東ソー 韓国に合弁会社を設立 低燃費タイヤ用シリカの生産拠点を建設

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2020年6月11日

 東ソーは10日、同社100%子会社の東ソー・シリカが韓国の南海化学と合弁会社を設立し、低燃費タイヤ用シリカの生産拠点の建設を決定したと発表した。韓国に設立した合弁会社の名称は、東ソー南海シリカ(全羅南道麗水市)。出資比率は、東ソー・シリカが67%、南海化学が33%。来年10月の商業運転開始を予定する。

 低燃費タイヤ用シリカは、転がり抵抗を減少させることで、自動車の燃費改善などのタイヤ性能向上に優れた効果を発揮する材料。自動車の低燃費化や電動化にともない、今後も需要の拡大が見込まれている。東ソー・シリカは現在、山口県周南市にある南陽工場で各種シリカの製造を行う。

 今回、これまで培ってきた高い技術力を背景に、旺盛な需要に対応するために、生産能力を増強し製品の安定供給を目的として、海外に第2の生産拠点を確保した。事業基盤のさらなる強化を図っていく考えだ。

 

AGC 低環境負荷型HFO、GSC賞環境大臣賞を受賞

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2020年6月10日

 AGCはこのほど、低環境負荷型HFO(ハイドロフルオロオレフィン)「AMOLEA」が、その優れた環境技術を認められ、新化学技術推進協会の第19回「Green & Sustainable Chemistry(GSC)賞環境大臣賞」を受賞したと発表した。

AMOLEA溶剤外観
AMOLEA溶剤外観

 GSC賞とは、GSC(人と環境にやさしく、持続可能な社会の発展)を支える化学の推進に貢献する優れた業績が表彰されるもの。中でも環境大臣賞は、総合的な環境負荷低減に著しく貢献したものが選定される。

 オゾン層破壊問題を背景に、フロンガスに代わり使用が拡大しているHFC(ハイドロフルオロカーボン)による地球温暖化が新たな問題となっており、従来の性能を維持しながら環境負荷の小さい代替品の開発が求められている。

 同社の「AMOLEA」は、冷媒や溶剤としての性能はそのままに、地球温暖化係数を大幅に低減することをコンセプトに開発された次世代冷媒・溶剤ブランド。現在は用途ごとに3つの製品を展開しており、今後さらに拡張していく予定だ。

 いずれも大気中で容易に分解するHFOを選定しているため、従来の安全性などの優れた性能を維持しながら、地球温暖化係数を大幅に低減することができる。例えば冷媒、発泡剤用途では、従来製品から「AMOLEA」製品への代替でLCAが10分の1程度に低減可能となり、温室効果ガス排出量削減効果は、CO2換算で年間1000万t規模に相当する。同製品への転換により、大きな環境負荷低減が期待できることから、今回の受賞に至った。

 同社グループは今後も、長年培ったフッ素化学の技術力を生かし、環境負荷低減に貢献する製品を開発・提供し続けていく方針だ。

ダイセル 硬化性樹脂のウェハーレンズ開発で化学技術賞を受賞

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2020年6月10日

 ダイセルはこのほど、「硬化性樹脂によるウェハーレンズの開発と製品化」が、近畿化学協会の2019年度「第72回化学技術賞」を受賞したと発表した。

本技術で製造されたウェハーレンズ(中央の丸状のもの一つひとつがレンズ)
本技術で製造されたウェハーレンズ(中央の丸状のもの一つひとつがレンズ)

 化学技術賞は、化学に関する研究・技術で、工業化・製品化に対して顕著な業績があると認められた45歳未満の研究者・技術者に贈られる。

 今回、「硬化性樹脂によるウェハーレンズの開発と製品化」の功績が認められ、同社の研究開発チーム(竹中啓起氏、藤川武氏、福井貞之氏、本間大海氏)の受賞に至った。

 小型レンズが広く使用されるモバイル機器や車載、医療、ヘルスケアなどの領域では、さらなる高機能化が求められている。こうした中、研究開発チームは、耐熱性、小型・薄型化、形状の複雑さを達成するために、材料と成型技術の開発を同時に取り組み、硬化性樹脂を用いたウェハー状のレンズ成型により、世界で初めて商業レベルでの実用・製品化に成功した。

