東レ オールカーボン二層構造のCO2分離膜創出

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2021年4月16日

分離性能と高耐久性を両立、ガス分離用途に応用

 東レは15日、中空糸状の多孔質炭素繊維を支持体とし、その表面に薄い炭素膜の分離機能層を形成したオールカーボンの二層構造をもつ革新CO2分離膜を創出したと発表した。同分離膜は、優れたCO2の分離性能と高耐久性を兼ね備え、従来の無機系分離膜と比較して設備の小型化が可能。同社は今後、同分離膜の社会実装に向けた研究・技術開発を加速していく考えだ。

革新CO2分離膜の構造
革新CO2分離膜の構造

 炭素循環社会の実現には、発電などの排ガスからCO2を分離回収し、水素と組み合わせてメタンを生成し化学品や燃料に再利用する、といったカーボンリサイクルが求められる。CO2分離技術が不可欠となるが、一般的な吸収法や吸着法はエネルギー消費量が大きく、省エネルギー化の課題があった。

 こうした中、

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NEDO 安全安心なドローン基盤技術開発で実機を公開

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2021年4月15日

 NEDOは13日、安心安全なドローン基盤技術開発に関する記者説明会を開き、プロトタイプを公開した。

提供:NEDO
公開されたドローン実機(提供:NEDO)

 ドローン市場は急拡大しており、2025年の国内市場は5000億円規模になり、特に災害時の被災状況調査や監視・捜索などの政府・公共部門を始め、老朽化するインフラの点検、スマート農業や物流などの産業用途が9割近くを占めると予測される。

 一方、小型ドローン(重量2kg以下)の8割は中国製で、撮影画像や飛行ルートなどの “NEDO 安全安心なドローン基盤技術開発で実機を公開” の続きを読む

BASF 施設栽培ホウレンソウ用のダニ殺虫剤を発売

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2021年4月15日

 BASFジャパンはこのほど、殺虫剤「サンケイ コテツベイト」の販売を開始した。BASFとサンケイ化学(鹿児島県鹿児島市)が共同開発したもので、両社で販売する。施設栽培のホウレンソウで防除が難しいとされるホウレンソウケナガコナダニから、長期間作物を保護することが可能になる。

 主に施設栽培で発生するホウレンソウケナガコナダニは、土中で増殖し、ホウレンソウの新芽部分に侵入し食害する。被害葉は正常に成長せず奇形となり、作物の生育が抑制され、最終的には収量にも影響を及ぼす。

 「サンケイ コテツベイト」はケナガコナダニが土中からホウレンソウへ移動する際に誘引し、同剤を摂食したケナガコナダニを食毒作用により防除する。有効成分「クロルフェナピル」の高い活性と、害虫の餌となるベイト製剤の誘引効果により、残効性に優れ、長期間被害を抑制する。土壌に混ぜる手間も省け、また細粒であるため飛散しにくくドリフト(農薬飛散)の可能性が低いため、収穫間近のホウレンソウの施設近くでも使用できる。これにより、これまで防除が難しかったケナガコナダニから作物を守り、生産者が収穫まで安心して栽培できるようになった。

ENEOS むつ小川原風力発電事業に参画、共同開発へ

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2021年4月15日

 ENEOSはこのほど、2019年に日立造船と伊藤忠商事が設立した「むつ小川原風力合同会社」(日立造船:40%、伊藤忠商事:40%、ENEOS:20%)に参画し、今後は3社の協働により青森県上北郡六ヶ所村での陸上風力発電事業の事業化に向けて開発を進めていくと発表した。

 青森県は陸上風力発電事業の国内有数の適地であり、良好な風況が見込まれている。同事業開発は、当該地域に連系容量5・7万kW(最大発電能力6・5万kW:4300kW級風力発電機×15基)の陸上風力発電所を建設する計画で、2024年以降の稼働を目指す。

