NEDO コロナ後の社会変化を分析、未来像をレポート

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2020年7月20日

 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)はこのほど、コロナ禍後の「新たな社会様式」の実現に向けたイノベーションを後押しするため、TSC Foresight短信レポート「コロナ禍後の社会変化と期待されるイノベーション像」(全64ページ)を公開した。

 同レポートでは、コロナ禍がもたらした国内外の変化について、様々な分野で発信されている客観的な情報を整理・分析することで、今後の社会変化と期待されるイノベーション像を予測。「新しい社会様式」の実現を担う関係者や機関に向け、新しいイノベーションへの取り組みを検討する際の指標としてまとめた。

 レポートの前半では、現状把握と、変わりゆく新しい社会像や社会的価値観を6つテーマで分析。①デジタルシフト②政治体制や国際情勢変化③産業構造の変化④集中型から分散型への変化⑤人々の行動変化⑥環境問題への意識の変化―の現状や予測をもとに、医療、仕事・産業、教育・家庭、行政、都市のコロナ禍後に起こりうる変化を紹介している。

 後半は、今後期待されるイノベーション像を、「デジタルトランスフォーメーション(DX)」と「持続可能な社会への転換」のテーマごとに解説。DXでは製造・生産現場、製造業サプライチェーンをはじめ、インフラやモビリティなど分野別のイノベーション像を示し、持続可能性では、コロナ禍が鮮明にした日本の弱点を浮き彫りにした上で、3Rやプラスチック材料、再生可能エネルギーなどへの強化策を提示した。

 これまでの常識の再確認に気づかされ、社会の在り方に転換が迫られる今、モノづくりの現場にも「新しい社会様式」が求められている。コロナ禍後の新しいイノベーション像は非常に広範にわたり、今や世界的な社会課題であることから、その実現には産官学が一体となって取り組み、高い技術力をもつ日本の叡智を結集することで、世界的なけん引役を担っていくことへの期待が大きい。同レポートは、専用サイト(https://www.nedo.go.jp/library/foresight.html)で公開中。

 

 

 

 

 

積水化学 新しい生活様式への対応力を高めた住宅を発売

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2020年7月20日

 積水化学工業は、人生100年時代に備えたレジリエンス機能に加え、〝新しい生活様式〟への対応力を高めた住宅「レジリエンス100 STAY&WORKモデル」を、今月18日より全国(北海道、沖縄および一部離島地域を除く)での販売を開始した。

 同社の住宅カンパニーでは、環境問題と社会課題の解決や強固な経営基盤の構築を事業の成長力として位置づけ、「顧客価値」と「事業価値」の両立によるESG経営を推進。とりわけ日本では、激甚化する自然災害への抵抗力・回復力、さらには、「人生100年時代」といわれる超高齢化社会での暮らしの質の維持向上が避けられない命題となっている。また、感染リスクに配慮した暮らしの必要性が社会で認識され、〝新しい生活様式〟へと、日常生活・働き方が大きく変わり始めている。

 こうした中、同社は、住まいの提供、暮らし方の提案を通じて社会課題解決への貢献を目指している。生活様式の変化に対応しながら、健康や財産の不安から暮らしを守ることで、人生100年時代のQOL(生活の質)を高め、幸せな暮らしを末長く続けられることを第一義に捉えた住まいを提案していく。

 今回発売する「レジリエンス100 STAY&WORKモデル」の特長として、①「快適エアリー」でキレイな空気・快適温度を維持、②家族が安心して過ごせる住環境を提案する「ステイスタイル」、③家で快適に仕事が行えるテレワーク環境を提案する「マルチテレワーク」、が挙げられる。

 なお、販売価格は3.3㎡あたり78万円(消費税別途)台からとなっており、販売目標として年間300棟を掲げている。

レジリエンス100 STAY&WORKモデル外観
レジリエンス100 STAY&WORKモデル外観

東レ UAM向けに炭素繊維複合材料を供給、独社と契約

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2020年7月20日

 東レはこのほど、UAM(都市航空交通)開発のトップランナーの1社である独・リリウム社と、同社が開発中の「リリウム・ジェット」に使用する炭素繊維複合材料の供給契約を締結したと発表した。

