旭化成ファーマ 骨粗鬆症治療剤の製造販売を承認申請

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2018年10月31日

 旭化成ファーマは30日、骨粗鬆症治療剤「テリボン皮下注28.2µgオートインジェクター(予定)」一般名:テリパラチド酢酸塩)について、骨折の危険性の高い骨粗鬆症を効能・効果として、日本での製造販売承認申請を行ったと発表した。

 同社が2011年11月から製造販売している現行製剤「テリボン皮下注用56.5µg」と同じテリパラチド酢酸塩を含有する製剤。用法・用量は「通常、成人には、オートインジェクター1本(テリパラチドとして28.2µgを含む)を1日1回、週に2回皮下注射する」として申請を行った。

 同剤は、骨折の危険性の高い骨粗鬆症患者を対象に実施した国内第3相骨量試験(MN-10-T-306試験)で、現行製剤に対する非劣性が検証された。また、1回投与量を現行製剤の半量としたことで、悪心・嘔吐などの副作用の発現が少なくなることも期待される。

 現行製剤の用法・用量は「通常、成人には、テリパラチドとして56.5µgを1週間に1回皮下注射する」。同社は、骨粗鬆症患者に対し新たな治療の選択肢を提供することで、今後も骨粗鬆症の治療に貢献していく考えだ。

東レ 2019シーズン向けストレッチ素材を発表

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2018年10月31日

 東レは30日、2019シーズン向けストレッチ素材の新製品を発表し、同年度の売上を3万m、22年度は10万mを販売する計画を示した。

 今回発表した新素材は、耐塩素水性ストレッチ「ライクラファイバー」を用いたストレッチ素材「トリンティ」シリーズの新たなバリエーションである「スキンタイトタイプ」で、11月から販売を開始する。

新素材の説明を行う鈴木部長
新素材の説明を行う鈴木部長

 当面は遊泳水着向けとなるが、「東京五輪を機に、ボルダリングやサーフィン、スケートボードといった、ストレッチ素材が活躍できるスポーツが増えてくるだろう。そういった素材に向け拡販していく」(鈴木一弘スポーツ・衣料資材事業部長)考え。さらに、ブラトップ、若い女性に人気の各種トレーニングやヨガなどのスポーツシーン向けインティメイト・アイテムなど、幅広いシーンに提案していく。

 新素材のスキンタイトタイプは、肌に触れる面の繊維をループ状に配置しているため、肌と水着との摩擦力(密着性)が大きくなり、着用時のズレ上がりを抑えることができる。髪の毛の10分の1という極細繊維を用いているため、ふんわりとした肌触りも特徴だ。

 外側には

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東レ 世界最高レベルの水素精製高分子分離膜の創出に成功

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2018年10月30日

 東レは29日、水素を含む混合ガスから、水素を選択的かつ高透過可能な化学修飾架橋ポリアミド分離膜の創出に成功したと発表した。

 同日開催された記者会見で、地球環境研究所の木村将弘所長は「高分子膜で、ここまで水素の透過性と選択性が高いものはない。例えばアンモニアなど製造プロセスに組み込むことで精製される水素の有効利用などを想定している。また、高純度水素が求められる燃料電池車向けも有力な用途だ」と語った。

 現在、新エネルギーの活用として、水素の利用拡大が注目されている。水素の製造量は2030年には3億tにまで急増し、水素精製システムの潜在市場規模は5兆円規模(推定)に達する見込みだ。

 一般的な膜によるガスの分離は、高温高圧化で行う必要があり、過酷な分離条件下でも優れた分離特性を発揮させるためには、分離膜を構成する多孔性基材の耐熱化と耐圧化が必要だ。

 また、供給ガスから水素を高透過かつ高選択に分離するためには、分離機能層の精密孔径制御が重要で、現状の水素精製高分子分離膜では、分離工程での耐熱性・耐圧性、水素の透過性・選択性の両立に課題があった。

 同社は、耐熱性、耐圧性、高水素選択性を有する新規分離膜の創出に成功。まず耐熱・耐圧多孔質基材設計では、長年培ってきた耐熱高分子材料と分子膜成膜技術の融合に取り組み、非溶媒誘起相分離法により、200℃以上の高いガラス転移温度を有するポリマーの相分離速度を高度に制御することで、均一多孔性基材を実現。同技術によりガス透過性を十分に確保しつつ、耐熱性と耐圧性を大幅に向上させた。