 同社のウェハーレンズは、スマートフォンなど3Dセンシング機能のある製品への搭載をはじめ、先進の医療機器やAR/VR、虹彩/表情認証システムなど、今後の5G社会を支えるデバイスへの採用が計画されている。今後は品揃えの充実や製造プロセスの精度向上に取り組み、市場が求める製品開発を進めていく考えだ。

 

出光など3社 EVを活用した充放電遠隔制御実証を開始

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2020年6月10日

 出光興産、関西電力、住友電気工業はこのほど、電気自動車(EV)とプラグインハイブリッド車(PHEV)を活用した卸電力市場価格に連動する電気料金に基づく充放電遠隔制御実証を開始したと発表した。なお同実証は、令和2年度需要家側エネルギーリソースを活用したバーチャルパワープラント(VPP)構築実証事業費補助金の交付決定を受けたことによるもので、今年5月29日~来年2月17日までを予定している。

 VPP構築実証事業である「関西VPPプロジェクト」では、2016年度からEV/PHEVをエネルギーリソースとして活用する取り組みを推進。今年度は、日本卸電力取引所(JEPX)の卸電力市場価格と連動した時間帯別のダイナミックプライシング(DP)料金メニューに基づき、一般家庭に設置する充電器などを、効果的なエネルギーマネジメントサービスを提供するアグリゲーターが遠隔制御することで、市場価格の安い時間帯にEV/PHEVの充電時間をシフトする実証に取り組む。

 具体的には、充放電を制御するサーバにより、小売電気事業者が提供するDP料金メニューの情報と、制御機器の情報から把握した充電可能量を組み合わせることで、ユーザーが必要とする充電量を、価格の安い時間帯に充電するようアグリゲーターが最適な制御を行う。また、EV/PHEVユーザーにサーバと連携するスマートフォンアプリを提供し、運行計画を入力することで、より実運用を想定した実証を行う。

 今回の実証を通じて、VPPに関するEV/PHEVの新たな活用に向けた技術的知見を蓄積するとともに、今後のEV/PHEV普及による運輸部門の低炭素化や電力の安定供給、再生可能エネルギーのさらなる導入拡大を目指すことで、エネルギーを効率的に活用する社会の実現に貢献していく考えだ。

帝人 炭素繊維とPC樹脂が「WALKCAR」に採用

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2020年6月10日

 帝人は9日、炭素繊維「テナックス」を使用した熱可塑性複合材料、およびポリカーボネート樹脂「パンライト」が、cocoa motors.(ココアモーターズ)が開発した、カバンに入れて携帯できるクルマ「WALKCAR(ウォーカー)」に採用されたと発表した。なお、「WALKCAR」は、ココアモーターズのウェブサイトで発売されている。 

炭素繊維とPC樹脂を採用した携帯できる車「WALKCAR」
炭素繊維とPC樹脂を採用した携帯できる車「WALKCAR」

 「WALKCAR」は、世界初の「カバンに入れて携帯できるクルマ」として注目を集めている。サイズは、縦215㎜、横346㎜と13インチのノートパソコンと同等で、重量は2.9㎏と軽量化を実現。これにより最高時速16㎞での走行、1回の充電で7㎞の継続走行を可能とした。また、重心移動による操作が可能であることからハンドルやコントローラーが不要で、フラットなボディから降りることで自動的に停止する安全設計が特長となっている。

 今回「WALKCAR」に採用されたのは、炭素繊維強化熱可塑性樹脂積層板「テナックス TPCL」と、熱可塑性複合材料織布「テナックス TPWF」、およびポリカーボネート樹脂「パンライト」。「テナックス」は、鉄の10倍の強度と4分の1という軽量性を持ち、「パンライト」は、ガラスの約200倍の耐衝撃性と2分の1という軽量性を持っている。これらの素材をボディに用いることで、「WALKCAR」の特長である軽量性と耐久性を実現した。 

 帝人グループは、「未来の社会を支える会社」になるという長期ビジョンの実現に向けて、これからも多彩な高機能素材を活用し、様々な分野に対してソリューションを提供していく。

三菱ケミカル 生分解性樹脂と紙製バリア素材の包装材を開発

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2020年6月10日

 三菱ケミカルと日本製紙は9日、生分解性樹脂「BioPBS」と紙製バリア素材「シールドプラス」という、共に再生可能な原料から製造される生分解素材を用いた循環型包装材を共同開発したと発表した。

