出光興産 生物防除剤を新発売、野菜類の害虫防除に貢献

, , ,

2020年5月26日

 出光興産はこのほど、害虫の天敵であるカブリダニを利用した生物防除剤「スワマイト」を発売した。

 「スワマイト」は、ピーマンやキュウリなどの様々な野菜類の果実や花、葉を食害する害虫(アザミウマ類、コナジラミ類)の天敵である「スワルスキーカブリダニ」を利用した、環境に安全で、人にも安心な生物防除剤。また害虫の薬剤抵抗性発達の有無に関係なく効果がある。

 生産者は、ボトルに封入された「スワマイト」を株上や葉上に直接放飼するだけの簡単な作業で、長期間、効率的にアザミウマ類やコナジラミ類を防除できる。

 同製品は、グループ会社の出光アグリの販売網を通じて全国の代理店に販売される。出光興産は今後も、環境にやさしい製品を開発、販売していく考えだ。

DNP 5G対応製品向け透明アンテナフィルムを開発

, ,

2020年4月9日

 大日本印刷株式会社(DNP)はこのほど、5Gに対応した「透明アンテナフィルム」を開発したと発表した。同製品は、透明なフィルム上に、目に見えないほどの金属配線を超微細なメッシュ(網目)状に形成し、優れた透明性に特長がある。

5G対応製品向け透明アンテナフィルム
5G対応製品向け透明アンテナフィルム

 5G対応製品の透明表面材にアンテナを設置でき、アンテナ設置場所に余裕のなかったモバイル機器や窓ガラスでも視認性を損なわない。同社は、今回開発した透明アンテナフィルムをさまざまな企業へ提供し、2022年度に量産を始めることで、2025年度に年間100億円の売上を目指す方針だ。

 5Gの高速大容量のデータ通信にはミリ波帯の電波が用いられるが、従来のマイクロ波と比較しミリ波は近傍製品の影響を受けやすくアンテナ設置場所の自由度が低いという問題があった。また、ミリ波は電波の直進性が強く、従来以上の通信環境を確保するにはアンテナの設置数を増やす必要性もあった。

 こうした課題に対して同社は、視認されない超微細金属メッシュ配線を開発し、透明アンテナフィルムを実現。これにより、5G対応のさまざまな製品に意匠性を損なうことなくアンテナ機能を追加できるため、モバイル機器のみならず基地局やIoT機器などへの自由なアンテナ設置が可能になる。

 同社は今後、印刷技術と情報処理の強みを生かし、「透明アンテナフィルム」や放熱部品「ベーパーチャンバー」などの5G向け電子部品と、IoTの情報セキュリティを高めるプラットフォームなどを掛け合わせ、5Gが実現する快適な情報社会を支えるソリューションを提供する。

 さらに、5Gを活用し、場所や時間を問わず臨場感のある体験を提供するVR・ARコンテンツや4K・8K映像配信、安全な自動運転や遠隔医療などにも取り組んでいく考えだ。

ヤンセンファーマ 潰瘍性大腸炎向け抗体製剤が適応追加承認を取得

, ,

2020年4月8日

 ヤンセンファーマはこのほど、モノクローナル抗体製剤「ステラーラ」(一般名:ウステキヌマブ〈遺伝子組み換え〉)について、点滴静注製剤で「中等症から重症の潰瘍性大腸炎の寛解導入療法(既存治療で効果不十分な場合に限る)」および皮下注製剤で「中等症から重症の潰瘍性大腸炎の維持療法(既存治療で効果不十分な場合に限る)」を効能または効果として、製造販売承認事項一部変更承認を取得した。

 同剤は、炎症性腸疾患に深くかかわるインターロイキン(12および23)を阻害することにより消化管の炎症を抑制。今回の承認は、国際共同試験である第Ⅲ相試験のデータに基づくもの。この試験には、中等症から重症の活動性潰瘍性大腸炎の成人患者を対象とした、同剤の有効性と安全性を評価する2つの国際共同試験(寛解導入試験および寛解維持試験)が含まれ、日本もこれらの試験に参加した。

 第Ⅲ相寛解導入試験の結果、同剤の単回静脈内投与が、従来の薬物療法や既存の生物学的製剤で十分な効果を得られなかった、または忍容性を示さなかった中等症から重症の活動性潰瘍性大腸炎の成人患者に対し、主要評価項目である8週目での臨床的寛解とクリニカルレスポンスの導入をもたらすことを示した。

 また、第Ⅲ相寛解維持試験の結果、同剤の単回静脈内投与によりクリニカルレスポンスを達成した患者に対し、同剤の8週間隔または12週間隔の皮下投与により、主要評価項目である44週時点(単回静脈内投与後52週)での臨床的寛解を達成したことを示した。

 ヤンセンは今後も、未だ満たされない医療ニーズに応えることで、患者のQOL向上に尽力していく考えだ。

 

