NEDOと浪江町 水素活用の協定を締結、道の駅に供給

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2020年11月2日

 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)と福島県の浪江町はこのほど、水素の普及拡大に向け連携・協力する基本協定を締結したと発表した。なお、同協定は2022年3月31日までとなっている。

NEDO石塚理事長と浪江町の吉田町長
NEDO石塚理事長と浪江町の吉田町長

 NEDOは、浪江町に建設した再生可能エネルギーを利用した世界最大級の水素製造施設「福島水素エネルギー研究フィールド(FH2R)」を通じて、低コストでクリーンな水素製造技術の確立を目指している。

 一方、浪江町は「浪江町復興計画【第二次】」(2017年3月)に基づき、「エネルギーの地産地消の実現と新しい産業の創出」を目指すとともに、今年3月には「ゼロカーボンシティ」を宣言し「水素社会実現の先駆けとなるまちづくり」に向けた取り組みを進めている。こうした中、両者は、水素の普及拡大を視野に連携・協力する基本協定を締結した。

 同協定による初の取り組みとして、浪江町が「道の駅なみえ」に設置した純水素型燃料電池にFH2Rで製造した水素を供給し、今月から施設内の一部に電力供給と熱供給を行う予定。

 今後も、NEDOと浪江町はFH2Rで製造した水素の利活用や情報発信に取り組み、水素の普及拡大をけん引していく。

 

デンカ 診断キットの変更承認、ウイルスを同時に診断

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2020年11月2日

 デンカは30日、インフルエンザウイルス抗原診断キット「クイックナビ‐Flu2」の製造販売承認事項一部変更承認を厚生労働省より同日付で受けたと発表した。

 今回の承認により、日本感染症学会からの提言で推奨されている新型コロナウイルスとインフルエンザウイルスの同時検査を行う際に、鼻腔ぬぐい液も共用できることが明確化され、一般の医療機関での検査体制拡充が期待される。

 また、鼻腔ぬぐい液については、「クイックナビ‐Flu2」についても、「クイックナビ‐COVID19 Ag」と同様に、医療従事者の管理の下、受診者による検体採取が可能となった。これにより、医療従事者の感染リスクがさらに低減され、受診者の負担も軽減される。これら一部変更承認は販売提携先の大塚製薬から販売される製品にも適用される。

 デンカは感染症への対策を社会的責務と捉え、今後も関係官庁や公的機関、国内外の研究機関の協力と支援により、様々な角度から研究開発を進め、医療現場のニーズに応える予防・検査体制の拡充に貢献することで、人々のQOL向上に寄与していく考えだ。

インフルエンザウイルス抗原迅速診断キット 一部変更承認
インフルエンザウイルス抗原迅速診断キット 一部変更承認

 

ランクセス 連続繊維強化複合材を押出しブロー成形可能

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2020年10月30日

 ランクセスはこのほど、押出しブロー成形の適用範囲を拡張し、連続繊維で強化された熱可塑性複合材「テペックス(Tepex)」が同製造プロセスで使用可能になったと発表した。ポリアミド(PA)6部品のブロー成形と、「テペックス」による重負荷箇所の局所補強が同時に行える。車の躯体補強用の中空部のブロー成形構造部品にも適する。「テペックス」を広範囲に使って部品を薄くし、重量と材料の低減が可能。また熱可塑材のみの構成なので、単一材料再生リサイクルのループを確立できる。

 従来の製法は中空部品に「テペックス」を溶接するため、成形工程が余分に必要だった。今回は管状のパリソンを押し出すと同時に加熱で可塑化した「テペックス」インサートをブロー成形の金型に配置し、パリソンを金型内で膨らませて「テペックス」部分も同時に成形し、「テペックス」で局所補強された部品が完成。「テペックス」成形とブロー成形の一体化で製造プロセスはワンステップ化し、サイクルタイムは短く高い経済効率性を実現した。

 「テペックス」の連続繊維は母材に完全に含浸されており、ブロー成形中の圧力で接合一体化されエアポケットは生じない。ブロー成形材と「テペックス」の接合性は優れ、低ブロー成形圧力でも小半球などの3次元形状の成形が可能。PA6とPA66ベースの高粘性化合物の製品群があり、ガラス繊維強化の有無も選択可能。非補強PA化合物は高い耐衝撃性と柔軟性が求められる「テペックス」補強のタンクなどの中空部品に適し、ガラス繊維強化タイプは軽量構造部品に適する。「テペックス」は連続繊維ファブリック補強やガラス、アラミド、炭素繊維のラミネート補強タイプ、複合母材もPA6、PA66やPPやPEなどのポリオレフィンも選択できる。

