積水化学 鉄道枕木向け合成木材の生産工場をオランダに設立

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2020年10月21日

 積水化学工業は20日、環境・ライフラインカンパニーが、ガラス長繊維強化プラスチック発泡体「FFU」製枕木の生産工場をオランダに設立すると発表した。2021年度上期に着工し、2022年度下期から生産を開始する予定で、これによりFFU製枕木の生産能力はこれまでの1.8倍に拡大する。

合成木材「FFU」オランダ工場イメージ
合成木材「FFU」オランダ工場イメージ

 「FFU」は、軽量でありながら、耐久・耐候性、加工性に優れており、天然木材とプラスチックの長所を兼ね備えた合成木材。これまで様々な用途に展開してきたが、鉄道の枕木用途では採用から今年で40年を迎えており、日本国内では多くの鉄道会社が採用している。

合成木材「FFU」ドイツ国鉄での採用事例①
合成木材「FFU」ドイツ国鉄での採用事例①

 また海外でも、2003年に初受注を獲得して以降、鉄道大国であるドイツ、イギリスなど需要が見込まれる欧州を中心に事業規模を拡大。2017年には、EBA(ドイツ連邦鉄道庁)の本認証を取得するなど、欧州各国をはじめ、米国、オーストラリア、中国など世界31カ国で販売実績をもっている。

 一方、近年では、環境配慮から高品質な木材の調達が難しいことに加え、木材の防腐剤として使用されるクレオソート油が、発がん性の危険からEUで使用が禁止(鉄道分野は2023年)された。こうした背景により、木製枕木の代替品として樹脂製枕木の導入が世界中で進んでおり、「FFU」では、特に軽量・高耐久が求められる分岐部や橋梁部分での採用が拡大している状況だ。

合成木材「FFU」ドイツ国鉄での採用事例②
合成木材「FFU」ドイツ国鉄での採用事例②

 現在、同社はFFU製枕木の生産を、ほぼ全量滋賀栗東工場で行っているが、海外市場の需要増により生産能力の向上や納品期間の短縮が必要となってきた。海外での鉄道分野最大の需要地である欧州に生産工場を設立し、さらなる事業拡大とグローバル化を推進していく。オランダのグループ会社SEKISUI ESLON内に、FFU製枕木の原木を生産する工場を新設(延床面積4400㎡)。また、市場・顧客ごとに製品仕様が異なるため、販売先の近傍で加工パートナーと提携し、欧州需要に対応する。

 同社は、欧州での生産開始により、海外鉄道会社からのさらなる採用拡大を図り、FFU製枕木を柱とする機能材事業で、2030年度の海外売上高100億円を目指す方針だ。

経産省 「ゼロエミ・チャレンジ」企業リストを公表

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2020年10月20日

 経済産業省はこのほど、TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)サミット2020の中で、上場・非上場企業あわせて320社の「ゼロエミ・チャレンジ企業」を発表した。

 経産省が日本経済団体連合会や新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)と連携し、脱炭素化社会の実現に向けたイノベーションに挑戦する企業を「ゼロエミ・チャレンジ企業」としてリスト化し、投資家などに活用可能な情報を提供するプロジェクト「ゼロエミ・チャレンジ」の一環。投資家・金融機関・有識者などで構成する「環境イノベーション・ファイナンス研究会」で制度設計、リストアップの客観性・網羅性の基準を策定し、実際の活用に向け公表するもの。

 第1弾として公表した320社は、「革新的環境イノベーション戦略」に紐付く経産省の事業やNEDOが実施する28のプロジェクトを対象に、この趣旨に賛同する企業。そのうちNEDO関連では170社、8技術研究組合が含まれる。

 今後、水素やCCUS(CO2回収・有効利用・貯留)、再エネなど39の主要テーマごとにゼロエミ・チャレンジ企業、投資家、政策立案者などの対話の場を設け、投資家の技術や経営戦略としてのイノベーション動向に対する理解を深め、民間資金をイノベーションに呼び込むよう環境整備する。また他省庁と連携してリストを拡充し、ゼロエミ・チャレンジ企業を投資対象とした金融商品の組成などに活用できる情報をアップデートする。

