NEDO 機械学習システムの品質評価テストベッド公開

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2020年12月8日

 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)と産業技術総合研究所(産総研)はこのほど、AIシステムに関する品質の指標および測定プロセスを提供する「機械学習システムの品質評価テストベッドα版(機能限定)」を開発し、企業・大学などの開発者向けにオープンソースソフトウエアとして公開した。

 実社会でAIシステムを広く活用するためには、安心して利用可能とする品質マネジメントが不可欠となる。NEDOの「人と共に進化する次世代人工知能に関する技術開発事業」において、産総研は「機械学習品質マネジメントガイドライン」を公開したが、品質マネジメントを実施していくためには個別の品質評価項目に対して具体的な品質指標の測定・検査・改善を支援するツール群と、その作業全体を統括管理できる作業環境が必要となる。

 すでに、機械学習モデルの管理とともにAIシステムの品質要件定義から運用までのライフサイクルを支援するいくつかのツールが存在するが、次々に開発される新しい機械学習モデルや品質測定技術などを柔軟に取り入れられる共通基盤はこれまで存在しなかった。

 両者が開発したテストベッドは、AIシステム開発者・AIシステム品質評価者・評価手法開発者が共同で参加し、AIシステム開発時に品質管理で用いる学習・検査などのツールを組み込み、開発プロセス支援と評価記録・検証とを両立させる作業環境を提供するソフトウエア群。

 今回公開されたテストベッドは、「AIシステム評価パッケージ(AIT)」作成ツール、品質アセスメントWebサーバー、評価レポート作成アプリケーションで構成される。このテストベッドを利用することでAIシステムの品質について定量的に評価するとともに、開発プロセスや評価記録・検証など包括的な支援を行うことができ、品質に関する不透明性の解消やビジネス活用の加速が期待できる。

 今後は、品質評価プロセスの共通基盤としての機能をさらに充実させて、AIシステム品質管理のエコシステム構築を目指す。

中越パルプ工業 ACC法CNF、エレクトロ分野で採用

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2020年12月8日

 中越パルプ工業はこのほど、水中対向衝突法(ACC法)で製造したセルロースナノファイバー(CNF)「nanoforest(ナノフォレスト)」が、松尾ハンダ(神奈川県大和市)製造のソルダペーストの添加剤として採用されたと発表した。

CNF「nonaforest」添加剤としたソルダーペースト
CNF「nonaforest」添加剤としたソルダーペースト

 エレクトロニクス製品は、多くの電子部品によって構成され、電子部品と電子回路をつなぎ合わせる部品接合部材では、はんだが広く採用されている。近年、電子機器の開発は、高性能化、小型化、高出力化の方向へ移行しつつあり、それに伴い、はんだ接合部における品質向上が求められている。

 はんだ接合部の代表的な品質特性として、接合部の外観形状不良(ダレ等)、接合強度特性、内部欠陥(ボイド)、腐食などが挙げられる。さらに電子製品の長期連続使用において、ヒートサイクルによる疲労破壊が顕在化しており、耐温度サイクル特性の要求も高まっている。

ソルダーペースト使用例
ソルダーペースト使用例

 こうした中、松尾ハンダは、「nanoforest」を添加したはんだ付け材料の開発を推進。今回、ソルダペーストの添加剤として採用された。CNFを添加したソルダペーストは、金属粉の流動性及び揮発ガス吸着性能等が改善し、ダレ低減による外観形状不良の改善、はんだ内部の金属結晶組織の微細化による接合強度向上、流動性改善による内部欠陥(ボイド)低減、といった効果が期待できる。

 今後、様々な分野でますます電子制御化の加速が予想されており、高い品質を要求される電気自動車や各種精密機器などにおいて、「nanoforest」のさらなる応用・実用化が期待される。

カネカ 5Gミリ波に対応、超耐熱PIフィルムを開発

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2020年12月8日

 カネカはこのほど、5G高速高周波対応の超耐熱ポリイミド(PI)フィルム「ピクシオ IB」を開発したと発表した。10月からサンプル提供を開始しており、2021年からの本格販売を予定している。

超耐熱ポリイミドフィルム「ピクシオ IB」
超耐熱ポリイミドフィルム「ピクシオ IB」

 「ピクシオ IB」は、同社が長年蓄積した高度なPI開発技術で高周波帯における誘電正接をPIフィルムで世界最高レベルの0.0025まで低減させた。これにより高速通信を実現できる5Gのミリ波帯への対応が可能となった。4Gの約100倍の通信速度と言われる5G対応スマートフォンが登場し、世界のスマートフォン市場における5G対応機種は今後急速に拡大する見通し。