 ENEOSは、グループ長期ビジョンの中で2040年時点でのカーボンニュートラルを掲げており、2022年度までに、国内外の再生可能エネルギー事業の総発電容量を約100万kW以上に拡大することを目指している。メガソーラーやバイオマス、陸上風力を展開し、洋上風力についても、2019年4月に台湾沖、昨年9月には秋田県八峰町・能代市沖の事業に参画するなど、事業展開を加速している。

 他方、日立造船は、〝サステナブルで、安全・安心な社会の実現に貢献するソリューションパートナー〟を目指し、ごみ焼却発電やバイオマス発電、風力発電、水電解水素、メタネーションといったクリーンエネルギー事業を展開。風力発電事業では、陸上と洋上の両方で新規の事業開発から建設、運営までを一貫して取り組んでいる。

 また伊藤忠商事は、次期中期経営計画の基本方針の1つに〝SDGsへの貢献・取り組み強化〟を掲げ、再エネ関連ビジネスを積極的に推進。メガソーラーや自家消費型太陽光発電システム、バイオマス発電、風力発電などの事業開発・運営に加えて、再エネ供給安定化に重要な役割をもつ蓄電池を活用した次世代電力ソリューションの開発を進めている。

 3社は、これまでの再エネ事業開発で培った事業化・運営などに関する知見を生かし、事業化の検討を加速していく。

三菱ケミカル 宇宙開発ベンチャーと提携、CFRP部材提供

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2021年4月15日

 三菱ケミカルは14日、民間企業として世界初となる月面探査の実現を目指す、ロボット・宇宙開発ベンチャーのダイモン(東京都大田区)との間でパートナーシップ契約を締結したと発表した。

ダイモンの月面探査車 「 YAOKI 」
ダイモンの月面探査車 「 YAOKI 」

 今回の契約は、三菱ケミカルがもつ炭素繊維強化プラスチック(CFRP)部材と熱可塑性樹脂材料の提供や技術支援を行う内容で、その一環として、今秋に打ち上げ予定の月面探査車関連部品にCFRPが使用される予定。

 宇宙分野で使用される機器は、打ち上げや宇宙空間などの過酷な環境での使用に耐える強度や剛性、耐熱性が求められることに加え、1kgあたり1億円とも言われる月面への輸送コスト低減のため、部材の軽量化も大きな課題。

 これまで主にアルミ素材が使われてきたが、強度と軽さを兼ね備えるCFRPの普及が期待されている。すでに人工衛星など宇宙分野でのCFRP部材の採用実績をもつ三菱ケミカルは、ダイモンとの提携により、宇宙空間や月面での使用実績を積み重ね、製品開発と月面基地部材など用途開発を加速する。

 同社は今後も、発展が見込まれる宇宙分野への展開を積極的に進め、事業の成長を図っていく。

エクセルシャノン 真空断熱ガラス樹脂サッシを開発

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2021年4月15日

パナソニックと共創、断熱性能最高レベルを実現

 樹脂サッシ専業メーカーのエクセルシャノン(トクヤマ51%、パナソニック49%)は14日、高性能樹脂サッシ「シャノンウインド」の新シリーズとして、国内最高クラスの断熱性能を有する真空断熱ガラス樹脂サッシ「シャノンウインドSPG」を開発し、6月から全国で発売すると発表した。

池田州充社長
池田州充社長

 同日開催されたオンライン会見において、池田州充社長は「日本は2050年度にカーボンニュートラル社会や持続可能な社会の実現に向け動き出している」とし、

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日本ゼオンなど バイオマスからブタジエンを生成、新技術を共同開発

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2021年4月14日

 日本ゼオンはこのほど、横浜ゴム、理化学研究所(理研)と共同で設置している「バイオモノマー生産研究チーム」の研究により、バイオマス(生物資源)から効率的にブタジエン(BD)を生成できる世界初の新技術を開発したと発表した。

バイオマスからブタジエンを生成
バイオマスからブタジエンを生成

 主に自動車タイヤなどの合成ゴムの主原料であるBDは、現在、ナフサ熱分解の副生成物として工業的に生産されている。バイオマス由来BD生成技術を確立すれば、石油依存度の低減に繋がり、地球温暖化の原因とされるCO2の削減に貢献できる。