フラットボトム袋、角底袋 (製造協力)共同紙工
フラットボトム袋、角底袋 (製造協力)共同紙工

 「BioPBS」は、三菱ケミカルが開発し基本特許を持つ植物由来の生分解性樹脂で、タイのPTT MCC Biochem(PTT GC社と折半出資)で製造されている。自然界の微生物によって水とCO2に分解されるため、自然環境への負荷が少なく、他の生分解性樹脂に比べ、低温ヒートシール性・耐熱性・柔軟性などで優れた性能を発揮する。

 一方、「シールドプラス」は、日本製紙が長年培ってきた紙の製造技術と塗工技術を応用した再生可能な循環型素材。生分解性を持つ「紙」に酸素・香りのバリア性を付与しており環境に優しい。バリア機能により、主に食品など内容物の品質を維持し、外からのにおい移りを抑えることができる。また、「紙製」なので、フィルムとは異なる紙独特の風合いがあるのも特徴だ。

 近年、プラスチックごみ問題への対策が求められていることを背景に、菓子のパッケージやストローなどで従来のプラスチック製から生分解性のある樹脂や紙製への代替需要が高まっている。

 今回開発した包装材は、再生可能な原料を用いた生分解性のある循環型の製品でありながら、「BioPBS」のヒートシール性と「シールドプラス」のバリア性により内容物の品質劣化を防止する高い機能性を付与。今後は菓子やコーヒー豆などの食品をはじめとしたパッケージ用途に展開していく。

 三菱ケミカルは、三菱ケミカルホールディングスグループが掲げる「KAITEKI」の実現に向け、今後も「BioPBS」をはじめとする生分解性樹脂や植物由来樹脂の研究開発・用途展開を加速させ、サーキュラーエコノミー(循環型社会)の構築やSDGsの達成に貢献していく考えだ。

NEDO CO2回収・貯留大規模実証試験の総括を報告

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2020年6月9日

 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)はこのほど、北海道苫小牧市でのCO2回収・貯留(CCS)大規模実証試験で、昨年11月にCO2の累計圧入量が目標値である30万tを達成したと発表した。

 今回、そこで得られた成果と課題を、機械工学、化学工学、地質学、地球物理学など幅広い分野の専門家による議論を踏まえて「苫小牧におけるCCS大規模実証試験30万t圧入時点報告書(総括報告書)」を取りまとめた。

 CCS(CO2 Capture and Storage)は、工場や発電所などから排出されるCO2を大気放散する前に回収し、地下へ貯留する技術のこと。昨年6月に閣議決定した「パリ協定に基づく成長戦略としての長期戦略」の中で、「とりわけ石炭火力発電については、商用化を前提に、2030年までにCCSを導入することを検討する」と位置づけられている。

 経済産業省は、12年度から「CO2削減技術実証試験事業」を日本CCS調査に委託し苫小牧市での実証試験を開始。18年度からはNEDOに移管され「CCS研究開発・実証関連事業/苫小牧におけるCCS大規模実証試験」として推進してきた。12年度からの4年間は必要な設備の設計・建設や調査を実施。16年度からは、年間10万t規模で海底下約1000mと約2400mの各地層へのCO2圧入を始め、昨年11月に累計圧入量が目標の30万tに達した。

 今回の「総括報告書」は、同実証試験の目的と結果概要、分離・回収・圧入設備、圧入井と圧入・貯留およびモニタリングと海洋環境調査の結果、平成30年北海道胆振東部地震の影響、コスト試算、社会的受容性の醸成と法規制対応から成り、得られた知見と残された課題をまとめている。

 今後、NEDOは、貯留地点周辺地域での微小振動観測や海洋環境調査、圧入したCO2の移動や広がりのモニタリングなどを継続する。また、同設備を有効活用し、メタノール合成などのカーボンリサイクル実証を行い、苫小牧でのCCS/カーボンリサイクル実証拠点化を進める考えだ。

 

ロシュ コロナ肺炎患者対象にREMDACTA試験を開始

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2020年6月9日

 ロシュはこのほど、ギリアド・サイエンシズ社と共同で多施設共同無作為化二重盲検国際共同第Ⅲ相臨床試験(REMDACTA試験)を開始すると発表した。

 同試験では、重症新型コロナウイルス感染症肺炎による入院患者を対象に「Actemra/RoActemra」と抗ウイルス治験薬「レムデシビル」との併用療法の安全性と有効性を、プラセボとレムデシビルとの併用と比較して評価する。同試験は、米国、カナダおよび欧州を含む約450例を目標に、今月から患者登録を開始する予定だ。