 同社は5G対応製品として、Sub6帯に対応可能な「ピクシオ SR」に、ミリ波帯対応の「ピクシオ IB」を加え、ラインナップを拡充しデジタルデバイスの高機能化を支える素材として拡販していく。

 同社は、高速情報通信を支える素材として超耐熱PIフィルム「ピクシオ」で高いマーケットシェアを持っているが、今後もガラス代替フレキシブルディスプレイ用透明PIフィルム、有機ELディスプレイTFT基板向けPIワニス、超高熱伝導グラファイトシートなど各種PI製品で様々なソリューションを提供していく考えだ。

三井化学 インドで太陽光パネルBIS認証試験事業を開始

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2020年12月8日

 三井化学は7日、インドでの太陽光パネルの性能・信頼性を評価するBIS認証試験所の登録を受け、今月から日本企業では同国初となるBIS認証事業を開始したと発表した。同社は次世代事業として太陽光発電診断事業を目指しているが、インドで行うBIS認証事業の実績を積み重ねることで、エネルギー需要が拡大する同国での発電診断事業につなげていく考えだ。

インドにあるBIS認証試験所の外観
インドにあるBIS認証試験所の外観

 BIS認証は日本のJIS認証に相当し、インド国内の認定機関のみで認証の実施が可能なもの。粗悪な太陽光パネルの流入防止のため、2017年からすべての太陽光パネルの設置プロジェクトごとに使用パネルのBIS認証取得が義務付けられている。

 昨年8月、インド関係会社であるMCINDがドイツの認定試験所フォトヴォルタイク・インスティテュート・ベルリンの支援の下、インドのグジャラート州アーメダバードに太陽光パネル認証のための試験所を建設し、同年12月より太陽光パネルの評価・測定・試験事業を開始。今回のBIS認証試験所の登録により、各プロジェクトで使われる出荷前の太陽光パネルのBIS認証を行っていく。今後の展開としては、各プロジェクトについて、建設前に行うパネル分解や部材品質のチェック、寿命推定などによるパネル診断に加え、建設後や運転時の設計・計画・設備の不具合チェックや期待発電量算出などの発電所診断を想定している。

太陽光パネルBIS認証試験風景
太陽光パネルBIS認証試験風景

 三井化学グループはこれまで、三井化学東セロで30年以上にわたり製造・販売する太陽光パネル用封止材の劣化予測技術、2014年から愛知県田原市で実施してきた「田原ソーラー・ウインド発電所」を通じた事業者としての開発・運営経験、市原工場茂原分工場や袖ケ浦センターの試験用発電所でのデータ蓄積など、太陽光発電に関する様々な知見を蓄積してきた。今回、これらの知見による信頼に基づき、インドでのBIS認証事業を開始した。

 三井化学は、太陽光発電診断事業を「発電所での建設前のパネル診断により、パネル発電能力の低下を防止する」など、太陽光発電によるGHG(温室効果ガス)削減に貢献するとして、環境貢献価値の高い製品・サービスである「Blue Value」に認定している。同社グループは、太陽光発電診断事業を通じて、今後もSDGsに掲げられている社会課題の解決に貢献していく考えだ。

 

帝人 高機能繊維と木材とのハイブリッド素材を展開開始

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2020年12月7日

 帝人はこのほど、2015年からAFRWとして展開してきた高機能繊維を用いた複合材料集成材を、新たに「LIVELY WOOD」ブランドとして展開していくと発表した。ブランド名には、「空間に美しさを、人に活力を」という意味を込め、ロゴには日本伝統の建築技術である組み木と、活力の象徴である太陽を織り交ぜて表現している。

 「LIVELY WOOD」は剛性が木材の2倍以上で、建築材の梁に使用すると設計の自由度が向上する。幅広い用途への活用が期待されることから、これまで木材を採用できなかった建築物への使用を推進。梁や柱のない広いオープンスペースの実現により、人々の生活により快適性の高い空間を提供していく。

 そして今回、第1弾の展開として、JR名古屋駅南側で、新幹線の高架下を利用して建設される地上2階建ての「笹島高架下オフィス」へ、社外の建築施設として初採用が決定。同オフィスの建築には、炭素繊維と木材のハイブリッドである「LIVELY WOOD」の特徴を生かし、6m超の柱間隔、3mを超えるオーバーハング設計によるダイナミックな空間と、従来の木造建築物と同等の軽量性による簡易的な基礎の両立を実現した。