 日本ゼオンは2013年より、理研(環境資源科学研究センター)、横浜ゴムとの共同研究で、バイオマスから合成ゴム原料のモノマーを生成できる技術を培ってきた。昨年4月には、理研の「産業界との融合的連携研究制度」を利用して、社会実装に向けた研究を加速させるため「バイオモノマー生産研究チーム」を設置。さらなる高生産酵素と効率的な精製技術確立に向けて各々の知見・技術を有機的に融合して研究を進めてきた。

 今回、同チームは新しい人工代謝経路と酵素で、優れたBD生成能をもつ細胞の創製に成功。これにより、微生物によるバイオ合成から生成されるムコン酸を中間体として経ることが可能となり、また、これまで開発してきた酵素の知見を取り入れることでBDの発酵生産でのコストを大幅に削減することが期待できる。

 これらの成果が今回、ロンドンを拠点とし生物学、化学などの分野の研究論文が掲載されているオンライン専用ジャーナル「ネイチャー・コミュニケーションズ」に掲載される。

 なお、「バイオモノマー生産研究チーム」は、同じく合成ゴムの主原料であるイソプレンについても、2018年に、世界初となる新しい人工経路の構築と高活性酵素の作成により優れたイソプレン生成能をもつ細胞を創製。この細胞内で出発原料であるバイオマス(糖)からイソプレン生成までを一貫して行うことに成功している。ゼオングループはこれからも産官学の垣根を超えた研究に積極的に取り組み、「持続可能な開発目標(SDGs)」達成に貢献していく考えだ。

出光興産 再エネで走行する超小型EVを北海道製油所に導入

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2021年4月14日

 出光興産はこのほど、北海道製油所構内で使用する構内車両として、関連会社である出光タジマEVが提供する超小型EVと太陽光発電による蓄電池カーポートを導入したと発表した。

CIS太陽電池で発電された電気をワイヤレス給電
CIS太陽電池で発電された電気をワイヤレス給電

 今回、北海道製油所にタジマモーターコーポレーションが開発し、出光タジマEVが提供する超小型EV「ジャイアン」計2台を構内車両として導入。また、車両を充電するカーポートの屋根には、子会社であるソーラーフロンティアが開発したCIS太陽電池を設置しており、製油所構内を再生可能エネルギーで走行する仕組みとなる。

超小型EVのフィールド試験を北海道製油所で実施
超小型EVのフィールド試験を北海道製油所で実施

 導入した超小型EVは、構内車両として業務に使用するだけではなく、冬季にはマイナス10℃を下回る北海道苫小牧市の気候下で、寒冷地での超小型EVの有効性や課題を検証するフィールド試験の実施に活用する。フィールド試験では、寒冷地での超小型EVの始動性・航続距離・バッテリーへの影響、災害時に使用する蓄電池としての有効性などを検証し、出光タジマEVにおける今後の次世代モビリティ開発へ応用する。

 北海道製油所は道内唯一の製油所として、石油製品の供給を通じ、長年地域のエネルギーセキュリティに貢献している。一方で、環境対応にも早期から注力しており、省エネを推進するための高効率機器類の導入や緑化事業にも取り組む。2019年には都市緑化機構が実施している、緑の認定制度SEGESで、道内の工場施設としては唯一、認定ラベルの最上位ステージ「Superlative Stage」認定を取得した。

 出光では環境負荷低減を見据えた次世代事業の創出と、石油精製などの収益基盤事業の構造改革を、重要な経営課題と位置付けている。石油精製を主力事業とする北海道製油所で、地域に根差した低炭素化の取り組みを加速することで、持続可能なエネルギーセキュリティへの貢献と、新たなモビリティ社会の実現に向け、一層取り組んでいく。

【ポリアセタール特集1】(総論)

2021年4月14日

足元は需給タイト、環境対応や用途展開が課題

 ホルムアルデヒドを重合して作られるポリアセタール(POM)は、60年近い商業実績があるエンジニアリングプラスチック。世界市場では、セラニーズとポリプラスチックスが二大メーカーで、デュポン、韓国エンジニアリングプラスチックス(KEP)、三菱エンジニアリングプラスチックス(MEP)、コーロン、BASF、旭化成などが続く。中国のローカルも入れると世界に十数社、生産能力の合計は150万t程度と見られる。