 同社は包括的カスタマーサービス「ハイアント」に材料・用途・手順・技術開発の専門性を結集し、部品開発のコンセプトデザインから材料最適化、部品特性シミュレーション、加工、部品性能テスト、量産開始までの全ての段階でカスタマーサポートを提供している。

富士フイルム 新型コロナワクチン候補の製造受託契約を締結

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2020年10月30日

 富士フイルムはこのほど、バイオテクノロジー企業VLPセラピューティクスジャパン(京都市中京区)と同社開発の新型コロナウイルス感染症(COVID‐19)ワクチン製剤の製造受託契約を締結したと発表した。

 VLPセラピューティクスジャパンの親会社VLPセラピューティクス(米国メリーランド州)は、有効な治療法のない感染症予防のための次世代ワクチン開発に取り組み、自己増殖RNA(レプリコン)を用いた少量接種で高効果、副作用リスクの低減、一部遺伝子変異にも対応する次世代COVID‐19ワクチンの研究を進めている。

 日本でのワクチン開発に向け、日本医療研究開発機構が公募した令和2年度「COVID‐19に対するワクチン開発」に採択。国立国際医療研究センター、医薬基盤・健康・栄養研究所、大分大学および大阪市立大学と共同で、同ワクチンの臨床開発を行う予定だ。富士フイルムは脂質ナノ粒子製剤の製造設備・インフラを生かし、ドラッグ・デリバリー・システム(DDS)技術である脂質ナノ粒子を使った、有効成分レプリコンを内包する製剤のプロセス開発と治験薬製造を行う。

 今年3月に脂質ナノ粒子製造装置の開発・製造・販売のリーディングカンパニーPrecision NanoSystems社(カナダ、PNI)と戦略的パートナーシップ契約を締結し、富士フイルム富山化学の最新鋭「701工場」にPNI社製の脂質ナノ粒子製造装置を導入した。PNI社の強固な顧客基盤などを組み合わせて、次世代医薬品として期待される核酸医薬品、RNAなどを有効成分にした次世代ワクチンのプロセス開発・製造受託ビジネスを推進。開発した生産プロセスを利用して治験薬を製造する。

 富士フイルムは、アンメットメディカルニーズに応える新薬開発を進めるとともに、DDS技術や製造設備・インフラなどを活用した医薬品創出の支援を通じて、医薬品産業のさらなる発展に貢献していく考えだ。

三菱ケミカルホールディングス 建設市場向けの新たなサービス事業を開発

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2020年10月30日

 三菱ケミカルホールディングスはこのほど、人手不足・環境対応(省資源や廃棄物対応、温暖化ガス削減)といった建築業界の課題解決に貢献するため、近年急速に普及しつつあるBIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)を活用し、素材メーカーの着眼点で新たなソフトウェアを開発したと発表した。

 今月より、同社グループで住宅設備、建築資材を取り扱う三菱ケミカルインフラテック(東京都中央区)のサービスの一環として、同ソフトウェアを活用したビル外装にかかわる2つの提案を開始した。

 内容は、①2Dまたは3D図面データを活用した各種シミュレーションモデルと高機能レンダリングとを組み合わせ、クラウド環境下で迅速に施主や設計者などに提供する②個々の工程で必要とされる2Dまたは3D図面データを自動的に生成し、施工会社や加工各社に提供する、となっている。

 国内外を問わず多くの専門事業者が存在する建築市場に対し、同社グループが販売する「アルポリック」をはじめとしたビル外装材に関するサービスを開始することで、将来的には他商材や他領域に同様の取り組みを展開することを視野に入れている。

 チーフ・マーケティング・オフィサー(CMO)の市川奈緒子執行役員は、「当社グループは、建材というモノとソフトウェアサービスを融合する新たな事業展開をスタートする。川上の素材を多くもつ当社グループの技術力、データやノウハウを建築や製造のバリューチェーンに生かすものだ。当社グループは、今後も設計からリサイクルまで含めた製品ライフサイクル全体のサステナビリティに貢献する、新規ビジネスモデル開発を続け、社会に価値を提供していく」とコメントしている。