 REMDACTA試験に先立ち、同社が実施する、重症コロナ感染症肺炎による成人入院患者を対象とした、「Actemra/RoActemra」静脈内投与と標準的な医療措置の併用の安全性・有効性をプラセボと標準的な医療措置の併用と比較して評価する、無作為化二重盲検プラセボ対照国際共同第Ⅲ相臨床試験(COVACTA試験)では、最初の患者は4月3日に登録された、合計で約450例がCOVACTA試験に登録される予定。症例数を当初の目標であった330例から増加するものの、登録期間の延長を最小限に抑えつつ、より信頼性の高いデータを得ることが可能となる。

 同社では、早ければ今夏にもCOVACTA試験のデータを共有できるように取り組んでいる。さらに、COVACTA試験のプロトコルでは、現在治験中の抗ウイルス薬を含め、抗ウイルス薬による治療を受けている患者の登録も可能であり、REMDACTA試験で得られるデータはCOVACTA試験のデータを補完するよう設計されている。

岩谷産業 グリセリンを常温常圧でDHAに、新触媒を開発

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2020年6月9日

 岩谷産業はこのほど、大阪大学との共同研究により、グリセリンをジヒドロキシアセトン(DHA)に常温常圧下、短時間で変換する無機触媒の開発に成功した(特許共同出願済み)。DHA製造時の時間やコストの大幅な削減が期待される。

 通常グリセリンをDHAに変換するには、微生物による長時間の発酵プロセス、あるいは高温高圧下での反応といった特別な環境が必要になる。しかし、両者が開発した、レアアースを含有する無機触媒を使用することにより、温和な条件下の反応で、高いDHA生成能が得られた。

 具体的には、30℃・大気開放下・4時間の反応で、グリセリン転化率84%、DHA収率74%、DHA選択率88%を達成した。グリセリンの2位ヒドロキシ基の酸化により得られるDHAは、太陽光なしで日焼けしたような肌にするサンレスタンニングをはじめとした化粧品や、医農薬中間原料としての需要がある。

 また近年、化石燃料の代替エネルギーとしてバイオディーゼルが注目されているが、バイオディーゼル製造の際にはグリセリンが副生されるため、グリセリンが供給過剰となっている背景がある。その多くは、有効な用途がなく廃棄されているのが現状であり、グリセリンの有効活用化や高付加価値化が求められていた。

 岩谷産業は、開発した触媒に使用されているレアアースなどのレアメタル原料を広く取り扱っている。それら原料のアプリケーション開発を進める中で、大阪大学大学院工学研究科の今中信人教授や布谷直義助教が持つ技術に着目し、今回、新触媒の開発に成功した。

 同社は今後、商業スケールでの生産に向け、触媒メーカーやDHAメーカーなどのパートナー企業を募り、事業化を加速していく。

グリセリンからDHAへの変換プロセス
グリセリンからDHAへの変換プロセス

 

三菱ケミカル グループ協奏し抗ウイルススプレーを発売

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2020年6月9日

 三菱ケミカル(MCC)は8日、グループ会社の新菱(福岡県北九州市)が一般消費者向けに抗ウイルス・抗菌スプレー「アンチウイルススプレー」を来月初旬から販売開始すると発表した。

 『アンチウイルススプレー』500mLタイプ(左)と50mLタイプ
「アンチウイルススプレー」500mLタイプ(左)と50mLタイプ

 「アンチウイルススプレー」は、ドアノブやテーブル、ソファーなどの家具、衣類、カーテンなどの布製品の抗ウイルス・抗菌用途を想定。持続型抗ウイルス・抗菌成分(脂肪族カチオン系化合物)がウイルスや菌を寄せつけず、スプレーされた成分が対象表面にとどまることで、乾燥後も効果が14日間持続する特長を持つ。同製品はMCCグループの協奏により生まれた。抗ウイルス・抗菌成分には、同社グループ会社の大阪化成(大阪府大阪市)が製造する「マルカサイド」を使用している。

 MCCグループは今後も、総合化学メーカーとしてウイルス感染防止に関連する製品の供給を通じて社会に貢献していく考えだ。トリガータイプスプレー(500㎖)とプッシュタイプスプレー(50㎖)の2タイプ。Amazonや楽天などECサイトでの販売を予定している。