 なおゼロエミ・チャレンジ企業だけが使用できる「ロゴマーク」を策定。投資家への訴求を図っていく考えだ。

経産省 ゼロエミ

ユニチカ 植物由来PTT樹脂と綿の複重層紡績糸を開発

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2020年10月20日

 ユニチカトレーディングはこのほど、同社独自の特殊複重層糸技術「パルパー製法」による新たな紡績糸「パルパーMade with Sorona Polymer」の開発に成功したと発表した。米国デュポンバイオマテリアルが製造しデュポン・スペシャルティ・プロダクツ(東京都千代田区)が供給する部分植物由来ポリトリメチレンテレフタレート(PTT)樹脂「デュポン ソロナ」と綿による特殊複重層糸で、両方の特性を兼ね備えている。

 世界の温室効果ガス排出量の1割はファッション産業によるもので、石油産業に次ぐ規模だ。同社は早くから繊維メーカーの課題としてエネルギーや水、有害化学物質への具体的対策を行ってきた。

 デュポン「ソロナ」ポリマーは37%植物由来のPTT樹脂で、品質や機能を損なわずに環境負荷を軽減できる。抜群のやわらかさ、ストレッチと回復性をもつ繊維としてアパレル用途に使用されている。

 ユニチカ「パルパー」は芯が主にポリエステル、鞘が綿の複重層糸で、綿の肌触りとポリエステル混の高強力物性をもち、綿に比べシワになりにくく洗濯収縮性に優れ、ポリエステルと比べて吸水速乾性や静電気抑制に優れる。

 「パルパーMade with Sorona Polymer」は両社のパートナーシップから生まれた新素材で、適度なハリ・コシとよりソフトな肌触りを実現。PTT繊維の最大の特徴であるストレッチ性により快適に着用でき、従来の「パルパー」と比べてもイージーケア性、吸水速乾性、抗ピリング性(毛玉)に優れた製品に仕上がる。原糸のほかニット・織物各種テキスタイルやOEM・ODM製品として来月から販売を開始し、初年度は3億円、3年目には20億円の売上を目指す。

「パルパー Made with Sorona Polymer」のイメージ画像
「パルパー Made with Sorona Polymer」のイメージ画像

 

三井化学 介護関連で圧電センサー採用製品が本格展開

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2020年10月20日

 三井化学はこのほど、同社が開発したフレキシブルな極細同軸線構造の張力センシング基材である圧電センサー「PIEZOLA(ピエゾラ)」を採用した、Z-Wprks社製介護ベッド用見守りシステム「LiveConnect」の介護施設での本格展開が始まったと発表した。

『LiveConnect』のパネル画面。複数高齢者の様子を一覧で確認
「LiveConnect」のパネル画面。複数高齢者の様子を一覧で確認

 これまでに千葉県・沖縄県の4施設で有効性が検証され10施設の導入が決定しており、今後の全国展開に向け販売活動を強化している。また、同システムは、「令和2年度 新型コロナウイルス感染症緊急対策 東京都トライアル発注認定制度 認定商品」となり、導入面でメリットが得られることから一層の普及が見込まれている。

圧電センサー「PIEZOLA(ピエゾラ)」
圧電センサー「PIEZOLA(ピエゾラ)」

 三井化学の「ピエゾラ」は、高感度で柔軟性のある同軸線構造を生かした接触・振動を検出するセンサー。今回はその高感度と柔軟性を生かして介護用ベッドの下に配置することで、ベッド上の要介護者のバイタルサイン(脈拍数、呼吸数)やわずかな体位移動などを感知する。

 一方、Z-Wprks社の介護支援システム「LiveConnect」は、センサーを高齢者の居室・介護ベッドに設置することで、個々の高齢者の行動や生体データ、異常状態を遠隔から可視化できるシステム。これにより、安否確認のためのフロア巡回を減らすことができ、本当に介護が必要な高齢者に集中することが可能になるほか、介護職員と高齢者の接触機会を減らし、新型コロナウィルス感染症予防対策への効果も期待されている。

 三井化学は、「ピエゾラ」採用の同システムの利用拡大を通じ、ウィズコロナ下で最前線に立つ介護職員の業務負担削減と安全確保に貢献していく考えだ。

東洋紡STC 工業洗濯耐性を付与した抗ウイルス生地を開発

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2020年10月20日

 東洋紡STCは19日、抗ウイルス加工生地「ナノバリアー」に工業洗濯耐性を付与した新製品を開発したと発表した。

「ナノバリアー」
「ナノバリアー」

 「ナノバリアー」は、業界に先駆けて2015年に開発した生地で、独自の加工剤を繊維に浸透させることで、繊維上の特定のウイルスの数を減少させる効果を発現する。繊維評価技術協議会によりSEK抗ウイルス加工マークとSEK制菌加工マーク(一般用途・特定用途)の認証を取得するなど、抗ウイルス性と抗菌性を両立したことが評価され、ビジネスシャツ用途などで採用されてきた。