 UAMは、都市部の交通が抱える渋滞・騒音・大気汚染といった課題の解決に繋がる新交通システムとして期待が高まっており、現在は各国で、UAMの商業運航開始に向けた機体や運航システムの開発、法制度の整備が進む。また、UAMは「空飛ぶ車」とも呼ばれ、垂直離着陸が可能な小型電動機を主流に開発が加速。機体の軽量化など様々な要求に応えるため、炭素繊維複合材料の果たす役割が極めて重要となる。

 東レは、UAMメーカーとの協業を深化させながら、機体の高性能化・省エネルギー化・低コスト化に向けた革新的な複合材料の開発を継続しており、今回のリリウム社との取り組みは、この一環として実現された。

 「リリウム・ジェット」は、300kmを60分以内に飛行する5人乗りの垂直離着陸型UAMで、炭素繊維複合材料は胴体、主翼、動翼などに使用される。リリウム社は2025年の商業運航開始に向けて機体の開発を推進中だ。

 東レの炭素繊維複合材料事業は、今年5月に発表した中期経営課題「プロジェクト AP‐G2020」に基づき、UAM用途に向けた事業基盤を戦略的に拡充する方針。UAM特有の諸課題に応える炭素繊維複合材料の開発を通して、都市部の環境問題解決に貢献していく。

 今後も、東レグループ内の連携をさらに強化し市場のニーズに迅速に対応していくことで、素材の力で社会を変革していく考えだ。

花王 ほこりや花粉、微粒子の肌への付着抑制技術を開発

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2020年7月20日

 花王は17日、肌を微細な凹凸膜で覆うことで、空気中に浮遊するほこりや花粉などの微粒子の付着を抑制できることを見出だしたと発表した。

 空気中にはほこりや花粉など目に見えない微粒子が浮遊しており、肌に付着すると肌がくすんで見えたり、かゆみや肌あれなどの原因となる上、長期的にはシミやシワなどの肌老化を助長するという報告もある。日本では花粉の時期に付着が気になるという声が聞かれるが、中国やタイ、ベトナムでは「微粒子大気汚染で肌の調子が悪くなる」、と感じる人がいずれも8割以上にのぼる。

 同社は、これらの課題に対して、浮遊微粒子の肌への付着に注目した。物体間に働く引力にはファンデルワールス力、静電気力、液架橋力があり、強さは対象物の大きさに依存する。ほこりや花粉など粒径2.5~30㎛の微粒子ではファンデルワールス力が相対的に大きく、物体間の距離が近いほどその力が強く働くため、粒子/付着面(肌)の距離の影響を調べた。

 異なる粗さの付着面と異なる粒径(2.5と30㎛)の微粒子の間のファンデルワールス力をシミュレーションしたところ、特定の粗さ領域では粒子が付着しにくいことを見出だした。直径10~50㎛程度の紫外線散乱剤(微粒子酸化チタン、微粒子酸化亜鉛)を使って微細凹凸構造を作ると、微粒子の付着を高効率で抑制できることがわかった。配合する油剤によっては、凹凸膜表面が油剤に覆われて付着抑制効果を失うが、紫外線散乱剤と油剤の濡れを制御することで表面の微細凹凸構造が維持され、微粒子の付着を抑制できた。

 こうして作った日やけ止めは、人工皮革での塗布試験で付着抑制効果を示し、ヒトでの5時間の外出試験でも、肌への汚れ付着は有意に少ないことが確認できた。今後、サンケアをはじめとする技術開発につなげていく予定だ。

日本ゼオン ポジ型感光性絶縁材料の新製品販売を開始

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2020年7月20日

 日本ゼオンは17日、ポジ型感光性絶縁材料「ZEOCOAT ZC100」を開発し販売を開始したと発表した。アルカリ現像タイプのポジ型感光性絶縁材料である「ZC100」は、180℃の低温硬化が可能であり、高解像性、高絶縁信頼性といった特徴をもつ製品。