 一方、精密孔径制御技術による水素高選択・透過分離膜設計では、逆浸透(RO)膜で培った界面重縮合技術をベースとし、ガス分離に適した孔構造制御と水素分子に親和性を有する分子骨格導入技術を駆使することで、水素分子(0.29nm)を選択的に透過させるために適した平均孔径を有する新規分離膜設計を行った。

 新規分離膜は、従来の高分子膜性能ラインを大幅に上回る水素透過性、選択分離性を有することを確認している。同社は今後、水素社会実現に向け、スケールアップ・社会実装を進め、5年後の事業化を目指していく。

 木村室長は「環境問題への意識が高い海外などからも問い合わせがある。膜の耐久性向上や、モジュール・システムの開発にさらに注力していく」との考えを示した。

ランクセス 自動車向けにPAの新製品群を開発

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2018年10月29日

 ドイツの特殊化学品メーカーのランクセスは、ポリアミド(PA)6の新製品群「デュレタン・パフォーマンス」を開発した。繰り返しの機械的負荷に対する長期耐久性が、特に自動車のエンジンルームなどボンネット下のプラスチック部品で、需要が高まっていることを受けたもの。

「デュレタン BKV30PH2.0」の3点曲げ疲労試験の数値
「デュレタン BKV30PH2.0」の3点曲げ疲労試験の数値

 各種グレードを揃えたこの製品は、脈動荷重下での疲労に対して、同じガラス繊維含有量の標準品よりも数倍の耐久性を持つ。今回、新規投入を予定している製品群は、ガラス繊維をそれぞれ30%・35%・40%含有する熱安定性を備えた「デュレタンBKV30PH2.0」「BKV35PH2.0」「BKV40PH2.0」のコンパウンド、ガラス繊維30%で耐衝撃性を強化した「デュレタンBKV130P」コンパウンド。

 同社のデュレタン材料の開発専任者・トーマス・リンダー博士は「新製品は、吸気システムやオイルフィルタモジュール、サイドブレーキなど、自動車向け用途をターゲットにしている」と述べ、ドリルなど電動工具のハウジングや構造部品の用途向けにも注力するとしている。

 新構造素材では、動的挙動に加えて、静的な機械特性も向上しており、同じガラス繊維含有量の標準品と比べ、高温時の引張強度が上がる。リンダー博士によると、この機械特性によって、PA6をベースとするデュレタン・パフォーマンスは多様な場面で、近年非常に高価となったPA66コンパウンドの代替素材となり、ガラス繊維の含有量を増やさないため、素材の高密度化や部品の重量化を伴うことがないという。

 ランクセスは同製品群のさらなる拡充を計画中で、50%と60%のガラス繊維で強化した2つのコンパウンドの発売も予定している。リンダー博士は「こうした素材は、優れた強度と剛性を備えているため、電気・電子モジュールを収める自動車の軽量構造部など、動的負荷を受ける構造部品に最適だ」と述べている。

 

帝人フロンティア 「あっちこっち あみたわしクロス」の販売開始

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2018年10月26日

 帝人フロンティアは、極細繊維を使用した掃除グッズ「あっちこっち」シリーズの新商品として、「あっちこっち あみたわしクロス」の販売を開始する。

 今月27日から東急ハンズ各店で先行販売を始め、11月5日からはあっちこっちシリーズの公式サイトと、テイジン公式オンラインショップ「くらし@サイエンス」 でも販売する。

 新商品は介護転職・派遣・家事代行サービスを展開するパソナライフケアとの共同開発商品。同社独自の「ミクロスター」を使用したワッフル調生地のクロス面と、KBセーレンの新機能ポリエステル「ベルカップル」糸を使用することで形が自在に変化する、型くずれしにくい特殊ブラシ面から成る。

 ブラシ面で頑固な汚れを落とし、クロス面で目に見えないミクロン単位の汚れを拭きあげるなど、一枚で状況に応じた使い分けができる便利な商品だ。

 クロス面とブラシ面の間に手を差し込め、ミトンのように親指が分かれた縫製仕様としているため、力を入れたり、掃除したい箇所を容易につかんだりでき、効果的に掃除することができる。