 このほど、ユーザーからの強い要望を受け、家庭洗濯よりも条件の厳しい、工業洗濯に対応する耐久性を付与したグレードを開発。加工剤を繊維により強く固定する新しい技術により、高い洗濯耐久性を実現し、工業洗濯を50回繰り返しても、繊維に付着したエンベロープ型ウイルス(ウイルス株:ATCC VR-1679)を99.9%以上減少させる効果が持続することを確認した。

 今後は同技術を生かし、白衣など医療施設用ユニフォームやワーキングウエア、スクールシャツなどの衣料用途、また寝具の側地やカバー、マスクなどの生活資材用途にも「ナノバリアー」の展開を拡大し、2022年度に30万m、2025年に100万mの売上を目指す。

 

帝人 モーリシャス沖重油流出事故、油吸着材を無償支援

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2020年10月20日

 帝人は19日、貨物船「わかしお」がインド洋のモーリシャス島沖で座礁したことにより流出した燃料油の除去作業を支援するため、高性能油吸着材「オルソーブ」500Kg(油吸着量約10t分)を、現地で環境回復に取り組む商船三井を通じて、モーリシャス政府へ寄贈することを決定したと発表した。

ブラ吸着剤「オルソーブ」
ブラ吸着剤「オルソーブ」

 なお同製品は、帝人グループで繊維素材および製品を製造・販売する帝人フロンティアが展開。素材はポリプロピレン繊維不織布で、自重の約20倍の油を吸着でき、ちぎれにくく、油のふき取り作業も可能となっている。

 帝人グループは、今回の海洋汚染からの回復へ貢献するとともに、今後も様々な環境問題に取り組んでいく考えだ。

NEDO バイオジェット燃料普及の研究開発6件を始動

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2020年10月19日

 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)はこのほど、バイオジェット燃料の普及に向けた市場形成や社会実装のためのサプライチェーン構築とカーボンリサイクルのための原料基盤技術を強化する研究開発に着手すると発表した。事業化スキームや経済性を検証し、バイオジェット燃料の市場形成に向けたサプライチェーン構築を促進する。

 航空業界にとってCO2排出量削減による地球温暖化抑止対策は喫緊の課題だ。バイオマス由来のバイオジェット燃料導入は実現可能性が高く、海外では廃食用油由来のバイオジェット燃料が実用・商用化され、国内でも今年中のバイオジェット燃料の国内定期便デモフライトを予定するなど、事業化の動きが加速している。

 こうした中、NEDOは2017年度から「バイオジェット燃料生産技術開発事業/一貫製造プロセスに関するパイロットスケール試験」を実施しており、2030年ごろの商用化を目標に一貫製造技術の確立を目指した研究開発に着手する。

 実証を通じたサプライチェーンモデルの構築では、製造技術ごとに「油脂原料からの水素化・脱酸素化処理」(ユーグレナ)と「短繊維パルプ由来エタノールの脱水重合」(Biomaterial in Tokyo、三友プラントサービス)の一貫製造技術の確立と、原料調達・製品供給などの事業スキームや経済性を検証する。

 微細藻類基盤技術開発では、特長の異なる大量培養方法「海洋ケイ藻のオープン/クローズ型ハイブリッド培養」(電源開発)、「熱帯気候・屋外環境下での発電所排気ガスを利用した大規模微細藻類培養」(ちとせ研究所)、「微細藻バイオマスのカスケード利用」(ユーグレナ、デンソー、伊藤忠商事、三菱ケミカル)の実証と生産コスト低減や副生物の有効利用にも取り組む。また微細藻類研究拠点の整備と商用化の課題解決・標準化を図る「微細藻類研究拠点および基盤技術の整備・開発」(日本微細藻類技術協会)も採択した。事業期間は2024年度までで、今年度予算は49.5億円。

 同事業を通じてバイオジェット燃料の普及に道筋をつけ、航空分野での温室効果ガスの排出量削減に貢献するとしている。

BASF 赤外線センサーの販売網を強化、商業化を開始

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2020年10月19日

 BASFはこのほど、子会社のトライナミクス(ドイツ、ルートヴィッヒスハーフェン)が日本市場向けの赤外線センサー事業の技術サポート体制と販売ネットワーク強化の一環で、アイ・アール・システム(東京都多摩市)と赤外線センサーの販売代理店契約を締結したと発表した。トライナミクス社開発・製造の赤外線センサー「ヘルツシュテュック」をアイ・アール・システムが日本市場で販売するもので、相互の営業活動を制限しない非独占的な販売代理店の形態とし、自由な営業活動による相乗効果を狙う。

