印刷インキ用の「ディックネート MV130A」があり、「MV130A」は、溶剤に植物系のエステルを使用しているため、従来の炭化水素系の溶剤と比べ健康や環境への有害性が低減する。ラボ評価では、塗料(アルキド塗料)における同開発品の乾燥性能は、完全硬化までの時間がコバルト同等以上、印刷インキ(オフセット枚葉インキ)においても同等であることを確認している。

 DICグループは、中期経営計画において、環境に配慮したサステナビリティ製品や高機能製品を社会に提供することで、社会貢献と持続的な成長の実現を事業方針に据えている。今後も塗料や印刷インキの市場要請に対応した高機能製品を提供し、事業規模拡大に努めていく。

帝人 炭素繊維中間材料が次世代エンジン部品に採用

, , , , ,

2021年6月2日

 帝人は1日、同社の炭素繊維「テナックス」を使用した中間材料が、日機装が開発する航空機向けの次世代エンジン用ナセル(筐体の部材)として採用されたと発表した。このナセルの部材は、エアバス社が進めている「Propulsion of Tomorrow」プロジェクトに採用が決まっており、今年末までに試作品がエアバス社に納入される予定。

 今回、ナセルの部材として採用された炭素繊維中間材料は、帝人が独自開発した航空機用の高性能速硬化エポキシ樹脂を使用したプリプレグで、一般的な航空機向けプリプレグよりも低温度で、かつ短時間に成形することができる。また、航空機用途で広く使用されているオートクレーブ成形だけでなく、大量生産に適したプレス成形にも対応可能で、プレス成形した場合もオートクレーブ成形と同等の品質を実現する。

 さらに、一方向プリプレグを繊維方向に8分の1~2分の1インチ幅にスリットしたテープを複数同時に自動積層する技術「Automated Fiber Placement」に対応。速硬化エポキシ樹脂による短時間成形と、「Automated Fiber Placement」を組み合わせることにより、生産効率を最大限に高めることができる。こうした生産性やコスト効率に優れる点が高く評価された。

 帝人は今回の採用を契機に、中期経営計画において「ストラテジック・フォーカス(将来の収益源育成)」に位置づけている航空機向け炭素繊維中間材料の展開をさらに進めるとともに、持続可能な社会の実現に向けたソリューション提供を強化し、長期ビジョンである「未来の社会を支える会社」を目指していく。

積水化学工業 昨年度の新築戸建住宅、ZEH比率が85%に

, ,

2021年6月1日

 積水化学工業はこのほど、住宅カンパニーにおいて、2020年度の新築戸建住宅のZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)比率が、前年より5ポイント伸長し85%(北海道除く)となったと発表した。また、北海道のZEH比率も57%となり、国の2020年度までのZEH比率目標50%を全国(北海道~九州)で達成した。

ZEH 大容量PVを実現するスマートパワーステーション
ZEH 大容量PVを実現するスマートパワーステーション

 国のZEHの定義には、エネルギー削減率がもっとも高く環境貢献度が最高ランクの「ZEH」のほか、NearlyZEHやZEHOrientedも含まれる。

 同社は、業界に先駆けて大容量の太陽光発電システム(PV)を積極的に提案した結果、最高ランクの「ZEH」が大半を占めており、ニューノーマルにおける在宅時間の充実と環境意識の両立を考えるユーザーから支持を得ている。

 同社の住宅カンパニーでは、環境問題をはじめとした社会課題の解決や強固な経営基盤の構築を事業の成長力として位置づけ、ESG経営を推進。今年度はセキスイハイム誕生50周年を期に社会課題解決への貢献をさらに加速する記念プロジェクトを展開しており、先進・スマートの際立ち進化でZEH比率90%を目指している。

 今後も「ZEH」の推進を軸に、商品開発と提案力強化を行うことで、環境にやさしくニューノーマルにも対応した暮らし方提案の充実を図っていく。