デンカ 青海工場に高効率ガスタービン発電機を竣工

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2020年10月30日

 デンカは29日、ESG経営に基づくCO2などの温室効果ガス排出削減の取り組みとして、クロロプレンゴムやセメント・特殊混和材などの製造拠点である青海工場(新潟県糸魚川市)に約40億円の環境投資を行い新たに自家発電用の高効率ガスタービン発電機を竣工したと発表した。現行の火力発電に比べ発電効率が約25%向上し、年間8000㎘以上の燃料使用量(原油換算)と1万6000t以上のCO2排出量を削減する。

青海工場の高効率ガスタービン発電機
青海工場の高効率ガスタービン発電機

 同社は化学メーカーの責務として、パリ協定を念頭においた中長期の温室効果ガス排出量削減目標を策定。1万6000t以上のCO2排出削減により中期目標の全削減量の約3%、エネルギー起源の排出削減量の約6%相当の削減効果を見込む。十分な排出削減・省エネ効果を達成できるとして経済産業省より約5億円の補助金交付「エネルギー使用合理化等事業者支援事業」の採択を受けている。

 中長期的なクリーンエネルギー利用拡大の一環として、現在、千葉工場(千葉県市原市)への高効率ガスタービン発電機導入による年間約1万2000t以上のCO2削減を目指しており、新潟県姫川と青海川で建設中の2カ所の水力発電所稼働による年間約3万5000tのCO2削減と合わせ、全体で年間6万3000t以上のCO2を削減する。

 今後もSDGsを羅針盤に環境保全・保護の取り組みを進め、地球環境に配慮した企業活動を通じて持続可能な社会の実現に貢献する考えだ。

ランクセス オキソン一過硫酸塩の生産能力拡大を計画

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2020年10月29日

 ランクセスはこのほど、消毒剤への需要が高まる中オキソン一過硫酸塩の生産能力を約50%拡大する計画の下、米国メンフィスの生産施設に数千万ユーロ台前半の投資を行うと発表した。生産能力の拡張は2022年後半に完了予定。

 オキソン一過硫酸塩は同社の「ビルコン(Virkon)」や「Rely+On」など多くの消毒製品の主な有効成分として使用され、アフリカ豚熱や新型コロナウイルスのパンデミック発生によるここ数カ月の大幅な需要増加に加え、強力酸化剤として多くの用途にも使用されている。畜産企業が消毒目的で使用し、アフリカ豚熱や鳥インフルエンザなどの蔓延防止に役立ち、抗生物質の使用も削減できる。

 人口増加と食肉消費の増大によりバイオセキュリティの問題も重要性を増し、消毒剤の需要も継続して増大。人の環境衛生のための消毒剤は病院、研究所、公的機関のほか医療機器にも使われ、SARS-CoV-2を60秒で完全不活性化することも証明されている。また、オキソンは義歯洗浄剤の主成分であり、プールの水浄化に使用して塩素の使用低減も可能だ。

 そのほかエレクトロニクス産業でのプリント回路基板の製造プロセスでの表面処理、製紙メーカーでの紙再処理時の湿潤紙力増強樹脂を含む紙製品の分解促進の目的でも使用される。規制要件が厳しくなり塩素を含まない酸化剤によるソリューションが好まれ、これらの産業での需要も高まっている。

 消毒製品は同社の中でも収益性の高いコンシューマープロテクション部門の成長の原動力。コロナパンデミック後も高いレベルの需要継続の見込みに加え、水処理分野のほか電子機器や製紙業界などの需要増加に、今回の生産能力拡大で対応する考えだ。

 

ユーグレナら アミノ酸・有機酸の発酵生産、pHで影響

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2020年10月29日

 ユーグレナと明治大学、理化学研究所の研究グループはこのほど、微細藻類ユーグレナ(和名:ミドリムシ)の発酵による有機酸やアミノ酸などの有用産物の生産について、その種類と生産量が発酵時のpHやバッファー(緩衝液)によって変化することを発見した。

 ユーグレナは食品や飲料に利用され認知度が上がってきた。光があると光合成によりCO2を固定して多糖のパラミロンを生産。暗所では蓄積したパラミロンを分解して様々な物質を作り、特に無酸素の発酵条件ではコハク酸などの有機酸やグルタミン酸、グルタミンなどのアミノ酸を細胞外に放出する。パラミロンは免疫調節機能や抗ウイルス作用などが期待され、コハク酸は貝の旨味成分でもあるがバイオプラスチックの原料にもなる。グルタミン酸やグルタミンは旨味成分の原料や栄養補助に使われる。また、ワックスエステルも発酵で作られ、ジェット燃料への利用が進められている。