 また、2つ折りにして、ブラシ面とクロス面を重ね合わせるとずれにくくなり、拭き掃除をより簡単に行うことができる。今年度の販売目標は10万枚となっている。

 あっちこっちシリーズは極細繊維を使用することで、洗剤を使わずミクロン単位の汚れをキレイに拭き取ることが可能。ソフトなクロスを使用しているため、拭き上がり面を傷つけにくいという特徴がある。また、表面の汚れを水で落とせば繰り返し使用でき経済的だ。

 シリーズとして「ふきん」をはじめ「スポンジ」「手袋」「モップクロス」といった用途や、「抗菌」「制菌」といった機能を展開することで様々なラインアップを取り揃え、消費者から好評を得ている。

独ランクセス 難燃性PBTコンパウンド製品群を拡充

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2018年10月25日

 ドイツの特殊化学品メーカーのランクセスは、グローワイヤ(赤熱電熱線)テストで卓越した耐火性を発揮したモデルを採用し、ポリブチレンテレフタレート(PBT)を基材とする、ハロゲンフリーの難燃性コンパウンドの製品群を拡充する。

 新しい製品群は、ガラス繊維を25%含有させ強化したコンパウンドで、まもなく試作品を市場に送り出す予定だ。

 新PBT素材は、0.4~3.0mmの肉厚部で775℃のグローワイヤ着火温度(GWIT)を満たしていることから、ドイツ電気技術者協会(VDE)の認証を得ている(IEC60695-2-13)。また、完成部品に対するグローワイヤテスト(IEC60695-2-11)でも、優れた結果を得た。

 同社は洗濯機や皿洗い機、回転式乾燥機などの部品としての活用も想定しており、これらの用途では、ハロゲン系難燃性素材と同等の高いトラッキング耐性もメリットとなる。

 新グローワイヤ耐性素材の他の特性は、同社がすでに販売しているハロゲンフリーの難燃性PBTコンパウンドの特性と同じで、こうした現行製品には、13∼30%のガラス繊維で強化させたものや、非強化コンパウンドがある。これらはすべて、米国のUL94規格による燃焼性試験で、最高グレードとなるV-0に相当することが確認されている。

 また、紫外線照射に対して高い耐性を持ち、生コンパウンドとの接触による腐食もほとんどない。加えて高い耐熱性というメリットがある。具体的には、UL746Bに基づく相対温度指数が少なくとも140℃となる。

 これらの製品の中でも、非強化「ポカン(Pocan)BFN2502」は卓越している。その特性は市場で際立つもので、ハロゲンフリーの難燃性パッケージにもかかわらず、7%を超す高い破断点伸び率を備えている。

 同製品は、寸法安定性と永続的電気絶縁性が要請される構成部品に最適となる。また、この新PBTは、例えば直流を印加した際に600V(IEC60112/CTI値A法、比較トラッキング指数)という、優れたトラッキング耐性を発揮することから、類似の非強化PBTコンパウンドの代替品にもなる。

ソルベイ PPSの各種押出し成形グレードを上市

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2018年10月24日

 特殊ポリマーの世界的サプライヤーであるソルベイはこのほど、同社の「ライトンポリフェニレンスルフィド(PPS)」の各種押出し成形グレードを上市すると発表した。同製品は要求の厳しい自動車の冷却配管アセンブリ用途として、実績のあるライトンPPS射出成形材料と併用可能。

 PPS押出し成形シリーズは、「ライトンXE3500BL」「ライトンXE4500BL」「ライトンXE5500BL」という3種類のグレードが用意され、グローバル展開している。これらのグレードの剛性は1500~2500MPaの範囲で異なり、様々な肉厚と直径をもつフレキシブルチューブの要件を満たすことができる。

 また、押出し成形後の熱成形にも適している。同社の新たな押出しポリマー技術を使用して作られた柔軟な冷却配管は、高い溶融強度、耐薬品性、熱安定性を示し、破断時引っ張り伸びと衝撃強さが向上している。

 同社の射出成形グレードとしては、「ライトンXE5430BL」(30%ガラス繊維強化)および「ライトンR-4-270BL」(40%ガラス繊維強化)がある。これらの材料は既存のコネクターとブラケット取り付け部品の多くに適合することで定評があり、そのため、エンジンやトランスミッション用に完全調和した一体型の冷却配管アセンブリを自動車OEMが設計することができる。