住友ゴム 天然ゴムの臭いを大幅抑制、新製品を開発

,

2020年4月8日

 住友ゴム工業はこのほど、天然ゴムの臭気発生原因を特定し、臭いを大幅に抑えた「臭気低減天然ゴム」を新たに開発した。

 今回の開発品は、同社の天然ゴム加工工場(タイ)の原材料加工工程に独自手法を取り入れ、臭気発生原因となる原材料中の非ゴム成分(タンパク質・脂質など)の分解を抑制することで、大幅な臭気低減を実現した。この手法の確立により、天然ゴム加工工場のみならずタイヤ製造工場などの臭気問題解決への貢献が期待される。

 同社は、世界的な環境意識の高まりに対応するため、天然ゴムの改質や高機能バイオマス材料を活用したタイヤ性能向上に取り組むなど研究開発を推進。特に天然ゴムは、タイヤ原材料の重量構成比で約30%と大きな比率を占めており、天然ゴムを取り巻く課題解決に率先して取り組んでいる。

中外製薬 アクテムラのコロナ対象臨床試験、米社が承認取得

, ,

2020年3月25日

 中外製薬は24日、同社が創製したヒト化抗ヒトIL‐6レセプターモノクローナル抗体「アクテムラ」(トシリズマブ〈遺伝子組み換え〉)について、米国ジェネンテック社が重症の新型コロナウイルス肺炎による入院患者を対象とした臨床試験の実施につき米国食品医薬品局(FDA)の承認を取得したと発表した。

 

ダイセル こんにゃく由来セラミドが機能性表示食品に

, , ,

2020年3月19日

 ダイセルはこのほど、肌の乾燥が気になる人向けの機能性表示食品「ピュアセラミド+(プラス)」と「ピュアセラミド Light(ライト)」の2品が、消費者庁に届出・受理された。今年度内に同社通販サイトなどで発売予定となっている。

「ピュアセラミド+(プラス)」
「ピュアセラミド+(プラス)」

 両製品は、いずれも「こんにゃく由来グルコシルセラミド」を機能性関与成分とするカプセル状の食品で、1日あたりの摂取目安量はそれぞれ1.8㎎、0.6㎎。同成分は、肌のバリア機能(保湿力)を高める機能があることが報告されており、濃度依存的に機能が発揮される部位が増えることが分かっている。

「ピュアセラミドLight(ライト)」
「ピュアセラミドLight(ライト)」

 一方、同成分をはじめとする植物由来のセラミドを機能性関与成分とした、肌の乾燥が気になる人向けの機能性表示食品は、すでに複数受理されている。ただ機能性表示食品制度で、1日あたりの摂取目安量が0.6㎎と低用量の植物由来セラミドを機能性関与成分として届出・受理された商品は、現在、「ピュアセラミド Light」のみ。

 低用量の配合でも機能性を訴求できるようになったことで、今後は、サプリメント以外の一般加工食品の分野でも、「こんにゃくセラミド(こんにゃく芋粉抽出物)」を活用した機能性表示食品の開発の広がりが期待できる。

 

住友化学 新規の園芸作物用殺菌剤、日本で販売開始

,

2020年3月17日

 住友化学は16日、有効成分インピルフルキサム(インディフリン)を含有する新規殺菌剤「カナメ フロアブル」の販売を同日に、日本で開始すると発表した。

 インピルフルキサムは、同社が、B2020(2020年までに主要市場向けの登録申請を完了するパイプライン)の一剤として独自に発明した新たな有効成分。病原菌のエネルギー生産の過程を阻害する作用を持つコハク酸脱水素酵素阻害剤(SDHI)と呼ばれる殺菌剤に属す。

 優れた殺菌作用や浸達性・浸透移行性を持つことから、これまでの社内外での評価を通じて幅広い病害に高い効果を示しており、大豆や麦類など世界各国の主要作物の重要病害に対する新たな防除手段として期待されている。

 日本以外では、これまでに、アルゼンチン、米国、カナダ、ブラジル、およびEUで登録申請を実施しており、今年以降順次、インピルフルキサムを含有する製品をグローバルに販売することを目指している。

 今回、主に果樹や野菜を対象とする「カナメ フロアブル」の日本での販売は、インピルフルキサムを含有する製品として世界で初めてとなる。りんごや梨の黒星病、ねぎのさび病や白絹病をはじめとする病害の防除剤として、住友化学と関係会社である協友アグリが販売する。

 近年の農業分野は、世界的には人口増加に伴う食料増産や農薬に対する抵抗性、日本では農業従事者の高齢化、作付面積の減少をはじめとする様々な課題に直面している。住友化学は、既存剤に加えて、インピルフルキサムを含めた新たなパイプラインの開発によって製品ラインアップを拡充し、農業生産者のニーズに応じたソリューションの提供を一層推進していく考えだ。