 スマートフォンをはじめとするデバイスの高機能化、多機能化に伴い、半導体パッケージや電子部品には微細化、高集積化が求められている。「ZC100」は解像性に優れるポジ型であるためデバイスの微細化に貢献。また、低温での硬化が可能であり、高い絶縁信頼性をもつため、デバイスの歩留まりや信頼性を向上させる。主な用途として、さらなる微細化や低温プロセスが求められる、次世代ウエハーレベルパッケージへの展開を目指していく。

 ゼオングループは、今後も独自技術を駆使した製品開発を推進し、顧客にとって価値ある製品の提供に注力していく考えだ。

「ZEOCOAT ZC100」の物性データ

 

環境省 「再生可能エネルギー情報提供システム」を開設

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2020年7月17日

 環境省はこのほど、平成21年度(2009年度)より実施している再生可能エネルギー導入ポテンシャル情報調査の成果を基に、ウェブサイト「再生可能エネルギー情報提供システム(REPOS)」(1.0版)を新たに開設した。

 同ウェブサイトでは、全国・地域別の再エネ導入ポテンシャル情報や、導入に当たって配慮すべき地域情報・環境情報・防災情報などを収載している。意見募集の窓口もあり、今後、地方公共団体や再エネ開発事業者から直接ヒアリングする場を設ける予定。

 これらを通じて、同ウェブサイトの改善や新機能の追加を順次実施し、ゼロカーボンシティ実現やRE100、再エネ主力化などをデータ駆動で促進していく考え。収載情報は、①地域別の再エネ導入ポテンシャル情報(太陽光、風力、中小水力、地熱、地中熱、太陽熱)②配慮すべき地域情報・環境情報の整備・可視化(景観、文化財、鳥獣保護区域、国立公園など)③「気候変動×防災」の観点でハザードマップを連携表示(国土交通省などが整備する防災関連情報を反映)。なお、導入ポテンシャルは、あくまで一定の仮定の上での推計値である。

 また推計値を引用する場合は、出典(環境省過年度報告書「令和元年度再生可能エネルギーに関するゾーニング基礎情報等の整備・公開に関する委託業務報告書」など)や推計条件などの明記が必要。REPOSサイト(http://www.renewable-energy-potential.env.go.jp/RenewableEnergy/index.html)からアクセスできる。

NEDO AIの社会実装に向け新研究テーマ3件を採択

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2020年7月17日

 NEDOはこのほど、人工知能(AI)技術の社会実装を進めるプロジェクトについて、機械学習の自動化などの開発期間の短縮と、容易な利用・導入を可能にするプラットフォームの構築を目的に、新たに3件の研究開発テーマを採択した。

 NEDOは2018年度から、「次世代人工知能・ロボットの中核となるインテグレート技術開発」プロジェクトを推進し、生産性や空間の移動分野でAI技術の社会実装を目指している。3年目となる今年度、AIの導入加速化技術として「自動機械学習による人工知能技術の導入加速に関する研究開発」と「オンサイト・ティーチングに基づく認識動作AIの簡易導入システム」の2件を採択。各テーマを通じ、機械学習機能の強化により様々な産業用途に合わせたネットワークモデルの構築を自動的に素早く行う技術や、AI導入作業の簡素化を目的に、繰り返し行う単純作業を知能ロボットに代替させるシステムの開発を図る。

 また、作業判断支援を行うAI技術としては、「最適な加工システムを構築するサイバーカットシステムを搭載した次世代研削盤の開発」の1件を採択。熟練者のもつ暗黙知をデータ化し、熟練者の感覚をマシン挙動と加工変化に置き換えて数値化することで、加工最適化を行えるAI技術を搭載した複数種類の研削盤を開発する。

 これらの研究開発テーマを推進する中で、次世代AI技術の導入期間の10分の1への短縮化を実証し、AI技術の適用領域拡大と人間の発想や創造を支援するプラットフォームの確立を目指す。さらに、短期目標の開発・テストを反復し、迅速に完成度を高めていくアジャイル型の開発手法を導入することで、AI技術の社会実装を加速させてグローバル市場への展開につなげていく考えだ。