 昨年は業界内で動きがあった。ポリプラスチックスは、親会社であるダイセルがセラニーズの出資を引き取り完全子会社化。また、セラニーズと三菱ガス化学の合弁会社であるKEP(年産14万t)は両親会社への製品供給専業になり、セラニーズはアジアでの供給能力を高める結果となった。ここ数年の動きでは、BASFがドイツでの製造を停止し、コーロンとの合弁会社(韓国)の工場(同7万t)に集約、また、セラニーズとSABICの合弁会社Ibn Sina(同5万t)がサウジアラビアにおいて稼働を開始している。なお、新設計画が多い中国ローカルメーカーについては、実際に稼働しているのは3社程度のようだ。POMの世界需要は年間125万t程度と見られ、地域別では、中国が50数万t、その他アジアと欧州が各々25万t前後、米州が十数万t、日本が9万t程度と推測される。近年では、需要の伸びが見込まれる中国やアジア市場で各社の競争が激化している状況だ。

 POMは結晶性が高く機械物性、耐摩擦・摩耗性、耐薬品性に加え、成形性にも優れる。また、エンプラの中では比較的安価であることから、幅広い分野で使われている。主な用途として、低摩擦・摩耗、低騒音を生かした電子・電機用途のギアや、摺動性を生かした衣料用途のファスナー、耐油性を生かした燃料系部品などが挙げられる。

 分野別にみると、様々な部品で使用される自動車向けの割合が高く、世界全体で約40%、日米欧では60%前後を占める。自動車1台あたりの使用量は約4.5kgと推定されるが、今後EV化の加速により燃料系部品用途が減少してくる可能性もある。こうした中、各社は新規用途開拓を模索し、コンパウンド技術による高性能化・高機能化に注力。さらに新たな取り組みでは、環境対応として、使用済となった製品のリサイクルや、再生可能な原料への転換なども検討を進めているようだ。

 一方、需要については、昨年前半はコロナ影響で大きく落ち込んだものの、自動車生産の回復に伴い年後半には急回復した。特需により需給バランスはタイトな状態が続き、生産は対前年比プラスで推移している。とはいえ、長期的に見れば、世界平均で年率3%程度の市場成長になる見通しだ。

 

 

大陽日酸 高性能な溶接可視化カメラを共同開発し発売

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2021年4月13日

 大陽日酸はこのほど、グループ会社である日酸TANAKAと共同で新たに高性能な溶接可視化カメラを開発し商品化したと発表した。

溶接可視化カメラ 新「サンアークアイ」
溶接可視化カメラ 新「サンアークアイ」

 両社は、溶接遠隔操作や溶接モニタリング、監視を行うために使う高性能な溶接可視化カメラ「サンアークアイ」を2019年4月から販売しているが、今回、デザインを一新し、さらに機能を追加した新型カメラを開発した。

 従来型のカメラでは、溶接開始前の準備作業(溶接線やワイヤ挿入位置などの補正)で、レンズの先端に装着されているNDフィルターを一度取り外す必要があった。

 新たに開発したカメラは、その欠点を補うために「自動遮光フィルター用のアダプター」をオプション設定し、溶接用の自動遮光フィルターを装着できるよう設計を変更した。これにより、溶接中や溶接開始前の準備作業でも鮮明な映像が得られるとともに、カメラ筐体のデザインを見直すことで、約12%の軽量化を図った。

 同カメラは、溶接時に発生するアーク光を打ち消し、ハレーションを低減させることで、溶融池やその周辺、凝固過程などの詳細な観察が可能。動画・静止画共に撮影ができ、撮影画像から様々な解析・計測を行うことで、溶接不具合の軽減につなげることができる。

 なお、撮影可能な溶接方法は、TIG、プラズマ、MAG・MIG溶接など、幅広く対応が可能だ。