 また、建築に使用する「LIVELY WOOD」の木材には、愛知県産のスギを使用する予定。スギを建築物の構造材に使用する場合、断面を大きくする必要や、長いスパンが取れないなどの制約がある。さらに今回は、鉄道高架下での建築であるため高さや施工条件にも制限がある。しかし、スギを補強して剛性を高めた「LIVELY WOOD」は、それらを解消することができ、地産地消にもつながる。

 帝人は、グランピング施設や、世間で注目を集めているワーケーション施設、中低層のオフィスビルなど、多岐にわたる建築物に向けて

「LIVELY WOOD」の採用を推進。今回の採用を契機にさらなる普及を図り、長期ビジョンである「未来の社会を支える会社」を目指していく考えだ。

LIVELY WOOD ロゴ
LIVELY WOOD ロゴ

JSR 米国内にKBIのバイオ医薬品製造施設を新設

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2020年12月7日

 JSRの米グループ企業であるJSR Life Sciences(カリフォルニア州)はこのほど、バイオ医薬品の開発・製造受託を行うグループ企業のKBIバイオファーマが、米国ノースカロライナ州のリサーチ・トライアングル・パーク(RTP)に最先端のバイオ医薬品の商用生産施設を建設すると発表した。

 今回の施設には、大手製薬会社の出資が決定しており、KBIは同大手製薬会社のバイオ医薬品の製造を支援する。それと同時に、KBIの既存および新規顧客向けの製造拠点としても活用される。

 新施設の面積は14万平方フィートで、1億5000万ドルが投資され、2022年第1四半期中に稼働を開始する予定。今回の事業拡大により、受託製造と品質保証業務での200人以上の技術者の雇用創出が見込まれている。

 新施設には、最大6基の2000リットルシングルユース培養槽と、それに付随する回収および精製装置が含まれ、年間百以上の商用バッチの製造が可能になる。KBIは、製造事業と並行して、高度な分析サービスを採用することで、顧客の商用製品の特性評価や出荷試験までをトータルサービスとして提供し、市販製品の発売や供給をサポートする。なお、今回の新施設は10月にKBIが発表したスイス・ジュネーブに新設される製造施設に続く大規模な施設拡張となる。

 

帝人ファーマ A型ボツリヌス毒素製剤の販売を開始

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2020年12月7日

 帝人ファーマは4日、脳卒中の後遺症の1つである上肢痙縮の治療薬としてA型ボツリヌス毒素製剤「ゼオマイン筋注用 50単位、100単位、200単位」(一般名:インコボツリヌストキシンA)の販売を開始すると発表した。

 同社は、これまで骨粗鬆症治療剤などの医薬品や、超音波骨折治療器などにより、筋骨格系疾患に対するソリューションを提供し、また、脳卒中後遺症などによる運動機能障害の改善を支援するリハビリ用として、歩行神経筋電気刺激装置や上肢用ロボット型運動訓練装置などの製品を展開してきた。こうした中、2017年に独・メルツ社から、同剤の日本国内での共同開発・独占販売権を取得し、上肢痙縮の新たな治療選択肢を目指して開発を推進。そして、今年6月に製造販売承認を取得し、11月に薬価収載となり、今回の販売開始に至った。

 適応症である上肢痙縮は、主に脳卒中の後遺症として、上肢の筋緊張の増加や伸張反射の興奮性亢進により生じる上位運動ニューロン症候群の1つ。主な症状は、運動麻痺、屈筋反射亢進、病的反射出現、知覚障害などで、患者が日常生活をする上で動作の妨げとなる。

 上肢痙縮の治療には、リハビリテーション、経口筋弛緩剤、A型ボツリヌス毒素製剤療法を含む神経ブロック療法などある。「ゼオマイン筋注用」は、末梢のコリン作動性神経終末に作用し、神経伝達物質であるアセチルコリンの放出を阻害することで随意筋の筋力を弱め、筋緊張状態を緩和する。特徴として、ボツリヌス菌により産生されるA型ボツリヌス毒素から複合タンパク質を取り除き、神経毒素のみを有効成分としていることで、中和抗体の産生により効果が減弱する可能性の低下が期待される。国内第Ⅲ相臨床試験では、手関節の屈曲のMASスコアに有意な改善が認められている。

 同社は今後も、アンメットニーズの高い疾患に対して新たな治療選択肢を提供することにより、患者のQOL向上に貢献していく。

 

積水化学工業 体感型ショールームを港北インター近くに開設

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2020年12月4日

 積水化学工業のグループ会社、東京セキスイハイムは、体感型ショールーム「ハイムギャラリーパーク港北」を先月末にオープンさせた。

 セキスイハイムグループでは、この体感型ショールームを全国で推進しており、今回、神奈川県で初めてとなる「住宅展示場タイプ」の体感型ショールームを開設。セキスイハイムの3階建て住宅「デシオ」をベースとした「スタディギャラリー」と「インテリアギャラリー」からなる複合型施設となる。 