 同社のSpecialty Polymers global business unitでEuropean Area Development Managerを務めるAndreas Lutz氏は「エンジンルーム内の温度により、既存の冷却配管の設計および材料ソリューションが限界まで押し上げられ、安全マージンが狭められている」と語り、「エンジンの小型化に加え、ターボチャージャー、スーパーチャージャー、自動変速機、エアーコンディショニング、排気再循環システムなどの高温部品が一般的になり、これらすべてがさらに縮小されるエンジンルームに詰め込まれることから「スペース不足」が発生し、過熱部分では従来の金属/ゴムおよびポリアミド樹脂(PA)による設計の耐熱性能を超える可能性がある」と述べている。

 その中でも冷却配管はエンジンルームに収めるための設計が最後に行われるコンポーネントであるため、材料はより複雑な配置を可能にする設計の自由度を与えるだけでなく、重量の増加(断熱構造の追加の必要性など)なしに動作の安全性を確保する、高度な耐熱や耐薬品性能も提供する必要がある。

 同社のライトンPPS押出し成形グレードにより、OEM各社では、大型で高価なパワートレインの流体処理配管から、スマートで軽量の一体型ソリューションへの置き換えが可能になる。このソリューションには、コネクター、オーバーモールドされたブラケットやライトンPPS射出成形グレードで作られた溶着によるブラケットが含まれる。

 ヨーロッパの一部の大手自動車OEMはすでに軽量の「ライトンPPSソリューション」を導入済みだが、他にも様々なクーラント、エンジン、パワートレインのオイル処理システムでの使用を検討中であり、従来の複合材料(金属/ゴム)とPAの設計の置き換えを模索している。

 同氏は「流体処理配管が複雑になればなるほど、軽量化のみならず製造の簡素化および組み立てコスト削減にライトンPPSが貢献できる」と述べている。

イソクラスト普及会 畑作用殺虫剤など2新製品を販売へ

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2018年10月24日

 イソクラスト普及会はこのほど、畑作用殺虫剤「ビレスコ」顆粒水和剤と水稲用殺虫剤「エクシード」粉剤DL、2つの新製品の販売を開始すると発表した。販売元は同普及会を構成する、ダウ・アグロサイエンス日本、日産化学、北興化学工業の3社で、発売開始は来年早春を予定している。

 両新製品は、有効成分の「イソクラスト」(一般名:スルホキサフロル)を活用した新規系統のスルホキシイミン系殺虫剤。ばれいしょ・てんさい・水稲で問題となる害虫に対して、安定した防除効果が期待されている。

 ビレスコ顆粒水和剤は北海道専用剤で、ばれいしょとてんさいに発生するアブラムシ類に対して、安定した防除効果を発揮。同剤は、速効性・残効性をもち、また有効成分が植物体内に広がるため、葉裏や茎葉に寄生するアブラムシ類にも効果を発揮する。

 一方、エクシード粉剤DLは、水稲のウンカ類・ツマグロヨコバイ・カメムシ類に対して、高い防除効果がある。同剤は、本田での散布用ローテーション防除の1剤として期待されている。

 なお、2つの新製品の有効成分イソクラストは、IRAC(殺虫剤抵抗性対策委員会)の作用機構分類で、グループ4の新サブグループであるグループCに分類される、唯一のスルホキシイミン系の新規系統の殺虫剤。既存の殺虫剤に対して、感受性が低下した害虫にも安定した効果を発揮する。

日揮など 再生可能エネ由来水素でアンモニア合成などに成功

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2018年10月24日

 日揮と産業技術総合研究所(産総研)で構成するグループは、内閣府総合科学技術・イノベーション会議の戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)「エネルギーキャリア」のもと、共同で研究を進めていた再生可能エネルギーによる水の電気分解で製造した水素を原料とするアンモニアの合成と、合成したアンモニアを燃料としたガスタービンによる発電に世界で初めて成功した。

 日揮・産総研グループは、水のエネルギーキャリアとしてのアンモニアの優位性に基づき、2014年から「新規アンモニア合成触媒および再生可能エネルギーによる水の電気分解で得られた水素を原料としたアンモニア合成プロセス」の研究を進めてきた。