田辺三菱 加・子会社が新型コロナのワクチンの開発に着手

, , ,

2020年3月16日

  田辺三菱製薬はこのほど、子会社であるメディカゴ社(カナダ・ケベック市)が、新型コロナウイルス感染症(COVID‐19)に対応したウイルスの植物由来ウイルス様粒子(VLP)の作製に成功したと発表した。

 COVID‐19のVLP作製は、ワクチンを開発するための第一歩であり、メディカゴ社は安全性と有効性に関する非臨床試験を実施している。今回の非臨床試験が順調に進めば、ヒトでの臨床試験を今年8月までに開始するため、当局機関と協議したい意向を示している。

 また、メディカゴ社はSARS‐CoV‐2(COVID‐19の原因ウイルス)に対する抗体に関しても、自らの技術基盤を活用し、同国のラヴァル大学感染症研究センターと協力して研究を行っている。

 なお、この研究は、CIHR(カナダ健康研究所)から一部資金提供を受けている。

 

帝人フロンティア RF含まず環境に配慮したゴム補強繊維向け接着剤を開発

,

2020年3月11日

 帝人フロンティアはこのほど、レゾルシン・ホルムアルデヒド(RF)を含まない、環境に配慮したゴム補強繊維向けの接着剤を開発したと発表した。今年から同接着剤を使用するゴム補強繊維の試験生産を開始し、2028年にはライセンス生産を含め、年産20万tを目指す。

 今回開発した接着剤は、RFの代替として高分子化合物を使用することで、ゴム補強繊維の接着加工プロセスで環境負荷を低減できる。また、繊維とゴムとの親和性が良好であることから、従来のレゾルシン・ホルムアルデヒド・ラテックス(RFL)接着剤と同等の接着性能を実現した。

 一般に使用されているRFL接着剤は、化学反応を介してRFが網目状となり、接着剤成分であるラテックスと複合することで良好な接着性能を得る。これに対し、開発品は、RFの代わりに配合した高分子化合物の分子間の相互作用が網目を形成することで、RFL接着剤と同等の接着性能を実現する。

 タイヤをはじめとするゴム製品では、その強度や形態安定性などを保つために使用する補強繊維の生産工程で、長年にわたり接着性に優れるRFL接着剤が使用されている。しかし、近年の環境や安全に対する意識の高まりから、身体に有害とされるRFを含まない接着剤のニーズが急速に高まっており、帝人フロンティアは、RFを使用せずに同等の接着性能を発現する、ゴム補強繊維向けの環境に配慮した接着剤を開発した。

 今後は、タイヤやベルト、ホースをはじめとする幅広い用途に向けて展開を図るとともに、多種多様なゴムに対応できるよう、さらに開発を進めていく考えだ。

 同社は環境活動指針に「THINK ECO」を掲げ、衣料から産業資材まで幅広い用途で地球環境に優しい活動を実践している。開発した接着剤はこの指針に沿ったものであり、開発品の導入を通じ、環境負荷低減に貢献するソリューションを提供していく。

 

NEDOなど 機能性材料の熱伝導率計算ソフトを開発

, , , ,

2020年2月28日

 NEDOは未利用熱エネルギー革新的活用技術研究組合・東京大学と、多結晶体などの複雑なナノ構造を持つ様々な熱機能材料の熱伝導率を、手軽で高精度に予測・熱伝導現象を再現するソフトウエア「P‐TRANS」を開発した。

 東大が開発したモンテカルロ・レイトレーシング法と、構造作製ツールや可視化ツールなどのグラフィカルユーザインタフェース(GUI)を融合したもので、学術界や産業界などの研究現場での普及を目標に使いやすさを重視した。

 このソフトウエアの活用により、複雑な形状や内部構造を考慮したミクロな領域の熱物性を把握でき、高性能な熱機能材料の研究開発が促進されることが期待できる。

 徹底した省エネのためには、エネルギーの供給過程で有効利用されずに捨てられている未利用熱を、削減・回収、熱として蓄え再利用し、さらにほかのエネルギー形態に変換して利用するための「熱の3R」に向けた熱機能材料やデバイスを開発し、社会実装することが必要だ。

 しかし、研究開発と実用化が進められているこれらの材料やデバイスの性能を抜本的に高めるためには、材料の微視的な熱輸送解析(熱伝導率の予測・熱伝導現象の再現)による、ナノスケールの熱の設計とミクロな領域の熱物性の理解、さらにそれらに基づく材料設計と熱制御が不可欠である。

 「P‐TRANS」を使うことで、ナノ構造化した際の熱伝導率の低減効果を試算できるほか、高熱伝導材料の作製時に生じる多結晶構造の粒界が熱伝導率に及ぼす影響も把握できるため、高性能な熱機能材料開発の加速化が期待される。

 今後、「P‐TRANS」の機能拡張と活用を進め、効率的な材料・デバイスの開発と抜本的な性能向上を図り、熱の3Rによる徹底した省エネルギーの実現を目指す。なお、東大はこのソフトウエアをウェブサイトで公開しており、無償でダウンロードできる。