 今回、発酵時の培地pHを3~8の6条件、3種類のバッファーの組み合わせで3日間発酵させ、コハク酸、グルタミン酸、グルタミンの生産量と細胞の形態変化を調べた。

 グルタミン酸やグルタミンの生産量は酸性で多く中性では少ない傾向。コハク酸はpHによらずバッファーの種類に大きく影響され、酢酸バッファーでは大きく減少した。発酵後の細胞形態は酸性では紡錘形、中性では円形の傾向にあったが、生産量との関係性は低かった。発酵時の細胞密度を10倍に上げたところ、コハク酸の生産量は10倍近くに増加したが、グルタミン酸は1.5倍程度にとどまった。

 今後、発酵生産物の量や種類を決定する因子のメカニズムレベルでの解明が求められる。ユーグレナは食品、化成品、燃料など様々な物質を生産する能力があるため、CO2からの物質生産系が発展することで、環境にやさしいものづくりの可能性が期待されている。

出光興産 生分解性作動油が国交省のNETISに登録

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2020年10月29日

 出光興産は28日、同社が開発・販売する、生分解性作動油「ダフニービオスハイドロSE」が、国土交通省の新技術情報提供システム「NETIS(ニュー・テクノロジー・インフォメーション・システム)」に登録されたと発表した。同社製品の登録は初となる。

NETISに登録された「ダフニービオスハイドロSE」
NETISに登録された「ダフニービオスハイドロSE」

 今回、NETISに登録された「ダフニービオスハイドロSE」は、自然界に生息するバクテリアに分解されやすく、水質や土壌保全に配慮した環境適応型の生分解性作動油であり、一般に広く使われている鉱油系の作動油と比較して、更油期間や耐摩耗性などの面で遜色ない品質をもっている。また、環境への負荷が少なく、環境保全に役立つと認められた商品につけられる日本環境協会のエコマーク商品にも認定されている。

 今回のNETISの登録により、使用事業者は同製品を公共工事などに活用することで、総合評価方式および工事成績への加点が見込める。

三菱ケミカル 新型〝水光〟栽培システムを販売開始

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2020年10月29日

 三菱ケミカルは28日、グループ会社である三菱ケミカルアグリドリーム(MCAD)が、新型〝水光〟栽培システム「AN」(アグリカルチャー・ネクスト)の販売を来月より開始すると発表した。

AN で収穫されたリーフレタス(450g超)
AN で収穫されたリーフレタス(450g超)

  「AN」は、クレオテクノロジー(埼玉県滑川町)と共同研究を行い、千葉大学大学院の丸尾達教授監修の下で開発した、農業用ハウスを利用した完全人工光型植物工場。定植した苗が栽培室内を自動で循環しながら成長し、作業者が栽培室内に入らずに収穫まで行うことができるシステムとすることで、作業者の負担や異物の混入リスクを低減した。

 また、栽培室内の光や気流を制御することで、業務・加工用にも対応可能な高品質で丈夫なリーフレタスを生産することができ、従来の同社完全人工光型植物工場と比較して約3倍にあたる1株300g以上のリーフレタスを播種後45日程度で収穫することが可能だ。

苗専用人工光装置「苗テラス」
苗専用人工光装置「苗テラス」

 近年、集中豪雨や大型台風の頻発により日本農業は大きな被害を受けており、自然環境の影響を受けない植物工場は農産物の安定供給の手段として注目を集める。また、単身世帯や共働き世帯の増加など社会構造の変化により外食・中食の需要が伸びており、その加工業者から安定した品質で、細菌や異物が少なく洗浄などの手間がからない野菜へのニーズが増加していることも、植物工場の期待を高めている。

葉物専用水耕栽培「ナッパーランド 」
葉物専用水耕栽培「ナッパーランド 」

  一方で、従来の植物工場の野菜は業務・加工用としては価格や品質面でのハードルも高く、栽培者は持続可能な経営の実現という大きな課題を抱えている。「AN」は、需要に沿った高品質な野菜を収穫できることをコンセプトとして、徹底した生産原価圧縮や栽培効率の向上を実現させた新製品。今後、MCADでは国内外での「AN」の販売促進を通じ、「儲かる農業経営」の普及を推進していく。