 アイ・アール・システムは赤外線技術分野の高い専門知識と日本市場での多様な産業分野との販売ネットワークをもち、両社の協力関係強化により、販売チャネルの一層の拡大を図る。なおBASFジャパン内に設けた同赤外線センサー事業推進チームは事業拡大を目指し、商品供給も開始している。

 トライナミクスは2015年設立の赤外線センシングや3Dイメージング、測距技術におよぶ幅広い先進技術と製品ポートフォリオの開発を進め、多様な科学技術分野を専門とする100人超の開発チームを擁する。

  同赤外線センサーは硫化鉛/セレン化鉛(PbS/PbSe)光導電素子で、波長1~5㎛の近赤外線の検出が可能。独自の薄膜封止技術により、使用環境中の水分や酸素による品質劣化を低減し、ベアチップ状態での商品供給によりセンサー素子の薄型化と電子プリント基板への表面実装を可能にし、赤外分光器、ガスセンシング、炎・火花検出、火炎制御、医療機器やIoTセンサーシステムなどの様々な産業領域や用途で優れた性能を発揮する。

 日本は赤外線センサーを含むハイテク産業の世界最大級の市場の1つで、産業用システム、医療機器、民生用機器などの領域で世界的リーディングカンパニーが数多く存在する重要な市場であるとし、赤外線センサーとそのソリューションにより一層の顧客支援を目指す考えだ。

DIC 消毒・清掃済シールを発売、安全・安心を可視化

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2020年10月19日

 DICはこのほど、100%子会社であるDICカラーデザイン(DCD)が、ウィズコロナ時代の新しいニーズに対応した安全・安心を可視化できる製品として「消毒・清掃済シール」の販売を開始したと発表した。

清掃済シール
清掃済シール

 新型コロナウイルス感染症の感染拡大が続く中、人々は日常的に感染リスクを警戒し不安感を抱きながら生活している。このウィズコロナ時代には、ホテルやスポーツジム、温泉施設などの共有スペースでの感染予防対策に加え、社会から安全・安心を担保する感染予防対策の可視化が求められている。

 こうした中、この新しい社会ニーズに対応するため、DCDは、安全・安心を可視化できる「消毒・清掃済シール」を開発。同製品はドアを開けるとシールが破ける構造になっており、室内の清掃・消毒後は誰も入室していないことを証明できるため、利用者に安心感を与えることができる。改ざん防止仕様、強粘再剥離仕様の2種類で、サイズは50mm×120mm(オリジナルサイズで対応可)。

積水化学 あさかリードタウンに住宅型有料老人ホーム開設

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2020年10月19日

 積水化学工業はこのほど、住宅カンパニーのグループ会社であるヘルシーサービスが、住宅型有料老人ホーム「ガーデンコート朝霞」(埼玉県朝霞市)を、11月1日から開設すると発表した。

 「ガーデンコート朝霞」は、積水化学グループが「SEKISUI Safe & Sound Project」として広域的に開発を行っている複合大規模タウン「あさかリードタウン」の一角に位置する。「あさかリードタウン」はマンションや戸建て住宅に加え、子育て支援施設から高齢者介護施設まで整備され、幅広い世代の人が安全かつ快適に生活できるハード、ソフトを提供するサステナブルタウンへと進化している。

 「ガーデンコート朝霞」の運営は30年以上の認知症ケアの実績があるヘルシーサービスが担い、また、積水化学製の高精度起き上がりセンサーを活用するなど、グループの技術力、知見を結集した安心・安全・快適な暮らしを提供する住宅型有料老人ホームとなっている。

 特長として、①「あさかリードタウン」内で子育て支援施設から高齢者介護施設まで整備、②「DXと人の手のぬくもり」を融合させ際立ちの安全サステナブルな介護を実現、③「話食動眠」のコンセプトの下での認知症予防・重症化予防、が挙げられる。「ガーデンコート朝霞」は、鉄筋コンクリート造5階建てで、居住戸数は31戸。賃料は6万5000~7万400円(管理費:5万6100円)となっている。

ガーデンコート朝霞
ガーデンコート朝霞