 住宅建築を検討しているユーザーに、まず家づくりに関する一般的な知識を理解してもらう。その中でセキスイハイムの位置づけや特長を納得してもらいながら説明を進めることで、顧客満足度の向上を目指している。

 同ショールームでは、①非日常をリアルに感じる映像技術で災害時や未来の暮らしを学ぶ、②巨大地震に対する備えや日本の家づくりを学ぶ、③未来の暮らしからいま選ぶべきスマートハウスを学ぶ、といった〝学び〟と〝楽しさ〟を追求するため、デジタル×アナログによる体感型設備の充実を図っている。

体験型ショールーム「ハイムギャラリーパーク港」
体験型ショールーム「ハイムギャラリーパーク港」

SEMI 300mm半導体ファブ装置、2023年に最高額

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2020年12月4日

 SEMIはこのほど発表した最新レポートの中で、300mmファブ投資額が今年、前年比13%増と最高額を更新し、さらに2023年には再度、記録を更新する見通しを示した。

 コロナ禍による全世界のデジタル・トランスフォーメンションの加速により、今年、ファブ投資に火が付き、この投資増は来年まで続く見通し。この成長を後押しするのが、クラウドサービス、サーバー、ラップトップ、ゲーム、ヘルスケア向けの半導体需要の高まりだ。また、5G、IoT、自動車、AI、機械学習などの急速に発展するテクノロジーが、コネクティビティの拡大、大型データセンター、ビッグデータの需要を盛り上げていることも、この成長の背景にある。

 半導体ファブへの投資は来年まで継続するが、その勢いは前年比4%に減速する見込み。レポートでは2022年、2023年の700億ドルという最高額の翌2024年にも、わずかな減少を予測している。また、同レポートは2020~2024年の間に半導体産業が少なくとも38の新規300mm量産ファブを建設することを示している。同期間にウェーハ生産能力は月産180万ずつ増加し、2024年までに生産能力は月産700万枚を超えると見られる。

 地域的には、台湾が11、中国が8と全体の半分を占める。半導体産業の300mmファブの数は2024年に161に上る見通し。中国は300mm生産能力の世界シェアを急速に高めており、2015年はシェア8%だったが、2024年にはシェア20%まで増加し、月産能力は150万枚に達する。

 この成長の大部分は非中国系企業だが、中国系企業による生産能力投資は加速している。中国系企業の中国ファブ生産能力に占める割合は2020年43%、2022年50%、2024年60%に達する見込み。日本の生産能力のシェアは減少傾向であり、2015年19%から2024年には12%となる。南北アメリカのシェアも縮小、2015年13%から2024年10%になることが予測される。最大投資は韓国で、150億~190億ドルが見込まれる。第2位が台湾で140億~170億ドル、3位が中国で110億~130億ドルとなる見込み。

エボニック DL-メチオニンの生産を世界3拠点に集約

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2020年12月4日

 独エボニックインダストリーズはこのほど、「MetAMINO(メットアミノ:DL-メチオニン)」の生産を3つの国際拠点(米州、欧州、アジア)に集約・規模拡大し安定的な生産を確保すると発表した。

 同社は、家畜飼料に使われる必須アミノ酸DL-メチオニンのグローバル大手メーカーで、サステナブルな動物性タンパク質の供給、食品の安全性、動物福祉の取り組みで重要な役割を果たしている。

 ドイツ・ヴェッセリングで稼働中の年産6万5000tのメチオニン工場を来年3月末までに閉鎖し、約2500万ユーロでメチオニン中間体の工場設備を改善し、ベルギー・アントワープの大規模拠点への長期的な供給を確保する。

 シンガポールの生産工場は2014年に開設し、昨年生産能力を倍増、現在は年産能力30万tの世界最大の生産施設となり、同施設の効率的、安全かつ持続可能なオペレーションは、新たな業界標準となっている。

 米アラバマ州モービルの大規模生産工場を合わせた3拠点で、コスト面で優れトップクラスの技術をもつ生産ラインが稼働中で、さらなる拡張と将来の高コスト効率のモジュール式デボトルネッキングにも対応できる。生産能力の効率化、経済規模の拡大、コスト面の強化で、あらゆる市場に対応できるよう改善される。

 メチオニン事業は将来的にも重要な事業で、市場の課題に対応し、効率性の実現とコスト構造のさらなる最適化を目指して資産設定の準備をしていく。高い信頼性と科学的な卓越性で、顧客や社会のニーズに敏感に対応していく考えだ。