 人間では管理できない一段上の生産性向上と平準化により、省エネルギー化やCO2排出削減効果なども期待されている。

協和キリン富士フイルム バイオシミラーが米国販売承認を取得

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2020年7月17日

 協和キリンと富士フイルムの合弁会社である協和キリン富士フイルムバイオロジクスはこのほど、マイラン社とヒト型抗ヒトTNF‐αモノクローナル抗体製剤「アダリムマブ」のバイオシミラー医薬品「Hulio」に関し、米食品医薬品局(FDA)より販売承認を取得したと発表した。

 「Hulio」は、アッヴィ社が開発し、世界で最も販売されている医薬品「ヒュミラ」(一般名:アダリムマブ)のバイオシミラー医薬品。協和キリン富士フイルムバイオロジクスとマイラン社は、2018年に欧州での「アダリムマブ」のバイオシミラー医薬品の販売で提携した。現在、マイラン社が欧州で「Hulio」として販売している。

 また、2019年には、欧州以外の地域でもグローバルに販売提携を行い、両社のパートナーシップを拡大。マイラン社は、協和キリン富士フイルムバイオロジクスが欧州や米国などで実施した第3相国際共同治験の結果をもとに、米国で販売承認申請を実施し、今回の承認取得に至った。マイラン社は、アッヴィ社とのライセンス契約に基づき、2023年7月に「Hulio」を米国市場に投入できる見込み。なお、日本では協和キリン富士フイルムバイオロジクスが、今年6月に「アダリムマブBS皮下注「FKB」」の製造販売承認を取得している。

 両社は、「アダリムマブ」のバイオシミラー医薬品の提供を通じて、今後も新たな治療の選択肢の普及を図っていく。

 

ダイセル 熟成にんにく成分の食品素材発売、抗疲労効果

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2020年7月17日

 ダイセルはこのほど、熟成にんにく(黒にんにく)に含まれる機能性成分「S‐アリルシステイン」(SAC)を含む素材を開発し、販売を開始した。

 SACは抗酸化作用をもつことが知られており、にんにくには微量しか含まれないが、にんにくを熟成させる過程で量が増える希少な成分。これまでSACの高濃度化には長い熟成期間が必要だったが、同社は短期間で得る新規方法を開発し、製品化した。

 同社は臨床試験で、SAC含有食品を4週間継続して摂取することにより、身体作業負荷によって生じた疲労感の回復が促進されることを確認。現在、「抗疲労」の機能性表示の取得に向け、消費者庁に届け出を行っている。同社は今後、SACの抗疲労効果のメカニズムについて、抗酸化を中心にさらなる研究を進めていく。

 また、抗酸化、抗疲労の食品を開発するメーカー向けにこの素材の販売を行うとともに、素材を使った自社ブランドでのサプリメント開発にも取り組んでおり、様々な環境変化の中で疲れを感じている人に役立ててもらえる商品を目指す。引き続き、人々の「美と健康」に関する健康食品素材の開発を進めていく方針だ。

 

ピクトリープ 赤外線カメラにも写る液晶表示装置を開発

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2020年7月16日

 ピクトリープ(新潟県上越市)はこのほど、画像が赤外線カメラに写る液晶表示装置「赤外LCD」の開発に成功したと発表した。同社は日本化薬グループのポラテクノの子会社。

 従来の液晶表示装置はバックライトが可視光で、偏光板が可視光のみの対応であるため、表示画像は赤外線カメラには写らなかった。今回の赤外LCDは、赤外線カメラからの赤外光を反射する反射板と、赤外領域に対しても偏光機能をもつ赤外偏光板を使用。赤外偏光板は日本化薬とポラテクノが開発した。4インチTFT液晶表示装置で試作した赤外LCDは、可視光カメラにも赤外線カメラにも画像が写ることが確認できた。

 今後、従来の液晶表示装置ではセキュリティー面で使用が困難であった、自動車のデジタルナンバープレートなどへの応用が期待される。