 今年5月には、産総研・沼津工業高等専門学校・日揮触媒化成と共同で、触媒に使用する担体や触媒の製造方法を改良することに成功。日揮グループは産総研福島再生可能エネルギー研究所(郡山市)の敷地内に建設した同触媒と一時的な水素供給用に設置した高純度水素ガスボンベを用いてアンモニアを合成する実証試験装置により、実証試験(アンモニア生産能力日量20kg)を開始した。

 新たに開発した触媒が低温・低圧で高い活性を持つことを確認するとともに、再生可能エネルギーの使用時に課題となる急な運転条件の変更によるアンモニア製造量の変動に対応できることが検証できた。

 これを受け、同社グループは実証試験時に使用した高純度水素ガスボンベの代わりに、太陽光発電設備で発電した電力による水の電気分解を通じて製造した水素を用いてアンモニアの合成試験を行い、合成したアンモニアを燃料にガスタービンによる発電試験(発電量47kW)を実施した。

 なお、水素製造の同試験では産総研福島再生可能エネルギー研究所、アンモニアガスタービン発電の同試験ではSIPの「アンモニア直接燃焼」チームが協力。同社グループによる再生可能エネルギーを活用した水素・アンモニアの製造と、これを燃料とした発電は世界初で、製造から発電に至るまでCO2を排出しないアンモニア(CO2フリー)を活用したエネルギーチェーンの確立に前進した。

 今後も同社グループは、再生可能エネルギーを活用したアンモニアの製造コスト低減に向けて研究開発を行うとともに、SIPエネルギーキャリア研究が2030年を目途に推進する「日本が革新的で低炭素な水素エネルギー社会を実現し、水素関連産業で市場をリードする」ビジョンの達成を通じて、エネルギーの多様化と低炭素社会の実現に向けて積極的に取り組んでいく考えだ。

NEDOなど 光触媒で世界最高の水素生成エネルギー変換効率を達成

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2018年10月23日

 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)と人工光合成化学プロセス技術研究組合(ARPChem:アープケム)はこのほど、東京大学と太陽電池材料として知られるCu(In,Ga)Se2(略称:CIGS)をベースとした光触媒で、非単結晶光触媒の中で世界最高の水素生成エネルギー変換効率12.5%を達成したと発表した。

 今回開発した水素生成光触媒と、従来のBiVO4からなる酸素生成光触媒で二段型セルを組み立て、疑似太陽光照射下での水の全分解反応を試みたところ、太陽光エネルギー変換効率は3.7%を達成。この値は、2016年に公表された太陽光エネルギー変換効率の23%増に相当する。

 光触媒は太陽光エネルギーを化学エネルギーに変換する機能性材料。太陽光の強度のピークは主に可視光領域(400~800㎚)にあるため、この波長域の光を吸収する光触媒ができれば、効率よく太陽光のエネルギーを利用できる。

 しかし、従来の光触媒は、吸収波長が主として紫外光領域(~400㎚)に限られるものが多く、可視光から赤外光領域にかけての光を利用できるように、光触媒の吸収波長の長波長化が課題の1つだった。

 このため、従来よりも長波長の光を吸収する光触媒材料として、硫化物やセレン化物といったカルコゲナイド系材料の開発を進め、CIGSベースの光触媒開発に至った。

 NEDOなどは今後、高性能な酸素生成光触媒を開発し、今回の研究で得られた水素生成光触媒と組み合わせることで、2021年度末までに太陽光エネルギー変換効率10%の達成を目指す。

 なお、アープケムは国際石油開発帝石、TOTO、ファインセラミックスセンター、富士フイルム、三井化学、三菱ケミカルの5社1団体が参画する研究組合。太陽光の下、①光触媒による水の分解で水素/酸素を製造し②分離膜を用いて水素を安全に分離し③合成触媒を用いて水素と二酸化炭素から化学品原料である低級オレフィンを製造する人工光合成型の化学プロセスを確立し、化石資源からの脱却や資源問題・環境問題の解決を目指す目的で、2012年に設立された。

 NEDOなどとともに、環境に優しいモノづくりを実現するため、太陽光のエネルギーで水から生成した水素と、工場などから排出される二酸化炭素を合成して、プラスチック原料などの基幹化学品(C2~C4オレフィン)を製造する人工光合成の研究開発を進めている。